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矽元湧離・死亡の環(Death Ring)  作者: 無可久雅
第1巻 初めての殺し合い
2/13

第二章 統治か破滅か

お久しぶりです。『矽元涌離(ケイゲン・ユウリ)』シリーズがついに始まりました。別の作品を書いているのですが、またこの作品を書く気になってきました。読者の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。必ずしっかりと考えてこの小説を書き上げます!

(微風そそよ)


黄色い壤土の上に停まった浮遊船の傍らで、紫色の長袍を着た男が自動式の寝椅子に悠然と横たわっていた。両手を頭の後ろに組み、双眼は晴れ渡った空を眺めている。久しぶりの休息に勝るものはない。


「坴(リク)先生、約氏星(やくしせい)で最近動乱が起きました。我々の商売は終わらせねばならなくなりそうです……」


「ああ……商売ってのはな、試練に耐えなきゃならんもんだよ——」坴(リク)は寝椅子からゆっくりと身を起こし、右手で船外に吊るされた箱を取り、左手を濃い縞模様のズボンのポケットに入れたまま、遠くへ歩き出した。


[閘門開く]


広い草原に、突如として閘門が現れた。坴(リク)は悠然とその中へ足を踏み入れる。たちまち周囲の風景は真っ白な投影部屋へと変貌した。


「約氏星(やくしせい)で我々の業務を妨害している奴は、誰だか分かっているのか?」


「零之切割(ゼロ・カッティング)です……」


(「零之切割(ゼロ・カッティング)?」)


坴(リク)は眉をひそめ、地面(じめん)に目を落とした。


「死者はどのくらいだ?」


「我々は……十のうち八九は死傷しました……」


「つまり、あそこにいた十万人全員が死んだのか?」


「はい……坴(リク)先生、ほぼ全滅です。」


「…………」


「すぐに戻ってこい。奴に出会ったら、運が尽きたと思え!」


「了解しました!」


(通話終了)


(「予定より早い。まさかモティス偽死軍(ぎしぐん)が最近活発になりすぎているのか?」)


坴(リク)は何も言わず、左手で錠前に手を触れ、その閘門を閉ざした。


[約氏星(やくしせい)、首都ロウェイナン]


(ペステルガン武装公司(ぶそうこうし))


「零之切割(ゼロ・カッティング)、年齢不詳。時似對銘国(じじたいめいこく)の軍用類人機(ぐんようるいじんき)の一機と推測される。死前の身分は戦時中の戦場で戦っていた軍人だった…………」


キーボードを打つ音が途切れ途切れに響く。オフィスエリアにいる文官の一人が、零之切割(ゼロ・カッティング)に関する全資料を整理している最中だった。


「気性は荒く、一度自身の定義を固めると、説得は極めて困難。下層階級に対しては『自己を尊ぶ』感覚を持っている。かつて一人の市民が彼に不敬な発言をしたため、その場で射殺したという記録もある……」


その文官はコンピューターを見つめ、両手を腰に当てた。視線の移動だけで端末を操作している。


「U101、零之切割(ゼロ・カッティング)の資料は整理済みか?」


「整理済みです。既に公文書館に送信しました。」


(「かなり危険な相手のようだ……」)


………………


(「危険? 危険で結構。俺が生み出された理由は、犯罪者たちを致命的な危険に陥れることだからな。」)


「ドン!」


「零之切割(ゼロ・カッティング)が入ってきた!!!!」


(数時間前、約氏星(やくしせい)、麻薬取引暗区)


(警報鳴り響く)


「うわあああああ————」


衝撃波に呑まれた麻薬密売人たちは、自身の肉体が四方八方に引き裂かれるままに任せていた。猛烈な業火の中、無数の設備や機材が一瞬のうちに高熱で焼け尽くされる。零之切割(ゼロ・カッティング)——この恐るべき殺人機械は、両手を掲げ、遠方に向けて致命的なハンドキャノンを放った。


「お前ら如き雑魚に、俺の本気を見せる価値はない。」


[核能衝撃波(かくのうしょうげきは)]


二億トンのTNT換算エネルギーを放ち、零之切割(ゼロ・カッティング)は核エネルギーを集中させ、半径百キロの大地を一瞬で灰燼に帰した。約氏星(やくしせい)の地殻強度は琳懺星(りんざんせい)に遠く及ばないため、これ以上の出力は抑えた。


