終末のガディス 2
怒声が響いた。
「邪魔だ! どけぇ!!」
女性を弾き飛ばしてカバンを奪うと男は勢いよく走り出した。
真昼間のひったくり事件。しかも岩国駅近くのマンションやビルが立ち並ぶ大通りでの怖いもの知らずの犯行であった。
突き飛ばされた女性は慌てて手を伸ばすと
「だ、誰か!! バッグを! 誰かぁ!! あの男を捕まえてぇ!!」
と叫んだ。
悲鳴に通りを行く人々は驚きながらも突っ込んでくる男を避けて視線で追うしかなできない状況の中で、偶々殺人事件の聞き込みの為に訪れていた狭間周次は岩国ライズビルから降りてきたところでそのひったくり事件に遭遇したのである。
「ったく、忙しいときにくそが」
そう言って勢いよく走ってくる男を見ると周次は素早く一歩を踏み出した。
男は「どけどけ! ケガするぞ!」など喚きながら腕を振り上げて殴り掛かり、周次は冷静に男の手を掴んで懐に飛び込むと素早く背負い投げをかました。
ドォンと音がして男は地に落ちたもののクルリと立ち上がると
「受け身ぐれぇ取れるんだよ! ばかが!」
と笑って鞄を手に足を踏み出しかけて前に立っていたPOL035こと和久津雪を見た。
白い服を着た肩下まで茶色の長い髪を下ろした一見するとか弱いスレンダーな美人が立っていた。
「お! ねぇちゃん」
そう言った男に彼女は表情なくスッと手を前にすると
「無駄な抵抗は止めなさい」
と拳を作って構えた。
男は目を見開いたもののニヤリと笑って腕を振り上げると
「か弱いねーちゃんが無理すんじゃねぇよ! 俺はてかげんしね……」
と言いかけた瞬間に目を見開いた。
言葉の途中でありながら和久津雪は意に介した様子もなく素早く拳を引いて即座に手を開いて手の平で男の右肩を強く突いた。勝手に何か言っているという認識だったのである。
彼女のドっと音がするほどの突きに男は後ろによろけた。が、和久津雪はそれに手を緩めることなく即座に足を回すと勢いよくケリを入れて男を左に吹っ飛ばした。
二人が降りてきたビルの壁に男は勢いよく激突し「がはっ」と声を零すとそのまま白目をむいて天を仰ぐように倒れ落ちた。
一瞬の攻防である。というか、攻防ですらねぇ! と制止の声を上げようとしたもののその前に事態が起きてしまったことに狭間周次は「ああ」と嘆きの声を零しつつ携帯を出した。
「救急車を一台」
アワを吹く男を見下ろして消防署に連絡を入れたのである。
通常はもう一度腕を掴んで押し倒すか、殴って倒すかして終わりの事件が大惨事である。
周次は男の手首と呼吸を確認して
「取り合えず……死んではないな」
と脱力しつつも冷静に呟いた。
和久津雪は男が手にしていたカバンを掴み、駆け寄ってきた女性をみると
「貴方のモノですか? 中に何が入っていたかお応えください」
と告げた。
大立ち回りは常軌を逸しているのに、ここで落とし物の受け渡しのセオリーのやり取りとは「うそだろー」と狭間周次は思わず膝を折りそうになりながら、しどろもどろと「みど、緑の財布に……それから、キティちゃんの絵の……マイバッグと……」と告げる女性の横に立った。
まさに「おいおいー」と叫びたい心境である。
周次は和久津雪からカバンを奪うと手際よくその2つを見つけて
「確かに間違いありません」
と手渡した。
女性は安堵の息を吐き出して「ありがとうございます」と何度も頭を下げながら立ち去った。5分ほどで救急車が到着すると周次と和久津雪は倒れている男がひったくり犯であることを救急隊員に告げて警察病院へ行くように指示を出したのである。
両肩の脱臼にムチ打ち。ついでに脳震盪と右半分に集中した数カ所の打撲。全治一か月であった。
犯人の男は取り調べで和久津雪を見ると蒼褪め全てをペラペラと喋ってひったくりを全面自供したのである。
二人が岩国警察署の刑事課のフロアに戻ると捜査一係の席ではざわめきが起きており、一番奥の席に座っていた捜査一係長の岩谷晃が腕を組んで仁王立ちしていた。
「狭間に……POL035……いや、和久津雪」
震える声で名を呼ばれ、周次は直ぐに次の言葉が予測できた。激怒するだろう。とは思っていたからである。
