22話
シマダ達は全員が円匙やジョンバーを片手に集められた巨大な雪山の前に立っていた。
「取り敢えずカマクラ設営だな」
イザかまくら!とシマダが叫ぶ。自衛官組とセラスはオーッと声を上げ、メイドと女性プレイヤー組は無言だった。
シマダ達が余分な行動をして早1ヶ月。周囲は完全に雪が積もり、極寒になった。雪の重みで天幕は倒壊し始めたのでシマダはカマクラを作る事にしたのだ。
74式戦車のドーザーで雪を大量に集め、そこから円匙とツルハシで掘開しながら内部を作る。他の騎士達は雪をレンガ状に作ってイグルーを作っている。
つまり、セラスとシマダ一派は完全にお遊びなのだ。セラスを飽きさせないという為でもある。実際、セラスはこの戦いが膠着状態になり出した頃から帰りたいと言い出したのだ。
この雪で航空機は飛べず殆どの戦車も走行どころがエンジンすら掛からない状況で、90式戦車と74式戦車は燃料が無限という点から一度もエンジンを切っていない。
遠くでは散発的な砲声が聞こえるのみ。
現在の月日は12月8日。午前7時だ。
「残り16日!
それまでにここにかまくら作るべ?
んで、25日にクリスマスやるべ?その6日後に大晦日からの初日の出するべ?」
「遊んでて良いの?
戦争してるんでしょ?」
サナダがそんな馬鹿な事を言い出したシマダに呆れた顔で尋ねた。
「戦争してるのは他の連中。
俺ちゃんはセラスと一緒に白夜見に来ただけ!紛争地帯行くから完全武装してるだけであの威力偵察以降攻撃してないだろ?」
シマダはあの攻撃以降毎日の様にやって来る作戦参加への催促を撥ね付けている。曰く、セラスとかまくら作るから無理、と。
現状、圧倒的に皇帝軍が不利なのだ。積雪は既に50センチを超えておりこのまま行けば戦車は動けなくなる。と、言うか既に軽戦車や豆戦車は腹が引っ掛かり動けなくなっている。
また、包囲している部隊への補給品も残り2ヶ月で尽きる。物資を運ぶ輜重隊もこの雪で遅れておりどんよりとした天候と相まって包囲軍に重たい沈黙を強いていた。
「そんな言い訳が連中に通用すると思うのか!?
ギルガメッシュ・オジマンディアスや他の皇族達も流石にキレ掛けているんだぞ!」
サナダは周囲の注目を浴びるのもお構い無しで叫ぶ。しかし、シマダはどうでも良いと言わばかりに笑っていた。
「だから何だ?
俺達はセラスの機甲隊だ。セラスがやると言わなきゃなんも出来ねぇよ。それともお前、人殺ししたいのか?」
シマダがジョンバーを向けると、サナダは怯む。彼女は別に人殺しをしたい訳ではない。だが、このまま居れば自身の立場が悪くなる。
シマダは取り敢えずかまくら作んべとサナダの肩を叩き、かまくらの方に歩いて行ってしまう。
「大丈夫ですよ。
シマダさんは貴女以上にこの状況を焦ってますから。セラス様が参戦しないように彼是と吹き込んでいます。指揮官の器ですよ」
目達原はそう笑うとジョンバーを手に持ってシマダの後に続く。
周囲の騎士達はシマダの指示に従ってかまくらや雪像制作といった行動に移っていく。極寒故に決して無理のない、しかし、体があたたまる程度には激しい動きで二時間ごとに交代して作業を進めていく。
シマダ達の行動を見た他の部隊は絶句し、ついにはシマダたちを戦線に出すことを諦めた。そして、陣中記にて酷く扱き下ろした内容でシマダたちを罵った。
そして12月25日の早朝。ギルガメッシュ・オジマンディアスとエリザベートがそれぞれM60パットンとシュリダンに乗って現れた。シマダ達は全員が鎧を脱ぎ、朝から酒を飲んでいる状態であった。