「実に退屈だ。」


麻薬暗区を完全に焼き尽くした零之切割(ゼロ・カッティング)は右手を掲げ、掌の上に次第に大きくなる光の輪を幾重にも浮かび上がらせた。拳を握りしめて下方に引き裂くように振るうと、空中を逃げ惑っていた飛行艇の全てが彼の方へと引き寄せられた。


機体が次々と押し潰され、爆発の火花が零之切割(ゼロ・カッティング)のヘルメットに降り注ぐ。不気味なキノコ雲がこの元は陋巷であった地域を覆い、既に墓場へと片足を踏み入れていた暗区に墓碑銘を刻んだ。


「零之切割(ゼロ・カッティング)、お前の新しい仲間が来たぞ。」


「誰だ?」


「歅涔(えんしん)先生から派遣された、[夏隱子(かいんし)]だ。」


「あいつか……少なくとも恥をかかせはしないだろう。」


[通信断]


「ふぅ~今回は何とかやり過ごせたかな。」


浮遊椅子に寝そべったステスは清潔な天井を見上げていた。最近の仕事は彼をほぼ息切れさせていた。零之切割(ゼロ・カッティング)——彼は毎日その相手と連絡を取らねばならず、彼にとっては外部における半ば情報伝達者のような存在だ。だが、零之切割(ゼロ・カッティング)にとって、彼の存在はあるようでないものだろう。


(「少なくとも形だけは整えねば。あの男は、自らを卑下する者を何よりも軽蔑しているからな。」)


一方、零之切割(ゼロ・カッティング)は重い足取りで、焼け焦げた地面(じめん)を大股に踏みしめながら歩いていた。一人でも犯罪者を取り逃がすことは、彼にとって決して許し難いことだった。


「ガサゴソ~」


物音を聞きつけ、零之切割(ゼロ・カッティング)は即座にその航空機の残骸へと瞬間移動した。瓦礫から辛うじて這い出ようとしている、全身火傷を負った構成員の一人が半身を出したところで、その右掌を零之切割(ゼロ・カッティング)が直接踏み潰した。


「うわあああああ————」


「お前のボスは誰だ?」零之切割(ゼロ・カッティング)は左足をその場でひねり、相手に耐え難い重力を負わせた。


「坴(リク)、坴(リク)先生です——」


「よし。」零之切割(ゼロ・カッティング)は左足を上げ、即座にその構成員の頭部を踏み砕いた。


相手の脳機を読み取ることで、零之切割(ゼロ・カッティング)は既に「坴(リク)」の情報を掌握していた。だが、相手は約氏星(やくしせい)から遠く離れており、彼の最優先目標はモティス偽死軍(ぎしぐん)を殲滅することだった。


………………


(モティス偽死軍集團(しゅうだん)、指揮センター)


「バクロフ、拠点移転について、早急に承認を得るべきだと思う。」


「シュンヨウトク、無論それこそが最優先事項だ。零之切割(ゼロ・カッティング)が既に拠点隠蔽技術を把握している可能性は高い。我々は約氏星(やくしせい)の地表の半分を移動範囲として確保している。だが……根本的問題を解決しなければ、結局はペステルガン武装公司(ぶそうこうし)が約国(やくこく)やSEUと協力して我々を完全に掃討するだろう。」


「それに情報戦でも我々は劣勢だ。現代のネットユーザーは我々を犯罪組織と同列に見做しており、約国(やくこく)の各種メディアによるネガティブな演出も相まって、約氏星(やくしせい)の約76.54%の市民が我々に敵対的態度を取っている。」


「だが我々にはまだ残り23.46%の市民の支持がある。約氏星(やくしせい)の他の市民に我々の窮状を理解させる必要がある。」


バクロフ・ラン——このモティス偽死軍集團(しゅうだん)の指導者は、この約氏星(やくしせい)で数十年にわたり約国(やくこく)と渡り合ってきた。聖石(せいせき)放射事件以降、彼が率いる数万人の偽死軍(ぎしぐん)は約国(やくこく)を覆滅せんと準備を進めている。


