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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第78章 ― 北の前の静寂


忘れられた聖域への出発の朝、俺は陽が昇る前に目を覚ました。不安のせいではなかった――あるいはそれだけではなかった――誰かが寝台の脇机の上に温かいお茶のジョッキを置いていて、湯気が香り高い渦を描いて立ち上っていたからだ。カモミール。蜜を少し加えてある。


アルテアだ。彼女に違いなかった。


服を着て厨房へ下りた。治癒術師はいつものようにもう起きていて、片手で粥の鍋をかき混ぜ、もう一方の手で自分の覚え書きの帳面を持っていた。双子のセリとリラは食卓につき、眠そうに羊皮紙の切れ端に何かを描いていた。


「おはよう」と俺は挨拶した。


「おはよう」アルテアは肩越しに俺を見た。「よく眠れた?」


「期待してたより」


「お茶が効いた?」


「やっぱり君だったんだな」


「いつもよ」彼女はあの短くて音楽みたいな微笑みを浮かべた。「今日は出発の日。何か穏やかなものが必要だと思って」


「君はいつもそう思う」


「私の仕事だから」


俺は卓に着き、彼女は俺が頼むより先に粥の鉢をよそってくれた。双子が自分たちの絵を見せてくれた。明らかにシルフィである翼ある姿と、波のような髪を持つマリスにしか見えないもう一つの姿。幼い子供には無理なはずの正確さで、新しい住人たちを描いていた。


「絵がうまくなってるな」と俺は言った。


「ママが教えてくれたの」とセリが誇らしげに言った。


「ママはなんでも教えてくれる」とリラが言い添えた。


ちょうどそのときセラが厨房に入ってきた。焼きたてのパンの籠を抱えている。彼女は娘たちに微笑みかけ、座る前に二人の髪をくしゃくしゃにした。


「今日が大きな出発の日?」と彼女は訊いた。


「ああ。北への遠征だ」


「寒さは酷いわよ。みんなにマフラーを編んだの」彼女は戸棚の上の羊毛の束の山を指さした。「きれいじゃないけど、暖かいわ」


「君は天使だな、セラ」


「機織り女よ。同じこと」


塔の残りの面々は少しずつ目を覚ましてきた。ゴーンは二階の窓から入り込む寒さについて何やら不平をつぶやきながら下りてきた。ヴェラスがすぐ後ろから、杖にすがりながらも目を生気にあふれさせてやってきた。マリスが音もなく現れた。水の髪は普段より濃い青に波打っていた――おそらく向かう先の凍てついた北の反映だろう。ヴァエリスは文字通り浮かんで入ってきた。足はほとんど床に触れず、核はやわらかな光で脈打っていた。


それから、遠征者たちが来た。


レナが最初だった。星鉄の刃をすでに背に固定し、セラのマフラーの一つを首に巻いている。彼女は準備ができていた――黄色い目、まっすぐな姿勢、動かない尻尾でわかった。緊張ではなかった。集中だった。


リサンドラが次に来た。エルフの剣が朝の弱い光の中でも輝いていた。彼女はミリが自由都市の商人たちから手に入れた補強外套を着ていた――暖かくて頑丈な北の動物の毛皮だ。


シルフィが最後に入ってきた。翼を半ば開いて、囲炉裏のそばで温めている。彼女は小型の背嚢を背負っていたが、菫色の目は生気にあふれ、弾んでいた。


「氷の山脈の上を飛ぶのよ」と彼女は、それが世界で一番自然なことであるかのように言った。


「氷の山脈の上を飛んだことがあるのか?」俺は訊いた。


「いいえ。でもずっとしたかった」


「それは勇気か、無謀か?」


「両方少しずつ」彼女はあの歪んだ微笑みを浮かべた。「私がすることはいつも」


最後の指示のために皆を厨房に集めた。ミリがライラの用意した小さな地図を広げた。経路がルーン・インクで記されている。


「忘れられた聖域は、天候が良ければ約十日の旅路だ」と俺は説明した。「雪が降れば、二倍かかるかもしれない。シルフィが先行して空中偵察をする。レナとリサンドラが地上班を率いる。ヴァエリスは……」


「私も一緒に行く」と俺が言い終わるより先にヴァエリスが言った。「戦闘員じゃないのはわかってる。でも私のマナは役に立つ。それに聖域は……私はそこにいなくちゃいけない気がする」


「どうして?」


「説明できない。呼び声のようなもの。沈黙の塔に感じたのに似てるけど、違う。もっと古い」彼女は自らの核に触れた。「神々の沈黙。私はそれを聞くために作られたんだと思う」


俺はレナを見た。彼女は頷いた。


「わかった」と俺は決めた。「ヴァエリスも行く」


「そして私は残る」とマリスの水の声が部屋を満たした。「まだ適応の途中。それに、塔にはマナの脈を理解する誰かが必要。あなたたちが留守のあいだ、私がエネルギーの監視を手伝える」


