コソコソ何してるんだか
少し遅くなってしまいました。読んでくださっている皆さん、ごめんなさい。
今回は平和なタイトルとは裏腹に、少し不穏な気配が桜に、そしれお馴染みメンバーに迫ります。では、楽しんで下さい。
お昼休みの食堂、購買前。
「はい、とんこつラーメン大盛りね」「カツ丼完売だよ~」「運動部限定弁当Bセットの人~。取りに来ないんなら他に回すよ」
「割り込みすんな!!」「お前がな!」「んだとっ」「やんのか!?」ひゅん ガンゴン「喧嘩なら外でやれ!叩き出すぞ」「「すみません!!料理長(隆盛さん)」」
・・・。うん、まぁこの飛び交ってる声でわかるとおり、大変混んでいます。理由は簡単。ここで料理を担当している人は名の知れた料理人。料理は天下一品。そのため生徒の大多数はここで昼飯を買っている。
いつも通りの食堂を一通り眺め、人口密度の高さと熱気、その他諸々を全身に浴びた桜は「毎度の事ながらすごいな」と辟易した口調でため息をつく。彼女の後ろではあまりの人の多さに立ち眩みを起こした渚と彼女を支え、お茶を差し出している美優がいる。
「美優ちゃん達はちょっとここで待ってて。私、皆を探してくるから」
「・・・うん・・・」「お願いします」
息も絶え絶え、といった様子の渚と美優のぽやぽやした声を背中に受け、桜は購買の前に並ぶ人の群れへ突っ込んでその向こう側にあるはずの席へ向かう。時には押し退け、時には隙間に滑り込んでじりじりと前に進んでいくが、一向に席が見えてこない。
ピキッと汗をかき始めてきた額に青筋が浮かぶ。固く握りこまれた拳がブルブル震えるのを感じ、心の中で唱える。
落ち着け。落ち着くんだ・・・私・・・ッ。いくら邪魔だからってこんなとこで異能ぶっ放して消し炭にするのはいくらなんでもマズイ・・・。
物騒な思いつきを間違っても実行しないように自制しながら渋々頭の片隅に押しやり、大きく息を吸うことで自分を落ち着かせる。
気を取り直してもう一度、と顔をあげると、ひらっと目の前で蠢く人の群れの中に白いモノが舞った。思わず目で追うと、それは桜の目の前で誘うようにひらひらと踊っている。
「これって・・・」
瞬く事を忘れたように目を見開いたまま一歩桜が歩を進める。手の届く距離にある白いモノに手のひらを伸ばすと微風を受けてくるくると回り、指先から逃れてしまう。
もう一歩、さらに一歩と足を進め、白いモノに誘われるように歩いていくと、穏やかな声が耳朶を打った。
「桜~。こっちこっち」
一つ目を瞬き、声のしたほうに目を流すといつの間にか人の群れを抜けていた。食堂の約三分の二を占めているテーブルが眼前に広がっていた。ポカンとしていると軽く肩を叩かれた。
「ボーっと突っ立ってどうしたの?」
夢から覚めたような顔をしている桜の正面に回りこんだ千夏は不思議そうに小首を傾げ、笑いを堪えるような表情で彼女の前で手を振る。数度目を瞬いた桜は千夏に焦点を合わせ、訊ねる。
「もしかして、さっきのは・・・」
言いかけた桜の唇に立てた人差し指を当て、悪戯っぽく微笑んだ千夏は「内緒だよ」と小意気にウインクしてみせる。それだけですべてを察した桜はわかったと頷く。
「あれ?真海さんと美優ちゃんは?」
一緒にいるんだとばかり思ってたんだけど、ときょろきょろ辺りを見回す千夏に、桜は答える。
「美優ちゃん達なら入り口にいるよ。渚はこういう人込み苦手だからね」
「なるほど」
合点がいった様子で向き直った千夏は「着いてきて」と手招きをして先導する。着いていってすぐの所にお馴染みメンバー数人の姿を認め、桜の顔に笑顔が広がる。
「皆。席とっといてくれたんだ。ありがとう」
駆け寄ると、彼女に気付いた悠紀、一夜、戒が雑談を止めて顔を上げる。