「四対一で、しかも特体(とくたい)対軍用類人機(ぐんようるいじんき)だ。勝率は我々が上だろう?」


「確かにな。だが[零之切割(ゼロ・カッティング)]は、軍用類人機(ぐんようるいじんき)の中でも最強だ。シュンヨウトク、お前も奴の[死槍(しそう)]を目の当たりにしたはずだ。触れた者は必ず死ぬ。」


「彼は類人機改造を受けた特体(とくたい)の可能性はないか?」


「大いにある……この世に特体(とくたい)は八人しか存在しない。SEUのものは我々より後発だし、聖石(せいせき)も時似對銘国(じじたいめいこく)に保管されている。[零之切割(ゼロ・カッティング)]は、時似對銘国(じじたいめいこく)が新たに創造した特体(とくたい)である可能性が極めて高い。」


「もしそうなら、我々は直ちに行動すべきだ。逯馬星(ろくばせい)の惨劇を繰り返さぬためにも、我々は激しい抵抗を展開せねばならない。」


「無論だ!」


[閘門開く]


「アイネイキュウス、昨日は一体どうしたんだ? 本気で無理なら、さっさと医療院で診てもらえ。」


「すまない、亓(き)。また能力の副作用が出てしまった。後で自分で体を休めてくる。」


「しばらく能力を頻繁に使わなければ、大丈夫だ。」サルは両手をポケットに入れ、斜めにアイネイキュウスを見やった。「俺の観察では、前に零之切割(ゼロ・カッティング)に効果があった攻撃は、亓(き)のものだけだった——バクロフさん、ここから早急に撤退すべきではないでしょうか?」


「その通りだ、サル。話は後だ、まずは移動を開始する。もし零之切割(ゼロ・カッティング)がここを急襲してきたら、お前たち四人に戦闘を頼むしかない。」


「でもアイネイキュウスの体調問題はどうするんだ? 彼がいなきゃ、あの鉄塊に俺たちはとっくにやられてたぞ!」


「私とバクロフでより多くの軍隊を派遣する。彼の代わりにはならなくとも、少なくとも時間は稼げるだろう。」


移動準備に入る頃、サルはリシグの元を離れ、一人で指揮席に座るバクロフの元へ向かい、話を始めた。


「俺には零之切割(ゼロ・カッティング)の[死槍(しそう)]が見通せない。あの類离子(るいりし)の光線には微弱なエネルギーと、ぼんやりとした不可視の気体が混ざっている。」


「やはり見抜けなかったか。」バクロフは机上のコマを弄び、多機能スマートテーブルに投げつけた。「奴の軌道の複雑さを考えれば、その原理を解明するのは大海の針を探すようなものだ。」


「奴の[死線(しせん)]は無秩序だ。あの螺旋状の光線がなぜ人を死に至らしめるのか、いくつか仮説がある。」


「サル、聞かせてくれ。」


シュンヨウトクも歩み寄り、隣の浮遊椅子に腰掛けた。


「もし俺の目でも見通せないのなら、[死線(しせん)]を構成する物質は[生命力(せいめいりょく)]しか考えられない。」


「[生命力(せいめいりょく)]……そんな力がこの世に存在するわけがないだろう?」


「確かに。だが、現状ではそう説明するしかない。」サルは机に手を置き、続けた。「零之切割(ゼロ・カッティング)が[死線(しせん)]を使う時、彼の背部のカウンターが明らかに減少する。その減少数は放出した光線の本数と一致している。彼の背部カウンターを解析し続ければ、[死線(しせん)]を解明できるはずだ。」


「だがそのためには、特体(とくたい)小隊が再び零之切割(ゼロ・カッティング)と死闘を繰り広げる必要があるだろう。モティス偽死軍集團(しゅうだん)は今、力を蓄える時期にある。君たちような中核を失うわけにはいかない。」


「我々四人も革命の目前で死にたいわけじゃない。約国(やくこく)側の現在の主要な障壁はペステルガン武装公司(ぶそうこうし)とその連合集團だ。約国(やくこく)最大の武器供給者兼警備システムとして、その実力は我々と互角だ。」


「そこに時似對銘国(じじたいめいこく)からもう一機、軍用類人機(ぐんようるいじんき)が派遣されたと聞く。[夏隱子(かいんし)]という名だ。その能力はまだ不明だが、推測するに、その実力はあの閔恤(びんじゅつ)に匹敵する。」


