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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第65章 ― 鍵の地図

翌朝、書庫は作戦本部へと姿を変えた。


ライラは大きな机の上に、ここ数日で彼女自身が描き上げた世界地図を広げていた。塔の記録、自由都市の海図、そしてシルフィが長年の飛行のなかでつけた覚え書きを組み合わせたものだ。出来上がったのは、横幅二メートル近い羊皮紙で、山や川、廃墟を示す無数の印、ルーン文字、小さな挿絵で埋め尽くされていた。


「これは……すごいな」俺は素直に認めて、地図に覆い被さるように覗き込んだ。


「三晩、寝てない」ライラは、努力を物語る隈を浮かべて応じた。「でも、これで有力候補地をすべて地図に落とし込めたと思う」


シルフィが彼女の隣に立ち、北西の山岳地帯を指さした。


「ここに倒れた塔がある。去年、上を飛んだ。夜になると、石材がまだ光ってる。姉妹塔の一つかもしれない」


「それからここは」ライラが黒き山脈を越えた南を指した。「自由都市の記録が『沈黙の塔』と呼ぶ廃墟がある。何十年も誰も行ってない。入った者は、自分が誰だか忘れてしまうっていわれてる」


「罠みたいだな」と俺は言った。


「あるいは、記憶に作用する鍵かも」と、アルテアの用意した茶の盆を手に書庫へ入ってきたヴァエリスが言い返した。「だから誰も戻らないのかもね。死ぬからじゃなくて、帰り道を忘れるから」


エリオンは、儀式の回復がまだ済まず、ヴェラスがわざわざ運び込んだ安楽椅子に腰かけていた。新しい記憶は無事だったが、まだ動きはいつになくゆっくりとしていた。


「沈黙の塔……」彼はつぶやいた。「覚えている。いや、覚えていた。儀式の前は。あれも姉妹塔だった。だが、そこの守護者は発狂してしまった。鍵はまだそこにあるが……歪んでいる」


「歪んでいるとは、どういうことだ?」リサンドラが入口の脇に腕組みをして立ちながら訊いた。


「説明できない。古い記憶は消えてしまった。しかし印象が残っている。警告だ。沈黙に気をつけろと」


その言葉は不吉な予兆のように宙に漂った。


「了解」と俺は重くなった空気を断ち切るように言った。「一覧表を作ろう。最も可能性の高い場所はどこだ?」


ライラが先導を取った。青い目に学究の情熱が輝いている。


「見つけるべき鍵は六つ。記録とシルフィの報告に基づいて、五つの候補地を特定できた。六つ目はまだ謎のままだ」


「それはどこ?」レナが地図に身を乗り出して訊いた。


「一つ目は、南の沈黙の塔。二つ目は、北西の浮遊遺跡——シルフィが上空を飛んだ場所。三つ目は、東海岸の水没した文書館。四つ目は、古のエルフ帝国の中心にある灰の城塞。五つ目は、最北端の忘れられた聖域」


「六つ目は?」俺は食い下がった。


「六つ目は……」ライラはためらった。「六つ目は、ここにあるかもしれない。この塔に」


全員が顔を見合わせた。


「どういうこと?」アルテアが訊いた。


「第一の守護者は、それぞれの塔に守護者と鍵があったと言った。エリオンは姉妹塔の鍵だった。でも、この塔……この塔にも鍵があるはず。一度も使われたことのない鍵が」


「眠れるもの」とヴァエリスがつぶやいた。


「そう。眠れるものはこの塔の守護者だった。でも、彼はエリオンのように封印されたわけじゃない。自らの意思で、時を待って眠った。この塔の鍵は、まだ彼が持っているのかもしれない」


