第二章 統治か破滅か
お久しぶりです。『矽元涌離』シリーズがついに始まりました。別の作品を書いているのですが、またこの作品を書く気になってきました。読者の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。必ずしっかりと考えてこの小説を書き上げます!
(微風そそよ)
黄色い壤土の上に停まった浮遊船の傍らで、紫色の長袍を着た男が自動式の寝椅子に悠然と横たわっていた。両手を頭の後ろに組み、双眼は晴れ渡った空を眺めている。久しぶりの休息に勝るものはない。
「坴先生、約氏星で最近動乱が起きました。我々の商売は終わらせねばならなくなりそうです……」
「ああ……商売ってのはな、試練に耐えなきゃならんもんだよ——」坴は寝椅子からゆっくりと身を起こし、右手で船外に吊るされた箱を取り、左手を濃い縞模様のズボンのポケットに入れたまま、遠くへ歩き出した。
[閘門開く]
広い草原に、突如として閘門が現れた。坴は悠然とその中へ足を踏み入れる。たちまち周囲の風景は真っ白な投影部屋へと変貌した。
「約氏星で我々の業務を妨害している奴は、誰だか分かっているのか?」
「零之切割です……」
(「零之切割?」)
坴は眉をひそめ、地面に目を落とした。
「死者はどのくらいだ?」
「我々は……十のうち八九は死傷しました……」
「つまり、あそこにいた十万人全員が死んだのか?」
「はい……坴先生、ほぼ全滅です。」
「…………」
「すぐに戻ってこい。奴に出会ったら、運が尽きたと思え!」
「了解しました!」
(通話終了)
(「予定より早い。まさかモティス偽死軍が最近活発になりすぎているのか?」)
坴は何も言わず、左手で錠前に手を触れ、その閘門を閉ざした。
[約氏星、首都ロウェイナン]
(ペステルガン武装公司)
「零之切割、年齢不詳。時似對銘国の軍用類人機の一機と推測される。死前の身分は戦時中の戦場で戦っていた軍人だった…………」
キーボードを打つ音が途切れ途切れに響く。オフィスエリアにいる文官の一人が、零之切割に関する全資料を整理している最中だった。
「気性は荒く、一度自身の定義を固めると、説得は極めて困難。下層階級に対しては『自己を尊ぶ』感覚を持っている。かつて一人の市民が彼に不敬な発言をしたため、その場で射殺したという記録もある……」
その文官はコンピューターを見つめ、両手を腰に当てた。視線の移動だけで端末を操作している。
「U101、零之切割の資料は整理済みか?」
「整理済みです。既に公文書館に送信しました。」
(「かなり危険な相手のようだ……」)
………………
(「危険? 危険で結構。俺が生み出された理由は、犯罪者たちを致命的な危険に陥れることだからな。」)
「ドン!」
「零之切割が入ってきた!!!!」
(数時間前、約氏星、麻薬取引暗区)
(警報鳴り響く)
「うわあああああ————」
衝撃波に呑まれた麻薬密売人たちは、自身の肉体が四方八方に引き裂かれるままに任せていた。猛烈な業火の中、無数の設備や機材が一瞬のうちに高熱で焼け尽くされる。零之切割——この恐るべき殺人機械は、両手を掲げ、遠方に向けて致命的なハンドキャノンを放った。
「お前ら如き雑魚に、俺の本気を見せる価値はない。」
[核能衝撃波]
二億トンのTNT換算エネルギーを放ち、零之切割は核エネルギーを集中させ、半径百キロの大地を一瞬で灰燼に帰した。約氏星の地殻強度は琳懺星に遠く及ばないため、これ以上の出力は抑えた。
「実に退屈だ。」
麻薬暗区を完全に焼き尽くした零之切割は右手を掲げ、掌の上に次第に大きくなる光の輪を幾重にも浮かび上がらせた。拳を握りしめて下方に引き裂くように振るうと、空中を逃げ惑っていた飛行艇の全てが彼の方へと引き寄せられた。
機体が次々と押し潰され、爆発の火花が零之切割のヘルメットに降り注ぐ。不気味なキノコ雲がこの元は陋巷であった地域を覆い、既に墓場へと片足を踏み入れていた暗区に墓碑銘を刻んだ。
「零之切割、お前の新しい仲間が来たぞ。」
「誰だ?」
「歅涔先生から派遣された、[夏隱子]だ。」
「あいつか……少なくとも恥をかかせはしないだろう。」
[通信断]
「ふぅ~今回は何とかやり過ごせたかな。」
