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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第43章 ― ヴォラスの心臓

第43章 ― ヴォラスの心臓


影の第一波が、防波堤に打ち寄せる波のように光の帯にぶつかった。


小さなリース・アエテルナがかつてないほどの輝きを放ち、緑と金色の光が障壁を形作り、小型のクリーチャーはそれを越えられなかった。だが、より大きいものたち――中型の断片、影の犬、煙の蛇――が押し寄せ、探り、退いては再び襲いかかってきた。


守護者たちは前線でそれらに立ち向かっていた。金属と光でできた六体の構築物は、それぞれがゴーンほどの大きさで、あれほど巨大な存在にありえないほどの優雅さで動いていた。その手が触れた場所で、影は溶け去った。しかし守護者は六体、影は数十。数百。


「いつまでも持たないぞ!」リサンドラが叫んだ。エルフの剣が輝き、煙の蛇を真っ二つにした。


「永遠に持たせる必要はない」俺は手の中で管理ツールを振動させながら答えた。「俺が結晶を起動するまで持ってくれればいい」


「どのくらいかかる?」


「十分なだけだ」


塔の中へ走った。四階の螺旋階段は光苔で輝き、一段一段がまるで塔自身がその時を知っているかのように照らし出されていた。ヴァエリスがすぐ後ろに続き、胸の核は最上階の結晶と同じリズムで脈打っていた。


「準備はいいか?」立ち止まらずに尋ねた。


「できてる。あなたは?」


「いいや。でも、できたことなんて一度もない」


「それは心強いわね」


「慰めのつもりはなかった」


エルフの庭に着いた。中央の樹はかつてないほど輝き、黄金の葉が花壇に光を降り注いでいた。結晶は前に置いたまま、樹の下の木箱の中にあった。それに触れると、青い光が応えるように炸裂した。


記録が現れた。


『塔の記録』


神の欠片が活性化しました


精霊ヴァエリスの核との同期を開始します


障壁修復プロセスを起動しますか?


はい / いいえ


「はい」と俺は言い、プレートに触れた。


外では戦いが轟いていた。守護者たちの打撃、リサンドラの号令、ゴーンのハンマーが何かを粉砕する音、アルテアの杖が光を炸裂させる音が聞こえた。しかし、この古代の庭の中は、すべてが静寂だった。


結晶はひとりでに箱から浮かび上がり、宙に漂った。ヴァエリスの光――その胸から放たれる青白い輝き――が彼女の体から離れ始め、彼女と神の欠片との間に橋を架けた。


「効いてる」彼女はつぶやいた。「障壁を感じる。閉じていく。ようやく塞がる傷みたいに」


「痛みは?」


「いいえ。……温かいの。誰かに抱きしめられているみたい」彼女は目を閉じて微笑んだ。「神様だわ。ここにいる。人としてじゃなくて……気配として」


突然、塔が揺れた。


ただの揺れではなかった――外から来る、石壁を軺ませ、庭の花壇を揺らすものだった。俺は一番近い窓へ走り、空き地を見下ろした。


ヴォラスがそこにいた。


それは影ではなかった。犬でも蛇でもなかった。闇でできた生きた壁で、目が――何十もの目が――赤い星のように輝いていた。形は定まらず、まるで早送りの嵐雲のように絶えず変化していた。そして中心では、黒い核が逆の心臓のように脈打ち、光を放つ代わりに吸い込んでいた。


守護者たちは押し戻されていた。リサンドラはひとりで断片の波に立ち向かい、エルフの剣は使いすぎて光が消えかけていた。レナがその隣で星鉄の刃を振るい、切れるものは切っていたが、数が多すぎた。ゴーンは片膝をつき、ハンマーはまだ掲げていたが、腕から血が流れていた。アルテアが癒しの杖を輝かせながら彼を後ろへ引きずっていた。


「シン!」レナの声が空き地に響いた。「急いで!」


「プロセスは長くかかるか?」ヴァエリスに叫んだ。


「数分。ヴォラスが抵抗してる。私たちが何をしてるか分かってるのよ」


「加速できるか?」


「できない。でも、注意を逸らすことはできる」


俺は浮かぶ結晶、動かないヴァエリス、外の戦いを見た。ヴォラスの注意を逸らす? 何でだ?


