第八章 駆け巡る南北!② 豺狼虎豹(さいろうこひょう)
ここまで読み続けてくださった読者の皆様、本当にありがとうございます。この小説の物語の長さは前作よりも長くなりますので、どうぞ安心してお読みください。聖騎士についてのあの小説ですが、以前私が作品を削除した理由と同じように、あの小説はまだ未熟で、内容や構成にも多くの欠陥があります。後で改善してから、再び公開するつもりです。ですので、読者の皆様、どうかご了承ください。
「おい、修理工、この車を修理してくれ!」
「三十万約幣。」
「いくらだ?!」
「君たちのこの車は修理するより新車を買った方がマシだ。この金額は妥当なところだ。」
(「くそ、今は新車を買う時間もない……」)
「直せ。どのくらいで直る?」隣に座っていた伭昭が口を挟んだ。
「三十分だ。」
伭昭は相変わらず隻眼の面具をつけ、脚を組み、隣の長椅子に座っていた。光鎌は決して手から離さない。奥平澤は約国の領地だが、数年前にモティス偽死軍集團に制圧された。おそらく約国軍が主力をメイメイシュー市などの前線都市に回し、ここの管理を怠ったため、犯罪が蔓延したのだろう。
「この辺りには[疯犬帮]とかいう、全身に義体を装着した『精神病者』の集団がいるそうだ。㭉(カ)さん、やはり武器を何丁か買ってから行きませんか?」
「俺の武器で十分だ。隣の武器店を見て来い。代金は俺が払う。」
浮遊車の修理を待つ間、ブイは外に出て近くの武器庫へ向かい、長槍を何本か、投擲道具をいくつか、そして外骨格装甲を一揃い選んだ。十数万約幣でも、㭉(カ)さんなら払えるだろう。
「こんなに武器がある。しかも見たことのないものばかりだ。後でじっくり弄らないとな~」
装備を背負い、ブイは修理工場へ戻った。夜が近づき、帰り道で彼は周囲の光景を見回した。荒涼として人の少ない街路、もくもくと立ち上る工場の煙、橙紫色の空、そしてゴミや雑貨が積み上げられたゴミ箱——ここは長居すべき場所ではない。
「あの野郎、きっと金持ちだ、へへ……」
暗い路地の中で、嵌め込み式の面具をつけた怪しい人物が、装備を担いだブイを睨み、心に悪意が湧いた。彼は改造された口腔を広げ、ブイの左背中に向けて直径五センチのレーザー砲を噴射した。
「何の音だ?」
ブイが振り返る間もなく、彼は噴出した赤黄色の炎に呑まれた。背中の振動を感じ、強力な衝撃波で修理工場の門口まで吹き飛ばされた。
(「敵だ!」)
伭昭は光鎌を抜き、徐々に近づく義体改造者へ歩み寄った。その不速の客は口を閉じると、右手を上げ、掌を義体手砲に変形させた。
しかし、相手は明らかに伭昭の実力を過小評価していた。彼が手砲を上げた時、伭昭はすでに彼の右側へ瞬移し、刀を提げてその右腕を斬り落としていた。相手が反応する間もなく、伭昭はさらに右拳を振り出し、機殻拳套が相手の顔面と激しく衝突した。顎が砕け、頭骨を貫き、その男はすぐに反対側の街路のゴミ溜めへ吹き飛ばされ、人事不省となった。
「㭉(カ)さん、彼は死んだのか?」
「ああ、我々は正当防衛だ。」
伭昭は光鎌を収め、続いてブイが散らかした武器を整理するのを手伝った。
「君の背中の装甲は交換が必要だ。」
「あ、分かった……」
(「ここの暴力団に巻き込まれたくはないが、あの男を殺したのは今の状況に有利だ。」)
浮遊車が直ると、二人は基地へ向かって進み続けた。前回の警察の奇襲のため、伭昭は運転席に横たわり、車を制御して回避しやすくしていた。車体は修理されたが、再び損傷しないよう注意する必要がある。生物浮遊車と違い、純機械浮遊車は整備に注意が必要で、二人の車は後者だった。基地に着きさえすれば、この車は捨てられる。
「何だ?! 俺の子分を殺しただと!」
「親分、あの約国の逃走犯どもです。彼らはきっと金持ちで、少なくとも数百万約幣はあるはずです!」
「よし、兄弟たち、俺に付いて来い。奴らをバラバラにしてやる!」
(偽死軍現地基地まで二時間の地点、黒水城)
「…………」
