20話
ロスターク城塞都市攻略の要は大凡3箇所にある。
まず第一関門として、ロスターク城塞都市外縁部を囲う巨大で分厚いコンクリート壁だ。最新鋭の120mm対戦車砲にてHEAT弾を撃ち込んでも破れないので比較的薄いと思われる可動式の門を突破する事が重要に成る。
その次に待ち構えるのは入り組んだ城下町だ。此処は直線的な戦場が一切無い。幅は戦車か通れる道も有るのだが、そう言う箇所は緩いカーブや見通しを利かなくするための低いアーチが幾つもある。
そして、そこを抜けた最後は入り口が一つしかないロスターク城である。
この3つの関門でロスタークは皇帝の連合軍を迎え撃つのだった。さらに言えばもうじき冬。ロスターク城塞都市はその厳しい冬を乗り越えるだけの備えも設備もある。しかし、その外は無いのだ。
勿論連合軍も越冬の為の備えもしているがシマダは連合軍は冬を越したところで壊滅するだろうと試算していた。シマダとシマズの車両は北海道の厳冬を超えるだけの設備がある。
周囲の戦車達も冬季迷彩や冬季装備を持ち出しているが、自衛隊戦車はどちらかと言うと演習用装備に近く、実戦では圧倒的に余分と思われる設備が充実しており、他の車両よりも格段に暖房等の設備は高い。と、言うか普通にストーブを常備し、冬季キャンプセットがあるのは自衛隊車のみだ。
「いやー、達磨ストーブとか出しまくったし、ドラムの軽油百本に携行缶の灯油五百あるし大丈夫と思うが、敵が打って出て来たらケツまくって逃げるしか無いよな」
シマダは積雪量が日に日に増して行く中で雪だるまの作製に勤しむセラスとお付の騎士達を見ながら告げた。
隣にはシマズがおり、その後ろには連合軍の伝令がいた。
「それで、いかが致しますか?」
「如何も何も俺が決める事じゃ無くね?俺ちゃん達の大将はセラスだべ?」
シマダは手元の雪を拾い上げて固めるとセラスに投げる。雪玉はシマダに貰ったニット帽の後頭部に当たる。セラスはキッと振り向いて何かを叫んだ。
「何するのよ、と叫んで居ます」
「雪合戦だ!」
シマダはそう叫ぶと雪玉を素早く作り、セラスに投げる。セラスはそれをキャッチしてシマダに投げるがシマダはシマズを盾にした。そのせいで雪玉はシマズの顔面を的確にとらえ、炸裂した。
シマダは大爆笑して、脇で呆れた顔をしてみていたサナダの顔面に雪玉を投げ付ける。こうして雪合戦は開幕したのだった。
この雪合戦が開幕した一時間後連合軍の正式に第一次ロスターク城塞都市攻略戦が開始された。
第一陣は正面門を突破する正攻法の為に編成された部隊だ。
シマダやシマズが超強い、として強いに分類される戦車達が集まって攻撃を開始したのだ。主砲を100ミリ以上の戦車に絞り、正面のコンクリート門への攻撃が開始された。正面門の前は1キロの直線的な道で、門は緩いカーブを描いており鶴翼の陣を強制的に嵌めれる形になっている。
シマダは攻撃開始したと伝令から聞くと大笑いし、びしょ濡れになったセラスを小脇に抱えてテントに入ると脇にいた騎士にセラスを投げ渡した。
「風邪ひかないように直ぐに風呂入れてやれ。
上がったら温かい飲み物用意して渡せ。んで、戦車乗って前線視察な」
シマダはびしょ濡れの上着を脇に脱ぎ捨てながらアキヤマに告げた。アキヤマはシマダの言葉を隣の騎士に告げた。騎士は承知しましたと頭をさげ、セラスを床に下ろし別の天幕に連れて行った。
その様子を見届けたシマダは椅子にドカリと座って顔を両手で覆う。サイカが着替えでは無く毛布を掛けると、コーヒーを脇のテーブルに置いた。
「殺し合いが始まっちまったぞ!