「お疲れ様です、桜さん。こちらへどうぞ」「お疲れ、桜。美優と真海さんは?」「お疲れ~」
「お疲れ。二人なら今私が呼んでくるよ。螢兄達は?」
「螢斗先輩方は私達の昼食を買いに行ってくれています。もうすぐ戻ってきますよ」
最後尾が見えない購買前の列を眺め、その中に兄達の姿を探したが誰が誰だかまったくわからない。
「じゃあ私は美優ちゃん達呼んでくるね」
早くも探すのを断念した桜は一声かけてから入り口へ向かう。群れを避けて大きく迂回し、入り口付近にたどり着くと左右に目を走らせる。
「見つかんねぇ・・・」
人がごちゃごちゃしていて目的の二人らしき人影すら見えない。困ったなぁ、とぼやいていると不意に自分の前を誰かが過ぎった。
「うわっと」
前へ行くために片足を上げていた桜は突然の事に何の反応も出来ず、誰かとぶつかってしまった。小柄だった相手方が派手によろめいたのを見て咄嗟に手を伸ばして倒れないように支える。
「危なかった」
安堵のため息をつくとぶつかってしまった誰かが身動ぎしたのが伝わってきた。
「ごめんなさい。大丈夫でしたか・・・って、美優ちゃん!?」
摑んだ手の先にいたのは穏やかな笑みを浮かべている美優だった。隣には今にも倒れそうな渚もいる。裏返った声で名を呼ばれた美優は「はい、菊地 美優です~」とのんびり答える。
「いや、それは知ってるから。居たんならいたって声かけてよ・・・」
些か疲れた面持ちで訴えると、美優は事もなさげにさらりとこう述べた。
「そこで待ってたら桜ちゃんらしき人が見えまして、近付こうと思ったら何かに躓いちゃいまして桜ちゃんにぶつかってしまいました」
「それは別にいいんだけど・・・って、とにかく席に行こうか。螢兄達が昼食買ってくれてるってさ」
「はいな」「・・・うん」
「・・・今にも死にそうだな、渚」
出来るだけ人の群れを避けてテーブルに戻ると悠紀達が待っていた。彼らは桜が美優達を連れているのを見て嬉しそうに笑う。
「渚さんはこちらにどうぞ」「美優、ここ空いてるよ」
「悠紀、ありがと」「一夜もありがとね」
三人が席に着くと、タイミングよく今買ってきたであろうラーメンやご飯を持った螢斗達がやって来た。
「おっ、揃ってるね。ほら、桜の好きなカツ丼セット取ってきたよ」「わーい♪ありがとう、螢兄。大好き」
「真海はサンドイッチセット、美優はランチセットAでよかったよな」「ありがとう、龍護さん」「どうもです」
「オメーの好きな揚げパンとサラダだ。受け取れ」「ありがと、お兄ちゃん」「戒。オメーのだ」「あひがほ」「ほらよ、南絃」「どうも」
「悠紀と一夜は俺と同じ運動部限定弁当Bセットでよかったよな」「ありがとうございます、恭哉君」「恭哉。ごめん、俺が行けば・・・」「いちいち謝るなよ」
全員に昼飯が行き渡ったところで「いただきます」と声を合わせて言い、食べ始める。
「恭哉達じゃん。一緒していい?」
「・・・直樹先輩。そこ空いてるから適当に座ればいいんじゃないですか?」
「んじゃ遠慮なく」
「遠慮ぐらいしてください」
「固い事言うなよ、悠紀」
直樹が座り、それぞれ楽しそうにお喋りしながら昼飯を腹に詰め込んでいった。
人気の無い特別棟。その一階にある空き教室に数十人の男女が集まっていた。その瞳にあるのは狂気じみた嫉妬と醜い悪意、妬み、怒りなどだ。
「決行は放課後。天空 恭哉、天空 桜、真海 悠紀、真海 渚、菊地 一夜、菊地 美優が一人になった所を狙え。人数は四、四、四、二、三、二。残った奴は二年と一年の足止め。天空 桜は生け捕りにしろ。いいな」
「何故天空 桜は生け捕りに?」
「我らの主が欲しているからだ」
「抵抗する場合は」
「多少痛めつけても構わん」
