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第四百二十四話「真・卒業旅行」


 咲耶グループによる卒業旅行へ出掛ける前、グループメンバー達は咲耶を除いて最後のミーティングを行っていた。


「いよいよね……」


「そうですね……」


 薊の言葉に皐月が真剣な表情で答える。すでに計画は全て話し合って決定済みであり、今更部屋割りだとか、やることについての話し合いはない。このミーティングの目的は最終確認だ。そう……。この卒業旅行を期に咲耶との関係や距離を詰めようという作戦の、最後の確認だ。


「お互いに邪魔しない。順番に文句を言わない。それでいいわね?」


「いいよー!」


「今更異論はありません」


「何だかドキドキしてきますね……」


 薊の最終確認に全員が頷く。咲耶は非常に押しに弱い。自分達が少し強引に迫れば簡単に押し倒せてしまうのだ。しかしグループのメンバー達は今まで咲耶と特別な仲、深い仲になれていない。その原因が何なのか。そしてどうすれば良いのか。それを話し合った結果が今回の決定なのだ。


 咲耶グループのメンバー達は自分が咲耶と良い仲になろうとする。それは好きな相手と自分が一番親しくなりたいという当たり前の欲求によるものだが、そうしてお互いに邪魔し合い、足の引っ張り合いをしてきた結果が今の何の進展もない状況だと悟った。


 例えば、薊が咲耶と関係を進展させようとしても皐月が邪魔をし、薊の邪魔をした皐月が今度は咲耶との仲を深めようとしたら蓮華に足を引っ張られてしまう。これを繰り返していれば、グループの誰かに咲耶の一番を奪われたりする心配はない。だが自分もまた咲耶の一番にはなれない。何より問題なのがこのグループ以外の者の存在だ。


 この同級生グループ内で足の引っ張り合い、邪魔のし合いをしている間に、同級生グループ以外の者に咲耶を掻っ攫われないとも限らない。そうなったら目も当てられないわけで、それならまだ自分達でコントロール可能な同級生グループが協力し合い、一先ず咲耶を確保してしまう方が良いのではないか。そしてそれを実現するのに今回ほど打ってつけのタイミングもない。


「この卒業旅行で咲耶様との仲を一気に縮めるわ!」


「せめて私達は協力し合いましょう!」


「「「おおーーーっ!」」」


 これまで入念に話し合ってきた結果を最終確認した同級生グループメンバー達は、一先ず大きな目標のためにお互いにある程度妥協することを約束し合ったのだった。




  ~~~~~~~




 現地に到着して一日目。今日はホテルで寝るだけで何もする余裕はない。別室のメンバー達もやってきて咲耶をその気にさせようとアレコレ策を弄したが効果はなく、渋々向こうのメンバーは帰っていった。


「このまま引き下がるわけにはいかないわ……」


「でもどうすればいいのかわからないよー?」


「咲耶ちゃんがお風呂に入っている間か、寝ている間に襲い掛かるしか……」


 薊の言葉に譲葉はお手上げになり、蓮華は強硬手段を主張した。しかし襲い掛かっても成功するとは思えない。この三人掛りでも咲耶の相手にはならないだろう。


「襲うのは無理だと思うよー?」


「…………いや、それいいかもしれないわよ」


「「え……?」」


 言った本人も成功するとは思っていなかった蓮華の破れかぶれの策を聞いて、薊はニヤリと顔を歪めたのだった。




  ~~~~~~~




「咲耶様~?湯加減はいかがですか~?」


「ええ。丁度良いで……、ぶふぅっ!?あっ、ああっ、薊ちゃん!?何をっ!?」


 咲耶がお風呂に入っている隙に、薊もさっさと服を脱いでユニットバスに突撃していった。咲耶は困惑した表情を浮かべているがここでこちらが手間取ったりたじろいだりするわけにはいかない。咲耶が正気に戻って対応してくるまでに全ての片を付けるのだ。


「咲耶様、お背中をお流ししますね!」


「あっ、薊ちゃん……」


 薊はわざと肌を露出し、咲耶にベタベタ触れまくった。修学旅行の時もこれでうまくいった。だからきっとこれで良いはずだ。そう自分に言い聞かせて恥ずかしいのを我慢してとにかく咲耶に触れ、そして自分を触らせる。そんなことをしている時、ふっと急に咲耶の雰囲気が変わった。それを感じた瞬間に薊の目はハートマークに変わっていた。