アホなんかこいつ等は!?」
シマダは叫ぶと、入り口からサナダとシマズがやって来る。
「本当に見に行くんですか?」
「ああ、度胸試しだ。
キューマルにセラス乗せてくれ。セラスの大将旗立てろよ。
サナダはロングボウで援護出来るように待機」
「構わないけど、アンタの戦車は大丈夫なの?」
「知らねぇからキューマルに乗せんだよ。
セラス死んじまったら元も子もねえ」
「ならそもそも連れてかなきゃいいじゃん」
サナダの言葉にシマズが頷いた。
「バッカだなー
良いか?俺等が勝手に上の連中の作戦を破綻させない程度に邪魔し、更に言う事聞かなきゃ上の連中からも面倒くせぇ事態に巻き込まれなくなるだろうな。
つーか、シマズの単車指揮多分うんこだから。それを補わせるためにも囮多い中で戦地行くんだよ」
シマダはそう笑うと、端末を持ってきた。そして、MAPアプリを起動して再度道を確認する。
作戦は簡単だ。一キロの直線道路をただただ真っ直ぐ突き進み車長の状況判断で壁の正面まで行き帰ってくるだけだ。
文字に書き起こせば実に簡単な事だがそれをやるには強靭な精神力と的確な判断を要される。
「シマズ、お前に良いことを教えてやる」
シマダは脇に居た上富良野に小銃を寄越せと告げ、受け取ると弾倉を引き抜き薬室から弾薬を抜いた。そして、薬室を開放してからシマズに狙いを定める。
「この状況ならお前は撃ち殺される」
しかし、とシマダは告げて狙いを少し反らしてシマズを照準線から外した。
「これならお前は撃たれない」
シマダは撃たれる、撃たれないと数度繰り返した。
「どういう意味だ?」
サナダは眉を顰めてその行動を脇に居た目達原に尋ねる。目達原は簡単なことですよと笑い、敵が自分を狙ってれば原則的に銃口がこちらを向くから黒点、あるいはそれに近い形で分かる。しかし、そうでないなら黒点あるいはそれが見えないと告げるとサナダもシマズも成る程と頷いた。
それからシマダは上富良野と北恵庭にシッカリと補佐しろよと厳命する。
「陸曹の仕事は陸士の指導教育なんだからな。特に上富は陸曹長なんだ。お前の階級超えるまではお前がシマズのこと責任持って育てろ。ンで、北恵庭はその補佐をシッカリしろよ。目達原も、サナダの階級がお前より上になるまではお前が責任持って指導教育しろよ。
困ったことあれば俺に聞け。以上分かれて事後の準備。出発はセラスの準備ができてから」
シマダは敬礼をすると3人の自衛官は慌ててそれに敬礼をするので、シマダは満足そうに敬礼を終える。そして、3人の自衛官は自身の上官たるプレイヤーと共に各人の相棒の元に向かった。上空では攻撃機とそれを守るための戦闘機が戦いだしたし、敵の爆撃機や攻撃機、或いは戦闘機を撃ち落とすための対空銃座や対空戦車の攻撃が始まっている。
遠くでは数百の大小様々な戦車の走行音が山に反響して聞こえている。
シマダは椅子に腰掛けるとサトウとアキヤマに準備を命じ、コーヒーを飲んだ。
「こんな事ならもうちょっと戦術とかの勉強しておけばよかったか?」
まぁ、良いか。そうシマダが笑うとセラスがまだ髪の毛が湿っている状態で入って来た。
シマダはそんなセラスを見てサイカに髪を拭いてやれと告げてMAPを見せる。
「良いか〜
今から敵の正面門まで突っ走って帰って来るからな〜?」
「死んでしまうと言っています」
「空から降ってくる弾に当たらにゃ良いんだよ。
それに、敵は壁の向こうから撃ってくるんだ。見えないのに。どーやって撃つんだ?」
セラスは暫く考えてから知らないと首を振る。
なので、シマダは砲弾の観測について教えるセラスはそれに対して納得した様に頷くと許可を出した。
「シマズ。
再度教育するぞ!今回はセラスもついて来る。つーか、お前が死んだらマジで終わりだ。お前が死んでもいいが、セラスが死ぬのはダメだ。
だから、取り決めをする」
シマズを前にシマダは声を張り上げて告げた。その場にいる自衛官やメイドにも聞こえる様に。
「お互いの車間は15メートル!
