テントの中で
【ノエル視点】
ゼツ君かっこ良かったなぁー。それに優しかった。
奴隷って言ってたけど雰囲気や物腰は高貴な感じで……。
こんなに高いお店で女を買えるんだから、実はお金持ちの貴族様だったりして? それはないか……。
奴隷でもレベルが高いと給金が多いのかな? ゼツ君のステータス凄かった。
文字が読めないから加護はわからなかったけど、レベルが102なのはわかった。
レベル30あれば凄く強いって聞いたことがある。そういう人は年を取った人が殆どで……。
でもゼツ君は17歳。
凄いなぁー。凄いよゼツ君、……ゼツ君。また君に会いたいな。
ゼツ君みたいな人と一緒に冒険者になって冒険できたらどんなに幸せなのだろう。
…………たぶん私は、一生このままなんだよね。 レベルはずっと0で、毎日作り笑いで嫌な男の相手して、 ……年を取る。
そう思ったら自然と涙が頬を伝った。
あれ…… 涙が、止まらない。
「えっぐ、 うっ、 うっ……、うぅぅ」
私、なんの為に生まれたんだろう。
【ゼツ視点】
ノエルのテントの前に立つと中から泣き声が聞こえた。
「ノエル?」
僕がテント開けると昨日と同じ黒のネグリジェ姿のノエルが一人泣いていた。
「え? あれ? ゼツ君? どうして? 夢?」
「誰かに酷いことされたのか?」
「うんん、違うの、たまに一人で泣いちゃうことがあって……。 それよりゼツ君こそどうしてここにいるの?」
ノエルのあどけない蒼い瞳と頬が涙で濡れて妖しく美しい。
「僕はここから逃げて、どこか遠い街で冒険者を始めることにしたよ。 それでノエルも連れて行こうと思って声を掛けに来た。 よかったら一緒に逃げないか?」
「――――ッ!? うっ えっぐ えっぐ」
ノエルは泣き出してしまった。
いったい何があったんだろう?
「ノエル?」
「いぎたきたい……うっぅう。 私も一緒に行きたい」
「ああ、なら一緒に行こう! ただ暫くは野宿になるけど、大丈夫か?」
「うん、平気。 今から行くの?それに私、早く走れないけど、足手まといになるよね?」
「今から出発する。 ノエルが〈加護の儀〉を受けてレベルが上がるまで、僕が君をおぶって移動するから問題ないよ。 僕のステータスなら余裕でできる」
「……ありがとう。 ありがとうゼツ君。 私もできることは何でもするね」
僕は微笑みノエルも笑った。
こうして僕達は一緒に旅立つことになった。




