表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけが乗れる父の遺した廃騎士を、世界最強の騎士へ~嫌われ者の養子は、父の遺志と精霊を継ぎ、誰にも知られず辺境を守る~  作者: なごやかたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/39

第三十話 近づく異変

 辺境の街。

 その朝。

 魔物討伐隊の帰還は、いつもより早かった。


「おかしい。」


 報告を受けた兵士長は眉をひそめる。


「何がですか?」


 若い兵士が尋ねる。


「森の様子だ。」

「魔物の数が少なすぎる。」


 兵士は首を傾げる。


「少ないなら良いことでは?」

「普通ならな。」


 兵士長は地図を見る。


「魔物は縄張りを持つ。」

「強い個体ほど、自分の場所から動かない。」

「だが……。」


 指で森の奥を示す。


「最近、奥にいた魔物が外へ移動している。」


◇◇◇


 代官屋敷。

 緊急の報告会が開かれていた。

 辺境を治める代官。

 その隣には家族。

 アルトを引き取った家でもある。


「スタンピードの可能性は?」


 代官が尋ねる。

 騎士団の指揮官が答える。


「現時点では断定できません。」

「ですが。」


 資料をめくる。


「十年前の発生前と似た兆候があります。」


 部屋の空気が重くなる。


「……。」


 誰も口にしない。

 十年前。

 この街を襲った大災害。

 多くの命が失われた。

 そして。

 アルバン・ノーツも帰らなかった。


◇◇◇


 学園。

 アルトは授業中だった。

 しかし。

 集中できない。


『魔力反応を検知。』


 精霊の声。


「近いのか?」

『現時点では不明です。』

『しかし、周囲の魔力流動に変化があります。』


 アルトは窓の外を見る。

 普通の景色。

 いつもと変わらない街。

 なのに。

 胸騒ぎがする。


◇◇◇


 放課後。

 セレスが声をかけてきた。


「アルト。」

「何?」

「今日、変じゃない?」


 アルトは少し驚く。


「分かるのか?」

「分かる。」


 セレスは即答した。


「いつもなら、人に突っかかる余裕くらいあるから。」

「……それ褒めてないだろ。」


 セレスは少し笑う。

 しかし。

 すぐ真剣な表情になる。


「何かあったの?」


 アルトは答えられない。

 騎士のこと。

 魔物のこと。

 言えるわけがない。


「……嫌な予感がするだけ。」


 セレスは少し目を細める。


「珍しい。」

「あなたが弱気なこと言うなんて。」


 アルトは苦笑した。


「俺だって怖いことくらいある。」

「そう。」


 セレスは少しだけ優しい声になる。


「なら。」

「一人で抱え込まないで。」


 アルトは一瞬、言葉を失った。


◇◇◇


 夜。

 倉庫。

 アルトは騎士へ乗り込む。


『警告。』

『魔物反応、増加傾向。』


 表示される地図。

 赤い点。

 少しずつ。

 街の方向へ動いている。


「……。」


 アルトは拳を握る。


「まだ早い。」

「まだ準備が足りない。」


 だが。

 精霊は静かに告げる。


『前回の大規模侵攻記録と一致率上昇。』

「……。」


 アルトの脳裏に父の姿が浮かぶ。

 最後まで戦った父。

 守ろうとした街。


「俺は。」


 操縦席で呟く。


「父さんみたいになれるかな。」


 精霊は答える。


『前契約者との比較は不要です。』

『契約者は契約者です。』


 アルトは目を閉じる。

 そして。

 ゆっくり操縦桿を握った。


「なら。」

「俺にできることをする。」


◇◇◇


 同じ頃。

 森の奥。

 大量の魔物が集まり始めていた。

 低級。

 中級。

 そして。

 その奥。

 巨大な影。

 十年前。

 父アルバンが戦ったものと同じ系統の魔物。

 静かに。

 辺境へ向けて動き始める。

 スタンピード。

 その前兆は。

 もう始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