94【トキワベーカリー】
「トキワさん、ただいま戻りました」
学校が終わって直ぐにロリエさんと合流しマリア、エリカを含めた四人でトキワベーカリーに行き裏口から入った。
トキワさんはこのパン屋のオーナーでありロリエさんの第二の母親的存在である。
「はいはい、おかえり。
あら?
本当にエレナ様が遊びに来てくれたのかい」
トキワさんは一応ロリエから私達のことを聞いていたようだけど信じてはいなかったらしい。
まあ、普通に考えたら貴族が平民の家に遊びに来ることなんてほとんどない事なので仕方ないだろう。
「はい、お邪魔してます」
「いえいえ、こんなボロ屋でよろしいのでしたら何時でも来てください」
「ありがとうございます。
あの、トキワさん。
ロリエさんのお部屋でお話をさせてもらうので何かパンと飲み物を頂きたいのだけど。
もちろんお代はちゃんと払いますよ」
「わかりました、出来たらロリエの部屋に持っていきますね。
あと、お代は結構ですよ」
「いえ、そういうわけには」
「いえ、いいんですよ。
家の子と言っても過言ではないロリエの友達が遊びにきてくれたんですから差し入れを出すのは当たり前ですよ。
それなのにお金を貰うなんて私がケチ臭い人間みたいになってしまいますよ」
「そうですか。
それなら有難く頂かせてもらいますね」
「何時もこちらがお世話になっているんですからこのぐらいどおってことないですよ」
「あの、もし時間があればでいいのですが、トキワさんも話し合いに参加してもらいたいのですが」
「そうですね〜。
別に忙しい時間ではないですから少しなら大丈夫ですよ」
「はい、それではお願いします」
「ロリエ、エレナ様が寛容な人だからって失礼なことをしたらダメだよ」
「わかってますよ。
それでは皆さんこっちです」
そうしてロリエさんの部屋まで案内される。
「ぶわぁ〜」
「こら、エリカ!
辞めなさい!」
部屋に入った途端にベッドにダイブするエリカをマリアが慌てて起こす。
本当にエリカって自由な人間なんだよね〜。
「いえいえ、大丈夫ですよ。
皆さんも好きなところに座ってください」
部屋は本当にシンプルで勉強机、ベッドそしてデーブルと椅子。
余計なものは一切なく今使っているテーブルと椅子も部屋の雰囲気とあっていないことから今日このために運ばれて来たことが伺えた。
「あの、少し聞いていいですか?」
椅子に座って直ぐにロリエが口を開いた。
「どうしたの?」
「何故あんなにもトキワさんと仲がよろしいのでしょうか?」
「ああ、その事ですか」
「エレナ様。
その事でしたらトキワ様が来られてからの方がよろしいのでしょうか?」
「そうね。
トキワさんが来てからその話をしましょう」




