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14話

 その日の午後、シマダは帝都の中央にある宮城に居た。何時も通りセルスを小脇に抱えて、武装メイドを引き連れて謁見の間に続く赤絨毯の上を闊歩する。

 廊下の両脇には鎧が剣を体の前に突き立てて両手を置いていた。中には近衛騎士がおり、有事の際は彼等が対処するのだが微動だにしない為にシマダは普通の飾りだと思って何の考えもなくフェイスガードを開けたら中の騎士と目が合い飛び上がって驚き、セラスを落とすという事もやった。

 そんなくだらない事をやりながら謁見の間に着く。中に入ると、皇帝の子供達が夫々の機甲部隊の長を従えて屯していた。因みにシマダ達が一番最後で招集を受けてから6時間は経っていた。


「お早いお着きで」


 シマダが謁見の間に入ると近くに居た女プレイヤーがそう皮肉った。


「俺が一番最後に来たのにお早いお着きでとか、お前時間の概念分かってないの?時計読める?」


 シマダが本気で心配した声で尋ねると皮肉ってるのよ!と女プレイヤーは逆ギレをした。シマダはそれに対して大爆笑をするとセラスを肩車した。

 そして、そのまま謁見の間の壁際に立つ近衛騎士のフェイスガードを開けていった。全員がシマダを睨み付けて居たがシマダは特に気にした様子も無く開けていく。


「何をやっているんだ君は?」

「全員のフェイスガード開けて置いて誰が始めに表情崩すかゲーム」

「馬鹿やってねぇでシャントしろ皇帝が来るんだぞ」


 他のプレイヤー達に怒られたシマダは面倒くさそうに玉座の前まで向かい、玉座にセラスを降ろしてしまった。


「セラス。お前今日一日皇帝な」


 シマダがそう笑うが周囲の皇族は目を剥いていた。あのギルガメッシュ・オジマンディアスですら固まる程だ。

 そして、そこに一人の男が現れる。誰がどう見ても皇帝と言う風体の男である。セラスも流石に椅子から飛び降りた。


「その椅子がどの様な椅子か知っているのかと質問しています」


 アキヤマがシマダに通訳した。


「玉座とは、それ即ち皇帝が座る全ての椅子であり、同時にただの椅子である。

 皇帝が皇帝たるには、それ即ち玉座に非ずby俺ちゃん」


 シマダはそう答えるとセラスを肩に担ぎ、わざとらしい仰々しいお辞儀をして見せるとセラスを小脇に抱えて玉座の前から降りる。

 皇帝はフンと鼻を鳴らし、玉座に腰掛けた。

 それから、皇帝の側近で皇帝の忠実な犬こと宰相が口を開いた。シマダにサイカが直接通訳をする。


「今回皇子、皇女様方に集まって貰ったのは他でもない。北方山脈を起点とするロスターク重工連合国が反乱を起こした」


 シマダはその時点でセラスを肩車して玉座から出て行こうとした。勿論、それは近衛騎士によって止められた。


「ぜってー行かねー

 冬季戦闘とか死ぬ。寒過ぎて死ぬ。しかも俺ちゃんは一両しかないから部隊行動とかそもしも出来ないし、他の指揮下に入るのもまっぴらごめんだよ。

 それに、セラスと白夜見に行く予定もあるしそれはやりたい人だけ集まって勝手にやってどうぞ」


 シマダが告げると一人のプレイヤーが馬鹿にしたように笑う。


「そのロスタークは白夜が見れる地域なのよ」

「はぁ?それ先に言えよ。馬鹿かテメェ?

 よーし、ロスターク行くか」


 そこを退けぇい!とシマダが手を翳すとアキヤマが近衛騎士の兜に銃床打撃を食らわせて強制排除した。


「セラスよ!

 白夜を見るにはロスタークを滅ぼさねばならぬ!ロスタークの名を末代までに反逆の暴徒共として残さねばならんのだ!

 蹂躙だ!セラスよ!さぁ!号令を掛けるのだ!白夜を独り占めしているロスタークを蹂躙絶滅させよと!」


 シマダの言葉をサイカが忠実に通訳をした。すると、セラスは鼻をふくらませて頷く。


「よくわからないけどロスタークは昔から悪い的なことをロッテンマイヤーが言ってた気がするわ!

 それにお父様もロスタークを滅ぼせって言ったから良いわ!じゅーりん?げきめつ?しなさい!あれよ!ぺんぺん草一つの生えないぐらいの……なんかそういう感じにしなさい!」


 セラスの言葉を受けたシマダは大笑いしながら赤絨毯をダッシュで駆け抜けて74式戦車に飛び乗る。するとどうだろう後方から皇族達やそのプレイヤーに近衛騎士達が追いかけてきた。理由は勿論止めるためだ。74式戦車1両が暴れてどうにかなるものではないが、無用な死者が出ることは必然だろう。シマダはセラスと言う後ろ盾を得た今、シマダの行動はセラスの立ち位置を盤石にし、やり過ぎる事でもうセラスに物事を頼むのを止めようと思考を誘導する事だ。そして、セラスに逆らうと、と言うかセラスの為なら国一国ぐらいを滅ぼすなんてことを平然とやりかねないから此奴に、セラスに命令するのを止そうと思考を誘導させる事だ。そして、そのためにロスタークの全国民は勿論王族貴族無差別に平等に殺すだろう。