「さっ、咲耶お姉様!」


「ふふっ。ありがとう薊ちゃん。今度は私が薊ちゃんを洗ってあげるわね」


「はっ、はいっ!」


 雰囲気の変わった咲耶はあまりに圧倒的すぎる。自分達のような小娘など咲耶お姉様の前では翻弄される子供なのだ。


「あっ……、あふっ……、ふあぁっ!」


 咲耶の指が滑るたびに薊の口から声が漏れてしまう。抑えようと思っても抑えられない。あっという間に頂に達した薊は足をピンと張り、背中が折れるかと思うほどに反らせてビクビクと痙攣を繰り返した。やがて中々降りてこれなかった頂から降りてくるとクタリと力が抜けて後ろの咲耶にもたれ掛かった。


「まぁ、薊ちゃん大変……。もう上がりましょう」


「ふぁっ!?」


 咲耶に抱えられてユニットバスを出た薊は驚いた様子の譲葉や蓮華達に介抱してもらい身なりを整えた。しかしそれだけでは終わらない。


「薊ちゃんだけずるーい!咲耶ちゃん!私とも一緒に入ろー!」


「う~ん……。ふふっ、仕方ありませんね」


 譲葉の言葉にも余裕で応えた咲耶が再びユニットバスに入っていった。それから間もなく譲葉のあられもない声が響き渡り、薊と同じように連れ出された。その次は自分の番だと浴室に乗り込んでいった蓮華の嬌声が響き渡ったのは言うまでもない。




  ~~~~~~~




 同室の三人ともユニットバスでトロトロに溶かされた後、蓮華が出てきた頃には薊は復活し、譲葉ものそのそと動き始めていた。蓮華の身なりを整えてから復活した薊は今日のメインを取り出した。


「さぁ!それでは咲耶お姉様!ツイスターをしましょう!」


「う~ん……。早く寝た方が良いと思いますが……、素直に聞いてくれそうにありませんし、仕方ありませんね」


「「やったぁっ!」」


 ようやく了承してくれた咲耶に薊と譲葉が喜んで抱き合った。


「それじゃまずは私と咲耶お姉様で!」


「じゃあ私が審判ねー!」


 こうして、夜のツイスターゲームが始まった。最初のうちは無難に、そして次第に際どい展開へと進んでいく。


「次はー……、咲耶ちゃん右手赤ー!」


「よいしょ……」


「――ッ!?さっ、さささっ、咲耶お姉様!?これは……」


 姿勢を変えた咲耶はグイッと薊に圧し掛かるように上になっていた。薊は仰向けになっており、その上に覆いかぶさるように咲耶がいる。


「咲耶ちゃん左手黄色ー!」


「まだまだ。この程度なら大丈夫ですよっ!」


「んああぁっ!?」


 覆いかぶさるようになっていた咲耶が左手を動かすと薊の股の間に手を置いた。薄着のパジャマの内腿を腕で軽く撫でられた薊は、ついにビクビクと体を震わせて崩れ落ちた。


「薊ちゃんの負けー!次は私ねー!」


「それでは審判は私が……」


 完全にクタリとしてしまっている薊は二人の手によって除けられ、続いて譲葉が対戦相手となった。しかし譲葉は咲耶と顔を付き合わせるほどに近くなり、耳元にふっと息を吹きかけられ昇天し、蓮華は脇腹を撫でられてトんでしまった。


 圧倒的な力量差を見せ付けられた三人はいとも簡単に咲耶に翻弄され、ゲームはお開きとなった。また今夜は眠ることになり、四人で同じベッドに入ったが、その際咲耶に顎を持ち上げられ『子猫ちゃん』と言われてしまった譲葉は、『子猫のように振舞ったらまた咲耶に可愛がってもらえる』と覚え込み、暫くその癖が抜けなくなったのだった。




  ~~~~~~~




 翌朝皐月達別室グループは悶々としたまま不機嫌だった。こんな安ホテルの壁など音が漏れてしまう。隣から嬌声が何度も響いており、昨晩大変なことがあったのは想像に難くない。それに薊も譲葉も蓮華も、三人ともポーッとした様子だった。昨晩はさぞお楽しみだったのだろう。