「あるいは彼自身が鍵なのかも」と俺は続けた。「エリオンがそうだったように」


「彼に尋ねる必要があるわ」とレナが言った。


「守護者は休んでいます」とアルテアが念を押した。「五百年眠って、目覚めるなり千年分の歴史を私たちに注ぎ込んだの。数時間の安らぎをあげてもいいはずよ」


「賛成」と俺は言った。「まずは他の五つに集中しよう。始めるには十分な手がかりがある」


隅で帳簿に書き込みをしていたミリが目を上げた。


「五つの遠征ということは、物資、兵站、経路が必要になるわね。全部を一度にはできない」


「しないさ」と俺は答えた。「優先順位をつける。一番近いのはどこだ?」


ライラが地図を調べた。


「北西の浮遊遺跡。シルフィが飛んだ場所で、徒歩なら約四日。シルフィが飛んでいけば二日」


「私が行ける」シルフィが申し出た。「誰か軽い人を一人連れて」


「軽い?」ゴーンが眉を吊り上げた。「それで半分が脱落だな」


「私が行く」とレナが言った。「戦闘員の中で、私が一番軽い」


「そして私は陸路で行く」リサンドラが付け加えた。「支援部隊を率いる。上空で何かあれば、地上に我々がいる」


「いい計画だと思う」と俺は同意した。「シルフィとレナが先行偵察。リサンドラが地上班を指揮。俺はリサンドラと行く」


「ダメ」とレナが俺を見て言った。「あんたは残るの」


「どうして?」


「あんたは管理者よ。何かあったら、塔は舵を失う。それに」一拍置いて、「前にマナを供与したときの傷がまだ癒えてない」


「彼女の言うとおりだ」とアルテアが賛成した。「あなたのマナは安定しているけど、まだ脆弱だ。もう一度供与したら、また気を失うかもしれない」


「マナは供与しない。ただ見てるだけだ」


「渓谷の遠征のときも同じこと言った」レナが思い出させた。「結局、供与した」


「俺は……」


「彼女の言うとおりだ」リサンドラが繰り返した。「残れ。塔を守れ。現場仕事は我々に任せろ」


俺は彼女たちを見た。腕組みし、尻尾を動かさないレナ。話の余地を認めない治癒術師の目つきのアルテア。今や助言役にもなった歩哨のリサンドラ。そして、もう我々のために命を懸ける覚悟ができている新参者のシルフィ。


「わかった」俺は折れた。「でも、連絡を保て。星のペンダントを使え」


「それに、私が塔を通じて監視できる」とヴァエリスが加わった。「まだこだまを感じる。何か問題があれば、わかる」


その日の残りは準備に費やされた。ゴーンはシルフィが飛行服に取り付けるための星の小さな鉤を鍛えた。アルテアは小型の救急キットを用意した。セラはレナが飛行中に背負う専用の袋を縫った。双子は「幸運を」の絵を描いてシルフィに渡し、彼女は胸を打つ真剣さでそれをしまい込んだ。


夜、俺は市場の屋根の上にいるシルフィを見つけた。星を眺め、翼を広げて風を感じていた。


「緊張してるのか?」隣に腰を下ろして訊いた。


「少し。誰かを背中に乗せて飛ぶのは久しぶり」


「レナは軽い。大丈夫だ」


「そういうことじゃないの」彼女は一拍置いた。「何年も一人で飛んできた。あてもなく場所から場所へ。それが突然、目的ができた。戻るべき場所が。私に頼る人たちが。それは……奇妙な感じ」


「良い奇妙か、悪い奇妙か?」


「良い奇妙」彼女はあの歪んだ微笑みを見せた。「実は、とても良い」


「嬉しいよ」


「ねえ、シン。私、ここに降り立ったときは、数日いるだけだと思ってた。商品を売って、去るつもりだった。でも今は……去りたくない」


「去らなくていい」


「知ってる」彼女は俺を見た。菫色の目が輝いていた。「だからこそ、明日行くの。この場所を守るために。残るに値するために」


「もう値してる」


「まだ。でも値してみせる」


彼女は翼を完全に広げた。星明かりの下で羽根がきらめき、一瞬、人間というより天上の存在のように見えた。それから翼をたたみ、微笑んだ。


「おやすみ、シン」


「おやすみ、シルフィ」


屋根を下りて自室へ向かった。途中、レナの部屋の前を通りかかると、扉が少し開いていた。


「入って」と、俺がノックする前に彼女が言った。


「どうしていつもわかる?」


「耳」


入ると、彼女は寝台に座り、星の刃を膝に乗せていたが、研いではいなかった。ただ窓を眺めていた。


「明日、君は飛ぶんだな」と俺は隣に腰を下ろしながら言った。


「飛ぶわ」


「怖いか?」


「飛ぶことじゃない。あんたをここに残すこと」


「俺は大丈夫だ。守ってくれる連中で塔はいっぱいだ」


「わかってる。でもそれでも」


彼女は頭を俺の肩に預けた。すでに馴染みの仕草だ。


「早く戻ってきてくれ」と頼んだ。


「戻る。鍵を持ってね」


「無茶はするな」


「それを言うのはあんた? 無駄なリスクの王様が?」


「最高の師匠に学んだ」


彼女は鼻を鳴らした。愛情のこもった、それでも鼻息だった。


「馬鹿」


「君のお気に入りの馬鹿だ」


「そんな単語はない」


「今つくった」


彼女は笑った。まれで貴重な音。それから目を閉じ、俺たちはそうしていた。夜がすっかり俺たちを包み込むまで。


翌朝、遠征隊は出発した。シルフィはレナを背中にしっかりと掴まらせて舞い上がり、昇る朝陽へ向かった。リサンドラは地上班――彼女とゴーン、それに自由都市からの志願荷運び二人――を率いた。ミリは物資を手配し、アルテアは薬草で彼らを祝福し、ヴァエリスは青い目を輝かせて彼らが出発するのを見送った。


そして俺は門のところに立ち、彼らが地平線へ消えるのを見送っていた。


「彼らは戻ってくる」と、隣に立ったエリオンが言った。


「わかっている」


「それでもまだ心配している」


「いつもだ」


「それがあなたを良い管理者にしている」


「あるいは心配性の馬鹿だ」


「両方とも真実でありえます」


俺は笑った。樹齢三百年の守護者は、今や古い友のように話した。


明日には、また別の遠征隊が出るだろう。そしてまた次も。すべての鍵が集うまで。しかし今日は、ただ地平線を眺めて待っていた。


臨時の管理者の最も得意とすることだった。

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