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中途半端だった僕が書いた絵が異世界では“現実”になるらしい  作者: 谷花皐


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第二話 言語の違い

寒い。目を覚ました瞬間に感じたのは寒さだった。石の床。薄暗い空間。鉄格子。


そして何より「……ほんとに、牢屋じゃん。」

思わず呟く。昨日の出来事が、ゆっくりと頭の中で繋がっていく。


昨日はいろいろあったなー。美大を受験し、疲れ切った僕は、前方の信号が赤信号だと気づかず足を踏み込んでしまった。横から近づいてくる車を最後に、次に目を覚ますとなんと異世界にいた。


パニックになっていた僕に、頭の中から声が聞こえてくる。声の主は女神ルシエナ。なんとこの世界の女神様らしい。


そして僕をこの世界に召喚した張本人だ。

でも、正直この女神様、かなりポンコツな雰囲気を醸し出していて、本当に大丈夫なのか?と思いつつもこの世界を何も知らない僕は女神様にいろんなことを教わった。


特に一番魅力的だったのは、やっぱり魔法が使える世界だということ。聞いた時はテンションが上がった。けど僕は魔法を使えるのかという問いに対して、ポンコツ女神様はこう言った。

「私には分かりません。」本当に女神なのだろうか。それでもこの世界のナビを担当してくれるらしいので、僕はその提案に乗った。

まずは城の門に向かえと。言われるがままに僕は城の門へと向かう。


いよいよ始まる僕の第二の人生。今度は後悔することがないくらい生きてやるぞー。

と意気込んでいた僕を殴ってやりたい。なぜなら、今僕がいるこの場所は冷たい牢屋の中なのだから。


美大の受験。事故。光。異世界。そして女神ルシエナ。で、今がこれ。


「ルシエナ様、なぜ僕はここにいるのでしょうか?」


「そうですねー、なぜですかね?」


僕は、とぼけるその女神の声に怒りが湧いてくる。ここで、なぜ僕がこんな牢屋の中にいるのか解説しよう。


それは昨日の事。


「ルシエナ様、もうすぐ門の前に到着します。この後はどうすれば?」


「とりあえず門の前まで行ってみてください。そうすれば城の中に入れます。」


このルシエナ様という女神を僕はポンコツのダメダメな神様だと、思っていたが、こうして案内してくれるあたり本当は有能な女神様なのかもしれない。


「あ、ちなみに一応言っておきますが、あなたの考えている事は私に共有されていますよ。さっきから私のことをポンコツだとかダメダメだとか思ってるのはバレてますからね。」


「え、いやー、そんなこと思ってるわけないじゃないですか。こうして案内もしていただいてるのにそんなこと思う奴がいるなんて信じられないですよー。はは。」


まじか、ということは僕がこの世界に召喚された時には、もうすでに何を考えていたかバレてたってこと?そんなのプライバシーの侵害じゃん。訴えられないかな。この女神様。


「こほん、先程も言いましたが、聞こえてますからね。ちなみに、私は女神なので訴えられる心配はありません。ドンマイです!」


「分かりましたよ。なるべくルシエナ様の悪口は言わないように努力します。」


はー。道案内いらなかったかもな。

 

「さっそく私の愚痴言ってるじゃないですか。」


「すみません。電波が悪くてあまり聞き取れないです。ではまた今度お願いしますね。」


「え、ちょ。それはどういう、、、」


僕は昨日気づいた事がある。どうやらルシエナ様の声は一方的なものではなく、こちら側からミュートをかけることができるらしい。そしてさっそくその機能を使ってみた。


「すげー、本当に聞こえなくなった。よし、ひとまず門の前まで行って城に入ったらルシエナ様のミュートを解こう。」


そんな茶番を終え、門の前に到着した。門の前には門番が2人立っている。


うわー、体大きい。筋肉すご。まさに異世界の門番って感じが出てて最高だ。


「あのーすみません。僕このお城に入りたいんですけど、入れてくれません?」


その質問に2人の門番は、なにかを話し合っているようだ。何話してるんだろ。


数分だろうか、門番が話を終えて、こちらに近づいてくる。すると、僕は両腕を門番2人に捕まれる。この構図どこかで見たことあると思った。あれだ、両腕を大きい男に掴まれている宇宙人のような。今の僕の姿はまさにそんな感じ。

これが異世界の歓迎の仕方なのかなと考えていると、門が開いた。


城の中はまさに小説に出てくるような町が広がっていて、少し感動している。町の中にはたくさんの人がおり、商売や飲食店、冒険者のような人たちもいた。そして驚いたのは、頭に耳が生えている人型の生物がいたのだ。そう、それは誰もが知っているであろうまさしく獣人。なんだろう、感動で涙が出てきた。ルシエナ様、本当にありがとう。


