悪魔がウチにおりまして・1185
ウチには悪魔がいる。
お腹をぷにぷにしている悪魔が。
「ニンゲン、今日のご飯、少な目でいいです」
「どれくらい?」
「三合で」
多いのよ、それでも。
「いきなりどうしたの、三度のご飯よりご飯が好きなじゃない」
「それ、ご飯だけじゃないです?」
判断は正常だった。
「とにかくニンゲン、ボクはご飯の量減らすのです!」
「太ったの?」
気軽に言った一言で悪魔はぴしりと固まり、柱の陰に隠れてしまった。
「ニンゲン、気軽に発した言葉が凶器になることがあるのです」
図星だったか。
「普段あれだけ食べてるのになんで正月で太るのよ」
なんならもう何度もウチで正月迎えてるのに。
「なんででしょうね、今年はなぜか体重が大変なことに」
逆にいつも通り食べてて太らないのが羨ましいんだけど。
「クモ、何か知らない?」
お皿を片付けていたクモに尋ねると首を傾げる。
「クモも知らないって」
「……クモちゃん、体重計に乗るです」
悪魔はひょいっとクモを抱えて体重計に乗せる。
ちょっと窮屈そうに上に乗っていて数字が止まると目がまん丸。
「クモちゃんも太ったらしいです」
何度かリセットをかけてそれで再び乗っている。
変わらないでしょ、壊れてないんだから。
「どうやらこの家に住んでいる者たちはふくよかになってしまっているようです!」
ちょっとだけ言葉から逃げたな。
「ニンゲン!味付けを濃くしたりしてませんか!」
「普段通りだけど?」
体重変わるほど濃いなら気付くでしょう。
「クモちゃん、食べる量増やしましたかっ」
クモ、首を振る。アンタならいざ知らず、クモは普通にしか食べないって。
「それならば、なぜでしょう……」
疑う原因少なすぎない?
「そういえば狐ちゃんとうぱは?」
「うぱちゃーん!丸くなってないですー!?」
呼び声に机の下から目を擦りながらうぱ登場。
そんなところで寝てたら踏まれますよ。
うぱの見た目は変わっていない。
「うぱちゃん、皆が重くなりました。何か知りませんか?」
擦っていた目を見開き腕を組む。少し考えたうぱはポンっと手を打った。
「うぱ、ぱぱ」
「な、なんですってー!」
通訳、はよ。
「うぱちゃん、自分のご飯にお砂糖をまぶしていたそうで」
自分のだけなら変わらなくない?
「それが、おかずにもかけていたのをボクたちが食べていたそうで」
……うぱの砂糖、そんなに摂ってたなら太るわね。
ウチには悪魔がいる。
「ニンゲン、やっぱり5合で大丈夫です」
砂糖が無ければ戻るでしょうからね。