人数の振り分けをした女はにぃと口角をつり上げる。その笑みを間近で見た数人の男女が一歩後ずさる。その笑みは普通の者には決して真似できない歪んだ闇に属した微笑だった。
「他の奴は」
「殺しても構わん。あぁ、これを持っていくといい」
投げて寄越した袋の中には“空 の珠”の手錠が六つ入っていた。クスクスと不快な笑い声を上げる女。聞いているだけで寿命が縮まりそうだ。綺麗なライトグリーンの瞳がもう戻れないほど歪み、亜麻色の髪がざわりと逆立つ。
「さぁ、殺し合いの始まりだ。––––せいぜい楽しませてくれよ」
昼休み残り三分。ここは教室棟五階。
「水無月先輩・・・・・・・・・。もう諦めてくれませんか。いい加減疲れた」
最後の言葉は彼女の心の底からの本音だろう。だが、それくらいで引き下がる人だったら苦労はしない。
「諦めろ、だと。天空 桜を目前にした私に諦めろと言うならそれ相応の理由を述べろ!さもなくばこの私を倒して行けぃ!」
案の定水無月は引き下がるどころか意味のわからないたとえを使って彼女、桜に詰め寄る。桜は突っ込みどころ満載の水無月のセリフに即座に噛み付く。
「誰が宝ですか!!そして誰が海賊ですか!?そしてそのセリフは何の漫画、又はアニメのパクリでッ!」
言葉が途切れ、桜は大きく横へ跳ぶ。一秒後、桜の立っていた床に鋭い輝きを放つ物凄く斬れそうな数本の得物が突き刺さった。冗談事ではなく本気で寿命が縮まりそうだ。
「あっぶね~。刺さったらどうすんだ!・・・ですか!!さすがにシャレにならないでしょうが!」
「ちっ」
「舌打ちすな!」
間髪いれず噛み付いておく。あと一分もすれば授業が始まる。それまでに逃げ切れば・・・。しかし前のように上手く逃げられる確率は限りなく低い。水無月には同じ手は(多分)通じない。さて、どうするかな。
そんなことを考えている桜の口元に笑みが刻まれる。なんだかんだ愚痴りつつも桜は奇襲を愉しんでいた。それは水無月も同じ。
「剣術部に入れ!」
「嫌ですッ。絶対に、い・や・だ」
聞き取りやすいようにわざわざ言葉を区切って断る桜。水無月の頭上に無数の得物が出現し、鋭利な切っ先を桜に向ける。
「入れ入れ入れ入れ入れ入れ入れ入れ入れ!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌ッ・・・だ嫌だ嫌だ!」
入れの一言と同時に二本の得物が飛んでくる。桜は嫌だと言いながら得物を避ける。傍から見ればさぞ奇怪な光景に映ることだろう。
キーンコーン
「授業開始、・・・か。仕方が無い。だが、私は諦めんぞ!」
水無月は悔しそうにしながらも頭上にある得物と廊下に突き刺さった得物を仕舞う。桜ははぁ、とため息をつくと教室へ向かう。その間に異能で穴だらけになったの廊下を修復しておく。何故私が、と思わないでもないが。
「あっ・・・・。制服、破れてるし」
再度ため息をつき制服を再生する。なんだか無駄に疲れる一日になりそうだ。
「今日はここまで。残りたい奴はそこの紙に名前と残る理由を書いて、私のことに持って来い。判子捺してやる」
永久先生の言葉で帰り支度をする者、残留届を書く者、手早く支度を済ませて部活動へ急ぐ者などそれぞれだ。恭哉は永久先生の言葉が終わるか終わらないかのうちに教室を飛び出していった。
「桜、今日部活と仕事ある?」
「今日は部活は休み。体育館で三珠の中・高・大の教師が集まって会議するんだってさ。執行部の方も非番だよ」
不満そうに頬を膨らませてふて腐れてみせる桜。逆に渚の顔が綻ぶ。桜は部活と仕事で忙しく、滅多に一緒に帰れないのだ。
ただでさえ執行部は生徒会メンバーより巡回の回数が多い。このチャンスを逃してなるか!