操縦手、特に90の西恵庭は気を付けろ。車長は上空と前方の警戒に後方の味方の車線に入らねぇようにしろ!」
シマダは地図を開く。
「幸い戦車道の幅はかなり広い。中央を味方の突撃隊が前進するから俺達はその側面を抜けて行く。時速は30前後!
車間距離重視!やばかったら発発撃って撤退しろ」
シマダは右側通行重点と叫び、74式戦車の前に立った。
「ンじゃ行くぜ!
全員整列!」
シマダの号令にメイド達はシマダの隣に並ぶ。
「短間隔、右に倣え」
シマダが腰に手を当てて立つとサイカも同様に立ち、お互いの間合いを測る。そして、直れの号令で全員が正面を向く。正面には目達原が連れて来たセラスが立つ。
「報告!
車長!」
「砲手」
「操縦手」
「装填手」
シマダは回れ右と号令を掛ける。
「乗車用意!」
全員が駆け足の姿勢を取る。
「乗車!」
そして、アキヤマとサトウが車両の右側に、シマダとサイカが左側に向かって走る。そして、アキヤマとサトウがそのままそれぞれの職責にあった席に向かう。
シマダを先頭に砲手席側ルートは途中で分離する。シマダは履帯周りを確認しながら車両を一周、サイカは側面に来るとそのまま砲手席に乗り込む。シマダは右側面、後部、左側面に周り、輪止めを回収、そして、そのまま正面に回って車両の上に。そして、砲塔側面に有る備品箱に放り込むと車長席に入る。
装甲帽を被ってスイッチを入れた。
「車長、アイカ。連絡通話」
《砲手、車長、感5》
《操縦手、車長、感5》
《砲手、車長、感5》
「車長、アイカ。感5。連絡通話終わり。
操縦手、エンジン始動」
シマダの指示で74式戦車のエンジンに火が入る。ヒュゥーンと甲高いエンジン音と共に黒煙が排気されて白銀の世界に黒い跡を残す。そして、シマダが車長ハッチの近くにサイカのグリーズガンを置くと90式戦車に乗り込むセラスを見守る。
セラスの為に近衛騎士が台座を持って来ると補佐をした。上富良野が上で待機し、セラスを引っ張り上げると砲塔の上に上げる。そして、自身が先に砲塔に潜るとセラスを中に入れた。90式戦車は装填手が居ないので砲塔内部は結構広い。大人が3人乗っても普通に砲撃に干渉することはない。
シマズはおっかなびっくりで車長席に潜り込み、北恵庭がハッチを密閉した。そして、シマズは装甲帽を被って外に出ると、下で待機していたサナダから大将旗を受け取る。そのままキャリバーの銃身を仰角一杯まで上げた後、番線とシノラチェを使って縛着してから何度か揺らして確認する。
現職自衛官が見たら顔面蒼白で飛んで来るだろうが、ここには居ない。
「よーし、行くぞ」
シマダは90式戦車の準備を整ったのを確認して小隊系で告げた。
シマズもシマダの言葉に手を挙げて反応した。遠くではサナダがアパッチに走りコクピットに乗り込んでいた。
こうしてセラス機甲部隊は勝手に行動を開始したのである。
次の更新は演習明けと言ったな
あれは嘘だ!
と、言うかガルパン見てたら書きたく成ったから書いた
最終章まだ見てないから早く見たい
以上!
多分、今年度最後の更新だ!