両腕を掴まれ運ばれている僕は町の人たちの視線を独り占めしていた。まぁ確かにこんな運ばれ方してたら目立つよな。と思いつつ、きっとこれは歓迎してくれているのだろうと、なんの疑いもないままに町の中を通り過ぎると、大きな城が見えてくる。


外から見てもかなり大きな城だったが、近くで見たらもっとでかいな。城の門が開き、中に入る。城の中はとても豪華で、高そうな壺や天井にはシャンデリアのようなものがあった。町にも感動したがここはここで別の感動が湧いてくる。長い通路をひたすら歩き、大きな扉の前に着いた。この扉だけやたら豪華だな。なんの部屋だろう?


すると僕の腕を掴んでいた門番が腕から手を離し、豪華な扉を開ける。そして扉の先に広がっていたのは、大きな部屋。前方には大きな玉座のようなもの。これってもしかして、そう思っていると1人の女性がその玉座に座った。女性の見た目は髪が銀髪で、とても整った容姿をしていた。すごい美人だ。


玉座に座っている女性が、手を前に出すと。横にいた門番が豪華な扉を閉めた。

そして僕は気づく。もしかしてこれって、歓迎されてたわけじゃない?と。すると女性が口を開きこちらに喋りかけてくる。しかし僕はその女性の言葉を聞き取ることが出来なかった。


え、日本語じゃない。何を言ってるかわからなかったので僕は考えるのをやめた。


その後も何を言ってるのかわからないまま、話は進み、気がつけば門番に運ばれ、城の地下にある牢屋へとぶち込まれていた。

きっとこれは現実じゃなく夢かなんかだと我に帰り僕は冷たい牢屋の中で静かに眠った。


翌朝、鉄格子から見える光で目覚めた。だが、現状は何も変わっておらず、僕は結局、牢屋の中にいた。


「せっかく異世界に来て第二の人生を頑張っていこうと思った矢先どうしてこうなるんだよー。」と叫んだ。すると奥から兵士のような人が来て僕の牢屋の鉄格子を叩く。


少しうるさかったかな、そう思いつつ、この後どうすればいいのか頭を抱えていると、頭の中から目覚ましの時計の音のようなものが聞こえてくる。


あ、そういえばルシエナ様の声ミュートにしてたんだった。そう僕はルシエナ様を完全に忘れていたのだ。


正直ルシエナ様のミュートを解除したくない気持ちでいっぱいだったがこの状況を1人で打開する方法が思いつかなかったので、諦めてルシエナ様を頼ることにした。


ミュートを解除した瞬間にルシエナ様の声が聞こえてくる。


「蓮斗くん。どういうつもりですか?なぜ私の声が届かなかったのか説明して欲しいんですけど。」


「えーと。実は僕の方からルシエナ様の声をミュートにする機能があるみたいで、気づかず使ってたみたいです。意図的にやったわけではないんですけど、不具合だったのかな?」


「はいはい。なるほど。それがあなたの言い訳ってことですね。分かりました。では私は蓮斗のナビを辞めます。短い間でしたがあなたと過ごせてよかったです。」


「すみません。冗談ですよー。本当は、ルシエナ様がポンコツすぎて話すと少し疲れるなーとか思ってないです。本当に感謝してますよー。」


これが今僕にできる必死の言い訳。これが通用しなかったら流石に死んでしまう。


「しょうがないですね。今回は見逃してあげます。しかし次はありませんよ。そして許す代わりにここを出たら教会に行きなさい。分かりましたね?」


「分かりました。絶対に言うこと聞きます。ルシエナ様の愚痴もなるべく言わないようにします。」


「よし、では蓮斗聞きたいことがあるならなんでも聞いてください。」


「では聞きます。ルシエナ様の言う通り門の前に行ったのですが、なぜか門番に両腕を掴まれ町を歩き、城の王室のようなところへ運ばれ、そこにいた女王様らしき人に指示された門番が僕を牢屋にぶち込んだんですが、なぜ僕はここにいるのでしょう?」


「そうですねー、なぜですかね?」


「とぼけないでくださいよ。それに僕の言葉が相手に通じなかったんです。これはどういうことですか?」


「蓮斗私はとぼけてなどません。至って真面目です。それと言葉が通じなかったのはあなたが使っていた言語は日本語、相手に伝わるはずありません。なぜならこの世界にはこの世界の言語があるのですから。」