岩谷晃は息を吸い込んで吐き出すと
「狭間、お前……ちゃんと教育をしろ!! このままじゃ、死人が出るぞ!!」
ゴラァ!! と声が響き渡った。
確かに、と周次はたじろぐ様子も見せず冷静に後ろで立っている和久津雪を横目で見て手を上げると
「御免ですんだら警察はいらねぇと思いますが」
と先に前置きをして
「暫く、こいつの教育時間を貰っても良いですかねぇ、俺も手を焼いているんですよ」
と正直に答え、はぁと息を吐き出して己を落ち着かせるためにポケットから煙草を出すと口に咥え
「なんなら、係長に譲りますよ」
こいつ、とさっぱり告げた。
瞬間にフロア中が凍り付き誰もが『俺もいらん』と心で叫んだ。
銃撃戦では男の玉狙って気絶させ、ひったくり犯は両肩脱臼全身打撲で全治一か月。顔は整ってスレンダー美人であるが、中身はロボットである。その威力は誰もが想像できるものであった。こんなロボットの教育などしたくないし、できないと誰もが判断したのである。
つまりは周次にも情状酌量の余地があるということである。
岩谷晃も彼女を押し付けられても困るし受け取ってはならないと厳命されているので息を吐き出すと
「わかった、その代わり使えるロボット警察官に教育してくれ」
と椅子にがたりと脱力したように座った。
背後の窓の空は既に茜色に染まり、夜の訪れを無言で告げている。
周次は黙って立っていたPOL035こと和久津雪を見ると
「俺が夕飯食ったら出かけるから、その間に先の聞き込みの報告書を作っておけ」
と告げた。
彼女は敬礼をすると
「はい」
と答え、自身の席に座ると白紙の報告書を机から取り出して記載を始めた。
周次は彼女を見ながら椅子に座って煙草を置くとコンビニ弁当を出して食事を始めた。
恐らく。
いや、多分。
「こいつの中には犯罪者逮捕第一しかねぇんだろ」
そう考えたのである。
確かにそれは大切なことである。だが和久津雪の中にはただそれだけしかなくて『犯人がどういう状態でも良い』というのがあって、ストッパーがないということにも気づいていた。また、犯罪者を逮捕することの意味も『分かっていない』と周次は感じていたのである。
「こんなもんをどうやって教育しろっつーだよ」
バグバグと鮭弁当を口に運びながら周次はどうして自分に白羽の矢が立ったのか考えずにいられなかった。確かに刑事課捜査一係の人間だが、そんな人間自分以外にもごまんといる。その中で何故? と思わずにはいられなかった。
「もしかして、上層部から要注意人物として目を付けられてるのか??」
そんなことを考えながら周次は和久津雪が報告書を仕上げて岩谷晃に提出すると夕飯を終えて彼女を連れて歓楽街へと連れて行った。
「ちょっと巡回行ってくる」
そう告げてフロアを後にしたのである。
岩国駅の商業ビルやホテルなどが立ち並ぶ大通りから少し離れた場所にスナックやバーなどの入っている雑居ビルが密集する区域がある。事件らしい事件は起きていないが小さなトラブルは常に発生している場所である。
特に最近はスナックのホストやホステスに金を入れ過ぎて破産する主婦や独身男性などが時折り警察に相談に来ていると岩国警察署の方でも注視をしているところであった。
和久津雪は周次と共に大通りに比べるとゴタゴタとしてあまり綺麗ではない雑居ビル通りを歩きながら
「巡回、とは何でしょうか?」
と聞いた。
周次はそれに
「巡回っていうのは犯罪が起きる兆候がないかや、犯罪を一早く見つけるために警察官が見て回ることだ」
と言い
「新人警察官の頃に配置された駐在所で誰もが経験したことがある任務だ」
と告げた。
彼女は周次の後を歩きながら
「それが私に必要だと狭間警部は判断されているということですか?」
と告げた。
「理由を教えてください」
周次は足を止めて振り返ると
「和久津、反対にお前は巡回が必要だと思うか?」
と聞いた。
和久津雪は彼を見つめたまま
「答えがありません」
と告げた。
周次は息を吐き出すと
「だったら、必要だと入れておけ」
と言い
「お前に言っておく。まず警察の仕事は犯人逮捕が第一じゃねぇ」