「閔恤(びんじゅつ)、あのずっと時似對銘国(じじたいめいこく)に待機している軍用類人機(ぐんようるいじんき)か?」


「そうだ。時似對銘国(じじたいめいこく)に待機しているが、同国軍部からここに派遣される可能性もある。」


「約国(やくこく)とSEUは同盟関係だ。時似對銘国(じじたいめいこく)はSEUの重要な構成国だ。とはいえ、既に二機の軍用類人機(ぐんようるいじんき)を派遣している以上、三機目は送ってこないだろう。だが、SEUが約氏星(やくしせい)に防衝撃障壁を設置しようとしているのは、零之切割(ゼロ・カッティング)に本領を発揮させるつもりだからだ。」


三人はそこで素早く情勢を議論していた。一方、残りの三人は特体(とくたい)小隊の今後の計画について話し合っていた。聖石(せいせき)放射事件の後、彼ら四人は被害者であると同時に受益者でもあった——聖石(せいせき)放射に耐え切れなかった他の全ての者は消え去ったのだ。


「あの時革命が成功していたら、今頃SEUが助けてくれていたのは我々の方だったのに。」


「過去のことを考えるなよ、アイネイキュウス~今は命を繋ぐだけで精一杯だ。過去を憂う余裕なんてないさ~」


モティス偽死軍集團(しゅうだん)は零之切割(ゼロ・カッティング)が到来した以上、決断を下さねばならなかった:正面攻撃は当然選択肢になく、潜伏して力を蓄えるのみである。


(約国(やくこく)、首都ロウェイナン)


「お前のような存在がお前の祖国にいるなど、言語道断の恥辱だ。」


「待、待って……周りの人間がこっちを見てる——」


零之切割(ゼロ・カッティング)は自分に差別的な手真似をしていた男を捕まえ、その身体を握り潰した。内臓と血肉が空中で炸裂するや否や、零之切割(ゼロ・カッティング)はベクトル瞬移を発動し、残骸を空中に放り投げ、右手のハンドキャノンで即座に灰燼に帰した。


騒然とする群衆に彼は一切の動揺も見せず、右手を下ろし、重力操作モジュールを用いて広場にいる全ての市民をその場に固定した。


「先ほど類人機を差別したクズの末路は見えたな。こういう愚民は、一人見つけ次第殺す。絶対に容赦はしない。」


そう言い放ち、彼は肩の装甲を展開した。重厚な足音が地面(じめん)を通じて現場の全員の心臓に響き渡る。


「無論、ここにいる報道関係者もだ。私が今行ったことを都合よく切り取って報道しようものなら、お前たちのテレビ局ごと全て消し飛ばす。私には記憶のバックアップもある。そして、この件について決して謝罪するつもりはない。」


周囲の人間は動ける者でも、軽々しく動くことはできなかった。零之切割(ゼロ・カッティング)は公衆の面前で殺人をやってのけた以上、市中心部の人流ごと掃除することも厭わないだろう。この自分勝手な「ルール」に従う殺人機械をこれ以上怒らせれば、その結末はただの死体の山では済まない。


「私はお前たち全員より強く、そして『敬意』という条項を最も遵守している。だが、もし誰かが私の領域を侵そうものなら、私と戦うことを厭わない者を迎えよう。」


「同時に、私はSEUと時似對銘国(じじたいめいこく)の代表としてこの星に援助に来た。もし私がペステルガン武装公司(ぶそうこうし)と金銭的な関係があると考える者がいるなら、その者は視野狭窄の虫けらに過ぎないと見做す。」


「そんなこと言ったら——」


(ベクトル瞬移)


「そんなこと言ったら、どうした?」


密かに発言していた男が言い終わる前に、零之切割(ゼロ・カッティング)はその目前に瞬移していた。風雨をものともせず、男が装着していた外骨格装置は零之切割(ゼロ・カッティング)の巨躯の前には哀れなほど小さかった。


「な、何でもありません——」


「だから言っただろう、お前たち凡人はただの迎合するだけの無能な奴らだと。」零之切割(ゼロ・カッティング)は首を傾げ、そのレーザー赤眼が男と見つめ合った。「お前はフォージ・ウィルクというのだな? 案の定、お前のような連中は資本に搾取されても気付かぬ愚か者だ。よくも俺に指図できたものだ。」


