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追放先は辺境の廃塔でした   作者: 星海凡夫


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第121章 〜星霜の果てに〜

春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が深まる頃、俺は気づいた。この塔に来てから、もうすぐ六年が経とうとしている。


過労死したサラリーマンが、異世界で八人の女性と五人の子供たちに囲まれ、村の中心で生きている。時折、すべてが夢のように思えることがあった。だが、ヒカリが朝一番に俺の鼻をつまんで起こしに来る現実は、夢よりずっと力強かった。


「父さん、起きて!カイが泉で変なものを見つけた!」


「変なもの?」


「光る石!すごく光ってる!」


俺は寝台から起き上がり、ヒカリの手を引かれて中庭へ向かった。泉のほとりには、すでにカイとテオ、そしてルミナが集まっていた。カイの手の中には、青白く光る小さな石があった。


「どこで見つけた?」と俺は尋ねた。


「泉の底。今朝、水がいつもより冷たくて、底のほうを見たら、これが埋まってた」


「埋まってた?」


「うん。誰かがわざと隠したみたいに」


俺はその石を受け取り、光にかざした。表面にはかすかにルーン文字が刻まれているようだったが、肉眼では読み取れなかった。マナの反応は微弱だが、確かにそこにあった。


「ライラに見せよう」と俺は言った。「ルーンなら彼女が読める」


図書館でライラに石を渡すと、彼女は眉をひそめ、ルーペを取り出し、数分間じっと観察したあとで顔を上げた。


「これは古い。とても古い。少なくとも五百年以上前のものです。そして刻まれているのはルーン文字じゃない。もっと古い、神代の文字です」


「読めるのか」


「少しだけ。『目覚めの時は近い。鍵はすでに揃い、扉は開かれる。最後の欠片は、始まりの場所に』」


「始まりの場所……」


「この塔のことでしょうか」


「わからない。でも、鍵はすでに揃ったと書いてある。扉は開かれる。最後の欠片――それはまだ見つかっていないものだ」


その日の午後、俺はカエレンとエリオンを呼び、石のことを相談した。黄昏の塔から来たばかりの未完の者も同席し、彼はその石を見るなり、かすかに震えた。


「この石は、私が封じられていた時代のものだ。あの塔のどこかで、同じような石を見た記憶がある」


「どんな石だ」


「予言の石。かつての神々が、まだ生きていた頃に、未来を記して各地に遺したもの。ほとんどは失われたが、いくつかは今も眠っている」


「その予言は本物なのか」


「予言はただの言葉。それを現実にするのは、いつも生きている者たちだ」


夜、俺は居間に皆を集めた。八人の女性たち、子供たち、カエレン、エリオン、未完の者、ゴルン、セラ、ヴェラス。長いテーブルの周りに全員が座り、石はその中央に置かれていた。


「泉の底から見つかった。最後の欠片が、まだどこかにあるらしい。始まりの場所に」


「始まりの場所とは、この塔のことか」とリサンドラが言った。


「かもしれない。それとも、もっと別の意味かもしれない」


「調べる必要がある」とライラが言った。「まだ開けていない階層がある。第六階層の上、第七階層だ」


「この塔には、まだ俺たちの知らない場所がある。何がそこにあるのか、俺にもわからない。でも、予言が本当なら、最後の欠片はそこにあるのかもしれない」


レナが口を開いた。


「遠征か」


「遠征だ。でも遠くじゃない。塔の中だ。危険があるかどうかもわからない」


「私は行く」と彼女は即座に言った。「子供たちはセラに預ける」


「私も行く」とリサンドラが続いた。


「私も」とシルフィー。


「私も」とヴァエリス。


「私も」とアルテア、マリス、ミリ、ライラが続いた。全員が行くと言った。


「第八階層を調べるだけなら、全員で行く必要はない。明日、少人数で偵察する。危険がなければ、改めて全員で調査しよう」


翌朝、俺はレナ、リサンドラ、ライラ、ヴァエリス、シルフィーの五人と共に第六階層へと向かった。かつて「収斂」を封じたあの場所は、今は静かで、中央の台座だけが残っていた。壁の向こうに第七階層へ続く階段が隠されていた。それは隠し扉のような構造で、カイが見つけた石と同じ青い光を放っていた。


「この奥か」と俺は言った。


「ああ。この塔の最後の秘密。もしかすると、私たちがまだ知らない何かが、ここにある」リサンドラは剣を抜き、先頭に立った。「行こう」


階段は長く、途中で狭くなったり広がったりを繰り返した。壁のマナの流れは強く、青い光が絶え間なく脈打っていた。やがて階段は終わり、目の前に第七階層が広がった。


そこには、眠る者がいた。見たこともない巨大なクリスタルの中に、何かが、いや誰かが閉じ込められている。クリスタルの奥に人の輪郭がぼんやりと浮かび、それはまるで、かつての未完の者がそうだったように、世界との接触を待っているようだった。


「誰だ?」と俺は問いかけた。


クリスタルが応えるように輝き、頭の中に直接響く声が聞こえた。


「私は最後の欠片。始まりの場所に封じられた、神の遺志の残滓。お前が来るのを、ずっと待っていた。この塔の管理者よ」


クリスタルの中で眠る者が、ゆっくりと目を開けた。その目は青く、塔の記録と同じ色をしていた。俺はその輝きに見覚えがあった。それは、俺が最初にこの塔で目覚めたときに見た光と同じ色だった。

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