「え、だったら僕はこのまま誰とも会話することもできずに牢屋で死んでいくってことですか?」


完全に終わった。僕の第二の人生、ここに完結。


「いえ、そんなことはありません。あなたは喋れるようになりますよ。というか喋れるようにします。」


今から勉強しろとでも言うのだろうか。僕は運動の次に勉強が苦手なんだ。絶対覚えられない。


「では今からあなたに魔法をかけます。ほんの一瞬目を瞑ってください。」


「目を瞑る?なぜですか?」


「いいから、このまま牢屋にいたくなかったら言う通りにしなさい。」


なんともわがままな女神様だと思いつつ、言われた通り目を瞑った。

だがしかし、人間というのはやめろと言われたことをしたくなるものだ。


僕は薄目で目を少し開ける。すると目の前にいたのは、青色の綺麗な髪色をした女性だった。

その見た目はまるで絵画に出てくる女神様のような、そんな感じ。


「はい、終わりましたよ。目を開けてください。」


薄目にしてた目を開けると女性の姿はもうどこかに消えていた。誰だったのだろう。


「これでこの世界の言語が分かるし、話せるはずです。」


「まだあまり実感が湧かないんですけど本当に通じるんですか?」


「信じられませんか。ならなんでもいいので少し叫んでみてください。」


え?叫ぶ?

この女神は何を言ってるのだろうかと考えようとしたがルシエナ様はこちらの考えていることがわかるため、あまり考えないようにした。


「では、歌います。」


言ってなかったが実は僕にはもう一つの隠された特技が存在している。それは歌を歌うこと。

もちろん一緒にカラオケを行く友達はいたが、昔弟とおばあちゃんと行った際、僕の歌はうますぎるから歌う時は1人の時に歌いなさいと言いつけられていたのだ。

なので友達になぜ歌わないのか?と聞かれた際は喉を痛めててとか今日は気分が悪くてなどと言って見事にスルーしてきたのである。

そして今ここで僕の歌声を解禁する。人前で歌うのは久しぶりだが、僕の歌唱力でルシエナ様を驚かせてやろう。


そして僕は必死に歌った。今まで我慢していたものを解放して精一杯歌った。


歌い終わると。ルシエナ様はあまりに感動したのか声が聞こえなくなっていた。すると奥から昨日僕が入っている牢屋を叩いた兵士が近づいてきた。


「お前、うるさいんだよ!昨日静かにしろと注意しただろ。言ってることが分からないのか?」


言葉が通じる。相手の言葉がわかる。


「いえ、昨日は突然牢屋に入れられて、叫びたくなってしまったんです。」


「なに言ってんだお前?牢屋に入れられたのは女王陛下が質問したのになにも答えず、陛下を変な目で見ていたからだろう。」


「あー、すみません。忘れてました。そうでしたね。」


兵士はこいつは何言ってんだ?

という顔のまま「あまりうるさくするなよ。」と注意すると奥の方へと戻っていった。


僕がここにいることの原因はわかったが、決して女王様のことを変な目で見た覚えはないぞ。


「蓮斗、聞こえますか?どうでしたか?」


ルシエナ様の声が聞こえてくる。


「ルシエナ様がなんでもいいから叫べといったので、僕の美声で歌を歌った結果、兵士に注意されました。」


「そうなのですね。すみません。どうやら途中で気絶してしまったみたいでなにがあったのか分からなかったのです。」


やはり僕の歌声は人を眠らせるほど良い声なのだな。


「言葉は通じました。だけどこの後は、どうすればいいのですか?ずっと牢屋にいるってのも。」


「そうですね。もう少しすれば動き出すと思うんですけど。」


すると先程の兵士がこちらへ向かってくる。


「牢屋からでろ。女王陛下がお呼びだ。何をやらかしたのか知らんが変な目では絶対に見るなよ。」


女王様が僕になんのようだろう。もしかして処刑とか?いやいやいきなり処刑はないだろ。まぁ牢屋からは出れたし、ポジティブに考えよう。


地下の階段を登り、昨日の王室の前へと移動した。またここに来るとは、なんとか死なないよう頑張らないと。


王室の扉が開く。目の前にいたのは、昨日の女性。この人がこの国の女王様なんだなと再認識する。


僕は女王様の前へと移動させられた。そして変化があった。昨日はいなかったはずの人たちが僕を取り囲むように周りに立っている。誰だろう?


そう思っていると、その周りを囲んでいた集団にいた1人の男が前へ出て宣言した。


では、これよりこの男の処遇を決める。


弟よ兄は本当に生きてそちらの世界に帰れるのだろうか。誰か助けて

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