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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第144章 〜夏の日々、それぞれの道〜


夏が来た。始まりの村に蝉時雨が降り注ぎ、リンゴの木の葉が青々と茂り、光り草の防護帯が夏の陽射しを受けて淡く輝いていた。学校は夏休みに入り、子供たちは朝から晩まで外を駆け回っていた。


ヒカリは八つになり、リサンドラ直伝の剣術にますます磨きがかかっていた。彼女は村の外れの丘で、一人で木剣を振るうことが多くなり、時には弟たちを集めて小さな稽古をつけることもあった。その指導ぶりはリサンドラにそっくりで、レナが「まるで小さな衛士だ」と笑うほどだった。


カイは七つで、水の精の血を色濃く継いでいた。彼は泉のそばで過ごす時間が誰よりも長く、水面に映る雲の形を読み、水の古い言葉を妹のリラに教え、時にはマリスと共に水の精の子守歌を口ずさんだ。水に触れるとその質を感じ取ることができ、村の井戸の水質を診断するという役目も、いつの間にか彼の仕事になっていた。


テオは六つで、治癒師の母の仕事を本格的に手伝い始めていた。彼は薬草の名前をほぼ完璧に覚え、簡単な軟膏なら一人で作れるようになっていた。算数も得意で、ミリが「将来は帳簿も任せられる」と太鼓判を押すほどだった。


ルミナは五つになるが、相変わらずその成長は人間の尺度では測れなかった。彼女は庭園で過ごす時間が長く、銀葉樹と会話を交わし、光る花々と共に瞬き、時には弟妹たちを青い光で包み込んで眠らせた。彼女の存在は、塔の精霊として静かに溶け込んでいた。


アリアは四つになり、翼をばたつかせて数歩浮き上がるだけでなく、シルフィーの指導で少しずつ空中に留まる時間を延ばしていた。彼女は空を飛ぶことが何より好きで、母親と共に村の上空を旋回するのが日課だった。風の古い言葉も少しずつ覚え始め、歌うように風を読むことができた。


ソルとフェリルは三つになり、二人は同い年ということもあって、いつも一緒に行動していた。ソルはエルフの血を引くせいか成長がやや遅かったが、その分観察力が鋭く、フェリルは母親譲りの知的好奇心で、周囲のすべてに「なぜ?」と尋ねた。リサンドラはソルに木剣を握らせ始め、ライラはフェリルにルーン文字の絵本を与えた。


リラは二歳半で、泉のそばを歩き回り、水の精の血を受け継ぐ者らしく、水に触れるとその質を感じ取るような仕草を見せた。リオンは二歳になり、よちよちと歩きながらも、その目は母親譲りの計算高さで周囲を観察していた。ミリが帳簿を広げると、彼は必ず傍らに座ってページをめくりたがった。


「十一人か」と、ある朝、レナが中庭のリンゴの木の下で言った。彼女の隣ではヒカリが木剣の手入れをしていた。


「十一人だな」


「数えるのが面倒になってきた」


「俺もだ」


「でも、全員ちゃんと育ってる」


彼女の声には、誇りと少しの安堵が混ざっていた。


昼前、アルテアが診療所で薬草の整理をしていた。テオが隣で小さな乳鉢と乳棒を手に、真似をして何かをすりつぶしている。診療所には、村の外れに住む老夫婦が風邪の相談に来ていて、テオは母親の指示で温かい茶を差し出した。


「この子は本当に治癒師に向いてる」とアルテアは言った。


「母親がいい先生だからな」


「でも、まだ決めるには早い。算数も得意だから、ミリは帳簿の才能があると言ってる」


「どちらでも、好きなほうを選べばいいさ」


「ええ。この塔の子供たちは、みんなそう。自分で選べる」


彼女はテオの頭をそっと撫で、それから窓の外の夏空を見上げた。


午後、村の広場では小さな市が立っていた。自由都市からの商人が新しい商品を並べ、山岳氏族からは星鉄の新たな注文が届いていた。市場には新しい顔も増え、遠くの町から移住してきた若い家族が、家を建てたいと申し出てきた。


「村はどんどん大きくなる」とミリが帳簿を手に言った。「今や百五十人を超えた。十年前は誰もいなかったのに」


「お前の努力の賜物だ」


「私だけじゃない。皆がここで生きて、働いて、子供を育ててきたから」


夕方、俺はリサンドラと共に村の外れの丘に立っていた。ソルは彼女の腕の中で眠り、その銀色の髪が夏の夕日に輝いていた。


「ヒカリはいい指導者になる」とリサンドラが言った。


「お前の教え方がいいからだ」


「私は厳しすぎる。ヒカリはもう少し柔らかい。でも、その柔らかさが、弟たちには必要なのかもしれない」


「バランスだな」


「ああ。この塔の子供たちは、そのバランスを学んでいる」


彼女はソルの頭をそっと撫で、それから俺の手を握った。その手は相変わらず冷たかったが、その奥には確かな温もりが流れていた。


夜、屋上に立つと、夏の月が明るく輝いていた。遠くの森からは、虫の声が賑やかに聞こえ、村の灯りが一つ、また一つと点っていた。その数はもはや数え切れないほどだった。


「またここにいた」と声がした。ヴァエリスだった。


「お前もか」


「うん。今夜は月が綺麗」


彼女は俺の隣に立ち、青い核が静かに脈打っていた。


「シン、私、最近考えるの。この塔に来て、あなたと出会い、ルミナを育てて、本当によかった。何世紀も闇の中にいた私が、今はこんなに幸せで、それが少し怖いくらい」


「怖がらなくていい。これは現実だ」


「うん。わかってる。でも、時々、確かめたくなるの」


彼女は俺の手を取って、そっと自分の核に触れさせた。青い光が俺の指先を包み、かすかに脈打った。


夏の月が塔を照らし、リンゴの木の葉がかすかに揺れた。明日はまた新しい日。新しい笑顔、新しい発見、新しい成長。でも今夜は、この静かな夏の夜に、皆と共にいる。それで十分だった。

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