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ダリアの魔法

「大丈夫そうなら、噴火終わるまで待ってれば良いかな……?」


「それでも良いが……そうするとマサが赤の洞窟に籠る可能性がある」


「赤の洞窟?」


「テメラーニョ山の中腹にある洞窟だ。この大陸でも五本の指に入る程の難易度のダンジョンで、紅の厄災が根城にしている。僕一人ならまだ行けるが……お荷物込みだとな」


「お荷物で悪うございましたね」


「本当の事をわざわざ卑下しなくていいだろ」


「んな!」


 なんでこうもイラっとさせにくるかな!


「どちらにせよ、この噴火が終わる前に山頂にいるマサさんの所に行かなきゃいけないんでしょ」


 どれくらい噴火が続くのか分からないけど、ヤーヴァスの人が目覚ましにしてるくらいだから、きっとそこまで長い時間じゃない。そうなれば最短距離を行くしかない!


「オパール突っ込むよ! 目指すは山頂のマサさん‼」


「ぎゃ~う~!」


 よし来た! という感じでオパールが全速力で未だに噴火してる山に突っ込んだ。


「くそ! ミー! 竜族の援護をするぞ。こんな所で転落死なんかしてたまるか!」


『たく、しょうがないわね!』


 ミーアちゃんは立ち上がったクレスの肩に乗っかる。直後、彼の体が薄い青い光に包まれた。


【青の聖霊よ。契約を契りに僕に力を与えたまえ!】


 クレスが呪文を唱えた瞬間、周りに水の鞭が現れて、私達を襲ってきていた火山弾を弾いていく。


 人と従族が協力して魔法を使ってる所初めて見たけど、想像以上だ。


「お前は竜族の誘導と俺の支えだ」


 支えも何もさっきまで私の服掴んでないとバランス取れてなった人がなにを言ってんだと後ろを見たら、ご丁寧にオパールの体から自分の足首まで凍らせて離れないように固定してた。


 なんとも大胆なやり方だな。


「ぎゃう~」


「うわ!」


 オパールが急上昇する。山に添って登っていってるせいか、目の前には壁のように見える山肌と朝焼けで赤く染まり始めた空。それを彩るように降ってくる紅の星。


 なんか、凄く綺麗だな。


「しまった!」


「え?」


 クレスの焦った声にはっと我に返る。目の前には迫った灼熱。


 瞬時に分かった。


 これは、避けられない……!


『しょうがないな。俺様が一肌脱いでやろう』


「ダリア?」


 ダリアの声が聞こえたかと思ったら、空が再び夜になる。


「違う……!」


 夜になったんじゃない。なにか黒いものが視界を覆ったんだ。


 それは私達を襲おうとしていた火山弾を綺麗に包むと、ダリアの口の中に納まってしまった。


『うげ、熱いだけで不味いな、これ』


「……」


『おい、お前ら俺様の偉業に驚いたか! な~に俺様に掛かればこんなの朝飯前――うげ!』


 ぎゅうと私はダリアを抱きしめた。


 ダリアがいなかったら、私たちはきっと――。


「ありがとうダリア。助けてくれて」


『おう! 俺様を讃えてくれていいぜ……!』


 ニヤニヤするダリアに笑ってしまった。


 たく、この子は可愛いんだから。


「ぎゃ~う」


 軽い振動と共に浮遊感が無くなった。どうやら山頂に着いたらしい。


 その間に噴火は終わったみたいで本当に良かった。



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