高松交番の守り人 5
「本当にすみません」
明里は配給を配っている時にそう声をかけられて目を見開いた。声をかけたのは本田剛也の娘の百合子であった。先日の騒ぎの話なのだろう。
彼女に罪はないのだ。
明里は笑むと
「いえ、大丈夫です」
と答え食材を入れた容器を渡した。
配給場所は今や『高松交番』と呼ばれるようになったB区画の入り口の横にあるテントの前であった。
そもそも周辺の家は農家が多く家族でシェルターに来ている人々も多かった。
つまり、16世帯が家族で避難し、明里や坂井進を含めて1人だけ避難してきたのは20名ほどであった。その為、用意するのは36世帯分である。
先日の彼女の父親と近藤光男の騒ぎ以降は静かで問題は起きていない。
隣で取りに来た人々に渡していた竜次も配り終えると
「考えたら配給だけだから楽だな」
と告げた。
明里は頷いた。
POL033こと春海茂和も配り終えると
「配給終了しました」
と告げた。
そこへテントで待機していた達樹が姿を見せた。
「明里君に竜次にPOL033、ちょっと」
そう言ってテントの中へと誘った。
明里と竜次はPOL033こと春海茂和と共にテントの中に入り達樹と進の前に立った。
達樹は進と視線を交わして小さく頷くと唇を開いた。
「シェルターでの生活に入って一か月が経った。こう言っては何だがライフラインは落ち着いたと思っている」
確かに全てのテントに電気が配置され家電製品が機能するようになっている。その上で食料は配布されているので食べるのは問題ない。
また服も配布されたので着替えで困る人々も今はいないのだ。
つまり、衣食住が且つての生活ほどではないが最低限は保証されている状態であった。
達樹は頷いた明里と竜次とPOL033こと春海茂和を見て
「それで次に他の部分をどうするかと思ってな」
と告げた。
明里はそれに
「それは?」
と聞いた。
達樹は頷いて
「いまは誰もが心を落ち着かせるのに必死で食べて寝てを繰り返している状態だ。だが、それが慣れてきたら他の活動が必要だと思っている」
と告げた。
「例えば……これからのことを考えてのことだな」
それで
「シェルター内で会議を開こうと思っている。我々だけでは思いつかない必要なモノが出てくるかもしれないと思ってな」
明里は竜次を見ると
「確かに俺は今で満足しているけど」
と告げた。
竜次も頷いて
「そうだな。俺も何が必要かと言われたら今のままで良いんじゃないかと思うからな」
と答えた。
POL033こと春海茂和は
「会議は良いと思います」
と告げた。
「我々が押し付けるのではなく、要望を聞きそれを取り入れられる分は取り入れていくという形だとシェルター内で生活する人々も張りが出ると思います」
明里は春海茂和を見て
「なるほどな」
と告げた。
達樹は笑むと
「じゃあ、明日の配給時に残ってもらうか」
と告げた。
それに全員が頷いた。
これまで食べることなど生活の最低限を整えることに必死だったが次の段階へと進もうとしていたのである。
翌日、配給時に呼びかけると全員が残り高松交番の前で最初の会議が行われた。
達樹が彼らの前に立ち
「食事や衣類など生活最低限のライフラインは整い始めていると思いますが、他に何か必要なモノがあれば提案いただきたい。勿論、無理なことはできないが出来る範囲で整えていけたらと考えています」
と告げた。
誰もがざわめきが広がった。
急に言われても、という感じである。
それに本田剛也が立ち上がり不貞腐れた表情だが
「学校と病院は最低限準備すべきだろう。子供たちにはシェルター後の世界がある。教育は必要だ。後、誰もが今のように健康でいられるわけじゃない。病院は必要だ」
とフンッと鼻息をならして座った。
明里は目を見開くと彼を見た。