車内の二人は多くを語らなかった。基地に着きさえすれば、二人はここで別れる。基地に着けば、伭昭は偽死軍兵士たちと交渉し、バクロフ・ランという男に会うつもりだった。
(「彼を目覚めさせるのは、困難極まりない……」)
高架橋の下へ差し掛かった時、一群の改造モーターに乗った義体改造者たちが橋面を横切り、同時に数百の固体凝滞炸薬を投下した。
「死ね、原身人!」
車頂部に炸薬が貼り付くと、伭昭は躊躇なく浮遊車の操縦システムを制御し、車頂部を直接放棄してオープントップモードに切り替えた。
背後で車頂部が爆発する中、伭昭は光鎌を掲げて回転させ、上方の橋底へ斬りつけた。
数十本の光刃が橋底を貫き、橋面に生じた亀裂が何の前触れもなくモーター群の一部の者たちを切り裂いた。モーターたちが引き返した時、伭昭はすでに浮遊車の尾部に立ち、ブイが買った分裂式ロケットランチャーを取り出し、橋面の者たちに向けて数発のミサイルを発射した。
「隠れろ!」
浮遊車が走り去ると、その高架橋は轟音とともに崩落した。モーターたちはその崩落に沿って直接橋面から飛び降り、下方の高速道路へと車を飛ばした。
「死ね、原身人!」
(「本当に面倒だ……」)
一台のモーターの前輪が浮遊車の後部に引っかかり、その上の改造者は右腕を折りたたみ長刀に変え、熱を帯びた刃が伭昭のこめかみへ迫った。しかし伭昭は素早く左腕を上げ、その改造者の右腕を身体から引きちぎり、続いて脚を上げて蹴り、モーターと改造者を地上へ蹴り落とした。
「相手は異星からの来訪者だ。死ぬまで撃て!」
それら一群の改造者たちが手砲と機関銃を広げると、浮遊車は再び超過火力と圧力を受けた。伭昭は光鎌を振るったが、モーターの数が多すぎ、しかもビル群の間を縫ったり、周囲の低い屋根の上を乱れ走ったりしていた。この緊急事態に、彼は光鎌を握りしめ、浮遊車の底盘が崩壊寸前の時、巨大な光刃を振り出した。
「はあっ!」
力を込めた一撃で、その巨大な光刃は高速道路全体のモーターを吹き飛ばし爆破した。運転部は爆発音を聞くとすぐにアクセルを踏み込み、浮遊車が爆発の光環に包まれる前に烈火の包囲から脱した。
「親分、我々は大損害です。もう追うのはやめませんか?!」
「相手が強いからといって兄弟の仇を討たなければ、俺たちは何の『疯犬帮』だ? 俺が自ら出陣し、あの野郎の首を斬り落とす!」
(「㭉(カ)さん、側面の敵は俺が片付けます!」)
(「任せた。」)
SG導線接続を通じ、ブイは浮遊車両側の防御システムを操作し、車載哨戒機関銃で街路のモーターを掃射した。一人の改造人が右腕の「爪牙」抓鉤銃で車のそばまで登ってくると、ブイは右手で腰の「右銃」を抜き、その侵入者の鋼鉄の頭を一発で粉砕した。
伭昭は車尾に立って連続して遠距離から数人を斬った後、光鎌の能源池残量を考慮し、光鎌を収め、素早く地上の超重型動能機関銃を抬起し、依然として諦めない疯犬帮に掃射した。その弾丸は高速道路の車線を破壊し、掃射された改造人は全身が砕け、掃射されなかった者も道路の破壊でモーターから墜落し、生き残る者は稀だった。
「お前に当たらないなら、ハッキングしてやる!」
一人のハッカー改造人が伭昭の脳機に侵入しようとした。彼の改造された左眼が展開したが、視界は侵入の瞬間にぼやけた。左眼から火花が迸る中、車尾に立つ伭昭はその侵入者を一瞥した。
(「俺も彼女から何手か学んだんだ。お前たち程度の侵入など問題にならない。」)
冷たい音声の嘲笑を送信した後、伭昭はそれらの者たちの情報をブイに送り、浮遊車の哨戒機関銃が敵をロックし、それらの脅威を正確に射殺した。
(「親分、我々はもうほとんど死にました!」)
(「慌てるな、俺がお前たちの仇を討ってやる——」)
[ベクトル瞬移]
「ハロー!」
(「いつ?!」)
伭昭は機関銃を置き、振り返ってその超大型金属袍を着た義体改造者と対峙した。余光でその陥没した地面を分析すると、この女は地下鉄から地面を破って出てきたのだろう!