と告げた。
和久津雪はそれに
「しかし、刑事課捜査一係の仕事は凶悪事件の解決、それは犯人逮捕です」
と返した。
周次は腕を組んで立ったまま
「お前は何故犯人を逮捕する?」
と聞いた。
和久津雪は周次を瞳に映したまま
「事件の解決です」
と答えた。
周次は笑むと
「やっぱりな」
と言い
「じゃあ、何故事件を解決しなけりゃならないんだ?」
と告げた。
和久津雪はじっと周次を見つめたまま
「私の仕事は狭間警部と同じ刑事課捜査一係の仕事でそれは凶悪事件の解決です。何故、解決するかは回答が入っていません」
と俯いた。
周次は冷静に背中を向けると
「お前には『何故』を考える必要がある。その為の教育を今から行うって言ってるんだ、黙って付いてこい」
と歩き出した。
和久津雪は黙って足を進めて前を行く周次の背中を見つめた。
「私の存在意義はこの人をあそこへ何れ導くこと。この人が私に何故を考えろと言っている」
……何故? ……
「それを知ることこそが私をその存在意義の向こうへ連れて行ってくれるというの?」
周次は黙って歩き出した彼女を肩越しに確認し
「一からこいつを教育していかねぇとな」
と心で呟き、雑居ビル街の薄汚い通りを進んだ。
……だが機械に『自発的な疑問』というかその向こうにある『人間の心』が理解できるのか? ……
周次も和久津雪も今はまだ互いに相手の考えを探る段階にしかなかったのである。
夜の闇が岩国の町を包みイルミネーションや建物の灯りだけが明るく光を讃えている。二人は暫く歩き、周次は不意に足を止めると建物の路地に身を隠して一軒の眩しいイルミネーションで照らされた雑居ビルの前をみた。ホストクラブが入っているらしいビルで若い男が化粧をバッチリと決めた女性の腰を抱きながら店から出てキスをしていた。
和久津雪は周次の横から見ながら
「あのホストがなにか?」
と聞いた。
周次は目を細めると男の向こう側の角から自分たちと同じように隠れるように通りを見ている女性を見つめた。カバンにずっと手を入れたままホストを見つめ続けている。
その目に憎しみが宿っているのだ。
周次は女性の視線の先に女性といちゃつきながらタクシーを待っているホストがいることに気付くとここのところ金を貢いで破産して訴えてきている女性たちを思い出しそっと携帯を出すとホストと女性をそっと写した。
そして、歩いてそれとなくホスト達の前を通り抜けて角で隠れている女性をチラリと見た。女性はそれに気付くとハッとして顔を背けて歩き出した。
周次はホスト達から離れると女性の腕を掴んで
「あのホストに何か?」
と聞いた。
女性は手を払うと慌てて駆け出しかけた。が、その前に和久津雪が前に立った。女性は足を止めて戸惑いながら諦めたように息を吐き出した。
周次は警察手帳を出して
「そのカバンの中身を見せてもらっても?」
と告げた。
女性は唇を噛み締めると
「……あの男が……許せなくて……」
とカバンからナイフを出した。
和久津雪はチラリと周次を見た。
周次は頷いて女性に視線を向けると
「良かったら詳しく」
と告げた。
女性は涙をぽとりと落としてカバンから携帯を出して録音している音声を流した。そこには男の声と女性の声が入っていたのである。
『かな、君以外の女性は仕事上の関係なんだ。俺には君しかいない』
『本当に?』
『君と結婚を本当に考えているんだ。だけど借金があって』
いわゆる結婚するから借金の為の金が欲しい、という流れである。金額は300万であった。
周次は目を細めながら
「この女性は……貴方ではないですよね?」
と聞いた。
彼女は頷いて
「私の妹です」
と言い
「私の名前は浜田りえと言います。妹はかなと言い、あの『エルドラド』というホストクラブのNo1ホストのルーイに夢中だったんです。そして、通う内に借金が嵩んで……私が止めると結婚してくれるんだとこれを聞かせてくれたんです」
と告げた。
「私の忠告なんて聞かなくて、でも結婚なんて言葉で金を巻き上げているあの男が許せなくて」
良くある内容である。
周次は浜田りえに
