第五章 私は絶対に許さない、あなたの所業を。
「まだ……終わってない……」
広大な血の海の上を歩き、両足がその血水に浸されるままにしていた。双眼は虚ろな彼は、うつむきながらイオンライフルを掲げ、魂を失ったかのようによろめきながら前方へ歩いていく。
「戦争は……まだ終わってない、終わってない——」
戦場で敵を殺し、国のために誉れを勝ち取る。なんと崇高な理想だろうか……敵に憐れみなど一切不要、いっそ全て殺してしまえ! 彼は狡猾な笑みを浮かべ、足元の血の海を蹴り、波紋を広げた。
「ふふふ……ははは……」
あの死体の山の前に歩み寄ると、彼は両膝をつき、彼らの「遺産」をかき集めた。武器装備だろうが、価値ある機器だろうが、全て持ち去らねばならない! 戦争はまだ終わっていない。彼はこれらの物を軍隊に寄付し、そして上へ上へと昇り詰め、いつか邪悪な敵軍と対抗できる力を得るまで!
「そうだ……お前はまだ持ちこたえられるだろ!」
血の津波が押し寄せ、彼は両腕を広げ、そのまま原点へと押し流されるに任せた。次に、彼はただ再び立ち上がり、そしてさっきの場所へ戻ればいい。
(「本当に飽きないものだな……起点に戻っても、いつも終点へ行こうとする——俺の人生は、そんな循環なんだ。」)
「許せない……」
再びあの骸の元へ歩み寄り、彼は役に立つものを探し続けた。電磁砲、外骨格腕甲、損傷した電子チップ、そして一本のスタンガン。
「このスタンガンか……」
(「待てよ……」)
「なぜ、なぜこのスタンガンなんだ? お前、なぜここにいる!」
彼は後ろに座り込み、スタンガンを捨て、それらに激しく抵抗するように身を引いた。いけない、冷静になれ。彼は両手で頭を抱え、そして振り返って後ろへ這っていった。
再び襲い来る波が彼の身体を飲み込み、元の廃品の山へと引き戻した。おかしいだろ、こうなるはずじゃない! 前に進めば送り返されるのに、なぜ戻ろうとするとまた引き戻されるんだ?
(「早く逃げ帰らなきゃ、逃げ帰るんだ!」)
起点へと走り戻った彼は、額の汗を拭おうとしたが、ティッシュがない。血が目にまで流れ込んできて、本当に堪らない。
「少しだけ借りるぞ、この本……」
一ページを破り取り、それで額を拭うと、血色が額に広がった。この紙の質感は並だが、本の紙だと思うと、彼は許した。
彼は血にまみれた紙くずを捨て、さらに一枚破ろうとした。しかし、何気なくその本の表紙を瞥見した時、異常なことが起きた。
「この本……超ヤバいだろ!」
彼はさらに後ろへ下がった。まるでその本がスタンガンと同じ何かの呪いを持っているかのように。この感覚はさっきと全く同じだ、本当に嫌で堪らない!
「その名を読め。」
「何?!」
「早くその名を読め。」
「そんな、まさか……」
誘惑に対して、彼は無視することにした。これだけの時間、彼は循環を完了しなければならないが、どうやっても同じ過ちを繰り返すだけだ。
「読まなければ、お前は永遠に循環を完了できない。」
「なぜ……なぜ俺が読まなきゃいけないんだ!!!」
彼は目を閉じ、その本を廃品と屍骨の山へと投げ捨てた。これで一時の苦痛は解決したが、終点に辿り着こうとすれば、必ずあの本を見ることになる!
