第十一章 風波次第に起つ
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(「本日、葙繯博士が主導する《脳機神経編訳プログラムと生物本体構造の交差討論会議》がSEU公式時間十二時に開催されます。参加者は速やかに朔黄星系GI—6541の赭石会議庁までお越しください。」)
「葙繯女史は今回は聖石に関する研究を発表しなかったな~この二つの項目でもいいけど、彼女はこの分野の専門家だからね。」
「でも彼女のスキャンダルは少なくない。先月、彼女の部下の伯恩嵩が『うっかり』生化ウイルスを漏洩して、寮特星の表面を致命的な毒素で覆い尽くしたのを覚えてる。たった数千人しか死ななかったけど、あの星の多くの人々がこの件でSEUの生物研究協会に伯恩嵩を訴えた。」
「もし彼が当初飛艦であの得意げな様子を見せなければ、訴えもかなり減ったはずだ。でもこの事故は結局、あの男が保釈金を払うことで終わるだろう……」
「そういえば、昨日の研究、玶虔琨同志に感謝を伝えないと。彼があの生物膜構造の付着欠陥を発見しなければ、君の実験報告は台無しになっていたよ。」
「分かってる、分かってる。本当に理解できないのは、なぜsafG遺伝子が突然変異するのか……温度も湿度も予測期間内だった。まさか精度範囲が正確でないのか?」
「それは君の仕事だ。私には干渉する権利がない。679号、何年経っても、君が研究基層にいるのには理由がある。」
「672号、昇進おめでとう。俺みたいな底辺を這い回る奴よりすごいよ、はいはい。」
「今はC103号研究主任と呼べ、部下。」
「その得意げな顔、いつかお前が失敗したら、必ず引きずり下ろしてやる!」
「その日は見られないだろうな~」
この二人は高楼上で雑談しながら、赭石会議庁にゆっくりと降下する飛艦と浮遊車、そして各種の地元特色ある改造飛行器を眺めていた。
「そういえば、葙繯部長は本当にすごいな~神経導線、復生剤、そして特体まで彼女が主導して開発した。彼女のIQは一体いくつなんだ? 360?」
「おそらくとっくに540を超えている。あの頭が何回転しても不思議に思わない。残念ながら精神分裂症を患っていなければ、宇宙名人堂に入れたのに~」
世に生きる者は、善か悪か。宇宙のもう一端では、戦争から生き延びるために、機関銃を構え、塹壕の廃墟の中で命を繋ぐ者たちがいる。
「死にたくない!!!」
軽機関銃を手にした男が崩壊して前方の建築物を掃射した。数機のドローン、数名の敵兵、何であれ、思う存分掃射して弾雨で貫かれればいい!
「火ウラン弾を投擲!」
その瓶が、彼に撃ち抜かれた後、身に降りかかった。止まらない灼熱のかゆみが、彼に軽機関銃を捨てさせ、振り返って走りながら燃え煙る身体を擦らせた。濃煙が立ち込め、呼吸できない。最終的な逃走は街道に固まり、その焦げた身体は最終的に次々と装甲車に轢かれた。
「民兵を解決、前進を続けろ。」
「民間人さえ殺すこの畜生どもが!」
隣の平屋の上に隠れた偽死軍連隊の隊長がロケットランチャーを担ぎ、下の約国軍に向けてミサイルを発射した。震爆の後、この小隊はすぐに攻勢をかけ、弧道銃で楼上に反撃する敵国兵士を射撃した。
[HM—C機甲を起動。(Humanoid Mobile Military Mecha Model C)]
[反重力モジュール起動]
その偽死軍の一隊が別の建物へ跳んだ時、一台の人形軍用機甲が俯衝し、鉄拳で隊の中の一名の兵士を殴り飛ばした。
[分裂閃光ポッド起動]
「操縦室を狙って撃て!」
その軍用機甲の肩部から数発の閃光弾が発射され、瞬間的に数名の偽死軍兵士の視覚を損傷させた。爆弾が機甲の外殻に傾斜したが、大きな損傷は与えなかった。
(「ハッカーは?!」)
「侵入中……」
その偽死軍隊長は腰の烙創刀を抜き、機甲の左腕の外殻を大きく切り落とした。同時にその機甲の肩部の発射口を切り碎き、内部の閃光弾の自爆を引き起こした。