市議という肩書で偉そうなだけだと思っていたのだが、ちゃんと意見を言ってくれたのだ。
しかも真っ当な意見だ。
竜次は明里の隣で
「あの人、俺、ただの高飛車な役立たずだと思ってた」
とコッソリ告げた。
明里も驚きながら頷いた。
達樹は笑むと
「貴重な意見をありがとうございます。その二件に関しては早急に準備を考えます」
と告げた。
それに桐岡公二という男性が立ち上がり
「あの、その……シェルターから出れる日はあるんでしょうか?」
と聞いた。
それにPOL033こと春海茂和が笑むと
「想定として最低2年。若しくは3年と予測は立っておりますが、シェルターに設置された外気測定器の放射線量と外気温が人体に影響を与えないレベルになればシェルターの外へ出ることは可能です。それを告知する義務を私は請け負っております」
と告げた。
「指標として外気温35度以下。大気中の放射線レベル0.001mSv以下が三か月間近似値を保持した場合です」
誰もが「おお」と驚きの声を上げた。
明里も驚いて春海を見た。
本田剛也は息を吐き出すと今度は座ったまま
「もう一つ、あるとすれば……この2年若しくは3年の間にシェルター外で活動できるようになった時に一番必要となる農耕の計画を立てることだな」
と言い
「この備中高松周辺の人間は農耕を生業としている住人が多い。その知識の蓄積だ。本や資料の作成があればその時になった時に役に立つだろ」
と告げた。
近藤光男は苦く笑って
「まあ、腐っても鯛って奴だなぁ」
と告げた。
それに本田剛也は腰を上げると
「なんだと! 本田家を馬鹿にするのは許さんぞ」
と立ち上がりかけた。
近藤光男は笑って
「いやいや、褒めたんだろ」
と立ち上がり
「やるならなるけどな」
と拳を作った。
明里はそれに
「それ以上したら逮捕します」
とずぃと一歩出た。
達樹も肩を竦めながら
「シェルターを出た後の食料確保について資料を作るのはいいと思いますのでそれも進めていこうと思います」
と告げた。
「他にはありませんか?」
それに誰もが首を振った。
竜次は小さく
「全部、本田剛也の意見だったな」
と心で呟き、ふっと黙って座っている青年に目を向けた。
何となく気になったのである。
本田剛也を睨んでいるように見えたのである。もちろん、そんな気がするだけである。
意見は出ることが無く達樹は
「では、解散しますが、学校などの関係者の方と医療関係者の方がいたら残ってこちらに集まっていただけますでしょうか?」
と告げた。
それに全員がバラバラと立ち去り、教師をしていたという加辺誠一が残った。娘の凛々子は吾妻千鶴男が連れて帰っていた。
加辺のテントを立てたのは吾妻千鶴男であった。それで隣に彼のテントも作り互いに助け合っているという。
「申し訳ないことをした。こんな風に助けることぐらいしかできないが」
そう言って力を貸してくれているというのだ。
加辺誠一はシェルターへ娘の凛々子を抱いて入ってくれたことだけで充分であったが、彼が一人だというので互いにこうやって助け合うのも良いと受け入れたのである。
加辺凛々子もまた今では吾妻千鶴男を受けいれていた。
病院関係者としては本田剛也の娘の百合子が看護婦をしており残っており、また、町医者をして原島健一も残った。
達樹は彼らを見ると
「テントは警察の方で設置するので運用をお願いします」
と言い
「医療に関してはB区画の救急車両の方にある程度の必要機材が乗っておりますので一台をテントの方に隣接させるようにいたします」
と告げた。
原島健一は頷いた。
「助かります、ありがとうございます。少しでも人の役に立てられるのなら頑張ります」
百合子もまた
「私も頑張ります」
と笑顔で答えた。
教師に関しては加辺誠一一人であった。だが、彼は笑むと
