第104章 〜継承の重み〜
カエレンが塔に来て五日目、彼は図書館で古い地図を広げていた。
ライラが数日前から準備していたもので、自由都市の記録、エリオンの断片的な記憶、シルフィーの偵察報告をつなぎ合わせて作られた、この地域の姉妹塔の地図だった。七つの塔が記され、そのうち六つまでが青いルーンで照らし出されている。
「再生の塔、黄昏の塔、沈黙の塔、浮遊遺跡、水没文書館、忘却の聖域、そして灰の城塞」とライラは指でなぞりながら言った。「私たちは既に六つを知っている。でも七つ目は――伝説にしか存在しない。先代の管理者の日記と、カエレンの父親の手記を照合すれば、ここにあるはず」
彼女は地図の一番西、既知の世界の縁を指さした。
「見張りの塔、あるいは夜明けの塔とも呼ばれている。記録では、他の塔よりずっと前に、最初に放棄された。まだそこにあるのかどうかは誰も知らない」
「あるさ」とカエレンは静かに言った。彼は地図の一点をじっと見つめていた。「父はその塔のことを話していた。最期の日々に、ずっとそのことを口にしていた。『あそこに欠片を隠した。誰にも見つけられない場所に』と」
「誰にも見つけられない場所にか」と俺は繰り返した。
「父は自分の過ちを恐れていた。未完の者が覚醒することを恐れていた。だから彼は、欠片を可能な限り遠くへ隠した」
「でも今、それを取り戻さなければならない」
「ああ」彼は地図に手を置いた。「私が行く」
「何だって?」
「あなたではない、シン。私だ」彼の青い目は思いのほかしっかりと俺を見つめていた。「私は父の息子だ。これが私の償いだ。あなたがたは塔の面倒を見なければならない。二人の子供がいる。私には何もない。失うものがない」
「それは違う」と反論した。「お前にはここがある。ついさっき見つけたばかりの居場所だ」
「だからこそ、それを守るために行くんだ」彼は微笑んだ。疲れていて、しかしどこか安らかな微笑みだった。「あなたがたは私を受け入れてくれた。老人を。よそ者を。今度は私が何かを返す番だ」
「一人では行かせない」とリサンドラが口を開いた。
「もちろんだ」とシルフィーがつけ加えた。
「私は地図が読める」とライラ。
「私は物資を手配できる」とミリ。
「私は守護者と話ができる」とヴァエリス。
「私は飛べる」とシルフィーが再び口を開き、翼を広げた。
「ならば決まりだ」と俺は言った。「今回は俺は残る。レナとアルテアとマリスと共に。子供たちと塔を守る。それが俺の役目だ」
「成長したな」とリサンドラが感情の読めない声で言った。
「やっとだな」とレナが補った。
三日後、遠征隊は出発した。シルフィーが空から偵察し、ライラが地図を読み、リサンドラが護衛し、ミリが物資を管理し、ヴァエリスがマナの流れを感じ取り、そしてカエレンが道案内をした。父親の古い記録だけを頼りに。六人が西へ向かい、かつて誰も覚えていない塔を目指した。
俺は門のところで、彼らが森の中に消えるまで見守った。ヒカリを抱っこ紐で胸に抱いたレナが隣に立ち、カイを抱いたマリスが反対側にいた。
「毎回こうだな」とレナが言った。
「毎回だ」
「慣れるか?」
「慣れない。でも、前よりはマシになった」
「成長だ」
「そういうことにしておく」
遠征隊がいないあいだ、塔は静かだったが、空虚ではなかった。ゴルンは鍛冶場で仕事を続け、セラは次の冬に備えて毛布を織り、ヴェラスは夜明けの塔の模型を木で彫り、アルテアはヒカリとカイの健康状態を毎日チェックし、エリオンは守護者たちと巡回を続けた。
そして俺は、父親としての日々を過ごしていた。
ヒカリは泣き虫で、お腹が空くたびに小さな肺を絞り切って泣き、その泣き声は塔全体に響き渡った。カイは静かな子どもで、めったに泣かず、その代わりに深い青い目で世界をじっと観察していた。
「この子は哲学者になるな」と俺はある午後、カイが俺の指を握りしめながら虚空を見つめているのを見て言った。
「それとも船乗りか」とマリスが答えた。「海の子はいつも遠くを見つめている」
「哲学者の船乗りか」
「悪くない組み合わせだ」
