第45章 〜東からの客人〜
翌朝、再生市場の最初の柱が立った。
ヴェラスとゴルンが夜明けとともに作業を始め、俺が朝食を終えて外に出たときには、もう骨組みが半分できていた。ドゥルガンが金具を鍛え、セラが日除け用の布を織り、双子たちは邪魔にならないように走り回っていた。邪魔になっていることのほうが多かったが、誰も文句を言わなかった。
アルテアも手伝っていた。治癒師が建築?
「リサンドラが言ってた」彼女は釘の箱を運びながら答えた。「手を動かすのが一番の休息だって」
「それは鍛冶か剣術の話だと思う」
「治癒にも当てはまる」
俺は手伝いを申し出たが、ゴルンに「管理者は邪魔だ」と追い払われた。失業者である。
ミリは昼前に到着した。彼女は一人ではなかった。
後ろにもう一人いた。フードをかぶった姿で、旅の汚れが目立つ外套をまとっている。フードを取ると、黒い巻き毛が肩まで溢れ、その下からは深い青の瞳が覗いた。人間だろうか?いや、少し違う。
耳は人間よりわずかに長く、先が丸い。肌は浅黒く、瞳と同じ青の印が額に浮かんでいた。刺青ではない。生まれつきの模様――ルーンのようだった。
「この方は?」俺は尋ねた。
「ライラと名乗ってる」ミリは言った。「ヴァルゲルドで見つけた。君を探していた」
「俺を?」
「あなたじゃなくて塔を」ライラが口を開いた。声は静かで落ち着いているが、どこか遠くを見ているような響きがあった。「辺境の廃塔。神が遺した最後の塔。噂を聞いて、はるか東から来た」
「東ってどのくらいだ?」
「四ヶ月。徒歩で」
四ヶ月。徒歩で。
「かなり遠くから来たんだな」
「噂は四ヶ月以上かけて広がる。封じられた塔が目覚め、結界が修復された。世界のマナが変わった。私たちのような存在には……感じられる」
「私たちのような?」
彼女は一歩前に出て、外套の袖をまくった。手首にも額と同じ青いルーンがあった。
「私は記録者です。古い種族の末裔で、世界に散らばった神々の欠片を追っている」
レナが塔の入り口から現れた。耳は立っているが、警戒はしていない。どちらかというと好奇心だった。
「神々の欠片?」
「ええ」ライラはうなずいた。「この塔の神だけじゃない。もっと多くの神がかつて存在し、それぞれが欠片を遺した。ほとんどは失われ、いくつかは歪み、ごく一部だけが生きている。あなたがたの塔の神は、その最後の一つだった」
俺は中庭のリンゴの木を見た。何百年も生きている木。神の遺産だった。
「彼が最後なら、お前の役目は終わったんじゃないか?」
「そう思っていました。でも、東で別の信号を感じた。微弱だけど、本物。山岳氏族の領域のさらに奥、廃墟の峡谷で」
俺は全員を居間に集めた。まただ。いつも会議だ。ミリ、レナ、リサンドラ、アルテア、ヴァエリス。全員がライラの話を聞いていた。
「山岳氏族が沈黙している理由を説明できるかもしれない」ライラは机に地図を広げた。手書きで、精密だった。ルーンで印がつけられている。「峡谷に古い塔の廃墟がある。砕けた塔です。数百年前に内部から崩壊したと言われている。山岳氏族は最近、そこで採掘を始めた」
「採掘?」ゴルンが眉をひそめた。「何を掘るんだ?あそこには鉄星辰はないはずだ」
「鉄星辰じゃない。神の欠片です」
空気が変わった。
「欠片を掘り出そうとしたのか?」ヴァエリスが尋ねた。彼女は青い目を大きく見開き、胸の核が不安定に光っていた。
「掘り出して、利用しようとした。でもそれは――」
「何だ?」
「歪んでいた。壊れた神の欠片は危険です。それは封じるべきもので、掘り起こすものじゃない。彼らはそれを解放してしまった」
リサンドラが腕を組んだ。
「歪んだ神の欠片が解放された。つまり、山岳氏族が沈黙しているのは――」
「彼らが防衛に追われているからです」ライラはうなずいた。「この四ヶ月、峡谷からは何も出てこなかった。山岳氏族は中に閉じこもり、外の世界と連絡を絶っている。私はそれを調査するために来た。でも一人では無理です」
「だから塔に助けを求めに来た」と俺。
「はい。あなたがたはヴォラスを封じた。同じ原理で、歪んだ欠片も浄化できるはずです。この塔には浄化機能がある」
『塔の記録』が光った:
『第二階層収容室の浄化機能が完全に回復しています。歪んだマナの浄化に利用可能です。ただし、対象物を塔の内部に持ち込む必要があります』
「都合よく機能が治ってるな」俺はつぶやいた。
「ヴォラスを封じたとき、塔の力が完全に戻ったのだろう」とヴァエリス。
「問題は、歪んだ欠片をどうやってここに持ち込むかだ。峡谷は遠い」
「それに、山岳氏族がいる」レナが低い声で言った。「彼らは私たちを敵視していた。停戦が終わって、今は押し黙っている。招き入れてくれるとは思えない」
「招かれなければ、交渉するしかない」ミリが言った。
「あるいは、こっそり入る」リサンドラ。
「二つは相反するぞ」
「両方だ」リサンドラはうっすら笑った。「まず交渉。失敗したら、こっそり入る」
