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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第32章 ~裂け目を越えたもの~


ヴァエリスは、もはや急ぐことのない者のように話した。


俺たちは彼女を厨房へ連れて行った——収容室は寒く湿っていて、そこから出てきた姿は震えていた。寒さを感じているようには見えなかったが。アルテアは、セラが二日前に織った毛布で彼女を包んだ。その生き物は、ほとんど気づかれないほどの微かな頷きでそれを受け取った。ヴェラスが作った大きなテーブルに座り、空気に慣れているかのようにしばし目を閉じた。


「どのくらい?」と彼女は訊いた。


「何が?」と俺は返した。


「塔よ。再び開かれてから、どのくらい?」


「一ヶ月も経ってない」


ヴァエリスは目を開けた。その青はとても澄んでいて、自らの光を湛えているかのようだったが、影のような超自然的な強さはなかった。疲れた目だった。ほとんど、人間の。


「一ヶ月」と彼女は繰り返した。「何週間も前に塔が目覚めるのを感じた。でも、現実か夢かわからなかった。あの中で、たくさん夢を見た」


「何の夢を?」とアルテアは、症状を尋ねる治療師の声音で訊いた。


「以前あったことの。通り抜けてきたものの。向こう側に残ったものの」


リュサンドラは立ったままで、剣は鞘に収めているが、手は柄にかかっている。レナは壁にもたれ、星鉄の新しい刃を腰に帯び、耳は注意深く。ゴルンはテーブルの反対側の半分を占め、腕を組んでいた。セラとヴェラスは子供たちを部屋に下がらせていた——小さな子たちに聞かせる話ではなかった。


「あんたは、境界を通り抜けた最後のものだと言った」と俺は言った。「それは正確にはどういう意味だ?」


ヴァエリスは答えるのに時間をかけた。口を開いたとき、その声はもっと確かだったが、まだ奇妙なこだまを帯びていた。まるで二人が同時に話しているかのように。


「私は人間じゃない。エルフでもない。獣人でもない。あなたたちが精霊と呼ぶもの。自らの意識を発達させた、マナの存在」


「影のように」とレナ。


「違う」ヴァエリスは首を振った。「影は破片。もっと大きな何かの欠片。獣から切り落とした爪みたいに。考えない。ただ糧を得るだけ。私は考える。覚えている。意志がある」彼女は間を置いた。「私は逃げてきた」


「何から逃げてきたんだ?」


「向こう側から。マナの領域から。何世紀も前に境界が弱まり始めたとき、私のような生き物には選択があった。留まって、来るべきものに呑み込まれるか。まだ可能なうちに、通り抜けるか。私は通り抜けた」


「そして、来るべきものとは?」とリュサンドラ。


ヴァエリスはエルフの目を見つめた。


「あなたたちはそれを裂け目と呼ぶ。崩壊。破れ目。私たちはそれをヴォラズと呼ぶ——貪る者。古い存在。山ほどの大きさ。私たちが考えるようには考えない。でも飢えを感じる。何千年も前に一度、境界を通り抜け、竜とエルフと生きた塔の同盟によって押し戻された。今、再び試みようとしている」


続いた沈黙は、絶対的だった。


「八十年前の戦い」とリュサンドラは呟いた。「あれが最初じゃなかった」


「三度目だった」とヴァエリスは訂正した。「一度目は千年前。二度目は五百年前。三度目が、あなたが戦ったもの、エルフ。四度目が近づいている。そして、最悪のものになる」


「なぜだ?」と俺。


「今回は、竜がいないから。塔は眠っている。エルフは散り散り。そしてヴォラズはもっと大きくなっている。何世紀も、向こう側のマナを糧にして過ごした。もっと強くなっている」


誰も口をきかなかった。暖炉で火がパチパチと鳴る。塔の青い脈が壁を脈打っている。


ゴルンが最初に沈黙を破った。


「状況がそんなに悪いなら、なぜかつての管理者はあんたを閉じ込めた?」


ヴァエリスは目を伏せた。


「怖かったから。私をじゃない。私が引き寄せるかもしれないものを。ヴォラズは私を見つけたがっている。私が通り抜けたとき、奴が望むものを持ってきてしまった。鍵を」


「何の鍵だ?」


「内側から境界を完全に開くための鍵。鍵がなければ、奴は力ずくで破らなければならない——時間がかかり、防御を組織することを許し、他の試みが失敗した理由を説明するもの。鍵があれば、抵抗はありえない。瞬間的になる」


リュサンドラは一歩前に出た。


「鍵はあなたが持っているのか?」


「鍵は私の一部。文字通りに」ヴァエリスは自分の胸に触れた。「私の核は、原初の境界の破片から形成された。私が通り抜けたとき、境界は部分的に破れた。それが最初の影の波を引き起こしたの。もし私がヴォラズに捕らえられたら、核は境界を完全に消し去るために使われる」


「なら、あんたは武器なんだ」とレナ。


「そして犠牲者。そして唯一の希望」


「何の希望だ?」


ヴァエリスは青い目を上げた。


「私の核は境界を破るために使える。でも、境界を封じるためにも使える」


沈黙が戻った。今度の沈黙は違っていた。可能性を孕んでいた。


「ヴォラズの最初の試みのあいだ」とヴァエリスは続けた。「竜たちは、境界を永久に封じるために似た鍵を使おうとした。鍵が不完全だったから、できなかった。私のは完全。もし誰かが使い方を知っていれば、境界を一度で封じられる。もっと多くの試みはない。もっと多くの裂け目もない。もっと多くの影もない」