双方が同時に拳を振り出し、拳が拮抗した時、相手の拳から血が迸った。しかし短い対拳の後、相手の拳はなんと拡張し、超比例のガトリング機関銃を形成した。
「撃ち殺してやる!」
「ダダダ、ダダダ——」
ガトリングが突然加速して回転し始め、伭昭は左拳でそれを破ろうとしたが、相手の細い右腿の膝から折りたたみ尖刀が飛び出し、伭昭の襲い来る拳を弾き飛ばした。
「この女! 只者ではない……」
「ダダダダダダダダ!」
ブイは突然ハンドルを操作できなくなり、振り返ると、車底がすでにびっしりと弾痕で埋め尽くされていることに気づいた。深刻な損傷を受けた浮遊車はまもなく墜落する。伭昭は彼を引き上げ、高速道路のトンネル内へ跳んだ。
[ベクトル瞬移]
(「彼女もこの技を!」)
「弾の雨を浴びろ、小僧!」
長袍をまとった女は左腕を回し、そのガトリング砲筒をトンネル奥へ向け、そこから通常を遥かに超える徹甲弾を発射した。その射速は速く、直接伭昭の背中の機殻背甲を穿った。
伭昭はブイを隣の脱出通路へ投げ込むと、光鎌を抜きながら振り返り、光鎌を回転させて射来する恐るべき火力を防いだ。その女は上半身の重厚な装甲以外、理論上は弾薬を多く蓄える場所はない。伭昭はその者の身体を観察した。下半身はほとんど軽装で、両腕の下に吊るされた弾帯が絶えずガトリングに引き込まれ、しかし同時に補充されていた。
(「まさか——[機械因子]?」)
[機械因子]、それはSEUの主要指導者の一人:[機王]の身体が生み出す因子である。[機王]が無から器械を製造できるなら、この女も無から弾薬を製造できるはずだ。ただし制限はあるに違いない。この世で[機械因子]を持つ者たちは、皆[機王]の下から死里逃生した者、すなわち「アイソロン文明滅絶」事件から生き残り、かつ[機王]の身体から「体液」を吸収しなければならなかった人物たちだ。これらの者はごく僅かだが、[機械因子]は劫後余生の彼らに強力な能力と、極めて強烈な副作用をもたらした。
伭昭はそう推測した。相手もまた[機械因子]獲得者だろう。しかし、普通の約氏星に、なぜ[機王]の殺戮から逃れた人物が存在するのか、その秘密は知る由もない。
(「お前は一体何者だ?」)
(「教えるもんか!」)
その女は射撃しながら突進し、平手で伭昭の光鎌を叩き落とした。伭昭は後空翻で足場を固めた後、相手のガトリングでトンネルの壁に叩き込まれた。彼はズボンの脚から散弾集束銃を取り出したが、相手の腰側から展開した機械腕に突き砕かれた。
(「お前はただの『疯犬帮』の親分ではないだろう!」)
[過負荷モード]
伭昭は右拳を弓なりに構え、その女にガトリング砲を撃たれながら、相手の銃筒を粉砕した。相手は鋼鉄の頭部鉗手で彼の首筋を挟み、伭昭の肩部の機関銃モジュールがその者の眼罩へ向けて掃射した。
「無駄だ! お前の首をへし折ってやる!!」
敵の鉗手が少し力を込めると、伭昭の首筋は圧迫され、装着型機殻からも火花が散った。窒息の苦痛に耐えながら、伭昭の肩の機関銃が弧形光線を発射し、二条のレーザーがその女の鉄袍背部の気孔から貫入した。
「ぐっ!」
(「今だ!」)
伭昭は相手が思わず手を緩めた瞬間に踏ん張り、ベクトル瞬移で十数メートル離れた場所へ移り、地上の光鎌を掲げた。相手が身をひねって銃を上げた時、伭昭は一太刀でその女の右腕を切断した。
「少しは腕があるな、クソ野郎!」
その女の断腕は再び生え、元の義体手の形に戻った。伭昭はその隙に彼女のカメラをハッキングし、マントを羽織って隐身した。彼は相手の脳機に一秒侵入し、相手の基本情報を得た。
(「ジフェイシ、アイソロンA星生存者。[機王]に『体液』を注射された後、幸運にも生き残った……」)
(「見るな!」)
伭昭の脳機は相手に接続を中断され、同時に自分の位置を露呈した。その女の袍の下から二つの銃筒が伸び、数発の追跡ミサイルを発射し、伭昭を地面に撃ち倒した。
[過負荷モード]
伭昭は右掌を伸ばし、相手を過負荷状態に陥れた。彼は賭けに出た。攻勢を耐え抜けば、相手の義体と機械神経が短時間の「器械疲労」に入る。
「お前、正気か? 小僧——」
ジフェイシは鋼鉄の鉗手を伭昭の腹部へ打ち込み、彼は血の一滩を吐いた。連続する狂った連打の後、伭昭は突然相手の頭頂部へ瞬移し、左腿を上げて下へ蹴り下ろした。
[ベクトル瞬移]
ジフェイシも劣らず、ちょうど後退して伭昭の床を砕く一撃をかわした。相手は彼女の精力を事前に消耗させたいなら、この数十秒を利用して、彼を徹底的に粉砕してやる!