 確かにこれは狙い通りだったはずだ。しかし面白くない。皐月達別室メンバー達は悶々としていたために欲求不満と寝不足が溜まっている。咲耶は何も悪くないというのに少し八つ当たりまでしてしまった。


 それでも咲耶は怒ることなく少し困った顔をしただけだった。心苦しく思う。皐月はどうして自分はこうも性格がきつく相手に当たってしまうのかと落ち込んだ。だがいつまでもそうしているわけにもいかず、二日目の観光に出掛ける。むしろ初日は寝ただけなので今日が観光初日とも言えるものだ。


 予定通りにあちこちを見て周り、そして予定の旅館へとやってきた。薊達に順番は譲ったがこれも計算のうちだ。この旅館はオーシャンビューの広い温泉が各部屋にある。そこで今度こそ一線を超えてやる。皐月はその決意を胸に咲耶をお風呂に誘った。


 部屋のメンバー全員で一緒に入ることにはなったが、その可能性も考えてこの広い温泉がある旅館を選んだのだ。皆でそれぞれ咲耶の体を洗っていく。


「それでは私は腕を……」


「じゃあ私は左腕!」


「えっと……、私は足を洗いますね」


「それじゃあ私は逆の足を……」


「あっ!ちょっ、まっ、待ってくださぃ……」


 咲耶が弱弱しい声でそう言うが誰も待たない。ワラワラと群がって咲耶を隅々まで洗っていく。『勝った』。皐月はそう思っていた。咲耶が本気を出すその時までは……。


「あっ!はっ!んんっ!」


 咲耶の体を皆で洗っていると、予想もつかない箇所からやってくる刺激に咲耶が声を漏らしていた。このまま押し切ればあの九条咲耶とて恐るるに足らず!皐月はそう思っていたが、ふと咲耶の表情が変化した。今までの何かを耐えるような表情から、少し笑っている顔へと……。その笑顔は妖艶で……、皐月の手に負えない相手が目覚めたのだと本能的に悟った。しかし悟った所でもう遅い。


「皆さん……、それでは今度はお礼に私が皆さんを洗って差し上げますね」


「えっ?あっ!?」


「はぁ~~~んっ!」


「ひぅっ!」


 咲耶が少し手を動かすと、茜が、椿が、芹が、次々にビクビクと体を震わせ崩れ落ちた。


「あっ……、あぁ……」


 しまったと思った時にはもう手遅れだ。皐月は危険に気付いたが逃げる暇もなく咲耶に捕まり引き寄せられた。ただそうやって触れられただけだというのに、咲耶に触れられた箇所はまるで電気が流れたかのようにビリビリと物凄い衝撃が駆け抜ける。


「駄目ですよ皐月ちゃん……。まだ洗っていないでしょう?」


「あっ!あっ!あっ!ああぁぁっ!」


 これなら他のメンバーと一緒に洗われた方がまだよかった。一人になった皐月はその全てを自分一人で受け止めなければならなかった。果てしない快感の波に翻弄された皐月は、もう咲耶なしではいられない体にされてしまったのだった。




  ~~~~~~~




 何とかお風呂から上がったメンバー達はまだ火照る顔をパタパタと仰ぎながら部屋で休んでいた。とてもではないが咲耶に勝てる気がしない。だがここで終わるわけにはいかないのだ。昨晩は別室のメンバーとツイスターをしたことはわかっている。自分達もツイスターをしないことには終われない。


「ふぅ……。それでは咲耶ちゃん……、ツイスターを始めましょうか」


「…………いいですよ。それでは少しだけしましょうか」


 少しだけ考えるような仕草をした咲耶はあっさり引き受けた。その理由もわかる。本気を出した咲耶には自分達が束になっても敵わない。咲耶にとってはこの程度など本当に遊びでしかない。だが負けるとわかっていても引き下がれない時というものがあるのだ。


「それでは私からいきますよ!」


「ええ。どうぞ」


 咲耶のこの余裕の表情を少しでも崩すことが出来れば……、勝てないまでも少しでも対抗出来ることを示せば……、そう思って自分を奮い立たせる。


「次は咲耶ちゃん、右手青」


「ここしかありませんね」


 指定された色に手をつくために、咲耶は皐月の腋の間に手を通した。後ろから腋の間に手を通された皐月は……。


「はっ!?あぁっ!んんんんっ!!!」


 横乳に咲耶の腕が少しかすった瞬間、バランスを崩して倒れてしまった。もうしばらく動けそうにない。たった一かすり。ほんの少し触れたかどうかでこの威力だ。もう誰も咲耶になど勝てるはずがない。ぼんやりとした視界の中、ベッドに寝かされた皐月は他のメンバー達が次々に陥落していくのを見ていることしか出来なかった。




