なかなおり
夕暮れ時の光を浴び、毛を茜色に染めたオパールが空高く飛ぶ。
「すごいでしょ!」
「うん! すごい! 空を飛んでる!」
きらきらと私を見上げてくるリースくんにオパールが嬉しそうに翼をはためかせる。
うん。やっぱり空飛んだ時の感想はこういうキラキラしたのが良いね。クレスは悲鳴しか上げてなかったし。
『カヤ、あれじゃないか?』
「うん。オパール! あの近くに降りて!」
「ぎゃう!」
大きな影が不自然にできたことに疑問を持ったのか、バルッシュを操っていた男の人が驚愕の瞳でこちらを見ていた。
「止まって~! 止まってくださ~い」
声 が届いたのか、バルッシュの速度がゆっくりとなる。荷馬車を踏んづけないようにオパールに降りてもらうと、中から夫婦 と小さい男の子が出てきた。きっとこの子がリースくんのお友達だろう。
「ライフィア!」
「リース! ……なんで」
「……」
二人の間に沈黙が落ちる。けど私はなにも言わない。これは二人の問題。私が口を出すべきではないって分かっているから。
「……あの!」
「「ごめんなさい」」
リースくんの声を皮切りに、二人は同時に謝って堪え切れなくなったのか噴き出していた。どうやら、無事仲直りできたみたい。
『おい、カヤ』
「なに?」
『あいつらが仲直りするのに、石は必要なかったんじゃないか?』
「かもね。けど、シオル石を採りに行ったから、リースくんは謝る勇気を出せたんだと思うよ」
きっとなんでもいいから、きっかけが欲しかった。それはきっと、形があっても無くてもどっちでも良かったんだと思う。
「けどまぁ、仲直りできて良かった」
「ぎゃ~う~!」
リースくんはその後、シオル石をお友達に渡して、少し話した後に戻ってきた。
「聞いてカヤお姉さん! もうちょっと大きくなったら二人で練習ダンジョンに入る約束してきたんだ!」
「そっか! 良かったね!」
「うん! カヤお姉ちゃんとオパールが運んでくれたお陰だよ! ありがとう!」
ありがとう。その言葉にじんわりと胸が暖かくなるのを感じた。
私はオパールに乗ってリースくんを運んだだけ。けど、こうやって感謝してリースくんは笑顔をくれた。
それがとても嬉しくて、自然と笑みが浮かぶのが自分でも分かった。
「ありがとうを言いたいのは私の方だよ」
リースくんの笑顔を見て、決心が固まったよ。
「よし、戻ろうか」
私達は再び、茜色の空に飛び立ったのだった。