「人数は9人ほどです。分校では学年もバラバラで行っていたので問題ありません」
と言い
「ただ資料を作るための紙などは必要ですが」
と告げた。
達樹は頷くと
「それに関しては倉庫の中を探してみます」
と答えた。
その日のうちに学校テントと病院テントを作成した。
と言っても住居用テントの余ったモノを立てただけである。
それでも関わる人々は十分だと答えてくれたのである。
明里と竜次とPOL033こと春海茂和と達樹と進の5人がテントの設置と夕方の食料の配布が終わりシェルター内の照明を落とし始めて一息ついたころ、本田剛也は娘の百合子が準備している病院と加辺誠一が準備している学校を1人見回っていた。
「ちゃんとできていなかったら文句を言ってやる」
そう呟き学校を見て
「建物だけはあるな」
と言い踵を返して病院へ向かいかけて声をかけられたのである。
「……本田市議ですよね?」
本田剛也は振り返り
「そうだが」
と目を細めて告げた。
瞬間であった。衝撃が彼を襲い倒れ落ちた。
「な……」
そこに偶々息を吸おうとしてテントを出た近藤光男は走っていく影を目に
「え?」
と言い、少し先で倒れている本田剛也を見つけると
「おい!!」
と叫んで駆け寄り
「しっかりしろ!!」
と担ぐと病院へと走った。
その連絡が高松交番に入ったのは1時間後の午後7時半であった。病院で手当てをした原島健一からであった。
「頭の外傷なので一応入院を願っていますが……その、本田さんも運んできた近藤さんも誰か知らないと言っているんですが放っておくわけにはいかないので」
達樹は報告を聞き明里と竜次に
「瀬野と竜次は本田氏の身の安全を優先させたいので二人で交互に警護を頼む」
と告げた。
「調べたいが鑑識道具はないからな。聞き込みしかないか」
それにPOL033こと春海茂和は敬礼をすると
「簡易式道具ならあります」
と告げた。
「指紋及びゲソ痕などの採取道具はパトカー車両のトランクに積んでおります」
明里は驚いて
「マジか?」
と呟いた。
竜次は腕を組むと
「でも道具あっても使い方がわからない」
と告げた。
それに達樹が
「いや、使い方は俺が知っている」
と言い
「坂井、教えるから一緒にしてくれ」
と告げた。
進は目を輝かせると
「はい!」
と敬礼した。
所轄の刑事は指紋やゲソ痕などを採取する方法は一応知識として持っているのである。鑑識が何時でも駆け付けられると言う訳ではないからである。
だが、交番勤務の駐在員は知らないのである。
達樹は進と共にPOL033こと春海茂和に連れられてパトカーへ向かい道具を持って現場へと向かった。
明里と竜次は病院へと向かって救急車両で身体を横にしている本田剛也の警護についていた。
明里は懸命に看護する百合子を見ると
「あの、本田さんは近藤さんが連れて?」
と聞いた。
彼女は頷いて
「ええ、意識を失っていた父を近藤さんが運んできてくれたの」
と告げた。
明里は少し考えて
「近藤さんは倒れていた本田さんを見つけて」
と呟いた。
竜次は彼の隣で座り
「まさか、自分で殴りつけておいて運んでは来ないだろ」
と告げた。
「それに近藤さんなら本田さん直ぐにこいつだ! って言うだろ」
明里は「だよな」と答えた。
竜次は笑むと
「気になるなら聞きに行けば? 俺がここを死守して置く」
と告げた。
明里はそれに首を振ると
「いや、指示を受けているからな」
と告げた。
それに上を向いていた本田剛也が
「近藤の家に行ってくれ。一応だがな」
一応、命の恩人だ、と告げた。
明里は顔を向けた。
本田剛也は寝たまま
「あの男は節介焼きだ。だから……一応だがな」
と告げた。
竜次は顔を向けると
「瀬野」
と頷いた。
明里は立ち上がると
