第135章 〜継承の時〜
春がまた巡り、リラが生まれてから数ヶ月が過ぎた。塔の中には十一人の子供たちがいて、その声は朝から晩まで絶えることがなかった。ヒカリは七つになり、銀色の髪を風になびかせて村の子供たちを率いる小さなリーダーになっていた。カイは六つで、泉のそばを好み、妹のリラに水の古い言葉を教え始めていた。テオは五つになり、治癒師の母のあとを追って薬草の名前を覚え、時には診療所で簡単な手伝いもするようになっていた。ルミナは三つになるが、その成長は相変わらず人間の尺度では測れず、浮かんだり瞬いたりしながら、塔の中を自由に行き来していた。アリアは二つで、小さな翼をばたつかせては数歩浮き上がり、すぐに落ちるという練習を繰り返していた。ソルとフェリルは一歳になり、よちよちと歩き始め、リラはまだ揺りかごの中だった。
「十一人だ」と、ある朝、レナが居間で茶を飲みながら言った。彼女の隣ではヒカリが木剣の手入れをしていて、その動きはすでに様になっていた。
「十一人だな」
「最初は私一人だったのに」
「今は十一人の子供たちと、八人の女性たちと、村全体がある」
「大きくなったものだ」
彼女の声には、驚きでも誇りでもない、ただ事実を受け入れた者の静けさがあった。
その朝、広場では新しい建物の起工式が行われていた。ライラが提案し、ヴェラスが設計し、ゴルンが金具を鍛え、村の若者たちが建材を運んで建てる、小さな学校だった。
「子供たちに読み書きと計算を教える場所が必要です」とライラは言った。「この村にはもう十一人の子供たちがいて、さらに増える。未来のためには、教育が欠かせない」
「お前が教師をやるのか」と俺は尋ねた。
「私だけじゃ足りない。カエレンも手伝ってくれる。彼は歴史と古い言葉を教えられる。それから、アルテアも週に一度、薬草と治癒の基礎を教えたいと言っている」
「本格的な学校だな」
「ええ。いつかこの子たちが大人になったとき、世界のどこに出ても恥ずかしくないように」
起工式には、村のほとんど全員が集まった。自由都市からの交易代表バルドも顔を見せ、山岳氏族からの使者も祝いの言葉を述べた。ドレンはもう引退し、代わりに若い氏族の娘が新しい使者として立っていた。名をサラといい、まだ二十代半ばだが、その目は鋭く、しかし友好的だった。
「再生の塔の管理者殿、山岳氏族はこの村の発展を歓迎します」と彼女は言った。「我々の若い世代も、いずれこの学校で学びたいと願っています」
「それは嬉しい提案だが、少し気が早いかもしれない。まだ柱も立っていない」
「柱はすぐに立つでしょう。我々は待つことに慣れています」
午後、俺はリサンドラと共に中庭のリンゴの木の下に立っていた。ソルは彼女の腕の中で眠り、その銀色の産毛が春の陽射しに輝いていた。
「学校か」とリサンドラが言った。
「ああ」
「私は、読み書きより剣術を教えたい」
「まだ三歳だぞ」
「三歳は遅すぎるくらいだ。私は二歳で最初の木剣を握った」
「お前のクランは戦闘的すぎる」
「そうだな」彼女は微かに口元を緩めた。「でも、戦い方を知ることは、生き延びる術を知ることだ。この子たちが平和な時代を生きるとしても、自分を守る術は必要だ」
「それもそうだな」
「だから、学校ができたら、週に一度は剣術の時間も設ける。ライラにはもう話してある」
「話が早いな」
「当然だ。私は衛士だからな」
夕方、俺は屋上に立って村を見下ろしていた。学校の建設現場では、ヴェラスと若者たちがまだ作業を続けていて、その槌音が遠くまで響いていた。市場では最後の客が買い物を終え、交易所の扉が静かに閉まった。村のあちこちで灯りが点り始め、その数はもはや数え切れないほどだった。
「またここにいた」と声がした。シルフィーだった。彼女は翼をたたんで隣に降り立った。アリアが彼女の腕の中で眠り、小さな翼がぴくりと動いた。
「お前もか」
「うん。アリアを寝かしつけたあと、ここに来たらあなたがいた。学校、もうすぐできるね」
「ああ。ライラが張り切ってる」
「私も、飛び方を教えたい。アリアがもう少し大きくなったら。それに、他の子たちも。翼がなくても、空を飛ぶ感覚は教えられる」
「飛ぶ感覚を?」
「風の読み方、空気の感じ方、高さの見方。そういうのは、翼がなくても学べる」
「お前が教師になるとは思わなかった」
「私も。でも、今はそれが楽しみ。この村で、子供たちに何かを伝えられることが」
夜、俺は久しぶりに一人で中庭のリンゴの木の下に座っていた。星が綺麗だった。塔の壁のマナの流れが静かに脈打ち、光り草の防護帯がいつも通り輝いていた。
「考え事か」と声がした。マリスだった。彼女はリラを胸に抱き、カイがその隣を歩いていた。
「少しだけ」
「何を」
「継承だ。ライラが学校を作り、リサンドラが剣術を教え、シルフィーが飛び方を教える。皆が次の世代に何かを継ごうとしている」
「それはいいことだ。水もまた、流れを継ぐ。私の母が私に歌を教え、私はカイとリラに教えている」
「お前も教師の一人だな」
「私は教師じゃない。ただの母親。でも、母親は最初の教師でもある」
彼女はカイの頭をそっと撫で、それからリラに子守歌を口ずさんだ。その歌は泉のせせらぎのように静かで、しかし確かに、次の世代へと流れていった。
継承は、すでに始まっていた。言葉や技や歌が、静かに、しかし確かに、子供たちの心に根を下ろし始めている。明日はまた新しい日。学校の柱が立ち、新しい知識が生まれ、新しい命が芽吹く。でも今夜は、この静かな夜のなかで、すべての灯りを見守りながら、ただ座っている。それで十分だった。




