アクティブスキル〈ガンシャ〉
僕達がテントから出ると、いかつい男店員二人と受付のおばちゃんが立っていた。
おばちゃんは腰に片手剣を帯刀している。
「ママぁ~、こいつですよ~、侵入者ですぅ~」
店員の男が言った。 おばちゃんは僕達を睨み付ける
「誰かと思えば昨日の坊やじゃないか? 二人してどこに行くんだい? あ゛ぁ?ノエルぅ?」
「えっと……、これは……」
ノエルが気まずそうに言葉を濁しているので僕が間に入った。
「僕達はここから逃げることにした。 もう行くので退いて下さい」
「はいそうですかと、退く訳ないだろう? うちの店じゃね、こういうおイタする客は金を払って詫てもらうか、腕一本いただくルールなんだ。 なぁ坊や、銀貨20枚と片腕どっちがいい?」
このおばちゃん結構強い。けど……。
「バカかお前? 怪我したくないなら退けって言ってるんだ」
どんな言い訳を並べても、この人達からすれば僕がノエルを攫っている、盗もうとしている、とうことに変わりない。 ならば小細工無しで押し通すしかない。
「かっかかかかかかッ!」
おばちゃんは声を出して笑った。
「大した自信だねぇ? あ゛ぁ? いいだろう。 久しぶりに人を切るとするかねぇ 坊や あたしがレベル41の魔法剣士さね」
そう言うと、おばちゃんは腰の片手剣を抜いた。
「「マっマぁ~ やっちゃえぇえええええ~」」
店員の男二人が元気良く叫ぶ。
「アクティブスキル〈ウィンドソードLv1〉」
おばちゃんの周りに風が起こり、剣の周りで木の葉が高速で回転している。
これが魔法剣士のアクティブスキル。
だが僕のステータス、インテリジェンスが教えてくれる。この技は脅威ではないと――。
僕は拳を上げ闘う意思を示す。
おばちゃんはそんな僕を見て、先程まで浮かべていた笑みを消した。
「坊や、あんた何者だい? 信じ難いが、あたしより強いね」
「僕の力量を計れるのか?」
「当然さね。 でもねぇ 見逃す訳にはいかないんだ。 こっちも商売だからねぇ。 こりゃあ本気出すか、 年寄りには骨が折れるねぇ――。
アクティブスキルッ!〈ファイヤーソードLv4〉ッッ!!」
おばちゃんが叫ぶと、片手剣は物凄い熱量の炎を纏った。
炎は巨大で家一つ飲み込む程の大きさ。
「よそ見してんなッ!」
僕が炎に目をやった隙を突いておばちゃんが一気に距離を詰め、上段から切り降ろしてくる。しかし、その動きはステータス、アジリティによって完全に捉えている。
この攻撃、かわすのは簡単だ。 だが、かわせば後ろにいるノエルがこの炎に巻き込まれる。
それに僕にとってこの攻撃はかわす必要がない。
「きぇええええええええええええ!!」
ガシッ!
おばちゃんの上段からの斬撃を僕は右手で剣を掴んで止めた。
「かっかかかっ! ノエルを守ったね! 根性あるじゃないか! ――なっ!?」
剣越しに危険な笑みを浮かべながら僕を睨み付けていたおばちゃんの顔が驚きに変わった。
僕が全くダメージを受けていなかったからだ。
ステータス、ストレングスには物理防御、インテリジェンスには魔法防御の効果がる。こんな剣撃や魔法では僕にダメージを与えられない。
剣を掴んでいる手が炎で焼け爛れるが、その火傷は直ぐに回復していく。
おばちゃんが剣越しに言う。
「その回復力、聖騎士や重騎士のパッシブスキル〈回復〉〈再生〉の上位互換だねぇ。 坊や、お前の加護はなんだ? まさか【SR勇者】ッ?」
「違うな」
この回復、一度も使ったことがない力だが、僕の加護が教えてくれる。これはパッシブスキル〈ゼツリンLv10〉だ。
〈ゼツリン〉圧倒的な回復を成すスキル。Lv10は瀕死の状態から全回復まで僅か10分程度だろう。この程度の火傷ならこっちの回復スピードの方が早い!
おばちゃんはバックステップで下がり僕から距離を取った。
「せっかくだ。 新しい技を試させてもらう」
「何をする気だい?」
「すぐにわかる。
アクティブスキル〈ガンシャ〉ッ!」
僕の手に黒光りしたナスのような物が顕現した。僕は念じる〈種転送・種強化Lv10〉
そして僕はおばちゃんに向けてガンシャを撃った!
ドピュンッッッ!!!
勢い良く飛び出した闘気を纏った種はおばちゃんの剣に当たり、剣を弾き飛ばす。