「じゃあ、様子を見に行ってくる」
と足を踏み出した。
近藤光男の家の近くでは達樹と進とPOL033こと春海茂和がゲソ痕などを採取していた。
彼らに明里は声をかけて
「本田さんが近藤さんが心配だと」
と告げた。
達樹はそれを聞き
「わかった、春海は瀬野に付き合ってくれ」
と告げた。
明里は春海茂和を見ると
「春海、行こう」
と近藤光男の家へと行き
「近藤さん、話があります」
と言い
「入りますよ!」
と声をかけてテントの入口を開けて目を見開いた。
近藤光男が仰向けで倒れていたのである。
「近藤さん!!」
声に近藤光男は薄く目を開けると
「俺が、悪かったんだ」
と呟いた。
「火をつけてしまった……責めないでやってくれ」
明里と春海茂和は顔を見合わせた。
だが、今は手当てが先であった。
春海茂和は近藤光男を抱き上げると明里と共に達樹と進に声をかけて病院へと急いだ。
二件立て続けの事件である。
明里と竜次と春海茂和は警備についた。
どちらも致死に至るほどではないが入院は必要であった。
明里は近藤光男の言っていた言葉を反芻していたのである。
『俺が悪かった。火をつけてしまった。責めないでやってくれ』
近藤光男が知っている人物なのだ。
恐らく彼の身を心配した本田剛也も知っているのだろう。
だが、二人は黙っている。
達樹が姿を見せるとハッとして目を向けた明里と竜次を見て
「……坂井がゲソ痕を採取してる」
と言い
「気になることがあるんだろ? ここは俺と春海が警護しておくから行ってこい」
と笑みを見せた。
春海茂和が敬礼をすると
「安心してください」
と笑みを見せた。
明里は立ち上がると
「お願いします!」
と敬礼すると
「行こう、三木」
と告げた。
竜次は笑むと立ち上がり
「ありがとう、兄貴に春海」
と告げて明里と共に足を踏み出した。
明里は竜次と共に病院を出ると一軒一軒を回った。
加辺誠一や吾妻千鶴男の家も周り、一軒のテントに来ると
「すみません」
と声をかけて出てきた青年に竜次は目を見開いた。
あの時に目を引いた本田剛也を睨んでいた人物である。
竜次は目を細めると警察手帳を見せた。明里は常なら自分が先に見せていたのに今回に限り竜次が見せたことに驚いたものの同じように手帳を見せた。
「お名前を」
青年は視線を下げると
「木村……関雄だ」
と告げた。
竜次は息を吸い込み
「本田さんを殴ったのは君か?」
と聞いた。
明里は驚いて
「三木」
と告げた。
木村関雄は苦く笑むと
「近藤さんが言ったんだな」
と告げた。
明里は驚いて
「え!?」
と驚いた。
竜次は息を吐き出すと
「近藤さんも本田さんも言ってない。ただ、君がずっと本田さんを睨んでいたことに俺は気になっていたから聞いただけだ」
と告げた。
木村関雄は目を見開くと
「まさか」
と呟いた。
明里は少し考えて
「近藤さんは『俺が悪かった。火をつけてしまった。責めないでやってくれ』とだけしか言ってない」
と告げた。
「本田さんは近藤さんは人が良いから心配だから見てこいとだけしか言わなかった」
……二人とも君を知っている……
そこへ進が姿を見せた。
「本田さんの現場と近藤さんの現場のゲソ痕で病院以外を向いて進む足跡は君のだけのようだ」
木村関雄は息を吐き出すと
「俺の母親は……小宮玲子だ。本田が土地を奪ったという小宮さんの娘だ」
と告げた。
「近藤さんの話で本当は俺たち家族が手にする土地をあいつが奪ったことを知って悔しくて……父さんの店が立ち行かなくなった時におばあさんの土地があったら店がつぶれなかったのにとあいつらが奪ったと思って」
……悔しかったんだ……
明里はそれを聞くと
「君、凄く勝手な奴だな」
と言い手を掴むと
「逮捕する」
と告げた。
竜次も進も驚いた。
