表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れたはずの彼が、気になってしまう。 ―琥珀の瞳が、嘘をつく―  作者: HANABI
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/48

番外短編:引かない理由(レオン視点・30話前後)

風が、少しだけ冷たくなっていた。

 

季節が変わる気配。

それと同時に、

考えなければならないことも増えていく。


(……進路、か)


クロードの話は、理解している。

回収者。

危険。

選ばれる側。

迷いはない。


(やるだけだ)


それは、昔から決めていたことに近い。

問題は――

別にある。

視線を上げる。

教室の中。

ミアと話すリナ。

笑っている。

その隣に――カイ。


(……あいつか)


静かに見つめる。

無駄のない立ち方。

隙のない気配。

強い。

認めるしかないくらいに。


(……敵に回したくはないな)


本音だった。

それでも。


(……だからって)


視線を逸らさない。


(譲る理由にはならない)


リナの反応を見る。

距離。

空気。

目線。


(……まだ、決まってない)


完全には、向いていない。

でも。


(……少しずつ、傾いてる)


それも、わかる。

だからこそ。


(今だな)


そう判断する。

遅すぎても、早すぎても意味がない。

この“中途半端な距離”だからこそ、

言葉にする価値がある。

教室の扉に向かう。


「リナ、少しいいか」


声をかける。

振り向いた表情。

少しだけ驚いている。

でも、嫌ではなさそうだ。


(……大丈夫だな)


確信に変わる。

廊下を歩く。

静かな場所へ。

言葉を選ぶ時間は、十分にあった。

でも。


(結局、言うことは決まってる)


余計な飾りはいらない。

向かい合う。

リナの目は、逃げない。


(……やっぱり、いいな)


そう思う。

強さも、弱さも、

全部含めて。

進路の話をする。

それはきっかけに過ぎない。

本題は、その先だ。

一歩、踏み出す。


(ここで引いたら、終わる)


それだけは、はっきりしている。

だから。


「俺は、お前が好きだ」


迷わず言う。

言葉にした瞬間、

少しだけ視界が澄む。


(……ああ)


これでいい。

リナの反応を見る。

驚き。

戸惑い。

そして。


(……少し、違うな)


嬉しさはある。

でも、それだけじゃない。

何かを探しているような。


(……あいつか)


すぐに理解する。

胸の奥で、小さく息を吐く。


(……だろうな)


納得している自分がいる。

悔しさはある。

でも、それ以上に。


(それでもいい)


そう思える。

だからこそ。


「返事はいらない」


言葉を重ねる。

選ぶのは、リナだ。

強制する気はない。

でも。


「俺は、お前を選ぶ」


これは、譲らない。

カイがどうであれ。

結果がどうであれ。


(逃げない)


それだけは決めている。

リナの「ありがとう」を聞く。

その温度を感じる。


(……ああ)


やっぱり、優しい。

でも。


(……足りない)


その違いも、理解する。

それでも。


(ゼロじゃない)


それで十分だ。


「戻るか」

 

何事もなかったように言う。

隣に並ぶ。

距離は近い。

でも、心の距離はまだ測れない。

それでも。


(……ここからだろ)


静かに、そう思った。


番外 短編② 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