浮遊椅子に寝そべったステスは清潔な天井を見上げていた。最近の仕事は彼をほぼ息切れさせていた。零之切割——彼は毎日その相手と連絡を取らねばならず、彼にとっては外部における半ば情報伝達者のような存在だ。だが、零之切割にとって、彼の存在はあるようでないものだろう。
(「少なくとも形だけは整えねば。あの男は、自らを卑下する者を何よりも軽蔑しているからな。」)
一方、零之切割は重い足取りで、焼け焦げた地面を大股に踏みしめながら歩いていた。一人でも犯罪者を取り逃がすことは、彼にとって決して許し難いことだった。
「ガサゴソ~」
物音を聞きつけ、零之切割は即座にその航空機の残骸へと瞬間移動した。瓦礫から辛うじて這い出ようとしている、全身火傷を負った構成員の一人が半身を出したところで、その右掌を零之切割が直接踏み潰した。
「うわあああああ————」
「お前のボスは誰だ?」零之切割は左足をその場でひねり、相手に耐え難い重力を負わせた。
「坴、坴先生です——」
「よし。」零之切割は左足を上げ、即座にその構成員の頭部を踏み砕いた。
相手の脳機を読み取ることで、零之切割は既に「坴」の情報を掌握していた。だが、相手は約氏星から遠く離れており、彼の最優先目標はモティス偽死軍を殲滅することだった。
………………
(モティス偽死軍集團、指揮センター)
「バクロフ、拠点移転について、早急に承認を得るべきだと思う。」
「シュンヨウトク、無論それこそが最優先事項だ。零之切割が既に拠点隠蔽技術を把握している可能性は高い。我々は約氏星の地表の半分を移動範囲として確保している。だが……根本的問題を解決しなければ、結局はペステルガン武装公司が約国やSEUと協力して我々を完全に掃討するだろう。」
「それに情報戦でも我々は劣勢だ。現代のネットユーザーは我々を犯罪組織と同列に見做しており、約国の各種メディアによるネガティブな演出も相まって、約氏星の約76.54%の市民が我々に敵対的態度を取っている。」
「だが我々にはまだ残り23.46%の市民の支持がある。約氏星の他の市民に我々の窮状を理解させる必要がある。」
バクロフ・ラン——このモティス偽死軍集團の指導者は、この約氏星で数十年にわたり約国と渡り合ってきた。聖石放射事件以降、彼が率いる数万人の偽死軍は約国を覆滅せんと準備を進めている。
「四対一で、しかも特体対軍用類人機だ。勝率は我々が上だろう?」
「確かにな。だが[零之切割]は、軍用類人機の中でも最強だ。シュンヨウトク、お前も奴の[死槍]を目の当たりにしたはずだ。触れた者は必ず死ぬ。」
「彼は類人機改造を受けた特体の可能性はないか?」
「大いにある……この世に特体は八人しか存在しない。SEUのものは我々より後発だし、聖石も時似對銘国に保管されている。[零之切割]は、時似對銘国が新たに創造した特体である可能性が極めて高い。」
「もしそうなら、我々は直ちに行動すべきだ。逯馬星の惨劇を繰り返さぬためにも、我々は激しい抵抗を展開せねばならない。」
「無論だ!」
[閘門開く]
「アイネイキュウス、昨日は一体どうしたんだ? 本気で無理なら、さっさと医療院で診てもらえ。」
「すまない、亓。また能力の副作用が出てしまった。後で自分で体を休めてくる。」
「しばらく能力を頻繁に使わなければ、大丈夫だ。」サルは両手をポケットに入れ、斜めにアイネイキュウスを見やった。「俺の観察では、前に零之切割に効果があった攻撃は、亓のものだけだった——バクロフさん、ここから早急に撤退すべきではないでしょうか?」
「その通りだ、サル。話は後だ、まずは移動を開始する。もし零之切割がここを急襲してきたら、お前たち四人に戦闘を頼むしかない。」
「でもアイネイキュウスの体調問題はどうするんだ? 彼がいなきゃ、あの鉄塊に俺たちはとっくにやられてたぞ!」
「私とバクロフでより多くの軍隊を派遣する。彼の代わりにはならなくとも、少なくとも時間は稼げるだろう。」
移動準備に入る頃、サルはリシグの元を離れ、一人で指揮席に座るバクロフの元へ向かい、話を始めた。
「俺には零之切割の[死槍]が見通せない。あの類离子の光線には微弱なエネルギーと、ぼんやりとした不可視の気体が混ざっている。」
