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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第62章 〜シルフィーの視点〜

シルフィーがこの塔に来て最初に気づいたのは、夜の静けさだった。それは虚ろな静寂ではなく、充実した静けさだった。多くの人々が安らかに呼吸しているときにだけ生まれる種類の静けさ。彼女はこれまでに幾つもの場所――村、街、廃墟、野営地――に降り立ったが、夜の静けさは場所によって違った。たいていは張り詰めたものだった。ここではそれが、毛布のようだった。


彼女は数週間ぶりに本物の寝台で眠った。老いた大工のヴェラスが、セラの機織り場の近くにある簡易寝台を譲ってくれたのだ。「質素だが清潔だ」と彼は言った。洞窟や木の上で夜を過ごしてきた者にとって、毛布のかかった寝台は贅沢だった。


今、彼女は中庭に立ち、リンゴの木を見つめていた。樹齢三百年だ、とエルフのリサンドラが言っていた。三百年ものあいだ実をつけ続けてきた木。シルフィーは黒ずんだ幹に手を触れ、ゆっくりと鼓動する心臓のような微かな振動を感じた。木の銀色の葉脈が彼女の指の下で輝いた。


「この木は君のことが好きみたいだ」


背後からの声だった。シルフィーは振り返り、前夜に出会ったマナの精霊、ヴァエリスの小さな姿を見つめた。彼女の青い目は自らの光を放っていた。


「この木が?」シルフィーは尋ねた。


「そう。空と縁のある人を、この木は見分ける。君は飛ぶ。この木の根は飛ぶことを夢見ている」


「木が夢を見るのか?」


「この木は見る。私も夢を見る。何世紀も夢を見てきた。今は目覚めている。何もかもが新しい」


シルフィーはどう答えればいいのかわからなかった。この精霊には、彼女の警戒心を解かせる純粋さがあった。旅の途中で出会うほとんどの人間は、裏の意味や、仮面や、計算に満ちていた。ヴァエリスには仮面がなかった。彼女は見たままの存在だった。


「ここが好きか」とヴァエリスが尋ねた。


「まだ来たばかりでわからない。でも――好きだと思う」


「私も好き」マナの精霊は自分の手に触れた。何かを思い出すかのように。「知ってる?私はここに来るまで、誰にも触れたことがなかった。向こう側には触れるということがない。あるのは光だけ」


「孤独だったんだな」


「そう。でも今は違う」


その会話は、中庭の入り口での騒ぎによって中断された。双子のセリとリーラが飛び込んできて、洗いたての小さな上着を二枚抱えたセラに追いかけられていた。


「先にお風呂!」と機織り女が叫んだ。


「昨日入ったもん!」とセリが抗議した。


「昨日は今日じゃない!」


双子はリンゴの木の周りを一周し、シルフィーの翼をバリケード代わりにして彼女の後ろに隠れた。セラは息を切らして立ち止まり、申し訳なさそうな表情で新参者を見た。


「すみません。この子たち、行儀がなってなくて」


「気にしないで」シルフィーは微笑み、双子を見下ろした。「私の翼、近くで見たい?」


キツネの子たちの四つの瞳が大きく見開かれた。


「いいの!?」


「もちろん。ただし、お風呂のあとで」


双子は顔を見合わせ、以心伝心したように「お風呂入ろう!」と叫んで塔の中へ駆け込んだ。セラはほっと息をついた。


「君は子供の扱いが上手だな」


「わからない。ただ翼は子供に効くってだけ」


セラは微笑み、彼女のあとに続いて中へ入った。


市場で、シルフィーは再び自分の屋台を広げた。だが今度は一人ではなかった。ゴルンが早朝に現れ、彼が昨晩のうちに作ったという小さな鉄の陳列台を差し出した。


「商品を見せるためだ」彼はそれが大したことではないかのように言った。「地面の上に竜の革を置くべきじゃない」


「これを私のために?」


「市場のために作った」彼は少し間を置いた。「お前のためでもある」


シルフィーは微笑んだ。あの不機嫌そうな巨人は、自分が認めたいよりもずっと親切だった。


ライラがすぐにやって来て、新しいノートと羽根ペンを持参した。シルフィーの翼の羽根ではなく、ガチョウの普通の羽根だった。彼女は屋台の横の小さなスツールに腰かけ、質問を始めた。