夜、ヒカリがようやく寝静まったあと、レナは疲れ切ってベッドに倒れ込んだ。
「戦いのほうがまだマシだ」と彼女は目を閉じたまま言った。「戦いには終わりがある。子育ては終わらない」
「でも報いは大きい」
「どんな報いだ」
「最初の笑顔」
彼女は片目を開けて俺を見た。
「まだ笑わない」
「いずれ笑う。セラが言ってた。最初の笑顔で全部吹き飛ぶって」
「セラは賢い」
「ああ」
彼女は再び目を閉じ、手が俺の手を探し当てた。
「シン」
「なんだ」
「私、もう一人欲しい」
「もう一人?」
「今すぐじゃない。でも、いつか。ヒカリがもう少し大きくなったら」
「兄弟が欲しいのか」
「そうだ。私は一人で育った。クランに兄弟はいたが、本当の兄弟じゃなかった。ヒカリには本当の兄弟がいてほしい。カイは異母兄弟だが、それでも兄弟だ。でも、もっといてもいい」
「わかった。いつか、もう一人」
「約束だ」
「約束」
彼女は俺の手を握ったまま眠りに落ちた。尻尾が毛布の下で満足そうに揺れていた。
遠征隊が戻ったのは七日後だった。
門に現れた彼らの顔は疲れ切っていたが、シルフィーの翼は青く輝き、ライラは新しく書き込まれたノートを抱え、リサンドラは剣を背負い、ミリは空になった荷物袋を担ぎ、ヴァエリスは青白い光を放ち、そしてカエレンは――カエレンは両手に何かを握りしめていた。
「見つけた」と彼は言った。声はしわがれ、しかし確かなものだった。「欠片を見つけた」
彼が差し出したのは、黄昏の塔で見たものとよく似た小さな結晶だった。ただしその光はもっと強く、もっと規則正しく、まるで鼓動のように脈打っていた。
「これが欠片の欠片か」と俺は尋ねた。
「そうだ。見張りの塔の奥深く、父が仕掛けた封鎖の奥に隠されていた。封鎖を解くのに――私の血が必要だった。父は息子だけが欠片を取り戻せるように細工していた」
「解いたのか」
「解いた。そして欠片はここにある」彼は結晶を見下ろした。「今はこれを、未完の者のもとへ返さなければならない。そうすれば彼は目覚める。話すことができる。存在することができる」
「お前がやるのか」
「私がやる。始まりから終わりまで、父の過ちを正すのは私の役目だ」彼は結晶を胸に抱きしめた。「でも一人ではできない。あなたがたに一緒に来てほしい。私が始めたことを、あなたがたが終わらせるために」
「もちろん行く」と俺は答えた。
「今回は俺も行く」と声がした。ゴルンだった。彼は鍛冶場の入り口に立ち、金槌を肩に担いでいた。「老人一人で行かせるわけにはいかない。それに、この槌は石を砕くのにも使える。封鎖がまだ残っているなら、役に立つかもしれない」
「私も行く」とヴァエリスが言った。「未完の者は私に似ている。誰も話しかけてくれない意識。私なら届くかもしれない」
「私も」とライラが続いた。「この一部始終を記録しなければ。これは歴史的な瞬間になる」
「それに物資の管理も必要だ」とミリが微笑んだ。「いつも通り」
俺は仲間たちを見渡した。今回は八人で行く。カエレン、ヴァエリス、リサンドラ、シルフィー、ライラ、ミリ、ゴルン、そして俺。レナ、アルテア、マリス、セラ、ヴェラス、双子、エリオンは塔に残る。
「明日出発だ」と俺は宣言した。「今日は休め」
その夜、カエレンと中庭で並んで座った。リンゴの木が月明かりに照らされ、銀色に輝いていた。彼は結晶を手に、まるで祈るようにじっと見つめていた。
「父は私に何も遺さなかった」と彼は静かに言った。「塔も、金も、家族も。ただ使命だけを遺した。そして今、ようやくその使命を果たせる」
「使命は重荷か」
「そうだった。でも今は違う。今は贈り物だ」彼は顔を上げ、月を見た。「父が間違えたことを正せる。息子として、それができる。それだけで十分だ」
「お前は良い息子だ」
「私はただの老人だ。でも、ありがとう」
彼は結晶をそっと袋に戻し、立ち上がった。
「明日、行こう。未完の者を目覚めさせに」
「ああ」
遠くで、赤ん坊が泣いた。マリスが子守歌を歌い始めた。リンゴの木が輝き、光り草が瞬き、塔が呼吸していた。明日は新しい旅。新しい使命。でも今夜は、ここにいる。それで十分だった。




