悪魔がウチにおりまして・1186
ウチには悪魔がいる。
カレンダーをじっと睨んでいる悪魔が。
「ニンゲン、成人の日とはなんですか」
「大人になったお祝いの日?」
私もよくわからない。
「そうは言っても20年しか生きてないのでしょう?」
おっと、これは悪魔からの年齢マウントですか?
「たった20年で独り立ち……先が危ぶまれます」
違った、寿命の違いからの心配だ。
「そうよねぇ、アンタ1万越えてるんだっけ?」
「そうです、そんな中20なんて誤差ですよ」
なぜだろう、心配のはずなのにムカつく。
「ミミ殿、年齢でドヤるのは品が無いですよ」
部屋の角で鏡餅を割っていた狐がわざとらしいため息を吐いた。
「ドヤってないですー!こんなひよひよが大人など片腹痛いのですっ」
ひよひよ、可愛い表現とそのあとの暴力よ。
「良いですか、ミミ殿。確かに年齢は20です。ちかし人生50年の時代もありまちた」
織田家の人の話かなぁ。
「そんな!50年ではラーメンも食べられないではないですか!」
もしかして、今日は通してバカにしていらっしゃる?
「左様、そのため短い生を充実させるために20年で区切るのです」
若干狐も感覚が違うことがわかった。
「ニンゲン、そんな儚い生き物だったのですね……」
悪魔が目頭を抑えながら鼻を噛む。
「なんかバカにされてる気がします」
「そんなわけないじゃないですか!」
「某は少ち煽ってます」
むしろ狐がギルティです。
「そもそも記念は良いのです。先人への感謝、目に見えぬ者への感謝。ついでに畏ろちき者への畏敬」
「つまりボクへの感謝!」
「畏敬です」
正月漫才の時期は過ぎましたよ。
「そうですかぁ、つまり今日はニンゲンがボクに畏れ慄く日というわけんですねっ」
無言で悪魔の頭にスリッパを乗せる。
「まぁ予想してたので大丈夫です」
そのサムズアップ、へし折ってやりましょうか?
「ミミ殿、要するにニンゲン達は理由を付けて休みたいのです」
狐ちゃん、それは図星過ぎるからスリッパ乗せるね。
頭に乗せられたスリッパを不服そうに見上げている。
「ニンゲン、成人の日は休みなのですか?」
カレンダーも見たのに気付かなかったの!?
「……なら、ボクと遊ぶです、囲碁で良いですか?」
悪魔はそういうと、タブレットのアプリを起動。
「……最近年始で忙ちく、寂ちかったのでは?」
「はいはい、付き合ってあげるわよ」
ウチには悪魔がいる。
「待った」
すでに5回目の悪魔が。