(「彼女の左腕はどこへ?」)
皮膚の光学迷彩モジュールを利用し、ジフェイシの左腕は伭昭の後半身と同じく透明不可視になった。鉄鉗が彼の右腿を挟み、同時に彼の脚部の神経系を圧迫し、まさに身動きできなかった。伭昭が光鎌を振ると、ジフェイシは凝縮して巨大外骨格抓手となった右手でその鎌の頭部を一握りし、鎌頭を折り曲げる方法で光刃をトンネル頂部へ反射させた。
(「まずい、このままでは鎌が折れる……」)
伭昭は光鎌を回転させ、脳機で相手の鉗手に侵入して手を離させた。過負荷の後にさらに侵入されたため、ジフェイシは左手の異常に気づくと伭昭を直接さらに遠くの壁へ投げつけた。
[ベクトル瞬移]
相手の突発的な右拳をかわし、伭昭は光鎌を掲げてジフェイシの外骨格右腕を切断した。腰に掛けた集束散弾銃を取り出し、伭昭はその女の腹部を射撃し、直接いくつかの穴を開けた。
(「くそ、まだ奥の手を隠していたのか!」)
ジフェイシは胸腔と腹部を伸展した外骨格装甲で囲み、同時に外骨格内壁の鎮静栓をそれらの穴に挿入した。過負荷効果により、彼女が胸甲を閉じる効率は増したが、両腕の神経はますます怠惰になった。
(「時機到来!」)
伭昭は一脚でジフェイシを蹴り開き、身の下から光鎌を掲げ、相手の重厚な外骨格装甲に深い切痕を残した。
(「私の脊柱……」)
ジフェイシは腰部のトルクを支えられず、そのため上方の視界しか見えなかった。腰腹にモニターを生成した時、伭昭はすでに身を隠し、姿を消していた。
(「㭉(カ)さん、早く逃げて! あの義体改造者たちがまた来た!」)
(「ぐっ——」)
「そこに隠れていたのか!」
ジフェイシは走査でブイの脳機を盗聴し、伭昭の頭部へ左拳を振り出した。過負荷効果のため、伭昭は脱身できず、そのまま相手に隻眼面具を粉砕された。
「ぶふっ!」
伭昭は倒れ、光鎌が脇へ落ちた。ジフェイシは一脚でその光鎌を蹴り開け、続いて再び左拳で伭昭の首筋を挟んだ。彼が引き上げられた時、ブイは隣の安全通路に隠れ、レーザー突撃銃を握り、ジフェイシの目を射撃した。
「痒いだけだ!」
ジフェイシは伭昭を地面に叩きつけ、続いてブイの面前へ突進した。
(「死ぬ!」)
[ベクトル瞬移]
まさにこの瞬間、伭昭は五穴から血を流す危険を冒して光鎌を拾い、ジフェイシの右腕を切断した。しかしその拳はすでに飛び出しており、ブイを直接扉の後の壁板へ叩き込んだ。
「私はお前の脊柱神経接続を切断した。次の数秒以内に、お前を解決する!」
「ならばやってみろ——」
………
(数分後)
「咳……」
片膝をついた伭昭は光鎌を握り、次第に装甲を成長させる、同じく息を切らしたジフェイシを見上げた。幾度かの手合わせの後、彼は激戦中に片腕を失ったが、幸い密輸した復生剤がまだ少し残っていた。その液体は彼の肩の貯蔵倉から体内へ注射され、右腕は元通りに回復した。
「復生剤? どうやってそんなものを?」
「お前に知る権利はない。」
「親分、こいつをバラバラにしますか?! このクソ野郎ども、俺たちの兄弟を大勢殺しやがった!」
レーザー流星鎚を振るう義体改造者がちょうど駆けつけ、ジフェイシの他の子分たちもモーターに乗ってやって来た。
(「ブイ、早く逃げろ。俺は後で君と合流する。」)
(「㭉(カ)さん、俺は援兵を探して来ます!」)
「まだ瀕死の足掻きをしているな~ 決めたぞ、お前を捕まえて、私の練習台にする。」
「夢を見るな!」
[ベクトル瞬移]
口腔内の熱い血が風に消え、伭昭はミサイルが襲来した瞬間、先ほどブイがいた安全通路へ潜り込み、続いて身体の慣性で階段の下へ墜ちた。ジフェイシはこれを見て、右腕を隣の子分が担いできたドリルに接続し、まっすぐ地中へ掘り進んだ。
