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忘れたはずの彼が、気になってしまう。 ―琥珀の瞳が、嘘をつく―  作者: HANABI
学園編①

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第14話:実力の証明

空は高く、雲はゆっくりと流れていた。

初夏の陽射しが、訓練場の石床を白く照らしている。


「今日は実技だ」

クロードの声が静かに響く。


広い訓練場には、クラス全員が集まっていた。

木剣と魔法の訓練を兼ねた、模擬戦形式。


「ルールは単純だ。どちらかが戦闘不能、もしくは降参で終了」

淡々と説明が続く。

「無理はするな。だが――」


一瞬だけ、視線が鋭くなる。

「遠慮もするな」


空気が引き締まる。


「まずは数名、前に出ろ」

自然と数人が前に出る中で――

リナも一歩踏み出した。


「お、行くのか」

キースが小さく笑う。

「まあな」

レオンも続く。

そして――


「じゃあ俺も」

軽い声。

カイが前に出た。


その動きに、ほんの少しだけ視線が集まる。

「組み合わせは――」

クロードが一瞥し、短く言う。


「リナとカイ」

一瞬の静寂。


「へえ」

キースが面白そうに呟く。


リナはゆっくりとカイを見る。

距離が近くなる。


さっきよりも、はっきりと分かる。

――違う。

(この感じ……)

言葉にできない違和感が、胸の奥で静かに広がる。


「よろしく」

カイが軽く言う。

その声は柔らかい。

でも――

どこか、引っかかる。


「……ええ」

リナは短く頷いた。


「始め」

クロードの声と同時に、空気が変わる。


先に動いたのはリナだった。

一歩踏み込み、迷いなく間合いを詰める。

剣筋はまっすぐで、無駄がない。


カイはそれを、軽く受け流した。

「速いな」

余裕のある声。

「あなたもね」

言葉を返しながら、二撃、三撃と続ける。

打ち込むたびに、手応えはある。

けれど――


(浅い……)

決定打にならない。

カイは、最小限の動きでそれをいなしていた。

「へえ」

少しだけ目を細める。

次の瞬間――


カイが踏み込んだ。

距離が一気に詰まる。

「っ――」

受ける。

腕がじわりとしびれた。

見た目以上に、力がある。

(この人……)

ただ軽い見た目だけじゃない。


剣が弾かれる。

体勢が崩れる。

その隙に、カイの剣先が止まった。


喉元、ぎりぎり。

ぴたりと動かない。


「……はい、一本」

軽く言う。


一瞬の静寂のあと、ざわめきが広がる。


「今の見たか?」

「やばくない?」


リナは、動かないままカイを見る。

(……強い)

それは、はっきりと分かった。


でも――

それ以上に、

さっきから消えない“何か”があった。

戦っている間、

ずっと感じていたもの。

近くにいるほど、強くなる。


(……なんなの)

息が、少しだけ乱れる。


カイは剣を下ろし、いつもの調子に戻る。

「いやー、いい動きだったな」


まるで何事もなかったかのように笑う。

「またやろうぜ」

軽い言葉。

でも、その奥にあるものは――

読めない。

少し離れた場所で、レオンが静かに見ていた。


「……どう思う」

キースが小さく聞く。

「強い」

即答だった。

「それと――」

一瞬だけ言葉を止める。

「隙がない」

「それってやばくない?」

「……ああ」

レオンの視線は、カイに向けられたままだった。

その奥に、わずかな熱が宿る。


静かに、確実に。

何かが動き始めていた。


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