「そして、あんたは使い方を知ってるのか?」とアルテア。


「いいえ。でも塔は知ってる」ヴァエリスは俺を見た。「あるいは、すべての階層が開いたときに、知ることになる。知識は記録に保存されている。かつての管理者が誰にも収容室を開けさせたくなかったのは、塔の準備が整う前にヴォラズが私を見つけたら終わりだと知っていたから。彼は私を隠すことを選んだ。鍵を守るために」


「あんたを何世紀も閉じ込めた」と俺は述べた。「それは保護じゃない。牢獄だ」


「時には、同じもの」ヴァエリスは微笑んだ。脆い笑み。「彼を責めたりしない。彼は一人だった。同盟者もいなかった。あの時代に私が出たら、ヴォラズは数週間で私を見つけていた。今は……今は、あなたたちには生きた塔がある。居住者がいる。リュス・アエテルナがある。同盟者がいる、たとえ一時的でも」彼女は間を置いた。「見込みがある」


テーブルを見回した。レナ、立ち上がり、手は刃に。アルテア、杖を肩に。リュサンドラ、衛士。ゴルン、鍛冶師。セラとヴェラス、建設者たち。部屋で眠る子供たち。


七人の居住者。一つの塔。一つの鍵。


「登録するか?」と俺は訊いた。


ヴァエリスはまばたきした。


「登録? 居住者として?」


「そう」


「私を信頼するの?」


「塔が信頼してる。あんたのために収容室を開けた。塔が受け入れるなら、俺も」


ヴァエリスは黙り込んだ。それから指先でテーブルに触れ、木材はかすかに輝いた。


「もう何世紀も、どこにも属していない」と彼女は呟いた。「受け入れる」


記録が灯った。


『塔の記録』

居住者登録申請:ヴァエリス

種族:マナの精霊(高位)

状態:安定/特異核を保持

注意:この居住者の核は塔のバリアシステムと共鳴します

登録を承認しますか?


表示板に触れた。


「承認する」


青い光が、他の全員を包んだようにヴァエリスを包んだ。でも今回は違った。塔の脈が応えて輝いた。床が脈打った。温室のリュス・アエテルナの光が緑の閃光を爆発させ、塔の周囲に植えられたばかりの種が、現実か想像かわからないかすかな輝きを放った。


光が消散すると、塔の印がヴァエリスの手の甲ではなく、掌に輝いていた。円の中に様式化された塔。月のように。


「居住者八人」とアルテアは数えた。


記録が更新された。


『塔の記録』

居住者:8名

塔のエネルギー:81%(上昇中)

特記事項:居住者ヴァエリスの核が塔のエネルギー生成を加速させています

第三階層へのアクセス条件:居住者8名(達成)/エネルギー90%(未達)


「塔は今、もっと速く充填されている」と訳した。「ヴァエリスの核のせいで。そして第三階層には、九十パーセントのエネルギーが必要だ」


「どのくらい?」とリュサンドラ。


「言わない。でもこの加速なら……たぶん二週間もかからない」


「休戦が終わる前」とレナは言った。


「そう」


その夜、ヴァエリスは広間の暖炉のそばの即席の寝台で眠った。誰も彼女を一人にしたくなかった。緑の閃光で目を覚ました双子は、好奇心をもって彼女を見つめていた。リラは近づき、指先でその生き物の手に触れた。


「あなた、光ってる」と少女は言った。


「あなたもよ」とヴァエリスは答え、それは本当だった。リュス・アエテルナの光が小さな狐娘の目に映っていた。


レナが後で廊下で俺を見つけた。


「彼女を信じてるのね」と彼女は言った。


「信じてる」


「胸に終末の武器を抱えた、別世界の存在なのに」


「お前は短剣を抱えて、氏族の追われる身だった。それでも俺は信じた」


レナは口を開き、閉じた。耳が一センチ上がった。


「それは違う」


「違うか?」


「私は世界のあいだの境界を破壊できなかった」


「できない。でも最初の夜に俺を殺せた。殺さなかった」


彼女は答えなかった。でも尾は左へ動いた。


それで十分だった。


翌朝、塔はより強く目覚めた。記録は82%のエネルギーを示していた。塔の周囲の種は芽吹いていた——母なるリュス・アエテルナと同じ、かすかな光を放つ小さな緑と金色の葉。光の環は形成され始めていた。


そしてヴァエリスは、リンゴの樹の下に座り、誰も知らない旋律を口ずさんでいた。


「それは何だ?」と隣に座りながら訊いた。


「向こう側の歌」と彼女は答えた。「懐かしいの。場所じゃなくて、音楽が」


「ここにも音楽はある」


「あるの?」


セラの織機を指さした。遠くのゴルンのハンマーを。泉を。笑っている子供たちを。


「これが音楽だ」と俺。


ヴァエリスは聴いた。それから微笑んだ。


「違うわね」


「でも、良い」


「そう」彼女は目を閉じた。「良い」


そしてその朝、初めて、俺たちは単に戦争の準備をしているだけじゃないと感じた。守られるに値するものを築きつつあるのだと。

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