「ドン!」
地下通路の壁を砕き、ジフェイシは地面に横たわる伭昭を一掴みし、周囲の壁へ狂ったように叩きつけた。
「まだ隠した殺し技があると思ったが、お前の腕なら、本大人はお前を生かしてやってもいいと思ったぞ!」
周囲の壁を砕いた後、ジフェイシは全身で伭昭の上に圧し掛かり、彼が手にした光鎌を上げられないようにした。両拳で彼の手首を鉗み、前胸の外骨格骨格でさらに彼の身側を抱え込み、伭昭はこの瞬間、まさにジフェイシの掌中の物となった。
「よく見ると、お前なかなかいい顔をしている。少し改造すれば、私の玩具にするのにふさわしい~」
「俺は身体をサイバーパンクの時代まで退化させるつもりはない……」
「㭉(カ)さん!」
ブイはレーザー走査付きの分裂式ロケットランチャーを担ぎ、隣の壁の隅から飛び出した。腹部に傷を負っていても、彼は無理に身を起こし、ジフェイシの身体へミサイルを発射した。
[防御モジュール起動]
ジフェイシの欠けた袍の上に防砲罩が覆い、それが爆破された時、身の下の伭昭を必死に守った。
(「親分! 親分! 何が起きたんです!」)
トンネル内のモーター隊は緊張万分だった。地下で事故が起きれば、彼らは親分の保障を失う。正直に言えば、ジフェイシがいなければ、彼ら「疯犬帮」が本来の指導者に率いられていたなら、数ヶ月で偽死軍に片付けられていただろう。
「待て、『ハム子』! トンネルの向こうから車両が来る!」
「民間か、それともサツか?」
「偽死軍の兵だ、くそっ!」
トンネルの反対側から、数台の軍用戦車がゆっくりと駛って来た。その上には偽死軍公式の図標が貼られ、完全な装備を備えていた。それらの義体人を走査すると、戦車は一斉に砲弾を発射し、トンネル内の全ての雑兵を掃討した。
(「上で何が起きている?!」)
ジフェイシが身を起こそうとした時、彼女の脊柱は過度に扭曲したため身体を支えられず、伭昭の上に圧し掛かるしかなかった。伭昭はこの時、彼女の胸に閉じ込められるしかなかった。ブイは緩慢に前に進んだが、ジフェイシの袍の上の智能銃匣が先に彼をロックした。
「ブイ、やれ!」
「やるものか!」
ブイはロケットランチャーを置き、両手で二丁拳銃を抜き、緩慢に二人のそばへ歩いた。ジフェイシは機関銃を撃ち、ブイの足元へ数条の弾痕を射ったが、それで彼が退くことはなかった。
「お前は俺たちを追って何のためだ? ただ一人の子分のために?」
「俺の『疯犬帮』の子分を傷つけた者は、俺の敵だ!」
「明らかに彼が先に俺たちを強奪したんだ! 強奪と知りながら、お前の道徳的底線は一体どこにある?」
ブイは大声で叱責し、身体は微かに震えていた。彼は相手を警戒し、相手が発砲する前に反撃し、同時に伭昭に息をつく時間を与えねばならない。
「下の者、少し空間を空けろ。」
上方の階段から跳び下りた重装兵士が、床を踏み鳴らす振動で銃を持つブイを驚かせた。その者はジフェイシの前に立ち、動力装甲で一脚ジフェイシを蹴り倒した。
「君は誰だ?」伭昭は緩慢に立ち上がり、脇の光鎌を拾った。
「迎えに来たのだ、伭昭さん。」その重型装甲兵は両手に改造加重型突撃イオンライフルを持ち、振り返らずに銃口を、ちょうど起き上がろうとしていたジフェイシへ向けた。「私は『モティス』偽死軍集團の後線偵察官、パンク・ヘンシ。君が我が方基地へ向かって来た時、我々は君たちを迎える準備をしていたのだ。」
能池:正式名称は能量儲蓄池(エネルギー貯蔵プール)。日常および軍事充電の両方に用途があり、分類も多岐にわたる。蓄能型武器(エネルギー蓄積型武器)にとって極めて重要な「弾薬」供給装置であり、改造を誤ると爆発を引き起こしやすい。