「貴様等は何をやっているんだ!!」
この醜態にギルガメッシュ・オジマンディアスはシマダの胸ぐらに掴みかかろうとし、サイカがその腕を掴んで止める。ギルガメッシュ・オジマンディアスの腕はまるで万力にでも掴まれたかのようにビクトもしない。
「よせよせ。
事情は把握してるよ。敵の増援部隊が俺達の後方に迫ってるんだろう?」
シマダはそう笑うとサイカに手を離すよう告げた。状況は簡単だ。敵の増援がやって来たのだ。これは当初予定されていた状況だが、時期が悪かった。この極寒期に動ける戦車がほとんど居ないと言う状況だ。
サナダとシマズを呼ぶ。
「現時刻を持って我がセラス機甲部隊は攻勢防衛に打って出る。
敵の数は戦車100、航空機40に歩兵が数万だ。サナダは対空警戒を厳にしろ。シマズは俺と共に敵正面部隊を漸減撃滅する。中戦車以上の戦車を殺せ」
シマダは端末の地図を開き、ロスターク増援軍の進行ルートと予想通過ポイントが書き込まれていた。
「何度も言ってるけど、私のヘリは攻撃ヘリ。対空は専門じゃなくて自衛する程度なのを忘れないでよ?」
「何ビビってやがる。
23mm食らっても飛び続けるメインローターに空飛ぶ戦車なんて言われる重装甲持ってるだろうが。機首部に23mmチェーンガン、ヘルファイアにスティンガーの重武装だろうが。こん中で一番貧弱なの俺ちゃんやぞ」
シマダは一人だけ第二世代戦車!と叫ぶとニヤッと笑ってシュリダン、猫丸を見た。
「セラス呼べ」
シマダの言葉に脇で雪だるまを作っていたセラスをサイカが呼びに行った。
「セラス。なんか俺らの後ろから攻撃しようとしてくる連中がいるみたいだ」
「背面攻撃ね!
敵の増援よ!きっと要塞と後方からの増援で私達を押しつぶそうとしてるのよ!!
ちょっと潰してきなさい!」
セラスはシマダに早く行きなさい!と叫ぶと脇で見ていたギルガメッシュ・オジマンディアスとエリザベートが目を丸くして驚いていた。
シマダはそれを見てから笑いながら全員乗車!と叫ぶ、そして、5分と経たずに出発した。
「あーあーコチラ帝国軍セラス機甲部隊隊長車74式車長のシマダだ」
そして、シマダは無線を開く。チャンネルは19.3991だ。
「現在我が部隊は。ロスターク城塞攻撃部隊を挟撃せんと進撃中の反乱軍指揮官へ」
シマダが無線を開くとそれまで騒がしかった無線は一瞬で無くなった。
シマダが暫く待つと一本の無線が入る。
《こちら反乱軍指揮官のケドリック》
「おっ!イイね!
現時点を持って我が部隊は貴軍を迎撃するべく出撃した。編成は74式戦車1両、90式戦車1両、アパッチロングボウ攻撃ヘリ1機」
《シマダ、だったか?
お前は馬鹿なのか?》
無線の奥で笑い声まで聞こえた。
「残念ながら大真面目だ。
我々は貴に対して降伏勧告をする」
シマダは返事を待つが帰って来ない。
「降伏はしないのであれば、聞いて欲しい。
我が部隊は君達を全員殺す。HEAT弾は勿論APFSDS弾を保有し、行進射が可能だ。君達が我々を狙うべく止まった瞬間に君達は死んでいるだろう。
それと、この無線を聞いている全プレイヤーに告ぐ」
シマダは一拍置いた。
「君達の部下はこちらの人間だ。だが、我々は違う。車長を除く全てがNPCだった。故に例え甚大な犠牲を払い我々を撃破した所で、我々は再び君達の前に現れるだろう」
シマダはそう告げると一頻り笑う。その後、トドメの一撃を放った。
「諸君等の仲間は一体どれだけの時間を費やしてその操作を覚えるに至った?チームワークを作るに一体どれ程共にいた?