[機体左腕損傷]
その機甲は右腕の手砲で数名の偽死軍兵士を粉砕し、同時に外殻表面にレーザーネットビームを延展させ、偽死軍隊長の機殻表面を押さえる左掌を切り碎いた。
[過負荷モード]
その偽死軍隊長は後空翻した後、すぐに右腕に握る重榴手銃の扳機を押した。爆弾が窓に命中し、それを轟然と砕いた。
「この売女を殺してやる!」
[ベクトル瞬移]
その機甲が階下に落ち、偽死軍のハッカーが機甲システムに侵入した。操縦室内の操縦士は困難な制御の中で右腕を挙げ、強制的に機甲の右腕機関銃で自分自身を射殺させられた。
「楼内へ撤退!」
隊長が自分の断肢に希釈復生剤を注射した時、蒼穹の上に数条のプラズマ体軌跡が天際に浮かんだ。
「あれは——」
瞬時に、偽死軍小隊及び足下のコンクリート塔楼が轟然と崩壊した。偽死軍隊長も突然の震動で別の建物へ吹き飛ばされた。火光に呑まれる前に、彼が見ることができたのは、あの高空を蔽う巨大な怪物だった。
(「零之切割……」)
[システム接続断絶]
………………
「ヤクサレリ市では、我が軍は80%の武装力量を失った。研究調査によれば、それは全て[零之切割]の俯空突撃による余波と高温が原因だ。同時に、約国軍もこれにより等価30%の武装力量を失った。」
「本当に惨烈だな。一台の天地を滅ぼす機甲がどこまでも乱れ飛ぶ。もし私が約国軍なら、全て彼の言う通りにする。」
「それはただもっと惨めに死ぬだけだ。[零之切割]が最も憎むのは趨炎附勢の奴だ。次に剛愎自用の奴だ。私が見るに、たとえ普通の人間でも、彼に数回睨まれるだろう。」
「この世にまだ普通の人間がいるのか?」
([ペステルガン]武装公司、[零之切割]専用室)
「うん、うん——」
レーザースキャンペンを持った棠娣が緩慢に空曠な部屋を歩き、通過した地面の塵をすべて清潔にした。零之切割は充電と清掃以外に何の生活事項もないため、彼女ができるのは、零之切割が扉を開けるたびに導入される微塵の清理、及び各種精密機器の検査と報告だった。
(閘門開く)
「ドン、ドン、ドン。」
「忌々しい奴……」
「え?!」棠娣は身体を固まらせ、ゆっくりと振り返って彼を盗み見た。
「お前のことじゃない。」
零之切割は棠娣を一瞥した後、まっすぐに中央にある能源供給座に座った。この星のエネルギーは彼にとっては空腹を紛らわせる程度に過ぎない。能池を充填するには、SEUが毎週約氏星に数隻の運載宇宙船を満たすエネルギーを輸送する。しかし今、彼は充電する気はなかった。
(「お前たちの者はなぜ先に聖石遺跡坑を占領しなかった?」)
(「[零之切割]さん、偽死軍集團が聖石遺跡坑を窃取するのを時間内に阻止できなかったことについて、我々は深くお詫び申し上げます。我々の大部分の兵力はメイメイシュー市及び周辺地区への攻撃に使用されており——」)
(「お前たちの大統領を呼べ。」)
([私密チャンネルに切り替え中])
(「[零之切割]さん、我々は協力に違反し、相手の奇襲を阻止できなかったことを心からお詫び申し上げます。我々はSEUに状況を報告し、新たな力を組織して、聖石遺跡坑を奪回する用意があります。」)
(「ジョリナ大統領、お前たちが約国を存続させたいなら、態度を正せ。お前たちがどれだけ時間を引き延ばせると思っている? 聖石遺跡坑は、お前たちの命よりはるかに重要だ。」)
相手が返事する前に、零之切割は先に通信を切った。誕生以来、彼は決して挫折を味わったことがない。彼だけが知っている、聖石遺跡坑こそが歅涔先生が彼に持ち帰らせようとしたものだ。今、モティス偽死軍と約国の両方がこれで自己滅亡の時間を引き延ばそうとしている。このような押し問答に、彼の心中の怒りは今にも噴き出そうだった。
「やはりこの星を爆破したほうがいいな……」
(「ペステルガンさんがお見えです」)
「もし笑い話を見に来たのなら、お前をこの星の歴史の笑い者にしてやる。」
「そんなわけない。君の計画が失敗したら、私にとっても何の利益もない。」
