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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第73章 ― 次なる最前線

翌朝は霧とともに明けた。ただし、数週間前の魔法の霧ではなかった。普通の、湿って冷たい霧で、林檎の木の葉に露の滴を残し、小さなリース・アエテルナの光の帯を星の首飾りのように輝かせた。


焼きたてのパンの匂いと、もう一つ――コーヒーに似ているが違う何かの匂いで目を覚ました。アルテアが厨房にいて、鍋をかき混ぜながら真剣な表情を浮かべていた。


「それは何だ?」俺は目をこすりながら訊いた。


「コーヒーの試作品。ミリが自由都市から持ってきてくれた焙煎した大麦の粒を使ったの。カフェインは入ってないけど、味は似てる」


「コーヒーを再現しようとしてるのか?」


「あなたが恋しがってたから」彼女はほんのり赤くなった。「リサンドラとレナへのおかえりの贈り物にいいと思って。それと、あなたにも」


「それは……信じられないくらい優しいな」


「私は治癒術師よ。世話をするのが私のすること」


飲んでみた。コーヒーではなかった。でも温かくて、程よい苦さで、本物のコーヒーには決して出せなかっただろう気遣いの味がした。


「すごくうまい」と俺は言った。「事務所のコーヒーより」


「あなたはいつもその事務所のことを言うわね。そんなにまずかったの?」


「もっとだ。あそこのコーヒーは敗北と残業の味がした」


彼女はあの短くて音楽みたいな笑い声をあげ、俺にたっぷりと一杯ついでくれた。


レナがすぐに下りてきた。まだ髪はぼさぼさで、耳がわずかに曲がっていた――深く眠った証拠だ。リサンドラがその後に続き、昨夜よりは足を引きずっていなかった。アルテアが包帯の良い仕事をしたのだ。


「おはよう」と俺は挨拶した。


「おはよう」と二人が声を揃えて返し、そこにはどこか儀式的なものがあった。毎朝繰り返されるのに、決して古びない何か。


朝食の後、俺は皆を書庫に集めた。次の一歩を決める時だった。


ライラはいつものようにすでにそこにいて、新しい地図を卓上に広げていた。けれど今回は彼女は一人ではなかった。ヴァエリスが隣にいて、青い光の小さな球で羊皮紙に印をつけるのを手伝っていた。シルフィは窓の近くに浮かび、翼がほとんど天井に触れそうだった。エリオンはヴェラスの安楽椅子に座り、まだ儀式から回復中だったが注意を向けていた。ゴーンは卓の片側の半分を占め、ハンマーを壁に立てかけていた。ミリは帳簿を手に物資を計算していた。セラとヴェラスは双子を中庭で遊ばせておき、俺たちに加わった。


「三つの鍵を回収した」と俺は、緩衝材を敷いた小箱に収められた小さな結晶を指しながら始めた。「残りは二つ。東海岸の水没した文書館と、最北端の忘れられた聖域」


「三つよ。この塔の鍵を数えるなら」とライラが訂正した。「でもそれはまだ眠れるものが持っているし、待てるわ」


「了解。じゃあ二つの遠征だ。どっちが先だ?」


ライラは小さめの羊皮紙を広げた。彼女の細かな筆跡の注釈でびっしりだった。


「水没した文書館は一番近い目標よ。東海岸にあって、陸路で約六日。シルフィが空中偵察をすれば三日。自由都市の記録によると、人工島の上に建てられた文書館だった。あそこの姉妹塔が消し去られたとき、島は部分的に沈んだ。文書館は水没したけれど、防護のルーンはまだ機能している。鍵は中央の広間にあって、水と圧力の機構で封印されているはず」


「水と圧力」と俺は繰り返した。「つまり潜れる奴が必要だ」


「あるいは広間を排水できるならな」とゴーンが付け加えた。「防護のルーンがまだ機能しているなら、封印を反転させられるかもしれん」


「私がルーンを手伝えるわ」ライラが申し出た。「今度は私も行きたい。前回は後に残ったから」


「お前は戦闘員じゃない」とレナが念を押した。


「違う。でも現場でルーンを読めるのは私だけ。もし何かがうまくいかなかったら、あなたたちは私を必要とする」


「私も行く」とシルフィが言った。「ライラを背中に乗せて、あなたたちが着く前に地域を飛び越えられる」


「忘れられた聖域は?」とリサンドラが訊いた。


「最北端、氷の山脈の向こう」ライラは答えた。「ほとんど情報がないの。古いエルフの文献に漠然と言及されているだけ。神々でさえ耳を傾けるために立ち止まったほど、静寂が深い場所だと言われている」


「詩的だが、あまり役に立たないな」と俺は言った。


「そうね。でもパターンがある。どの鍵も、守護者の本質に関わる試練によって守られている。城塞のものは記憶を求めた。沈黙の塔のものは理解を。浮遊遺跡のものは飛ぶ勇気を。水没した文書館はおそらく深さに関係する何かを求める。隠されたものに」


「忘れられた聖域は?」


「多分、沈黙か聴くことに関係する何か。でも単なる推測よ」


俺は卓を見渡した。


「まず水没した文書館へ行こう。一番近い目標で、より多くの情報がある。ライラ、君は俺たちと来る。シルフィ、君はライラと空中偵察を頼む。レナ、リサンドラ、二人は地上班を率いてくれ」