手の中の管理ツールが振動した。記録が点滅した。


『塔の記録』


提案:管理ツールを神の欠片に接触させることで、障壁修復プロセスを加速できます


ただし、管理者のマナが大量に消費されます


「またか?」俺はつぶやいた。


『塔の記録』


はい / いいえ


「はい。いつだってはいだ」


管理ツールを結晶に押し当てた。青い光が俺を包み込み、世界が白に沈んだ。


視界が戻ったとき、俺はもう庭にはいなかった。


塔と障壁の間のどこか、物質世界とマナの領域の狭間にいた。眼前にはヴォラス――窓から見た影の壁ではなく、その核があった。完全な闇の球体が、病んだ心臓のように脈打っていた。


そして俺の隣に、ひとつの姿があった。流動的で、光を帯び、記録と同じ色の目をしていた。


「来たんだな」とその姿は言った。声は、死と再生の狭間の白い広間で聞いたのと同じ声だった。


「あんたが神か」


「その残滓だ。最後の欠片。お前が道具で結晶に触れたことで、一時的に繋がった」姿は微笑んだ。「お前は初日からずっと頑固だったな」


「正しくやれてるか?」


「お前のやり方でやっている。それが正しいやり方だ」


「ヴォラスは……」


「ヴォラスを破壊することはできない。均衡の一部だからだ。だが封印はできる。押し戻せる。以前もそうしてきた」姿は闇の球体を指さした。「だが今回は、ヴァエリスの核と私の最後の部分があれば、障壁を永久的に塞げる。もう戻っては来ない」


「ヴァエリスは?」


「彼女は残る。約束だ」


「あんたは?」


姿はためらった。


「私は眠る。幾千年の後、ようやくな」


「それは死か?」


「平和だ。古き神々が最も欲するものだ」


内側で何かがほどけるのを感じた。悲しみではなく――受け入れだった。


「ありがとう」と俺は言った。


「礼には及ばない。お前は私が望んだことを成し遂げた。共同体を築き、仲間を集め、廃墟だった場所に命を育んだ」姿は薄れ始めた。「さあ、終わらせろ」


「どうやって?」


「お前のやり方で。いつだって」


光が炸裂した。


エルフの庭の床で目覚めた。管理ツールは傍らに落ち、結晶はまだ浮かび、ヴァエリスは依然としてそれに繋がっていた。だが何かが変わっていた。中央の樹が黄金の光を放ち、それが天井を抜けて光線のように広がっていた。


外では、ヴォラスの咆哮が変わった。怒りから苦痛へ。苦痛から絶望へ。


窓へ走った。闇の壁は後退していた。黒い核は狂ったように脈打っていたが、何かがそれを後ろへ――東へ、遠くへ、障壁の向こう側へ――引き戻していた。守護者たちは戦いをやめていた。小さな影たちは夏の日差しに溶ける氷のように消えていった。


「効いてる」ヴァエリスがかすれた、しかし勝ち誇った声でつぶやいた。「障壁が塞がっていく」


「お前は?」


「大丈夫。疲れたけど、大丈夫」


結晶の光が弱まり、神の欠片はゆっくりと溶け、塔の壁に、青い脈に、三階の球体の鼓動に染み込んでいった。古き神の最後の部分が、自らの創造物と融合した。


記録が最後に一度輝いた。


『塔の記録』


障壁修復が完了しました


ヴォラスは封印されました


塔のエネルギー:100%(安定)


居住者:全員無事


守護者:損傷なし


新たな時代が始まります


階段を駆け下り、ヴァエリスを肩に支えながら中庭へ出ると、皆が集まっていた。リサンドラは息を切らせながら剣を拭き、レナは星鉄の刃を地面に突き立て、耳を立てて立っていた。ゴーンは腕に応急の包帯を巻いていたが、笑っていた――今まで見たことのない、不格好で大きな笑みだった。アルテアは泣いていた。拭おうともせず、静かな涙が頬を伝っていた。セラとヴェラス、子供たちが避難所から出てきた。ミリは門の入口に立ち、ペンダントを手に、目を輝かせていた。


「やったぞ」俺は言った。


「あなたたちがやったのよ」ミリが訂正した。「私は物資を提供しただけ」


「それに鍵も」ヴァエリスが付け加えた。


「それとお茶も」アルテアが続けた。


「ハンマーもだ」ゴーンが言った。


「刃も」レナが言った。


「剣も」リサンドラが締めた。


「そして塔も」俺は言った。「みんなだ。一人ひとり」


森に朝日が昇った。最初の陽の光が木々を抜け、空き地と、守護者たちと、今や恒久的な光を放つ小さなリース・アエテルナを照らし出した。東の地平線にあった黒い染みは消えていた。障壁は完全だった。


「これからどうする?」レナが尋ねた。


「これからは」俺は門と、建築中の宿屋と、市の露店を見渡しながら答えた。「街を建てる」


彼女は尻尾を振った。左に。


それは始まりだった。

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