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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第138章 〜冬の静けさ、内なる火〜


冬が来た。始まりの村に初雪が降り積もり、学校の屋根が白く覆われ、広場には子供たちが作った雪だるまが並んだ。塔の中は壁のマナの流れによって常に春のような暖かさが保たれていたが、窓の外の景色は確かに冬だった。


リオンが生まれてから三ヶ月が過ぎ、ミリはすでに市場の帳簿を再び手に取っていた。彼女は片手でリオンを抱き、もう一方の手で羽根ペンを走らせるという器用な芸当を身につけていて、見ているこちらが感心するほどだった。


「マルチタスクは商人の基本です」と彼女は言った。「子育ても、市場の管理も、同時にできなければ一人前じゃない」


「お前はとっくに一人前だろ」


「まだまだ。目標は、リオンが最初の帳簿をつけられるようになるまでに、村の市場を今の倍にすることです」


「倍?今でも十分大きいのに」


「商人に『十分』はないんです」


彼女はそう言って微笑み、リオンの小さな頭にそっと口づけた。


冬の学校は、ライラの工夫で少し変わっていた。外が吹雪の日は教室を塔の中に移し、居間の長いテーブルで子供たちが読み書きを学んだ。ヒカリは七つで、すでに簡単な物語を読めるようになり、妹や弟たちに読み聞かせるのが好きだった。カイは六つで、ルーン文字に特別な興味を示し、ライラが個別に教えるほどだった。テオは五つで、読み書きより薬草の絵を描くほうが好きだったが、算数は得意だった。


「テオは商人になれるかもしれない」とミリが言った。


「治癒師になると思ってたけどな」とアルテアが答えた。


「両方できるさ。この塔の子供たちは、何にでもなれる」


ソルとフェリルはまだ幼く、机に向かうより雪遊びに夢中だったが、それでも授業が始まると静かに席に座り、年長の子たちの話を聞いていた。ルミナは相変わらず浮遊しながら、黒板の文字を青い光でなぞっては、かすかな瞬きを返した。アリアは小さな翼をばたつかせ、まだ長くは浮いていられなかったが、それでも時折ふわりと浮き上がっては、先生であるライラの注意を引いていた。


「学校ができてよかった」と、ある午後、アルテアが温室で言った。彼女は冬のあいだも枯れない薬草の鉢を手入れしながら、窓の外の雪景色を眺めていた。「子供たちがそれぞれ、自分の好きなことを見つけ始めてる。ヒカリは剣と本の両方を好きで、カイは水とルーン文字。テオは薬草と算数。一人ひとり、違う道を探してる」


「まだ小さいけどな」


「ええ。でも、選択肢があることが大事。私が子供の頃は、選択肢なんてなかった。治癒師になるしかなかった。でも、この子たちは違う」


「お前は治癒師でよかったのか」


彼女はしばらく黙り込み、それから微笑んだ。


「今は、よかったと思ってる。でも、それを自分で選べたら、もっとよかった。この子たちには、自分で選ばせたい。テオが治癒師にならなくても、私は応援する」


「母親の鑑だな」


「違う。ただ、あなたから学んだの。あなたは私たちに、いつも選択肢をくれた」


彼女は鉢を置き、俺の手にそっと触れた。その手は土の匂いがして、ほんの少しだけ冷たかったが、その奥には確かな温もりが流れていた。


冬の夜は長く、塔の中ではそれぞれが思い思いの時間を過ごしていた。リサンドラは暖炉の前で剣を研ぎ、シルフィーは翼の手入れをしながらアリアに風の古い言葉を教え、ヴァエリスは庭園でルミナと共に銀葉樹の下で瞑想し、マリスは泉のそばでカイとリラに水の精の子守歌を口ずさんでいた。ライラは学校の教材を準備し、ミリは帳簿をつけ、レナはヒカリに木剣の握り方を教えていた。


俺はそんな光景を居間の隅から眺めながら、温かい茶を啜っていた。するとヒカリが小走りに近づいてきて、俺の袖を引っ張った。


「父さん、ちょっと来て」


「どうした」


「見せたいものがあるの」


彼女に手を引かれて中庭に出ると、そこには小さな雪だるまが二つ、寄り添うように立っていた。一つは少し大きく、もう一つは小さい。その横に、ヒカリが指で雪の上に書いた文字があった。


『父さんと母さん』


「これ、僕とテオとカイで作った」とヒカリは誇らしげに言った。「大きいほうが父さんで、小さいほうが母さん」


俺はしゃがみ込み、その雪だるまをじっと見つめた。レンは背後から静かに近づいてきて、俺の隣に立った。彼女は何も言わず、ただ雪だるまと、その横の文字を見つめていた。それから、そっと俺の手を握った。彼女の尻尾が、ゆっくりと左に揺れた。


「悪くない」と彼女は言った。


「ああ」


「この子たちがいて、お前がいて、この塔があって。悪くない」


彼女の声はいつも通り素っ気なかったが、その手は確かな温もりで俺の手を握りしめていた。雪が再びちらつき始め、ヒカリが歓声を上げて駆け出した。その小さな背中を追いかけるように、カイとテオが中庭に飛び出してきた。冬の夜は静かで、しかし確かな温かさに満ちていた。

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