「やはり見抜けなかったか。」バクロフは机上のコマを弄び、多機能スマートテーブルに投げつけた。「奴の軌道の複雑さを考えれば、その原理を解明するのは大海の針を探すようなものだ。」
「奴の[死線]は無秩序だ。あの螺旋状の光線がなぜ人を死に至らしめるのか、いくつか仮説がある。」
「サル、聞かせてくれ。」
シュンヨウトクも歩み寄り、隣の浮遊椅子に腰掛けた。
「もし俺の目でも見通せないのなら、[死線]を構成する物質は[生命力]しか考えられない。」
「[生命力]……そんな力がこの世に存在するわけがないだろう?」
「確かに。だが、現状ではそう説明するしかない。」サルは机に手を置き、続けた。「零之切割が[死線]を使う時、彼の背部のカウンターが明らかに減少する。その減少数は放出した光線の本数と一致している。彼の背部カウンターを解析し続ければ、[死線]を解明できるはずだ。」
「だがそのためには、特体小隊が再び零之切割と死闘を繰り広げる必要があるだろう。モティス偽死軍集團は今、力を蓄える時期にある。君たちような中核を失うわけにはいかない。」
「我々四人も革命の目前で死にたいわけじゃない。約国側の現在の主要な障壁はペステルガン武装公司とその連合集團だ。約国最大の武器供給者兼警備システムとして、その実力は我々と互角だ。」
「そこに時似對銘国からもう一機、軍用類人機が派遣されたと聞く。[夏隱子]という名だ。その能力はまだ不明だが、推測するに、その実力はあの閔恤に匹敵する。」
「閔恤、あのずっと時似對銘国に待機している軍用類人機か?」
「そうだ。時似對銘国に待機しているが、同国軍部からここに派遣される可能性もある。」
「約国とSEUは同盟関係だ。時似對銘国はSEUの重要な構成国だ。とはいえ、既に二機の軍用類人機を派遣している以上、三機目は送ってこないだろう。だが、SEUが約氏星に防衝撃障壁を設置しようとしているのは、零之切割に本領を発揮させるつもりだからだ。」
三人はそこで素早く情勢を議論していた。一方、残りの三人は特体小隊の今後の計画について話し合っていた。聖石放射事件の後、彼ら四人は被害者であると同時に受益者でもあった——聖石放射に耐え切れなかった他の全ての者は消え去ったのだ。
「あの時革命が成功していたら、今頃SEUが助けてくれていたのは我々の方だったのに。」
「過去のことを考えるなよ、アイネイキュウス~今は命を繋ぐだけで精一杯だ。過去を憂う余裕なんてないさ~」
モティス偽死軍集團は零之切割が到来した以上、決断を下さねばならなかった:正面攻撃は当然選択肢になく、潜伏して力を蓄えるのみである。
(約国、首都ロウェイナン)
「お前のような存在がお前の祖国にいるなど、言語道断の恥辱だ。」
「待、待って……周りの人間がこっちを見てる——」
零之切割は自分に差別的な手真似をしていた男を捕まえ、その身体を握り潰した。内臓と血肉が空中で炸裂するや否や、零之切割はベクトル瞬移を発動し、残骸を空中に放り投げ、右手のハンドキャノンで即座に灰燼に帰した。
騒然とする群衆に彼は一切の動揺も見せず、右手を下ろし、重力操作モジュールを用いて広場にいる全ての市民をその場に固定した。
「先ほど類人機を差別したクズの末路は見えたな。こういう愚民は、一人見つけ次第殺す。絶対に容赦はしない。」
そう言い放ち、彼は肩の装甲を展開した。重厚な足音が地面を通じて現場の全員の心臓に響き渡る。
「無論、ここにいる報道関係者もだ。私が今行ったことを都合よく切り取って報道しようものなら、お前たちのテレビ局ごと全て消し飛ばす。私には記憶のバックアップもある。そして、この件について決して謝罪するつもりはない。」
周囲の人間は動ける者でも、軽々しく動くことはできなかった。零之切割は公衆の面前で殺人をやってのけた以上、市中心部の人流ごと掃除することも厭わないだろう。この自分勝手な「ルール」に従う殺人機械をこれ以上怒らせれば、その結末はただの死体の山では済まない。
「私はお前たち全員より強く、そして『敬意』という条項を最も遵守している。だが、もし誰かが私の領域を侵そうものなら、私と戦うことを厭わない者を迎えよう。」