「いけない、俺は行けない……」
[システムエラー発生]
「俺は行けないんだ……」
(「なぜ向き合おうとしない?! 」)
彼は再び目を閉じ、血水が額から流れ落ち、両眼を覆った。
「怖いんだ、もう向き合いたくない……」
「私は絶対に許さない、あなたの所業を。」
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(キンストラン市、約国国防部、天空軍基地)
(「[零之切割]が私に会いに来る?」)
(「その通りです、ユリアン将軍。[零之切割]は三分後に基地に降下します。」)
(「分かった、切るぞ——」)
零之切割が天空軍基地に降下すると、太空軍の者たちはその降臨に注意を奪われた。これから戦場へ飛び立とうとする者さえ、一瞬だけでも全てを滅ぼす怪物を見下ろした。
「あれが[零之切割]……」
テレビで見たことがあっても、その場で見るその機械は印象を一変させる。武装ヘリコプターよりも高い巨躯、そして威圧的に広がる背脊、上から見下ろすとまた別の感覚だ。
(「[零之切割]様、検証の結果、入場許可が確認されました。以後『誘導者』に従い、外の広場へ向かい、ユリアン将軍とお会いください。」)
「…………」
一言も発さず、[零之切割]は自分の腰の高さまでの誘導機械体に従って前進した。その重い足音がどれほど大地を震撼させるかはもはや言うまでもない。彼が去ると、誰もが解放感と安堵を覚えた。
「あれが[零之切割]か?」
先ほど基地に戻ったばかりのハインベルク・リーンも、その[零之切割]の降臨を瞥見した。心中に突然の衝撃が走り、あの男が一瞬自分の姿を捉えたような気がした。
それは彼女の幻視に過ぎなかったが、彼の出現は確かに彼女の心に波紋を呼び起こした。彼は広場へ向かうという。優里安と衝突するかもしれない、あるいは手合わせするかもしれない。
「[零之切割]様、優里安将軍の前では、礼儀正しくお願いします。」
機械体からの信号である以上、[零之切割]はそれを人間とは見做さず、固定プログラムとみなし、その発言をまとめて忘れた。
(数分後)
「お前がユリアン・ヘンシ、前線の統帥か?」
「そうだ、零之切割。」
[ベクトル瞬移]
瞬時にして、零之切割は左腕を巨大な鋼鉄の手刃に変形させ、優里安を即座に反対側の演練防撞壁へと殴り飛ばした。
「[零之切割]、許可なく基地内の者への攻撃は禁止です!!!」
「この程度の攻撃で死ぬような奴は、統帥の職には堪えないだろう。」
瞬く間に、零之切割は自分に向かって飛来するミサイルを捕捉した。しかし右拳を振り抜いた後、それが自分の攻撃をかわした優里安将軍だと気づいた。
[ベクトル瞬移]
零之切割が右腕の砲塔システムを展開しミサイルを発射した瞬間、優里安は彼の右腕に駆け上がり、零之切割の頭部に容赦なく一蹴りを叩き込んだ。
(「なかなか……」)
右腕の爆発の熱波が彼の右半身に広がる中、優里安は数十メートル後方へ退いた。零之切割は右腕を震わせ、腕に折り重なった砲塔を収めた。
「俺の何手を受け止められる?」
優里安の背後遠くの防撞壁はすでに巨大な穴を穿たれ、その表面はまだ溶岩の余熱を放っていた。彼の一手を受け止める者は極めて稀だ。この約氏星で、ついに一人の好敵手に出会った。
「分からないな、もしかしたら私が勝つかも?」
「傲慢だ。」
[汎空凝爆槍]
(「ユリアン将軍、[零之切割]は既に戦争犯罪を構成しています。全軍にこの者への攻撃を命じてください!」)
(「いいえ——」)
[ベクトル瞬移]
優里安は首を振って周囲を粉砕する砲火をかわし、続いて左腕の軍刀で零之切割の右腕を受け止め、そのまま地面を一回転して安全に着地した。しかし相手は直接突進してきて、彼女は反復して回避するしかなかった。
「隙はここだ!」
軍刀を相手の肩の隙間に突き刺した時、零之切割の拳が彼女の腹部に命中した。しかし彼女は堪え抜き、軍刀に内蔵された武器を起動した。
(「?!」)
[ALL・爆裂碎片]
その軍刀は零之切割の体内で爆発し、広場の上空に濃煙が広がった。優里安は迅速に後方へ瞬移し、口内に流れ出ようとする血を含んでいた。
(「復生剤注射中」)
「あの一発は他の者なら消し飛ぶが、俺にはまだ足りないな。」
零之切割は手を一振りすると、濃煙はたちまち遠くの空へと払われた。あの軍刀が彼の腕から弾き出され、優里安が抬壁で受け止めた。
「どうだ? [零之切割]。」
「今のお前なら、俺と協力する資格があると認めよう。」
零之切割と優里安はそれぞれ初めての手合わせで披露した武器を収め、近くへと歩み寄った。
