表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/44

タクミの貞操を守れ! 勇者たちの秘密会議

「おっ、タクミは妾たちについてくるんじゃな! 他にも、鎖帷子やマキビシ、短筒といったものも残っておる。それらを参考にドワーフに色々作らせたのじゃ」

「へえ、そいつは楽しみだ。忍者だったのかな『竹蔵』は」

「竹蔵の話では、彼はトクガワヨシムネという王に仕える『御庭番衆』の一人だったそうじゃ。吉宗は増税を強いて百姓一揆を招き、文化の発展を停滞させたと竹蔵は憤っておった。転移してきた時、『あんな民をいじめる将軍を盛り立てるより、この世界を救うのが真の天命なら、ありがたい』と笑っておったよ」

「えっ、徳川吉宗って『暴れん坊将軍』でしょ? 正義の味方じゃないの?」

 リナの驚きに、カレンとシオンが日本史の知識を披露する。享保の改革の功罪――財政は立て直したが、庶民には重税と倹約を強いた。今の財務省が唱える政治と重なる部分がある、と。

 サンカという集団が、決して綺麗なだけの正義の味方ではないことは俺自身がよく知っている。竹蔵もまた、一人の忍びとして幕府に雇われていただけだろう。

 俺がプラムに付いていくのは郷愁ではない。竹蔵の装備の中に、この世界で戦い抜くためのヒントがあるかを確認したいだけだ。

「私もタクミと一緒に王都に行くよ。だって、私の武器はこの和弓だもの」

 リナが、俺の隣で力強く宣言した。

「うむ。ならば妾についてくるがよい! お主の風魔法に合った武器も、きっと見つかるはずじゃ」

「ちょっと待って! 一旦、作戦タイム!」

 リナが「タクミと一緒にアプリコットの王都に行く」と宣言した直後、カレンがリナとシオンの腕を掴んで離れた場所へと引きずっていった。三人は頭を突き合わせ、こそこそと密談を始める。

 議題は言うまでもなく、タクミの処遇についてだ。

 プラム王女がタクミをアプリコット王国に取り込もうと画策しているのは明白。

 しかも彼女は、タクミに先代勇者・竹蔵の面影を重ねている節がある。このまま二人を行かせれば、エルフの美女軍団による「色仕掛け波状攻撃」に、あのウブなタクミが耐えられるはずもない。

 全員で同行すれば話は早いが、ここから王都ピクルスまでは馬車で二週間の長旅になるという。

 カレンの『ワープ能力(転移魔法)』があれば移動時間は短縮できるが、あいにく「一度行ったことのある場所」にしか飛べない魔法だ。

 王都で忍具を手に入れ、セラム辺境地に飛んで、そこからトレミエール王国へ向かうとなれば、さらに二週間。最終防衛ラインの竹林が朽ち果てるまで、残された猶予は一ヶ月足らず。聖武具を手に入れる前に龍魔王の封印が解ければ、この世界は終わる。

 三人は激論の末、一つの結論に達した。

「リナ……いい? タクミをエルフに取られたら、絶対にダメだからね」

 カレンが悲壮な覚悟でリナの肩に手を置いた。

「そう。責任は重大。原則は班行動だけど、背に腹は代えられない。シオンはカレンと共にトレミエールへ向かい、一刻も早く聖剣と聖杖を手に入れる。その間、リナはアプリコット王都でタクミの『貞操』を死守すべき!」

「……うん。分かった。エルフの魔の手から、私がタクミを守る!」

 リナが力強く頷き、その瞳に決意の炎を宿した。

 こうして、世界を救う勇者たちの「役割分担」という名の、タクミ包囲網が完成した。  三人は何食わぬ顔で、酒を酌み交わしているタクミたちの元へと戻っていった。

◇ ◇ ◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