「アイリスの羽根の治癒効果について。マナを含む水で活性化されると言っていたわね。でも、どんな種類のマナ?この塔の泉の水でも効くのかしら」


「効くわ。昨晩試した。泉の水はとても純粋なマナを含んでいる。大抵のものよりよく効く」


「すごい」ライラは書き留めた。「それから竜の革。どの種類の竜から取ったもの?」


「雲の竜。山岳地帯の高地に住む小さな種族。母が革の処理方法を教えてくれた。切るのは難しいけど、きちんと縫えば何世紀も保つ」


「君は縫うのか?」


「縫う?」シルフィーは眉を上げた。「ええ、自分で縫うわ」


「いや、その、針と糸で縫うという意味で」


「ああ」ライラはわずかに顔を赤らめたが、それでも何かを書き留めた。「翻訳を間違えた。私の母語は古代ルーンで」


「ルーンを話すのか?」


「読み書きする。話すのは難しい。死語だから」


「私はいくつか単語を知ってる。母が古代ルーンで子守唄を歌ってくれた」


ライラの目が輝いた。


「その唄を覚えてる?」


「覚えてる。聴きたい?」


「ぜひ」


シルフィーは小さくハミングした。旋律は優しく物悲しく、ルーンの言葉は湖に落ちる小石のように響いた。ライラは目を閉じ、唄が二人の間の空間を満たしていくのに身を委ねた。唄が終わると、記録者の目は潤んでいた。


「この唄は……追悼の唄だ。死んだ神々のために」


「知ってる。母は言ってた。神々は死んだんじゃない、ただ眠っているだけだって。この塔がそうだったように。誰かが目覚めさせるのを待っているんだって」


「君の母は正しかったのかもしれない」


「かもしれない」


その夜、シルフィーは市場の新しい棟の屋根に上った。ヴェラスがその日の午後に完成させた建物だ。彼女は翼を広げた。夜風は冷たかったが、気にならなかった。飛ぶことだけが彼女の正気を保っていた。空にいるときだけは、自分は異形などではなく、ただの――自分自身だった。


誰かが彼女のあとを追って上がってきた。軽い、しかし隠れようとしない足音だった。


「隣、いいか」とシンが言った。


「どうぞ。屋根はあなたのものだから」


「厳密には市場のものだ。でも受けよう」


彼は彼女の隣に腰かけ、欄干に足をぶら下げた。管理ツールが腰に下がり、かすかな青い輝きを放っていた。


「よくここに上がるのか」とシルフィーは尋ねた。


「時々。考え事をしたいときにな」


「今は何を考えてる?」


「第五階層。眠りし者。エリオン。それから君のことも」


「私のことを?」


「君は昨日来たばかりなのに、もう馴染んでる。それは珍しい」


「馴染むのは得意じゃない」シルフィーは星を見上げた。「これまでの人生ずっと、馴染めなかった。混血、翼、変わった目。どこに行っても私は異質だった」


「ここではみんな異質だ。だからうまくいく」


「気づいてる」彼女は少し間を置いた。「君も変わってる、シン」


「よく言われる」


「管理者だからじゃない。君が……善良だからだ。みんな君を信頼してる。私はまだほとんど君を知らないのに、もう信頼してる」


「俺も君を信頼してる」


「なぜ?私は何もしていない」


「君は翼と竜の革を抱えて現れて、ここにいたいと言った。正直だ。正直さは貴重だ」


彼女は微笑んだ。苦笑いでも、皮肉でもない。ただの微笑みだった。


「ありがとう」


「礼はいい」


「わかってる。でも言いたい」


二人は沈黙し、星を見上げた。眼下では小さな光り草たちが輝いていた。守護者たちは空き地を見回り、塔は青い葉脈を脈打たせていた。


「なあ」とシルフィーは言った。「私はたくさんの場所の上を飛んできた。焼かれた村、壁に囲まれた街、廃墟の寺院。いつも思ってた。どこかに、降り立って、そのまま留まれる場所はないんだろうかって」


「今は?」


「今は、ようやく見つけたかもしれないと思い始めてる」


「まだ来たばかりだ」


「そう。でも始まりだ」


シンは微笑んだ。


「それで十分だ」


そしてシルフィーは、何年ぶりかで、それに同意できる気がした。


もっと遅く、シルフィーがセラの作業場に戻ると、簡易寝台の上に小さな包みが置いてあった。夜空のような青い新しい布で、隅に一枚の羽根が刺繍されていた。セラからの贈り物だった。中には一枚の走り書き。「寒い夜にこれをかけて。――セ」


シルフィーはその布を胸に抱きしめ、目を閉じた。


今度こそ、風は彼女を正しい場所へ運んでくれたのかもしれない。

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