(「終わった……?」)
遠くの瞭望塔に立つリーンはその二人の姿を見つめ、心にまだ物足りなさが残っていた。優里安将軍がまさかあの[零之切割]と数手を交えられるとは、彼女はそれに非常に驚いた。
(「相手が手を抜いている可能性もあるな……」)
「手を抜いたな、[零之切割]。なぜ[死線]を使わない。」
「お前を殺すつもりはなかった。あの武器は、俺が興味を持った敵にしか使わない。お前の魂が凡庸になった時、殺してやっても遅くはない。」
「ならば、自分がやりたいことを成し遂げる自信があるなら、私のところへ来る必要もないだろう?」
「今朝お前が来なかった会議で、俺はあの政治家たちにお前のところと同盟を結ぶと約束した。だが、実際には俺は独立している。俺を命令できると思うなら大間違いだ。」
「ふん、そんなこと私は望まない。[零之切割]、先に言っておく:あたしはお前がどれほど有能だからといって、お前に指図されるままにはならない。せいぜいお前の身分を尊重するだけだ!」
「奇遇だな、俺も同じ考えだ。」
この後話されることを、リーンは知る由もなかった。優里安と[零之切割]が執務室で何を話すのか、成功するのか、誰にも分からなかった。
「やはり、[零之切割]はSEUの命で敵味方三方を牽制するのですね。大統領、今回の会議で我々は彼に主導され、この不平等な協定を結ばされました。」
「シャオファンアル長官、[零之切割]に関しては、彼は高等文明から派遣された協力者である以上、彼の意に沿うのは当然だ。理不尽に奪う強盗とは違い、[零之切割]はむしろ原則を重んじる男だ。敵に対しては、我々は玉砕しても瓦全を選ばない。しかし彼は敵ではない。我々はただこの札を冷静にさせれば、彼は自然と『モティス』偽死軍の殲滅に協力するだろう。」
「この世はやはり危険が多い、ジョリナ大統領。彼は今、優里安将軍と話している。先ほど伝わった戦闘情報は、すでに侵略行為と定義できる。」
「心配するな。たとえ我々が反応を示しても、今何が変えられる?」
数十キロ先に戻り、零之切割と優里安将軍の交渉の後、二時間後に[零之切割]が先に聖石遺跡坑へ向かい地域の監視を行い、約国の専門地皮解体工程部が後に地皮の専門的な解体を行うことが決定された。
「専門的なことは専門家に任せましょう、[零之切割]様。」
「俺もそう考えていた。」
「では、対応する小隊を派遣してあなたを補助します。あなたの武力が強大でも、聖石遺跡坑が誤って破壊されないよう、私の小隊はあなたが気づかない細部を補完できる。」
「俺の目はどの敵も見逃さない。そして遺跡坑が破壊される心配は無用だ。俺の精度は、お前たちの全ての武器の照準器よりも高い。」
「そうだ、[零之切割]様、この後、何をなさいますか? 締結された政約によれば、我々軍を助け、『モティス』偽死軍への攻撃を行うはずです。」
「どの程度の攻撃とは言っていない。」
「では、ご自由に。退屈なら、天空軍基地に遊びに来てもいいですよ。」
「ここに遊びに来る気はない。お前たちの星の風景や奇観は、とっくに全部見て回った。それに、なぜ俺をここに遊びに来させる——」
「あなたは既に私の脳機内の公開情報を取得しています、[零之切割]様。隠すつもりはありません。私の生徒、ハインベルク・リーンのことです。彼女はあなたに学びたいと思っています。個人的に強くなりたいという理由で——正直、彼女は時に幼いところもあります。」
「なぜ俺が彼女を構わねばならん? 彼女は天空軍の一員だ、なぜ俺が教えねばならん。」
「あなたはずっと万事に退屈を感じているのでしょう、[零之切割]様。彼女の教官になれば、あなたがずっと抱えてきた『無感覚』を治療できるかもしれません。」
「俺はこの件を気にしない、ただこの件を伝えただけだ。俺が何をしたいかは、俺がしたいと思った時にしかしない。今はそんなことをしたいとは思わない。」
「つまり、今後は考えるかもしれないと? 今は興味がなくても、後には考えが変わるでしょう。」
「先に行く。お前は解体工事の協力準備を整えておけ。同時に、一つ警告しておく——お前たち約国にはスパイが紛れ込んでいる。それが誰かは、俺の関知するところではない。」
零之切割の脚部の推進器が展開すると、彼は直接直線飛行で遠くの高空へと向かった。巻き起こる暴風が優里安の長髪を揺らしたが、彼女の真っ直ぐに立つ身体を揺るがすことはなかった。
(「リーン、まだぼんやり我々を見ているのか?」)
(「申し訳ありません、優里安将軍……ただ情報を知りたくて。」)