「それは助かる」とアルテアが賛成した。「遠征で、塔は一時的に複数の住人を失う。マナの均衡が揺らぐかもしれない」


「私が維持を手伝う」とマリスは約束した。


俺は卓を見渡した。皆が準備を整えていた。皆に役割があった。


「正午に出発だ」と俺は言った。「それまでは休め。食べろ。温まれ。北は優しくないぞ」


「北は決して優しくない」リサンドラがつぶやき、その声には古い智慧があった。


出発の一時間前、俺は四階の庭でヴァエリスを見つけた。彼女は輝く低木の前に立っていた。それは今、小さな青い蕾で覆われていた。もうほとんどほころびかけていた。


「まだ」と彼女は振り返らずに言った。「でも、ほんとうに間もなく」


「君はいつもそう言う」


「いつも本当だから」彼女は微笑んで俺を見た。「シン、行かせてくれてありがとう」


「君に俺の許可なんて要らない。君は自由な住人だ」


「わかってる。でもそれでも……ありがとう」彼女は俺の手に触れた。「ねえ、私が封じ込めの部屋に封じられていたとき、聖域みたいな場所を夢見てた。沈黙が神聖で、牢獄じゃない場所。沈黙が……招待状である場所」


「何への招待状だ?」


「聴くことへの。理解することへの」彼女は一拍置いた。「繋がることへの」


「君はそこで何かと繋がるのか?」


「かもしれない。神々のこだまと。自分自身と」彼女はかよわく輝く微笑みを浮かべた。「遠くからでも、あなたと」


「俺はここにいる。待っている」


「知ってる。だから行けるの」


彼女は身を乗り出し、俺の頬に口づけた――簡素な仕草だったが、癒された何世紀もの孤独を帯びていた。


正午に、遠征者たちは門に集まった。五名だ。レナ、リサンドラ、シルフィ、ヴァエリス、そして皆を驚かせて、エリオン。


「君は行くのか?」と俺は守護者に訊いた。


「私は道を知っています」と彼は簡素に答えた。「あるいは知っていた。古い記憶が断片となって戻ってきている。聖域……私は一度そこに行った。ずっと昔に。役に立てる」


「君は儀式から回復中だ」


「十分に持ち直しています」彼は自らの胸に触れた。「そしてこれが私の目的です。守ること。導くこと。仕えること」


俺は反論しなかった。エリオンは彼なりのやり方で頑固だった――多分、守護者は皆そうなのだろう。


シルフィが最初に飛び立った。青い翼が灰色の空を背に輝いていた。ヴァエリスが羽根のように軽やかにその横に浮かんだ。レナ、リサンドラ、エリオンは北の小道を進み、木々のあいだに消えていった。


最後の足音が消えるまで、俺は門に立っていた。それから、アルテアが俺の腕に触れた。


「大丈夫?」


「大丈夫だ」俺は深く息を吸った。「ただ、別れは好きじゃない」


「誰も好きじゃないわ」彼女は俺の手を握った。「でも別れは必要なの。それがなければ、再会はない」


「それは治癒術師の智慧か?」


「多くを失って、あるものを大切にすることを学んだ者の智慧よ」


俺は彼女の手を握り返し、俺たちはしばらくそうしていた。秋の灰色の空の下で。


その夜、塔はかつてなく静かだった。マリスは中庭にいて、白い目を月に向け、俺にはわからない言語で何かをつぶやいていた――ナーイアスの祈りか、航海の歌か。アルテアは早くに眠った。準備で疲れ果てていた。ゴーンとヴェラスは厨房で盤上遊戯をし、セラは双子が不在の住人たちのさらなる肖像を描いているあいだ編み物をしていた。


俺は市場の屋根に上った。なぜかはわからない。多分、そこが空に一番近い場所で、空はシルフィの飛ぶ場所だったからだ。


誰かが後を追って上ってきた。軽やかだが、忍び足ではない足音。


「あなたはいつもここに上るのね」と夜のなかをマリスの水の声がこだました。


「一番いい考え事の場所だ」


「あるいは、考えないための」


「それもだ」


彼女は俺の隣に座った。水の髪が肩の上を流れた。月が彼女の白い目に映り、昼の光の下にはなかった深さを与えていた。


「ねえ、シン。私は三百年、水に沈んでいた。独りで。海の静寂は陸の静寂とは違う。もっと……音楽的。層がある。こだまが」


「恋しいか?」


「恋しい。でも新しい音も発見している。木々のあいだの風。囲炉裏のぱちぱちいう音。子供たちの声」彼女は一拍置いた。「あなたの声」


「俺の声は多くの中の一つにすぎない」


「そう。でも、私が一番聞く声」


彼女は身を寄せもせず、俺の手にも触れなかった。ただそこにいて、屋根の静寂を共有した。そしてそれは、どういうわけか、俺がまさに必要としていたものだった。


「明日、ペンダントが震える」と俺は言った。「無事だと言う」


「そしてあなたは待つ」


「いつも」


「待つことは愛の形」彼女は俺を見た。白い目は計り知れなかった。「知っていた?」


「学んでいるところだ」


「私たち皆が」


俺たちは月が沈むまでそこにいた。そして俺が下りたとき、塔は静寂に包まれていた。でもそれは期待の静寂だった。虚無のではない。

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