「じゃあ一緒に帰ろ。悠紀と一夜も」
「ご一緒させていただきます」「うん。美優は?」
周囲に人がいるので丁寧語になった悠紀が頷く。一夜が話を振ると、美優は済まなそうな顔で口を開く。
「職員室と美術部に用事があるの。だから先帰ってていいよ。ごめんね」
「そういうことならいいよ。謝んなくて」
美優は慌ただしく荷物を纏めると教室から出て行く。悠紀がさて、と桜達に向き直る。
「では帰りましょう。・・・っと、そういえば。今朝の生徒会の仕事、すべて終わっていましたか?」
「まだ数枚書類が残ってたは「あーーーッ!!」
渚のセリフをぶった切って桜が叫ぶ。悠紀と一夜はぎょっとしたように桜を見て、渚は固まる。教室に残っていた生徒も何事かと目をやる。
「どっ・・・・・どうした・・・の・・・?桜」
頭を押さえて項垂れてしまった桜に恐る恐る声をかける一夜。悠紀は固唾を呑んで桜の次の言動を待つ。渚は冷めた目で桜を見つめている。自分のセリフをぶった切られて少しばかりイラっとしているのだろう。
「さっ・・・桜?」
もう一度そっと呼びかけると桜は一夜の肩をガシっと掴んだ。驚いて目を瞬いている一夜の顔をすごい形相で覗き込む桜。一夜はすでに涙目だ。
「私執行部の仕事残ってるんだ。先帰ってて。じゃ」
早口にまくし立てると鞄を引っ掴んでわき目も振らず去っていった。小型の台風のようだ。
「・・・・・・・・私達も生徒会室、行こっか」
「うっ・・・・うん」
「そう・・・ですね」
三人は呆然としつつも教室を後にした。
バタバタバタ
ここは五階の特別棟。普段は静かなこの場所に慌しい足音が響く。足音の主である桜は「早足です」と言い訳できる速度で廊下を走っていた。
「今日提出の書類何枚あったっけ!?間に合わなかったら持って帰んないと終わらないかも」
それもこれも今まで溜めるかサボるかしてきた自分が悪いのだが、反省する気は微塵も無い。
「龍兄達、いるかな」
一応鍵は持っているが出すのがめんどくさい。さらに言えば出した後執行部室の鍵を探すのがめんどくさい。何しろ一般棟、医療棟、情報棟、特別棟等を全て合わせて数十にも及ぶ鍵を一つの鍵束に纏めたものを持っているのだから。
生徒会・執行部の全員がこの鍵束を持っているのではなく、普通は執行部部長副部長、生徒会会長と副会長が持つことが原則となっている。のだが「螢、頼んだ」の一言で龍護は逃げ、春は「いらね」とそこらに投げ捨てる始末。では、と戒に渡すと、放課後鍵を持ったまま購買部に行きそのまま帰ってしまう。仕方なく悠紀が鍵を管理している。
「ついたっと」
螢斗は今日少し遅れるそうなので桜が鍵を持っている。念の為ドアノブを回すと、案の定鍵がかかっていた。舌打ちしたい心境に駆られ、目元を歪める。
「はぁ~」
代わりのように落胆のため息をつくと渋々(しぶしぶ)鍵束を取り出し、執行部の鍵を探す。だが、執行部室の鍵を見つける前に邪魔が入った。
「天空 桜だな」
鍵を探していた手を止め、目線をあげる。見たことがあるようなないような男女合わせて五人が廊下を塞ぐように立っていた。
「何か用?私、今忙しいんだけど」
険のある声を放つと返答は鋭利な輝きを放つ長刀によって返された。桜は持っていた鍵束の中心でそれを受け、力任せに刃を下に叩き付ける。刃は勢いのまま床に突き刺さり、長刀を手に突進してきた男がちっと舌打ちする。
「紅翼流体術四ノ型一番『強制送還』」
桜は止まりきれず突っ込んできた男のがら空きな胴に振り向きざまに肘を突き出す。鈍い音がして一歩後退り、その場に蹲る男。が、桜の攻撃はそれで終わりではなく、今度は彼女の容赦ない蹴り上げが男の顎をとらえ、男は長刀を持ったまま吹っ飛ばされ、強制的に元の位置に戻された。
普通の者が見ていたら桜がその場で横にくるりと回ったように見えただろう。