「同時に、私はSEUと時似對銘国の代表としてこの星に援助に来た。もし私がペステルガン武装公司と金銭的な関係があると考える者がいるなら、その者は視野狭窄の虫けらに過ぎないと見做す。」
「そんなこと言ったら——」
(ベクトル瞬移)
「そんなこと言ったら、どうした?」
密かに発言していた男が言い終わる前に、零之切割はその目前に瞬移していた。風雨をものともせず、男が装着していた外骨格装置は零之切割の巨躯の前には哀れなほど小さかった。
「な、何でもありません——」
「だから言っただろう、お前たち凡人はただの迎合するだけの無能な奴らだと。」零之切割は首を傾げ、そのレーザー赤眼が男と見つめ合った。「お前はフォージ・ウィルクというのだな? 案の定、お前のような連中は資本に搾取されても気付かぬ愚か者だ。よくも俺に指図できたものだ。」
その男は沈黙し、ただその場で立ち尽くしていた。
「気絶したのか? 実に退屈だ。」
零之切割はさらに数歩進み、市中心広場で空へと舞い上がった。元の場所に大きな穴を残し、背部に展開した噴射筒が彼を高空へと運び去った。
「本当に彼に『援助』を許していいのでしょうか……ペステルガンさん?」
「彼を怒らせなければ、約国は平穏を保てる。だが、怒らせずに済ませるのは難しい……零之切割は凶暴に見えるが、それでも時似對銘国とSEUの操る道具に過ぎない。ステス、下の報道連絡部に伝えろ。今日の衝突については中立的な報告を出すように。」
「承知しました。」
(ペステルガン武装公司、軍用類人機特殊区域)
「棠娣、もう行っていいぞ。」
「はい……」
その疲れた者の背中を見送り、零之切割は周囲の環境を重くスキャンした。
(脅威となる装置は一切なし)
(「あの奴、なかなか利口だな。」)
[消毒洗浄プログラム実行]
瞬時にして、部屋中に赤い警戒線が浮かび上がった。全ての外部露出機械装置は白い壁の内側に収まり、続いて橙色の光を放つノズルが現れた。
紫色の炎の束が彼の周囲を包み込む——高温消毒はまだ最初の段階に過ぎない。彼の外殻感知システムはまず痛みを認識しなければならないが、彼はその場に立ち尽くし、微動だにしなかった。
続いて、部屋の隅から拡散された霧状の修復剤と消毒剤が、空中に漂う全ての細菌を死滅させた。
「零之切割、お前は大仕事をやったようだな~」
「私を告発するつもりか? ペステルガン。」
「そんなわけがない。私はお前に敵意など一切ない。」
洗浄が終了すると、閘門の下に一台の赤色光線を全身に浴びた黒鉄の鋼人が現れた。その怪物は一切の音を立てず、無音のままペステルガンの前に立った。
「私はお前が自分の仕事に専念することを望む。この会社が求めるのは『モティス』偽死軍集團の迅速な掃討と、あの特体たちの排除だ——だが、私一人で十分に片付けられるがな。」
「[夏隱子]、彼女がお前を支援する。」
「あいつか……邪魔にはならんだろうが、頼りになる助っ人ではあるな。他に言いたいことがあれば、今のうちに言え。」
ペステルガンは軽く微笑み、拍手を打った。
「お前はこの地最大の麻薬組織を殲滅した。本来なら敬意を表すべきだが、あの一件と相殺ということで。」
「その口調で私に話すとは、お前もなかなか度胸がある。」零之切割の眼部の積層板が一枚動き、赤いレーザー光がペステルガンに落ちた。「会社のオーナー自らがここに来たということは、他に言いたいことがあるのだろう?」
「確かにな。だが、やはりお前自身についてだ。」
「言え。」
「こういうことだ。約氏星上の聖石の破片は全て回収済みだが、我々の旧聖石科学遺跡研究室から、お前と遺跡現地との間に直接的な非視覚性接続が確認された。」
「非視覚性接続? お前たちの遺跡サンプルは何年前のものだ?」
「三年前。我々は、サンプルがまだ有効性を失っていないことを確認している。」
「ならば、私が自ら調査に行く。」
ペステルガンが背を向けて去った後、零之切割は退屈そうな面持ちを浮かべた。聖石——彼が嫌悪すると同時に依存せざるを得ないその物質は、宇宙の未知の場所から約数千万年前に約氏星に落下し、その後、様々な要因で琳懺星の地中から掘り出された。彼が調査に向かうのは、なぜ「接続」があるのかを確認するためだ。
「ならば、しばらくの間、お前たち特体に息抜きの時間を与えてやろう。」




