表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけが乗れる父の遺した廃騎士を、世界最強の騎士へ~嫌われ者の養子は、父の遺志と精霊を継ぎ、誰にも知られず辺境を守る~  作者: なごやかたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/39

第二十七話 騎士としての一歩

 荒野。

 夕暮れの赤い空の下。

 一機の騎士が立っていた。

 十七メートルの巨体。

 古い装甲。

 傷だらけの姿。

 しかし。

 以前とは違う。

 アルトは操縦席で静かに息を吐いた。


「……。」

『周囲索敵開始。』


 精霊の声が響く。


『前方二百メートル。魔物反応。』

「種類は?」

『フォレストリザード。』


 アルトは眉を寄せる。


「中型か。」


 グレイウルフより大きい。

 硬い外皮を持つ魔物。

 普通の騎士機なら問題なく倒せる相手。

 だが。

 今のアルトにとっては、ちょうどいい相手だった。


「試す。」

『何をですか?』


 アルトは操縦桿を握る。


「俺と。」

「こいつが、どこまでやれるか。」


◇◇◇


 森の奥。

 巨大なトカゲ型の魔物が姿を現した。

 全長八メートル。

 分厚い鱗。

 鋭い爪。

 普通の人間なら、近づくだけで危険な相手。

 しかし。

 アルトの前には騎士がいる。


『敵、接近。』

「来る。」


 フォレストリザードが突進する。

 以前なら。

 受け止めるしかなかった。

 だが。


「右へ。」


 アルトは機体を動かす。

 騎士が一歩横へずれる。

 巨大な爪が空を切る。


『回避成功。』

「思ったより動く。」


 左腕部の補助機構。

 修復前とは違う。

 動きに無駄がない。


◇◇◇


 フォレストリザードが再び襲いかかる。

 今度は尻尾。

 岩を砕くほどの一撃。


「受けるな。」


 アルトは剣を構える。

 そして。

 振る。

 ガキィィン!

 鋼と鱗がぶつかる。

 一瞬、火花が散る。

 だが。

 押し負けない。


『左腕出力、安定。』


 精霊が報告する。

 アルトは笑う。


「やれる。」


 その瞬間。

 昔、ガンツに言われた言葉が蘇る。


『動けばいいってもんじゃねぇ。』

『本来の力を出せるようにしてやるんだ。』


 アルトは剣を握り直す。


「お前の力。」

「借りるぞ。」


◇◇◇


 アルトは真正面から攻めなかった。

 フォレストリザードの動きを読む。

 攻撃後の隙。

 足の運び。

 重心。

 騎士だから強いのではない。

 機体が強いから勝てるのではない。

 相手を見る。

 考える。

 判断する。

 それが騎士の戦い方。


「そこだ!」


 踏み込む。

 左腕で魔物の頭部を押さえる。

 右手の剣を振り下ろす。

 一閃。

 硬い鱗の隙間を正確に切り裂いた。

 フォレストリザードが崩れる。


『討伐成功。』


 精霊の声。

 アルトは操縦席で息を吐いた。


「……。」


 勝った。

 でも。

 今回は違った。

 ただ生き残ったんじゃない。

 自分で勝ち取った。


◇◇◇


 帰還途中。

 アルトは機体を歩かせながら呟いた。


「なあ。」

『はい。』

「俺。」

「少しは騎士になれてるかな。」


 精霊は少し間を置いた。


『判断能力。』

『操縦技術。』

『機体理解。』

『全て向上しています。』

「それ、褒めてる?」

『事実を述べています。』

「……まあいいか。」


 アルトは笑う。


◇◇◇


 翌日。

 討伐受付所。

 また一つ、報告が届く。


「フォレストリザード単独討伐……?」


 受付嬢は書類を見る。

 騎士機による討伐。

 しかし。

 名前は残っていない。


「また、あの騎士……?」


 そう呟いた瞬間。

 少し違和感を覚える。

 誰だったか。

 どんな姿だったか。

 思い出せない。

 でも。

 一つだけ残る。


「……この街を守っている人。」


 そんな気がした。


◇◇◇


 夜。

 倉庫。

 アルトは新しく手に入れた素材を見る。


「これなら。」

「次の修理に使える。」


 まだ足りない。

 まだ弱い。

 でも。

 確実に進んでいる。

 父の遺した騎士と共に。

 一歩ずつ。

 騎士への道を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