ペステルガンは一人で入ってきた。閘門の門口には数名の護衛特工隊の队员が立っていた。今回彼が来たのは、良くも悪くも[零之切割]と取引を談じるためだ。
「先に言った取引、1000万時幣に下げられる。その時、建築局の者を派遣してこれらの施設を全て君の指定した場所へ移転させる。」
「約国軍の武器供給チェーンを断て。」
「あの政治家たちに教訓を与えたいのか? 私が供給チェーンを断てば、我が公司が約国と締結した防務承包契約に違反することになる。その時、君は数万のミサイルを防いでくれるのか?」
「俺は五日だけ必要だ。彼らに思い知らせてやる。その間、お前は死なない。」
「わざとヘイトと注目を集めるのは私の作風じゃない~」ペステルガンは両手を広げ、やや挑発的な意味で[零之切割]を見つめた。「私のほうでSEUに報告したいことがある。もし君が協力してくれるなら、私は全力で君を助ける。」
「何だ?」
「まず部外者を出せ。この件は、私の心の臓だ。」
ペステルガンが指を鳴らすと、棠娣は指令を受け、渋々閘門の門口から離れた。
「こういうことだ。公司の付近領地内の監視映像によれば、時似對銘国の敵対勢力『䬃(さつ)』組織の残存メンバー[伭昭]が、すでに偽死軍集團に入り、しかも偽死軍で約国と君と私に対抗する方法を企画している。」
「[伭昭]? 知らんな。『䬃(さつ)』組織のメンバーは、とっくに死に絶えた。」
「視監察基層は間違わない。私が送った文件をSEUの歅涔先生に転送していい。彼は是非を明辨する人物だ。」
「お前は本当に退屈だと分かった。」
………
「もう一つ、SEUの[機王]先生にも転送してほしいことがある。[機械因子]の免疫者が約氏星に生存していることについてだ。」
「この二件、俺がお前の代わりに報告する。ただし早く喜ぶな——殺人公司を開く資本家を、誰も尊敬しない。」
「それはもちろん分かっている。しかし、見下すのは本分、金を稼ぐのは情分だろ~」
ペステルガンが護衛隊に連れ去られた後、零之切割は王座を押さえ、周囲の壁と地面が瞬時に崩裂した。
(「俺と条件を談じる? お前は何様だ……」)
……………
(「モティス」偽死軍集團移動基地)
「伭昭さん、君の言う計画について、私は——賭けてみる必要があると思う。」
「この件は非常に重大だ。私の行踪はすでに何らかの勢力にマークされているかもしれない。この件の保密は、君と私の二人だけができる。」
「私も部下には話すつもりはない。『失敗体』を劫走した瞬間まで、この件は公表できない。特体小隊は別として。」
「特体小隊? 君たちのところの[特体]はどこから来た?」
「おお、どうやら私はまだ『聖石遺跡坑』のことを話していなかったようだ。では、今教えてやろう——」
伭昭とバクロフが交流する間、メイメイシュー市の戦況はますます激しくなっていた。ユリアン・ヘンシが領導する総攻撃は、すでに偽死軍を特体を派遣するまでに脅かしていた。
「銃!」
[ガンマ爆射線]
偽死軍の隊伍の前に滑行し、その王女は戦拳を握り締め、その大量の機甲と戦車群に向かって轟いた。瞬時に、戦場に連続する轟鳴音が響き、街区全体が彼女に天翻地覆にされた。
続いて、彼女は硝煙を突き破り、腰から二本のナノ結晶太刀を抜き、身体を突進させながら螺旋状に後方の偽死軍兵士を切り裂いた。歩兵たちは銃を彼女の残影に向け、次の瞬間には両手が断裂し、血が止まらなかった。
[ベクトル瞬移]
一条の折線が戦場を回転し、衍展した刀影の側翼が周囲の建物と人を一緒に切り碎いた。数発の近距突撃ミサイルが彼女の背後に衝き、しかし彼女は振り返って一太刀で切断した。
([敵に命中できず])
「何?!」
ミサイル発射車の中に座る操縦員が顔を上げると、ユリアンは両足をエンジンの蓋に乗せていた。銃を抜いて射撃する間もなく、彼女の右足が踏み込むと、操縦員は車ごと前方の高層ビルの中へ飛んでいった。
「ドン!」
[雹撃!]