その男は沈黙し、ただその場で立ち尽くしていた。


「気絶したのか? 実に退屈だ。」


零之切割(ゼロ・カッティング)はさらに数歩進み、市中心広場で空へと舞い上がった。元の場所に大きな穴を残し、背部に展開した噴射筒が彼を高空へと運び去った。


「本当に彼に『援助』を許していいのでしょうか……ペステルガンさん?」


「彼を怒らせなければ、約国(やくこく)は平穏を保てる。だが、怒らせずに済ませるのは難しい……零之切割(ゼロ・カッティング)は凶暴に見えるが、それでも時似對銘国(じじたいめいこく)とSEUの操る道具に過ぎない。ステス、下の報道連絡部に伝えろ。今日の衝突については中立的な報告を出すように。」


「承知しました。」


(ペステルガン武装公司(ぶそうこうし)、軍用類人機(ぐんようるいじんき)特殊区域)


「棠娣(タンディ)、もう行っていいぞ。」


「はい……」


その疲れた者の背中を見送り、零之切割(ゼロ・カッティング)は周囲の環境を重くスキャンした。


(脅威となる装置は一切なし)


(「あの奴、なかなか利口だな。」)


[消毒洗浄プログラム実行]


瞬時にして、部屋中に赤い警戒線が浮かび上がった。全ての外部露出機械装置は白い壁の内側に収まり、続いて橙色の光を放つノズルが現れた。


紫色の炎の束が彼の周囲を包み込む——高温消毒はまだ最初の段階に過ぎない。彼の外殻感知システムはまず痛みを認識しなければならないが、彼はその場に立ち尽くし、微動だにしなかった。


続いて、部屋の隅から拡散された霧状の修復剤と消毒剤が、空中に漂う全ての細菌を死滅させた。


「零之切割(ゼロ・カッティング)、お前は大仕事をやったようだな~」


「私を告発するつもりか? ペステルガン。」


「そんなわけがない。私はお前に敵意など一切ない。」


洗浄が終了すると、閘門の下に一台の赤色光線を全身に浴びた黒鉄の鋼人が現れた。その怪物は一切の音を立てず、無音のままペステルガンの前に立った。


「私はお前が自分の仕事に専念することを望む。この会社が求めるのは『モティス』偽死軍集團(しゅうだん)の迅速な掃討と、あの特体(とくたい)たちの排除だ——だが、私一人で十分に片付けられるがな。」


「[夏隱子(かいんし)]、彼女がお前を支援する。」


「あいつか……邪魔にはならんだろうが、頼りになる助っ人ではあるな。他に言いたいことがあれば、今のうちに言え。」


ペステルガンは軽く微笑み、拍手を打った。


「お前はこの地最大の麻薬組織を殲滅した。本来なら敬意を表すべきだが、あの一件と相殺ということで。」


「その口調で私に話すとは、お前もなかなか度胸がある。」零之切割(ゼロ・カッティング)の眼部の積層板が一枚動き、赤いレーザー光がペステルガンに落ちた。「会社のオーナー自らがここに来たということは、他に言いたいことがあるのだろう?」


「確かにな。だが、やはりお前自身についてだ。」


「言え。」


「こういうことだ。約氏星(やくしせい)上の聖石(せいせき)の破片は全て回収済みだが、我々の旧聖石(せいせき)科学遺跡研究室から、お前と遺跡現地との間に直接的な非視覚性接続が確認された。」


「非視覚性接続? お前たちの遺跡サンプルは何年前のものだ?」


「三年前。我々は、サンプルがまだ有効性を失っていないことを確認している。」


「ならば、私が自ら調査に行く。」


ペステルガンが背を向けて去った後、零之切割(ゼロ・カッティング)は退屈そうな面持ちを浮かべた。聖石(せいせき)——彼が嫌悪すると同時に依存せざるを得ないその物質は、宇宙の未知の場所から約数千万年前に約氏星(やくしせい)に落下し、その後、様々な要因で琳懺星(りんざんせい)の地中から掘り出された。彼が調査に向かうのは、なぜ「接続」があるのかを確認するためだ。


「ならば、しばらくの間、お前たち特体(とくたい)に息抜きの時間を与えてやろう。」

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