戦略会議は続き、最終的に遠征隊の派遣が決まった。俺、レナ、リサンドラ、そしてライラだ。全員が戦える。四人なら少人数で移動が速い。
ゴルンは塔の防衛に残る。アルテアも。ヴァエリスは塔とライス・エテルナの管理。ヴァエリスは行きたがったが、核がまだ安定していなかった。無理はさせられない。
夜、準備が終わったあと、俺は中庭でライラを見つけた。彼女はリンゴの木を見上げていた。
「あなたの塔は美しいですね」彼女は言った。
「俺の塔じゃない。みんなの塔だ」
「謙虚な管理者なんて初めてです」
「ここに来たばかりのときは、ただの間借り人だった。今でもそんなに変わってない」
彼女は笑った。静かな笑い声で、空気に溶けるようだった。
「東では、塔は権力の象徴でした。支配の道具。でもここは違う」
「どう違う?」
「人が住んでる。生活がある。子供が走って、職人が働いて、花が咲いてる。これは……神殿じゃなくて家ですね」
「神殿だったこともある。神が住んでた。今は俺たちが住んでる」
「その神はあなたを選んだ」
「選んだっていうか、手近にいた適当な死者を拾っただけだと思う」
彼女はまた笑った。
「あなたは面白い人だ、シン」
「よく言われる」
彼女はリンゴの木に手を触れると、そのルーンが一瞬だけ青く輝いた。
「この木はまだ神の一部を宿している。すごく微かだけど。あなたがたが知らないだけで、まだこの世界にはたくさんの欠片が残ってる。私の使命はそれを見つけて……可能なら守ること」
「可能なら?」
「中には、壊すべきものもある。峡谷の欠片がその一例だ。歪んで、腐食して、周囲を汚染している。守れないなら、浄化するしかない」
俺は彼女を見た。蒼いルーンが月光に照らされていた。
「ライラ、お前の種族は何なんだ?」
「ルーンキャリアと呼ばれています。古代の神々が遺した言葉を読むことができる種族です。数は少ない。私はこの百年で、まだ三人しか仲間に会っていません」
「百年?」
「はい。私たちは長命です。ハイエルフほどではないけれど、人間よりはずっと」
「つまり、お前の見た目よりもずっと年上なんだな」
「女性に年齢を聞くのは失礼ですよ、シン」
「悪かった」
「百四十二です」
俺は言葉を失った。レナもレナで何か言いそうだ。後でからかわれるだろう。
「遠征が終わったら、あなたの塔の図書館を見せてください」ライラは微笑んだ。「もしかしたら、他にも役に立てることがあるかもしれない」
「どんなことだ?」
「記録、翻訳、地図制作。ルーンの読み書き。退屈な仕事ですけど、あなたの塔には退屈な仕事がたくさんありそうで」
「退屈な仕事ならたくさんある。税金の計算とか」
「計算もできます。百四十二年も生きてるとね」
「雇おう」
「まだ正式には残るとは言ってませんよ」
「遠征が終わったら考えるか?」
「考えます」
彼女はそう言って、またリンゴの木を見上げた。
部屋に戻ると、レナが待っていた。
「彼女はどうだった?」両腕を組んで、尻尾をゆっくり揺らしている。
「興味深い人物だ。古代種族の末裔で、ルーンが読める。百四十二歳」
「百四十二?私よりずっと年上じゃないか」
「それがどうかしたか?」
「お前、年上好きか?」
「人間より長命な種族ばかりだと、年齢の感覚がおかしくなるな」
「質問に答えてない」
俺は近づいて彼女の頬に手を当てた。彼女は逃げなかった。
「俺はお前が好きだ。年齢じゃない。お前だから好きなんだ」
彼女の耳がほんの少しピンクになった。多分、気のせいだ。
「信じる」
「それだけか?」
「それだけだ」
「それだけは、お前にとって最高の返事だよな?」
「そうだ」
俺は笑った。彼女は笑わなかったが、尻尾を左に振った。
「明日、出発する」俺は言った。「東の峡谷へ。山岳氏族が何を掘り起こしたのか、この目で確かめる」
「危険な旅になる」
「わかってる」
「今回はお前を守れないかもしれない」
「守らなくていい。一緒に戦えばいい」
彼女は俺をじっと見つめ、それからうなずいた。
「一緒に戦う。いつもそうだった」
「いつもそうだったな」
彼女は背を向けて、自分の部屋へ歩きかけた。が、扉の前で立ち止まった。
「シン」
「なんだ?」
「戻ってきたら、私の部屋に来い」
俺は心臓が跳ねるのを感じた。「どういう意味だ?」
「わかるだろ」
彼女はそう言って、扉を閉めた。
俺はしばらく、その場に立ち尽くしていた。
明日は遠征だ。歪んだ神の欠片、沈黙した山岳氏族、未知の脅威。やるべきことは山積みだ。
でも今夜は、レナの言葉だけが頭の中で繰り返されていた。
戻ってきたら、私の部屋に来い。
それはつまり――いや、深読みはよそう。狼娘は言いたいことをはっきり言う。ただし、素直じゃないだけだ。
でも俺は学んでいた。彼女の言葉を素直に受け取ることを。
俺は自分の部屋に戻り、寝台に横たわった。明日のために体力を温存しなければ。
だが、なかなか寝付けなかった。




