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はぐれ従族

 私はその姿を見た瞬間。


「きつねぇぇっぇぇぇぇえええええ!」


『わわ!』


 私は現れた大きな狐にタックルをしながら抱き着いた。


 ほっふほふう! フワフワの毛並みがなんともたまらないぜ!


「もふもふもふ……ぐへへ」


「カヤお姉さま、でれでれな顔になっていますよ」


「カヤおねえちゃんすごい……」


「話にならん」


 クレスはあきれ顔。他二人はぽかんとした顔をしてた。


 そんなに驚くことかな?


「けどまさか、紛れ込んだのがはぐれ従族とはな」


「はぐれ従族?」


 聞いたことない単語に首を傾げる。はぐれってことは野良みたなものかな?


「本来契約をしていた人間が死ぬと従族も消える。だが、なんらかの不都合で消えない従族がたまにいるんだ。それを僕たちははぐれ従族と呼んでる」


「へぇ」


 そんなことがあるんだ。なんか飼い主に置いてかれたペットみたいでちょっとかわいそうだな。


「そういう従族は保護するの?」


「いや、モンスター認定され冒険者の手によって討伐される」


「はぁ⁉」


 思わず素っ頓狂な声が口から飛び出た。


 この狐くんをモンスター認定? 討伐される?


「ふっざけんな! オパールの時もそうだけど、なんであんたたちはこうも悪い事をしてない子たちばっかりを殺そうとするの!」


「はぐれ従族は主との繋がりがないから魔力が不安定で暴走して人間を襲う恐れがある。だから特別モンスターとして討伐対象なんだ」


「恐れでしょ恐れ! そんな可能性の状態で、この子を討伐するのは許さないんだから!」


「お前は……なんでこうもいちゃもんつけてくる」


「あんたが意味の分からないことばっかり言ってくるからでしょ!」


 ばちばちと私とクレスの間で火花が散る。


 誰がなんと言おうと、私は一歩も譲らないからね!


『ねぇねぇ、お姉ちゃん。いい匂いするね』


「きゃっ! どうしたのですか?」


『ここにあるのなになに? 美味しそうなにおいする!』


「もしかして、これが食べたいのですか?」


『そうそれ! 頂戴頂戴!』


「欲しいのですね。どうぞ」


「ん?」


 クレスとばちばちやってると、カリカリと何かを砕くような声が聞こえてそちらを向くと、狐くんにクッキーあげてるニッカが目に入った。


 あれ? なんかいつの間にか仲良くなってる?


「ニッカ、そいつははぐれ従族だ。危ないから離れろ」


『お姉ちゃんニッカって言うの? 可愛い名前だね~』


「わ! くすぐったいです!」


 クレスの警告スルーしてニッカちゃんと狐くんはいちゃいちゃし始めた。隣でぷるぷる震えている可哀相な冒険者の肩を叩くと、堪え切れない笑顔のまま口を開いた。


「へいへいお兄ちゃん。ガン無視されてるぜ」


「う、うるさい! おい! はぐれ従族! ニッカから離れろ」


『いやだ~!』


「嫌って言ってるけど」


「こういう時に通訳するな。やりずらい」


「ならもっとやりずらくしてやる! 皆さ~んここに抵抗してないのに可愛らしい従族を斬ろうとしている外道がいますよ~。動物愛護法違反者ですよ!」


「お前は、どっちの味方なんだ」


「愚問だね。私はもふもふの味方さ! 世界中のもふもふは私が守る!」


 ふっ、決まったぜ。



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