(「軍情を覗き見する過ちを犯した。早く兵営に戻れ。」)
(「遵命。」)
零之切割に関して、彼はペステルガン武装公司に戻った後、聖石遺跡坑を研究する者たちのところへ行き、そこの全分析情報を収集することにした。
(「[夏隱子]、今どこにいる?」)
(「ここで犯罪事項を処理しています。既にここの総警察部と内務庁に潜入し、首都本部内部の監視を行っています。」)
(「俺があの地域を解体しSEUに移送したら、お前は帰っていい。」)
(一時間後)
現在プロジェクトは順調に進んでおり、[零之切割]はペステルガン武装公司で残りの事項を解決した。彼はここから撤退し、一連の付属物品を持ち去ることにした。
「[零之切割]、ここの物を持ち去りたいなら、それなりの金額を払う必要があるようだ。」
「値段を言え。」
「お前のために特別に用意した全施設を撤去するとなれば、少なくともこれだけは必要だ。」そう言って、ペステルガンは指を一本立てた。
「一千万時幣?」
ペステルガンはうつむき、斜めに笑みを浮かべて彼を見た。
「一億——」
言い終わる前に、零之切割はすでに左腕を上げ、変形させた分裂光線銃をその強欲な男に向けていた。熱気が膨張し、溶岩のような銃口が黄色い光を放ち、ペステルガンの次第に汗ばむ右顔を焼いた。
「普段から随分と貪っているようだな? ペステルガン。一億時幣、どこの宇宙装備を買うつもりだ?」
「そう暴力的にならないでくれ、[零之切割]。私の言う一億は根拠のないものではなく、確たる財政帳簿があるのだ。」
「送ってこい。」
ペステルガンの脳機から送られた各種関連帳簿と契約条約を受け取ると、零之切割は渋々左腕を収めた。棠娣を買い戻すだけで、一千万時幣以上かかる。
「全球戦争時期の『罟』組織の従犯だから、まあまあの商品だろう。」ペステルガンは両手をポケットに突っ込み、心地よさそうに言った。「知らないだろうが、彼女を買い取って私刑に処したい者は多い。公民身分がないから、彼女はこの社会で『犯罪者』と見做されるしかない。」
「どうやら、俺のお前への態度はまだ優しすぎたようだ。お前が武器商人の資本家なら、人間として扱うべきではなかったな。」
「恐れ入ります~」ペステルガンは彼にお辞儀をした。「今SEUはきっと、お前に私の小さな武装公司を破壊させないだろう。牽制である以上、私も仇を恩で報い、お前の計画を邪魔しないでおくよ。」
一億の公金を、零之切割はSEUに報告しなければ受け取れない。軍用類人機として、彼はこれらの帳簿と署名をSEUの約氏星系情報部分部に送り、次いでSWU本部の歅涔先生に送らねばならない。歅涔が支払いを承認して初めて、彼はこの一億時幣を対応施設と人員の購入に充てられる。
「俺は大金でこの横暴な条項を払うほど愚かではない。ペステルガン、正直に言おう、俺がもっと買いたいのは、お前が困窮した時の間抜け面だ。」
「いつでも無料で私の若き日の失敗写真を送ってやるよ、ついでに私の『成功者』としての身分も宣伝してくれ。」
「では、もう行け。」
ペステルガンの気づかれにくい邪悪な笑みとともに、零之切割は次第に去っていった。今彼はSEUの規則に従い殺意を抑えねばならない。ペステルガンであれ、約国の官僚であれ。しかし彼が決して許さないのは、他人が自分の上に座り、自分より高みに立つことだ!
(「私は絶対に許さない、あなたの所業を!」)
(偽死軍実効支配都市:奥平澤)
「本星間便は終点に到着しました。全ての乗客は五分以内に直ちに下車し、列車警備の指示に従って秩序ある車両退出にご協力ください。」
ロケット列車が駅舎プラットホームに降下した後、戦争のため、降りたのはわずか百人ほどだった。保安検査を通過すると、現地人と大差ない異星人たちは輸送類人機に乗って駅を離れ、航站入口に送られた後、現地の無人タクシーに乗れば、簡単に目的の場所へ到達できる。
(「ここに来るのはみんな黒仕事の連中だぜ、兄ちゃん。初めて見るから、金は少なくまけてやる。素早く行きたい場所へ連れて行ってやる、どうだ?」)
「このご時世、車まで自由競争するのか?」
その改造済みのタクシーを前に、独眼面具をつけた男はその車のライト(一応目と見做す)を一瞥し、そしてうなずいた。
「その自信満々な態度が気に入った! 早く乗れよ、装備は俺がトランクにしまってやる~」
「いや、手元に握っておく。」
その男は右腕を伸ばすと、背中に付着していた光鎌がまっすぐに彼の手に飛び込んだ。タクシーに乗り込むと、彼はそれを自分の脇の座席のそばに置いた。
(「結局、最後はお前のところに来ることになったな。」)




