第123章 〜衛士の誓い〜
塔が完全に目覚めてから最初の冬が来た。外の風は冷たく、森は雪に閉ざされ、村の屋根には白い覆いがかかっていた。しかし塔の中は違っていた。壁のマナの流れが以前よりずっと強く脈打ち、廊下はほのかな青い光で満たされ、泉の水は凍ることなく絶え間なく湧き続けていた。
「塔が自分で温度を調節している」とアルテアが、ある朝、診断杖を手に言った。「外は凍っているのに、中は春みたいだ」
「生きている証拠だな」と俺は答えた。
「ええ。まるで大きな生き物が、私たちを包み込んでいるみたい」
その冬、リサンドラは変わった。彼女は相変わらず寡黙で、無表情で、剣を手放すことはなかったが、それでも何かが違っていた。以前より長く子供たちと過ごすようになり、テオに剣の握り方を教える時間が倍に増え、夜には庭園で一人、星を見上げていることが多くなった。
「彼女、考え込んでる」とシルフィーが俺に言った。「何を考えてるかは、なんとなくわかるけど」
「お前には話したのか」
「少しだけ。でも、本人の口から言うべきだと思う」
リサンドラが俺を訪ねたのは、その数日後の夜だった。彼女はいつもの鎧を着けず、エルフの剣は持たず、ただ薄手の上着を羽織って部屋の入り口に立っていた。銀色の瞳は揺るがず、しかしその奥には長い時間をかけて育まれた決意の光があった。
「話がある」と彼女は言った。
「聞いてる」
彼女は一歩踏み出し、それから立ち止まった。窓の外では雪が静かに降り積もり、光り草の防護帯が白い闇の中で青く瞬いていた。
「私は八十年間、戦ってきた。仲間を失い、友を失い、竜さえも失った。誰にも近づかず、誰も近づけなかった。それが私の生き方だった」
「リサンドラ……」
「だがこの塔で、私は変わった。お前が教えてくれた。失うことを恐れて得ないまま生きるより、得て、守り、育てるほうが怖くないと」彼女は自分の胸に手を当てた。「私はもう、ただの衛士ではない。シルフィーとも話した。彼女はすでに子を望み、その約束を果たした。私も、同じことを望んでいる。今夜、私はお前に誓う。お前の子を宿し、育て、守る。それが私の新しい戦いだ」
「リサンドラ、お前はもう十分戦ってきた」
「いいや」彼女は静かに首を振った。「本当の戦いはこれからだ。命を守る戦いは、命を奪う戦いよりずっと難しい。だが私は、その難しさに挑みたい。お前と共に」
俺は立ち上がり、彼女に近づいた。雪明かりが窓から差し込み、彼女の銀色の髪を白く照らしていた。
「急がなくていい。お前のペースで」
「ああ。今夜は、ただここにいたい」
「わかった」
彼女は俺の手を取り、そっと自分の頬に当てた。その指先は冷たかったが、震えてはいなかった。
「お前の手は温かい」と彼女は言った。「いつもそうだ。私が忘れかけていた温かさだ」
「お前の手は冷たい。でもそれがお前だ」
彼女は小さく、ほとんど見えないほど口元を緩めた。それから俺の手を引いて寝台へと導き、その縁に二人で座った。窓の外では雪が降り続け、塔のマナの流れが静かに脈打っていた。
「私は不器用だ」と彼女は言った。「戦い方しか知らない。だが今夜は、戦うのではない。お前に、私のすべてを預ける」
彼女はゆっくりと上着を脱ぎ、その下の肌着を露わにした。肩や腕、脇腹には無数の古い傷跡が刻まれていた。八十年の戦いの歴史が、その体に記録されていた。俺はその傷跡の一つひとつにそっと指を触れた。
「痛むか」
「古い傷だ。もう痛まない。だが、お前に触れられると、少しだけ温かくなる」
「それは治癒か」
「わからない。だが、悪くない」
彼女は俺の手を取って、自分の胸の上に置いた。心臓の鼓動が伝わってきた。少し速く、しかし力強く、八十年間一人で戦い続けてきた者の命の音だった。
「私の心臓だ。お前に預ける」
「重いな」
「重くない。お前なら持てる。ずっと前から、持っていた」
彼女は俺を引き寄せ、唇を重ねた。最初は軽く、探るように。それから少しずつ深く、長く。不器用で、しかし真摯な口づけだった。八十年分の孤独が、少しずつ溶けていくようだった。
夜が更けていった。雪が降り積もり、塔は静かに呼吸し、中庭のリンゴの木が青白い光を放っていた。リサンドラは俺の腕の中で目を閉じ、その顔にはもう迷いはなかった。
「私は誓った」と彼女は囁いた。「お前の子を宿すと。だから今夜は、その始まりだ」
「ああ」
「怖くはない。お前となら」
彼女は再び俺に口づけ、その手が俺の背中を探った。戦士としてではなく、衛士としてではなく、ただ一人の女として、彼女はそこにいた。俺は彼女の傷跡を指でなぞり、彼女は俺の鼓動を胸に感じながら、静かに夜を受け入れていった。
朝が来た。雪は止み、中庭には柔らかな白い層ができていた。子供たちの歓声が聞こえ、雪合戦の準備が始まっているらしかった。リサンドラはまだ眠っていて、その寝顔はいつもの無表情ではなく、どこか満ち足りたものだった。
俺は彼女を起こさないように寝台を抜け出し、居間へ向かった。そこにはすでにレナとアルテアが茶を飲んでいた。
「おはよう」とレナが俺を見て言った。それだけだったが、その目はすべてを理解していた。
「おはよう」と俺も返した。
アルテアは何も言わず、ただ温かい茶を差し出し、俺が受け取るときに手をそっと握った。治癒師の静かな祝福だった。
やがてリサンドラが居間に現れた。彼女はいつも通り無表情で、いつも通り背筋を伸ばし、いつも通り静かに席に着いた。だが、その動きには何かが変わっていた。ほんのわずかな、柔らかさのようなものが、その所作に宿っていた。
レナがパンの籠を差し出した。
「食え」
「ああ」
それだけのやりとりだったが、二人のあいだには確かな何かが通っていた。最初の住人と、最も新しく約束を交わした衛士。立場は違っても、同じ場所で同じ未来を選んだ者同士の、静かな連帯だった。
朝食が終わると、リサンドラはいつも通り剣を手に取り、中庭へ訓練に向かった。俺はその背中を見送りながら、昨夜の彼女の言葉を思い出していた。
「本当の戦いはこれからだ。命を守る戦いは、命を奪う戦いよりずっと難しい」
彼女はすでに、その戦いの最初の一歩を踏み出していた。俺はその隣で、共に歩き続けるだけだった。この塔で、この雪の静かな朝に、もう一つの未来が静かに動き始めていた。