  ~~~~~~~




 咲耶と少し触れ合うだけで腰砕けになってしまったメンバー達は、這う這うの体でベッドに潜り込んでいた。そのまま意識を失うように眠りにつく。そんな状況で朝早くに目覚めるはずもない。そこへ隣の部屋の痴態を散々聞かされていた椛がやってきた。


「咲耶様、朝の準備に参りました」


「もっ、椛っ!?こっ、これは……」


「…………良いのです。さぁ、準備のためにこちらへ」


 昨日、一昨日と散々隣の部屋の痴態を聞かされてきた。椛も柚ももう我慢の限界だ。初等科の子供達とは違う熟れた体はもうどうにかしないと耐えられないほどの欲求不満に達している。


「さぁ咲耶様!あの者達が起きてくる前に!」


「咲耶お嬢様!私達にも!私達にもお情けを!」


「ちょぉっ!?椛も柚も落ち着いてくださいっ!」


 早朝に咲耶を自分達の部屋に連れ込んだ椛と柚は咲耶に躍り掛かった。二人掛りでベッドに押し倒す。ここから咲耶の体を堪能しよう。そう思った瞬間に咲耶の顔つきが変わった。


 いつものような慌てたような顔や、困ったような顔ではない。その表情は椛ですら生唾を飲み込んでしまうほどの……、妖艶なものだった。


「椛……、柚……、おイタはいけませんね」


「はうっ!」


「あぁっ!」


 押し倒したはずの咲耶が、逆に椛と柚を抱き寄せてきた。ただそれだけで目の前がチカチカするほどの快感が流れる。


「あっ……、あぁ……」


 椛が悟った時にはもう遅かった。力の入らない椛と柚の体に咲耶の魔手が伸びてくる。


「「アッー!」」


 結局、いつも咲耶が起きている早朝に起きたはずの椛と柚だったが、咲耶の手によって気絶させられ、気が付いた時には他の子達も起きている時間とほとんど変わらない時間になっていた。咲耶も一緒に同じ部屋の同じベッドで眠っていたようだが、起きた咲耶は『何故自分がここで寝ていたのか』と不思議がりながらも、椛と柚に朝の支度をしてもらい、何事もなかったかのように朝食へと向かったのだった。



 いつも読んでいただきありがとうございます。


 現実に準拠した場合の咲耶様達の卒業旅行ルート(興味なければスルー推奨)


 金曜日 山口宇部空港→山口市内へ→ホテルで一泊


 土曜日 ホテル出発→山口大神宮参拝→瑠璃光寺、五重塔、香山公園、参拝、散策→秋吉台、秋芳洞、展望台→下関へ→長府庭園キャンセル→下関温泉で一泊


 日曜日 旅館出発→下関前田台場跡→火の山ロープウェイ→火ノ山砲台跡→赤間神宮→壇ノ浦古戦場→関門トンネル人道→北九州空港→都内へ

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 咲耶様モードの時って完全別人格だよなぁ [一言] 咲耶様モードの時の咲耶ちゃんって体から媚薬とか分泌してそう(゜ω゜)
[一言] なるほどなー。みんなして突破を試みたものの、シン・サクヤサマに返り討ちにあったと。 何とは言わないが、守護られたのだ。
[気になる点]  もしかしてこれは転生ではなくて憑依系のパターンで、九条咲耶人格もしっかり残ってるのでは?現在の主人格である久遠朔矢のキャパオーバー時にだけ浮上してくる事ができる咲耶人格。  朔矢人格…
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