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74話 達成ガチャがわからない(2)

所持スキル


パッシブスキル  『無限転生』『視力向上』『聴力向上』『運向上』

         『容姿向上』『短剣特効(速)』『水中歩行』『暗闇無効』

         『投擲(必中)』『レア世界』『頭脳向上』『視界向上』

         『掏摸向上』『話術向上』

アクションスキル 『空中跳躍』『物体透過』『技能破壊』『技能詳細』

 視界に映る大地の大半が森だった。所々に開けた場所があって浮島のように見えた。中には粗末な家のようなものが散見される。人類は絶滅していなかった。ほっとしたが、いきなり姿を現すのは悪手に思えた。

 人気のない森の中へひっそりと舞い降りる。

 まずは自分を知らないといけない。巨木に相応しい木肌に(てのひら)を当てた。適当に押すと生木が折れるような音がした。


「マジで!?」


 神らしくない声が出た。木の幹をしっかりと抱える。大して力を入れていない状態で簡単に持ち上がった。重さはほとんど感じない。とは言え、持ち歩くと目立つ。

 木々の間に強引に突き刺した。

 力の一端は理解した。今度は純粋な走力を試したくなった。ただし場所が悪い。

 暗闇無効のスキルがあるので暗さは気にならない。枯草の中に潜む木の根が邪魔になる。滑り易そうな下草も生えていた。


 走力の他に俊敏性も試せるかもしれない。


 ふと浮かんだ考えで迷いが消えた。

 辺りを見回す。同じように生えている木々にも多少の変化はある。若木が混ざったところは間隔が他よりも広くて走り易そうに思えた。

 方角は決まった。やや上体を低くして自分のタイミングで飛び出した。

 空を飛翔するような感覚が蘇る。足を引っ掛けようとする木の根は簡単に引き千切れた。肘が木肌を(えぐ)り、避け切れない木をいとも簡単に薙ぎ倒した。

 痛みはまるでない。新しいスキルの恩恵というよりも強靭な肉体の影響が大きいと感じた。

 数分で走るのをやめて後ろを振り返る。

 幹の半分以上を失った木々が傾いでいた。大地は足の形状で抉れ、木の根の切れ端が至る所に弾け飛んでいた。

 俺は身体に付いた木屑や土を手で払い落とす。その過程で肘を見たが擦り傷ひとつ見つからなかった。


 単身で恐ろしい兵器に匹敵する。


 頭に過った瞬間、身体が震えた。恐怖によるものではない。強大な力を手に入れた歓喜の震えだった。

 二百年前の地上での凶行、その理由を何となく理解した。


 森の中を歩く。飛び出た木の根は蹴散らさず、跨いで避けた。

 遠くで鳥の囀りが聞こえる。近づくと例外なく飛び立った。

 徘徊(はいかい)する獣はいない。唸り声もしない。あまりにも不自然で避けられているように感じた。

 地面にゴツゴツとした石が多く見られるようになった。隆起も大きく木々は目に見えて減った。

 大きな岩に行き当たる。半円の穴は手彫りのような痕跡を残していた。上体を前に倒して踏み入った。

 中は単純な作りで左右に道はなかった。大きな大蛇の内部にいるように緩やかに蛇行した。

 先の方に光が見えてきた。自然に足が速くなる。

 広いところに出た。光は天井付近から射していた。建築物が崩れた形で固まり、隙間から陽光が漏れているようだった。壁も同様に瓦礫が重なって形成されていた。

 奥まった一角に壁画のようなものを見つけた。棒人間のような人々が折り重なる。それとも押し合っているのか。上の方には大きな人物が描かれ、背中から大きな翼を生やしていた。


 これは俺なのか? 下にいる人間を蹂躙(じゅうりん)していると。


 そのように考えると不思議なことに人々が藻掻き苦しんでいるように見えてくる。もう一人、虐殺に加わったアポンという神がいるのだが、どこにも描かれていなかった。一部が剥離(はくり)しているのでそこに描かれていたのかもしれない。

 身に覚えのない事実なので他人事に思えてならない。それよりも足音がすぐ近くまできていた。


「そこで何をしている!」


 (とが)めるような言葉を浴びせられた。ゆっくりと振り返る。

 長い黒髪の少女が怒りの形相で立っていた。両手に抱えるカゴには果物が盛られているようだった。


「何も。ただ、壁の絵を眺めていた」

「……壊すつもりか」

「それに何の意味がある? 神を憎む、お前達が破壊すればいい」

「神を冒涜(ぼうとく)するな! この絵は太古の人類が神へ救いを求めたものだ!」


 そういう見方もあるのかと心の中で頷いた。

 少女は敵意剥き出しの視線を外さず、カゴを足元に置いた。即座に後ろ手に回し、切っ先の鋭い刃物を取り出した。刺突の構えで少しずつ距離を縮めてきた。

 その殺意よりも武器が気になる。


「手にしたそれは短剣なのか」

「それがどうした。命乞いは無駄だ」

「そうか、短剣なのか。実に素晴らしい」


 笑いが込み上げて語尾が震えた。底知れぬ力を秘めた神が短剣を得ればどうなるのか。想像するだけで願望が黒く染まってゆく。

 その前にすることがある。とても単純だが効果は絶大だ。

 俺は瞬時に翼を広げた。降り注ぐ陽光で神々しさが増し、少女はその場に泣き崩れた。額を床に押し付けて、我が神よ、と喉奥の声を絞り出した。

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