東京マラソンの後で
翌朝早く、東京マラソンのボランティアをしに出かけた。考えてみたら参加できるかどうか怪しかったのだな。もし次男が病院に行ってなかったら、どうなっていたことか。入院してくれたから、むしろ安心して参加できた。
例年より暑く、給水ボランティアはとても忙しかった。楽しかったし、たくさんの仲間と会えて嬉しかった。活動後に近くのお店で打ち上げがあった。前もって参加で出していたし、参加できない理由もないので参加した。こちらも楽しかった。
夕方5時には抜けなければ、と思っていたらその前に終わって、ちょうどいい時間に病院の最寄り駅に着いた。いや、最寄り駅と言えるのかどうか怪しい。
地図アプリのナビに従って、住宅街をうねうねと進んだ。辺りは暗くなり、近くの街灯までは見えるものの、その先が見通せなくて怖い。けっこう疲れているのに、ここで23分歩いた事は私にとってはオーバーワークだった。
病院には無事に6時過ぎに着いた。次男は元気そうにしていた。私を見て、
「来たんだ?」
と、驚いていた。
「夕方来るって言ったよね?」
と言うと、言ったけれど連絡がないからと言っていた。確かに、何時頃に着くというメッセージをいつも送るのに、今日は送っていなかった。
やはり椅子がなく、ベッドの端っこに座った。次男は薄いパジャマに着替えていた。私が昨日持って来たやつだ。今日の私の話をし、もらってきた物(試供品)がそのまま今あるので、それを見たりした。だが、食べ物を見せたらいけないと思って、あまり奥まで見なかったので、本当は顔や体を拭いてさっぱりするシートももらって来たのに、それを見せられなかったのは後から思えば残念だった。お風呂に入れずにいて、更に髭茫々になっている次男に、そのシートを使わせてあげれば良かった。
「明日お風呂に入れるって。」
と次男が言った。それで、私が昨日T字剃刀を持って来てあったが、出来れば電動髭剃りを持って来て欲しいという事だった。その他、あれこれ持って来て欲しい物を言われたので、スマホのメモ帳にメモした。
「あ、ミルクレープどうした?」
次男が思い出して言った。
「食べたよ。お父さんも手伝ってくれて、昨日食べ切った。」
と言うと、
「良かった。」
と次男が言った。それから、
「モニターを元に戻しておいてくれると……ありがたいんだけど。」
と遠慮がちに言った。
「あー、あれね。無理なのよね。」
あの時、倒れた直後に何とか起こしたのだが、起きた状態にとどめておけなかったのだ。
「出来たらで。」
と言うので、後で長男に頼んでおいたのだが、了解したにもかかわらず忘れてしまったようで、次男が退院するまでそのままだったのであった。
それにしても、私が飲み会の匂いをさせていたら申し訳ないと思っていたのだが、そんな事よりも今、周りのベッドの人たちが夕食中で、その食べ物の匂いがきついと言っていた。それはつまり、食べたくなってしまうという事だ。喉が渇いた~とも言っていた。点滴しているから体には足りていても、口が乾くからね。気の毒だ。
管が早く取れたのは、いつも遠慮がちで思った事を言えない性格の次男が、今回は頑張って主張したからだと言っていた。そうやって徐々に大人になっていくのだね。 やはり管が入っていた最初の夜は全然眠れなかったそうだ。だから、管が取れた翌日には、ぐっすり眠っていたという事だ。私が来ても気づかないくらいに。
30~40分で病室を出て、バスで帰宅した。次男が脱いだモコモコパジャマとパンツを持って帰った。マジで疲れた。大した事ないようでも、この次男の入院は私の体に確実にダメージを与えるようで、首や肘が痛いのが加速したのだった。