吾妻千鶴男の時は相手の詐欺を攻めたのに、だ。
木村関雄は視線を下げると
「だよな、奪われるものの気持ちなんて分からないんだろうな」
と告げた。
明里は目を細めると
「小宮さんのおばあさんの土地は君のモノじゃないだろ? おばあさんが小宮さん以外の人に譲っていても同じことをするのか? それが正しい形だったとしても」
と告げた。
「俺は君もただおばあさんの土地を狙っている人間と同じだと言っているんだ。なのに、正式に購入した本田さんや恐らく君を説得しようとした近藤さんを殴ってけがさせた君に情状酌量の余地はないと言っている」
……おばあさんの土地を例えば本田さんが不正に入手したとしても君の心も同じだと言っている……
「人の土地を狙う人間とな」
木村関雄は目を見開くと俯いて唇を噛み締めた。
明里は息を吐き出すと
「本田さんにちゃんと聞けばいい」
というと手錠をして木村関雄を連れて病院へと向かった。
本田剛也は息を吐き出すと
「全く」
と言い身体をゆっくり起こすと近藤光男を睨み
「お前がいらんことを言うからだ」
と告げた。
近藤光男は顔を顰めて
「だから、悪かったと言っている」
と返した。
「だが、そう言う疑惑を持っている奴は多くいる」
本田剛也は顔を顰めて
「土地は確かに安く譲ってもらった。だが、小宮のばあさんは娘が店を出す資金が必要だと借りに来たから安くても良いから直ぐに金を用意してほしいと言ってきたんだ。用意できるのは本田家で市議の俺だけだとな。俺もあの土地を使えばとは思ったから買ったんだ」
と告げた。
「図書館を立てるには良い場所だと思ったし、もちろん、金を儲けさせてもらったが正式な契約だったんだ」
そう言ってギラリと睨んだ。
近藤光男は息を吐き出し
「本当に周次くんすまなかった。俺があの場であんなことを言わなかったら……だがこいつの高飛車なところが市議市議と偉そうに言って自分は動かずに人をこき使おうとッていうのが」
と告げた。
木村関雄は小さく笑うと泣きながら座り込んだ。
「そうだったんだ。おばあちゃんの土地を使わせていたのは俺たち家族だったんだ」
顔を伏せると
「本当にすみませんでした」
と告げた。
達樹は息を吐き出すと
「罪は罪だ」
と告げた。
近藤光男は慌てて
「待ってくれ。こんな状態でこいつが逮捕されたなんて……俺があんなことを言わなかったらこいつもそんなこと考えなかったんだ」
と告げた。
木村関雄は首を振ると
「おじさん、昔から人が良い。ケガさせた俺を庇うなんて」
と言い
「罪は償います」
と告げた。
達樹は頷くと
「一日、拘留する。それから近藤さんが引き取り人として病院や学校の手伝いをする」
と告げた。
「次はないぞ」
本田剛也は息を吐き出した。
「後味が悪いのは望まないからな」
木村関雄は大きく頭を下げた。
近藤光男も安堵の息を吐き出し
「わかりました。ありがとうございます」
と告げた。
木村関雄は一日B区画でじっとして翌日から近藤光男と本田剛也の入院する病院の手伝いをするようになったのである。
「確かに俺はおばあちゃんの土地なのに……勝手に利用しようと考えていた。俺のモノじゃないのに、おばあちゃんは俺たち家族のために安く売ったのに……申し訳ありませんでした」
そう言って高松交番を後にしたのである。
勿論、この事件については関係者と交番の面々だけの胸の内に収められたのである。
明里は落ちつくと達樹に
「あの、巡回をしても良いですか?」
と告げた。
それに竜次も達樹も進も反対はなかった。
POL033こと春海茂和も敬礼をした。
「小さな声を見逃さず。人々の安全を見守り尽くすですね」
明里は頷いた。
そして、巡回も復活したのである。
漸く、シェルター生活に本当の落ち着きが訪れたのである。