「私が?」リサンドラが眉を上げた。


「君は歩哨だ。それに、ついさっき遠征を成功させて帰ってきたばかりだ」


「私も行きます」と隅から声がした。


エリオンだった。彼は安楽椅子から立ち上がった。まだある種のゆっくりさはあったが、青い目は確固としていた。


「まだ回復中よ」とアルテアが反対した。


「回復はしています。しかし私は守護者です。守るために造られました。そして水没した文書館を知っています。封印の前に、そこにいた。ルーンがどう機能するか知っています」


「覚えているのか?」俺は訊いた。「古い記憶は……」


「古い記憶は消えました。しかし塔が何かを私に返してくれた。断片を。すべては覚えていませんが、文書館は覚えています。闇へと降りる階段を。水の下の青い光を」彼は一拍置いた。「そしてそこに隠されているものを」


「何が隠されているんだ?」


「鍵です。そしてもう一つ。あの場所の守護者たちが守っていた何か。何かは訊かないでください。その記憶はまだ曇っている。しかし大事なものだと知っています」


沈黙が数秒続いた。


「わかった」と俺は決めた。「エリオンが行く。ライラが行く。シルフィが偵察をする。レナとリサンドラが地上班を率いる」


「あんたは?」とレナが俺を見て訊いた。


「俺は残る」


また沈黙。今度は驚きの沈黙だった。


「学習してるわね」と彼女は言い、その声には誇りのひとかけらがあった。


「努力してる」


会議のあと、俺は鍛冶場へ行った。ゴーンは何か小さなものを槌で打っていた――普段作る刃物や道具とは違う、繊細な部品だった。


「それは何だ?」と俺は訊いた。


「贈り物だ。ライラにな」彼は部品を持ち上げた。防護のルーンが刻まれた小さなルーンのペンダントだった。「奴は初めて現場に行く。戦闘員じゃない。こういうものが役に立つかもしれんと思ってな」


「お前、感傷的になってるな」


「なってない」彼は槌打ちを再開したが、口元がひくついた。「ただ、誰も失いたくないだけだ」


「誰も失いたくないのは同じだ」


「わかってる。でも、ここに来る前にたくさんの人を失った。鉱山の仲間を。友を。これ以上は失いたくない」


俺は半巨人の肩に触れた。彼は何も言わなかったが、次の槌打ちは少しだけ優しかった。


夜、俺は書庫で、水没した文書館についての自分のノートを見直しているライラを見つけた。彼女は緊張していた――指が卓の上をとんとんと叩いている様子でわかった。


「初めての現場遠征だな」と俺は隣に座りながら言った。


「初めて。一生、廃墟を研究してきた。でもいつも本を通して。一度も中に入ったことがない」


「うまくいくさ。可能な限り最高のチームがついてる」


「わかってる。でもまだ緊張してる」


「当然だ。俺の最初の遠征じゃ、ツールの持ち方もろくに知らなかった」


「今は?」


「今は持ち方は知ってる。ただあまり上手に戦えないだけだ」


彼女は笑った。短くて、そわそわした笑いだった。


「シン、もし何かがうまくいかなかったら……」


「うまくいく」


「でも、もしそうなったら……感謝してるって知っていてほしいの。私を残らせてくれて。信頼してくれて」


「礼には及ばない。君はこの塔の一員だ」


「それでも」彼女は俺の手に触れた。臆病だけど確かな仕草だった。「ありがとう」


「どういたしまして」


彼女は再びノートに目を戻したが、指のとんとんは止まっていた。


もっと遅く、俺は市場の屋根に上った。正確に考え事をしていたわけじゃない。ただ風を感じたかった。シルフィがそこにいた。俺が予想していたとおり。まるで俺が来るのを知っていたかのようだった。


「あなたはいつもここに上るのね」と彼女は振り返らずに言った。


「一番いい考え事の場所だ」


「あるいは、考えないための」


「それもだ」


彼女は片方の翼を開き、昨晩のように、それを俺の肩にかけた。


「明日、また出発するのね」と彼女は言った。


「ああ。そして戻ってくる」


「あなたはいつもそう言う」


「いつも本当だから」


「もし、いつかそうじゃなくなったら?」


俺は彼女を見た。菫色の目がじっと俺の目を見つめていた。


「まだなってない」


彼女は微笑んだ。もう俺のよく知っているあの歪んだ微笑みだった。


「鍵を持って帰ってくる。それから、住人として登録する。正式に」


「もう正式じゃないのか?」


「いいえ。まだ一時的な訪問者」彼女は一拍置いた。「でも、もう一時的には感じない。もう」


「君は一度だって一時的だったことなんてない。ただまだ知らなかっただけだ」


彼女は笑った。短くてやさしい笑いだった。


「あなたはいつも言うべき言葉を知ってる」


「いつもじゃない。でも努力はしてる」


俺たちはそこにいた。星の下で。寒さが俺たちを中へ戻れと命じるまで。翌朝には遠征隊が出発するだろう。しかし今夜はまだ俺たちのものだった。



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