Day1(1)
一度大きく息を吸って、息を吐く。
豊かな草原、青い空、ゆるキャラ…
よし、心を浄化したぞ。
改めて目の前にいるこの女性…
目を閉じ、昨夜の記憶をゆっくりと思い返す。
たしかいつも通り兄がうちに来て、風呂に入って、勉強して、寝た。うん。これは絶対間違いない。絶対間違いないよな?なんか過ちを犯したわけじゃないよな?怖い。なんかもう自分が怖いよ?
改めて彼女を見つめる。
服は、着ている。
いや…やっぱり過ちは犯してない…はず。
「あの…そんなにじろじろ見られると…」
彼女が怪訝そうに言う。
「あ!あ、ご、ごめんごめん!」
そうだ、そうだよな。
彼女は朝起きたら隣にいた、ただの、普通の、女の子。よしよしよし、納得…
「できるかぁ!!」
「ひぃ!」
思わず声に出してしまったツッコミに彼女が体を震わせる。
「あ、あぁ、ごめんごめん!!」
「いえ…」
透き通りそうな長い黒髪。茶色の虹彩。すらりとした腕。
彼女は一体…誰なんだ?
恐る恐る聞いてみる。
「あなたは一体…?」
「わ、私は…琉張…優月です。」
………え?
思わず困惑する。
琉張優月?あの?
「ど、どういう経緯でこちらに?」
「はい、あの、実は私、死にまして。」
ほぉほぉなるほど…って、ん???
「し、死んだ?」
「はい、現実世界で、思いっきり車にはねられまして。」
…ん?てことは…
「お、おばけぇえぇぇぇぇぇ!!」
まさかほんとにいるなんて!怖い!え!全然足あるけど!?現代のおばけって足あるの!?てか透けてないけど!?思いっきり皮膚だけど!?
俺があわあわと思考を巡らせていると彼女が、とてもじゃないが信じがたい言葉を言い放った。
「お、落ち着いてください!あの…ここはもう異世界です」
い、異世界……?
そこで俺の思考は限界に達し、視界がブラックアウトした。