諸君等の奮戦を期待する」
以上、そう言うとシマダは無線を切り、小隊系に切り替える。
「フッ!ニシズミ、ナナヨン。連絡通話」
《フッ!ナナヨン、キューマル。感5》
「キューマル、ナナヨン。キューマルの感5」
《ナナヨン、ロクヨン。感5》
「ロクヨン、ナナヨン。ロクヨンの感5。連絡通話終了。
それと、この作戦が我が機甲部隊の本当の意味での戦闘になる。初戦がこの大乱交だぜお前等!このビッチ共が!」
シマダの言葉に女性陣からブーイングが起こる。しかし、シマダは意に介した様子はない。
「そんだけ元気ありゃ十分だ。
それと、この戦いはオープン回線で行う。最初の撃ての射撃号令からオープン回線でやる。敵を恐慌せろ。傍観者を震え上がらせろ。
セラス機甲部隊此処に在り!ってのを見せてやれ!」
抑止力になるのだ。
これ以上無駄な戦闘に巻き込まれないように。戦いは徹底的に避ける。ギリギリまで避け、どうしようもなくなったら戦う。そしてその際は徹底的に叩く。一切の慈悲もなく憐憫もなく、容赦もなく。帝国の方針を具現化し、帝国になるのだ。
セラスを立てつつ、余計な争いごとに巻き込まれないようする為に。
降伏した敵はすべて戦車で轢き殺すし、逃げ出した敵は地獄の果まで徹底的に追い詰める。幸い戦車には燃料という概念がないのだ。
ヘリにも無いのだ。あるのは殺意だけである。
「ンじゃ改めて。セラス機甲部隊全速前進!」
2両の戦車と1機の攻撃ヘリは宿営地より前進した。
この2時間後、たった2両の戦車と1機の攻撃ヘリにより100の戦車と40の航空機、歩兵4万5千に騎馬1万が3時間程で鏖殺された。最後に発信された通信では世代の差は数を翻し、対空ミサイルはプロペラ機では回避できない。
魔術師を持ってしても対空ミサイルや対戦車ミサイルは魔法と言わしめた。
また、23mmチェーンガンは二次大戦中の中戦車程度の防御力では装甲板上部やエンジンルームを安安と撃ち抜いていくし、対空戦車の20mm砲や50口径機関銃弾を弾き返していく。と、言うよりもヘリがエアカバーをしており、ヘリが殺した車両は片手で収まる程度で、殆どを74式戦車と90式戦車が片付けた。
一方的な距離から一撃で。
「今宵の地獄、此処まで!」
そして、その戦闘は19.3991chですべて垂れ流されていた。と、言うよりもシマダが次に狙う車両や撃破した車両全てを垂れ流し、歩兵を全て轢き殺し、馬は追い立てて疲弊したところを跳ね飛ばすと言う聞いている方が吐き気を催す惨劇を繰り広げたのだった。
敵の撃つ砲弾は100メートル圏内でも平然と外れ、陣形ど真ん中に突入して暴れまくる2両に対し的確な砲撃が出来ず、1発も撃てずに火達磨になった戦車も多々ある。この世界に置いて、数の利はテクノロジーの差を埋めることは出来ないと証明された瞬間でもあった。
セラス機甲部隊の損害は74式戦車が小破、90式戦車に至っては外部に付いてる雑具箱土工具、スカートと言った諸々のパーツが吹き飛んだだけで無傷と言っても過言ではない損耗率であった。もちろん、攻撃ヘリはその特性上地上からの対空砲に狙い撃ちされていたが、殆どが機関銃や大きくても20mmを超えない火砲による攻撃だったのでこれも無傷と言ってもよいほどに損耗はなかった。
ガルパン最終章2回見たよ
楽しいね
普通科出身の人にまともな人が少ないのは何で?
ウチの方面隊だけ?