「ふぅ、あっぶないな。いきなりなにすんのさ。それも丸腰のか弱い女性に対して。喧嘩売ってんなら買うよ」
か弱い女性、ってのは誰のことでどの口が言ってんだ、と桜のことを知り尽くしているお馴染みメンバーがいたら間違いなくつっこんでいただろう。世界の常識で言ったら彼女は間違いなくか弱い女性という位置から遥か遠い位置にいる。
鍵束を人差し指で弄びながら剣呑な表情で五人の男女を睨みつける桜は内心ほっとしていた。この技は本来得物を素手で掴み、逆手の肘を鳩尾に、さらにその逆の足を顎に入れて相手を元の位置に強制的に戻す技。手元にちょうど鍵束があったのでそれを使ってしまったが・・・成功してよかった。
長刀を手に突進してきた男は忌々(いまいま)しそうに顔を歪め、構え直す。
殺る気満々って感じだね。殺気を隠す気もないってか。
まぎれもない殺意を感じ取った桜は鍵束をしまい、代わりに太刀を呼び出すと柄に手をかける。得物相手に素手ではさすがに厳しい。紅玉色の瞳がすぅと細められる。
「出る杭は打たれる。意味わかるよな?『Z』がチョーシ乗ってんじゃねぇ、ってことだよ」
「チョーシ乗ってませんよ?そちらこそ『S』だから自分達は優秀なんだっていう自惚れと自意識過剰な金看板、早々に降ろしたほうがいいのでは?イタイタしくて見ていられませんから」
わざとらしく顔をしかめ、大袈裟な身振りを加えて冷笑と共に酷評してやると、五人の表情が面白いように変わった。
例えるなら白が一瞬で劇的な赤になる、みたいな。つまりは怒っている。
それをわかっていながら桜はさらに煽る。
「インチキで『S』になったからって思いあがんなよ、センパイ方。あんたらみたいな卑怯な奴と実力で『S』に選ばれた人達が同じなんて世も末だね」
思いっきり大げさに沈痛な面持ちでため息をついてみせると、気の短い二人が飛び出した。手にはマシンガンやチャクラムがしっかり握られている。
校内で物騒な。
そんなことを思いながら桜は太刀を抜き、指輪を外すとにっと笑う。その笑みは戦いの最中にいつも彼女が浮かべる不敵な笑みだった。
「久々に暴れてやる」
もちろん校舎を壊さない程度で、と小声で付け足すと敵へ向かっていった。
桜咲 「・・・えっと・・・これは」
沫雪 「(苦笑い)」
真海 「なにか文句ある?」
桜咲 「・・・文句どころか物申したいことが山ほどあります。まず、どうしてここに?」
真海 「お兄ちゃんに変な女がつかないように見張りにきたんですよ(桜咲を凄い目で睨みつけ、全身で威嚇する)」
桜咲 「・・・・・・へぇ・・・(眉間に青筋が浮かぶ)。変な女って、私のことですか?」
沫雪「はい、そこまで。渚、この後俺と一緒に渚の好きなところに行こう。だから、これが終わるまで寮で待っていてくれないか?」
渚 「はい!お兄ちゃん!!(頬を染めつつ弾むような足取りで出て行く)」
桜咲 「・・・では、プロフィールをどうぞ・・・」
沫雪 「俺の名前は沫雪 貴之。年は22。身長は179cm。体重は65kg。血液型はO型。職業は三珠の情報屋。好きなことは自由気ままに放浪すること。嫌いなものは一所に留まる事。恐い事はあの子達の幸せが壊されてしまうこと。こんなものかな?」
桜崎 「はい。沫雪さんは世界中を旅しているようですが、どうして放浪しているのですか?」
沫雪 「そうだね。知らない事を知れるから、かな。世界にはまだまだ俺が知り得ないことがたくさんある。そう思うといてもたってもいられなくて気がつくといろんな所にいっているんです」
桜崎 「情報収集の為、ではないんですか?」
沫雪「それもありますよ。一応仕事もしないと愁が怒るから。一番の理由は外に出たくても出ることを許されないあの子の為」
桜崎 「妹思いの良いお兄さんですね。渚さんがブラコンになるのもわかる気がします。最後に一言を」
沫雪「どんなに遠く離れていようと、俺はお前の味方だからな、渚」