 セラスは意味もわからずペンペン草も生えないように、と命令した。多分、と言うか絶対知らないと思うが皇族の命令は皇帝の次に絶対。特に皇族が隷下する近衛騎士団や機甲部隊は皇帝命令より優先される。なので、セラス隷下の近衛騎士団は到着次第王族から奴隷に至るロスタークに所属すロスタークの人民を皆殺しにしてしまう。ソレを止めるべく追いかけているのだが、シマダはいきなり拳銃を抜くと後ろから追いかけてくる皇族達に向け、あろうことか発砲した。

 弾は勿論当たらないが、その行為に皇族たちは思わず足を止めて柱の陰に隠れた。プレイヤー達も急所を護るために立ち止まった。


「コレも喰らえ!」


 シマダは手榴弾を投げつけると大笑いしながら去っていった。皇族達は大慌てで近くの部屋に飛び込み近衛騎士達が文字通り肉壁になろうとしたが、何時までも経っても爆発しない。当たり前だ。ねじりっ子で安全ピンが脱落しないよう確りと縛着してあり、絶対に信管が撃発しないように成っていた。

 全員がその事実に気がつく頃には74式戦車は宮城を出発してしまっていた。

 74式戦車が宮城の門を出て帝都から出んと言うその時、74式戦車の前にフラリと人影が現れる。シマダは停止の号令を出そうか考えて、やめる。戦車の前に出て来る奴は大なり小なり碌でもない案件を抱えているというのが容易に想像できるからだ。


「操縦手、速度増せ」

《了解》


 74式戦車は城門をくぐった直後に増速。人影なぞ居ないと言わんばかりだった。人影はそのまま前進してくる74式戦車を避けることもせずあっという間にぶつかった。ぶつかる直前に人影はふわりとジャンプして排土板を蹴り、車体前部を蹴り、砲塔上に着地。なよっとした立ち方をした。

 手には身の丈も在るだろう杖を持ち、古いが決してボロというわけではない使い込まれたローブをまとっていた。顔は不健康そうな色をしており、長い前髪は顔を半分隠している。シマダはセラスに引っ込んでろと砲塔内部に押し込み、拳銃を引き抜いて狙いを定める。

 そして、足を狙って引き金を引いた。しかし、弾丸は見えない障壁にでも当たったかのように弾かれてしまった。

 シマダは驚いた顔をしたが、アキヤマが装填手用ハッチから64式小銃を取り出して何の迷いもなく撃つ。しかし、それすらも弾き返していた。


「話をお聞き下さい、はい」


 そして、闖入者は静かに告げた。その言葉は不思議とシマダ以外には確りと聞こえた為にアキヤマは通訳をした。


「すげぇ!ハッハッハ!プレゼントやるよ!」


 シマダは手榴弾のピンを抜いてホラと投げ渡す。シマダとアキヤマはすぐに砲塔内部に引っ込む。直後、ボガンと手榴弾が爆発した。シマダは拳銃を片手に顔を出すと、無傷の闖入者が居た。


「あっれぇ?

 手榴弾不発?」


 シマダは首を傾げながら拳銃を撃つ。


「いえ、違います。

 貴方の爆弾は確かに爆発しました。それと、銃撃を止めて下さい。本当に話をお聞き下さい、はい」


 闖入者への銃撃は74式に搭載されている個人用火器の弾が切れるまで続き、終わった頃にはセラスは寝息を立てていた。


「此処まで攻撃して反撃してこないってことは本当に敵じゃないんだな。

 ほら、話せよ」

「はい」


 闖入者はシマダの前に腰を下ろすと自分の目的を語り始めた。

 闖入者の身分は帝宮魔術師。名前はマーリン・アガルタ。ローブの下は不健康そうな痩躯だが巨乳の女であった。年は30代だろう。

 もし、ロスタークに行くのであれば共に行かせて欲しい。目的はロスタークに居るから同胞の捜索と救出。同胞とは帝宮魔術師達の各地に派遣されている操虫術師の回収だとか。


「操虫術師って何すんだ?」


 シマダの問いに答えたのは一応起こされたセラスである。


「バグ共を操る事が出来る魔術師よ!」

「正確に言えば虫を支配する秘術を知る錬金術師です、はい」


 マーリンがセラスの言葉を正しく訂正する。


「バグ操れるってスゲくね?

 え、お前等が居れば虫とか怖くないじゃん」


 お前達頑張れよとシマダが告げるとマーリンは首を振る。


「操虫術師の作り出す秘薬は万能ではありません。群で行動するバグしか操れず、個体で行動しないバグに対してはその支配力は極端に下がってしまうのです」


 セラスが首を傾げるのでシマダは補足した。


「つまり、ハチは操れても蝶は操れない、と?」

「ええ、概ねその様な認識で大丈夫です、はい」

「なんでハチが良くてチョウチョが駄目なのよ!

 チョウチョの方が可愛いわ!」

「よーし、セラス。

 あとで理科の勉強しような?」


 シマダはセラスの頭をポンポンと撫でた。


「ンで虫害に遭わないように各国に派遣された操虫術師が囚われてるから助け出したいんだな?」

「はい。ロスタークは夏の極短い期間に小規模の虫害が発生しないので、我々は派遣される事は本来ないのですが……」


 ロスターク側からの要請で、とマーリンは告げた。

 要請があった場合、帝国はその要請を突っぱねることは出来ないのだとか。それはこの世界の成り立ちから改めて理解しなければならない。帝国と周囲の藩国との関係を。

まだまだ戦車戦には成らなかった

目下最大の悩みはセンチュリオンを何処まで出すか、と言うところ

それとT-72の搭乗

此奴出ると正直74式戦車途端にその優位失うんだよなぁ……

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