ユリアンは首を横に振って飛来する匕首をかわし、続いて二本の太刀を交差させて胸の前に構えた。果たして、次の秒、亓が動力斧を挙げて現れ、一撃でユリアンを数百メートル先へ殴り飛ばした。
(「特体ᚺ……」)
ユリアンは両足を車道に踏み、後方へ滑りながら地面に二条の圧迫による陥没を残した。体勢を安定させた後、彼女は断裂した太刀を捨て、続いて左腕を上げ、約氏符文(双反¥)が刻まれた脉冲裂変機砲を変出し、前方へ次々と折りたたまれた光柱を迸発させた。
亓は動力斧を身前に集め、一道道の光波の衝撃を防いだ。光芒を浴びながら、彼女の身側の道路はすべて撃ち払われた。射撃が止まった後、亓は一跳びし、ユリアンの位置へ向かって锤撃した。
「私の一撃を食らえ!!!」
またも天地を揺るがす一撃!二人のそばのビルが轟然と倒塌し、大小様々な断壁残垣が落下した。
[ALL・爆裂碎片]
硝煙から突出した軍刀が、この瞬間、亓の眼前に定格した。ユリアンは両手で刀柄を固く握り、力を込めて亓の顔面へ刺した。一瞬、刀身に覆われた碎片が炸開し、一斉に亓の身体を覆った。
[滞留]
(「特体I? どうやら彼らは計画を変更したようだ——」)
千分の一ミリ秒以内に、リシグは遠方から両手を伸ばし、ユリアンの身体をその場に定めた。亓は同時に動力鎚を挙げ、ユリアンの身体へ向かって猛烈な一撃を振り出した。
[雹撃!]
身体を撃たれた瞬間、ユリアンは瞬移を使ったが、強力な衝撃力で数棟のビルを貫通し、最終的に一棟の商城を横断した後、自分の陣地へ飛んだ。
「ユリアン将軍!」
救援浮遊艇が地面に横たわる彼女を舱内に送り込んだ。前身装甲と表皮が損傷し、加えて露出付着武器の廃棄、しかし先ほど彼女はすでに偽死軍防線の裂口を撕き開いていた。後は部下たちの攻撃任務に任せるだけだ。
(「後援軍団、私のあの軍装を準備しろ。」)
(「遵命。」)
戦場は瞬時に万変する。かつて一度、彼女の長さ半メートルの長髪が機械に巻き込まれ、彼女の頭皮を引きちぎった——それ以来、全快した彼女はその半メートルの髪を半分に巻き、残りは五股に分け、それぞれ特製の髪留めをつけた。
(「私は最終的に土地を徹底的に征服する、絶対に!」)
戦争は数十年続いているが、偽死軍と約国の内部ではそれぞれ数代の高層が交替した。特体はバクロフの代に出現し、彼らは陥落寸前の戦局を覆した。加えてパンク・ヘンシの叛変——彼女の愚かな裏切り者の弟は当時彼女の心を深く傷つけたが、その苦痛はすぐに戦場で敵を殺す快感によって充填された。
「後線は前線よりも焦眉の急だ。資源が乏しく、供給が不足している。現在メイメイシュー市は敵の主力に猛攻されており、資源後勤保障部隊は我々に偵察用軍事資源を提供する余裕が全くない。バクロフさん、サルは人形天網として、我々後線偵察営に欠かせない戦力です。今彼を他の場所へ派遣するのは、適切ではないのでは?」
「今日ではない、パンク。」バクロフは伭昭との話を終えた後、正襟危坐して座席に座っていた。「今は戦事が緊急で、一時的にサルを君たちの営隊への協力派遣を取消さねばならない。」
「あなたに手配があるなら、私は口を挟まない。しかし私のほうで言いたいのは、地方の黒悪勢力の掃除について、援助を得なければならないということだ。約国と外星の不法分子がますます増え、奥平澤が現在最も清理が必要な場所だ。」
「あそこは魚竜混雑だ。伭昭のような友軍もいれば、全球戦争中の『罟』組織の死んだ畜生に匹敵する精神病や犯罪者もいる。君の小隊は力を必要としている、分かっている。しかし現在確かに戦線が逼迫している。もし君が営隊を率いて物資が正常供給に回復するまで、つまりほぼ一週間持ちこたえられるなら、これらの問題も解決するだろう。」
「伭昭さんとあなたが討論した計画について、私は知る権利があるか。」
「申し訳ない、パンク。君は高級将校だが、この計画は集團の生死に関わる。私からは保密しなければならない。」
「分かりました。では、先に失礼します。」
パンクはバクロフに軍礼をし、その後オフィスを出た。姬非什について、彼が取った処理方法は彼女を軟禁することだった。必要な筹码として、そしてバクロフが彼女を使う時に直接連れ出すためだ。
「忌々しい奴、あたしを出せ!!」
身体を冷箱監獄に拘留された姬非什は鋼臂で鋼化柱窗の表面を锤撃した。ここでは、彼女の身体が銃器を生成する速率は超低温で抑制される。
「私は彼女と通話する必要がある。」
伭昭は牢房の前に歩み寄り、姬非什と四目を合わせた。計画は、ここで実施を開始しなければならない!