「話してもらえてよかった」
と言い、
「妹さんに会わせもらっても?」
と聞いた。
彼女は頷いて
「お願いします! 妹を説得してください!」
と頭を下げた。
周次は和久津雪と共に彼女の後に付いて浜田かなと彼女の家へと向かった。
彼女は家に着くと鍵が掛かっているのに
「あれ? もう帰っているはずなのに」
と中へ入り、聞こえてくるシャワーの音に
「かなー、シャワー?」
と風呂の戸を開けて悲鳴を上げた。
「かな!! 止めて!!」
声に周次と和久津雪は飛び込み、手首を切ろうとしていた浜田かなを止めると周次は彼女の頬を叩いて
「しっかりしろ!! あんたのために殺しまでしようとした姉を残していくつもりだったのか!! それこそ本当に人殺しにするぞ!!」
と強い口調で言った。
浜田かなは驚いて
「え!?」
というと濡れたまま浜田りえを見た。
「姉さん……一体」
浜田りえは顔を歪めて
「そうよ! 私、貴方をこんなに追い詰めたあの男が許せなくて……殺そうとホストクラブまで行ったの、そこでこの刑事さんに止められて」
と泣きながら叫ぶように告げた。
浜田かなは彼女を抱きしめると
「ごめ、ごめんなさい!!」
と叫んだ。
「だって、もう……自己破産しかなくて!! いま電話したら『そんな覚えない』ってその後は電話も出てくれなくて」
周次は息を吐き出して
「その録音が残っている。俺が立ち会って確認するから、服を着替えて落ち着きなさい」
と告げた。
浜田かなは頷いて震えながら身体を拭いて着替えた。
そして、周次は和久津雪と浜田りえと浜田かなと4人で『エルドラド』へと向かった。
店に入りボーイにルーイを呼び出すように告げた。するとルーイがやってきて冷めた目で浜田かなを見ると
「なに? 客できたわけじゃなさそうだけど」
と告げた。
浜田かなは顔を顰めて
「私と結婚してくれるって言ってたの嘘だったの? 借金があるからそれを返すために300万必要だっていったの」
と告げた。
周次はポケットの中に入れていた携帯の録音ボタンを押した。
ルーイは笑って
「はぁ? そんなこと言った覚えないけどなぁ~、300万は君が俺を指名した時にくれたんだろ? 最近リップサービスで入れ込んで金を渡してくる奴がいてそれを返せってさぁ」
ばっかじゃないのか? と告げた。
周次は息を吐き出し
「君とのやりとりを彼女は録音していたんだ。そして君の今の言葉を合わせると詐欺罪として立証できる。刑事事件として取り扱える。あと、民事で金は損害賠償と慰謝料で充分金を取り返せる」
と告げた。
そこに店のスタッフが近寄った。実力行使をしようとしたのだろう。
周次は警察手帳を見せると
「しょっ引くぞ!!」
と怒鳴った。
途端にルーイが逃げるように走りかけた。
それにPOL035こと和久津雪が素早く回り込むと
「狭間警部が命は取るなと言っているので、取り合えず殺しませんから」
と言い、壁にゴっと押さえつけた。
ルーイは驚いて震えながら崩れるように座った。そこの足の間に和久津雪は足をダンッと踏み下ろした。ビシッと床に穴が開き、ルーイは蒼褪めると震えながら白目をむいた。
スタッフもそれを見ると全員が凍り付いて周次たちを止める人間はいなかったのである。
周次は捜査一係に電話を入れてパトカーを呼び寄せてルーイと浜田姉妹を乗せて岩国警察署へと向かった。
浜田かなはルーイの無様な様子に幻滅したようで
「本当に私バカだった」
と言い、浜田りえに謝ると
「本当に人を見る目を養わないと」
と泣きながら微笑んだ。
彼女は周次と和久津雪を見ると
「本当に、私……あのままだったら大切なお姉ちゃんにもバカな真似をさせて……私自身も取り返しのつかないことをしていました。止めていただいて本当にありがとうございます」
と頭を下げた。
浜田りえも頭を下げて
「私も妹も罪を犯さずに済んで本当にありがとうございます」
とかなと顔を見合わせると微笑みあった。
周次も微笑んで
「人を見る目を養うんだぜ、それから、側にいるあんたを本当に大切にしてくれている人を不幸にしないようにな」
と二人を警察署から見送った。
和久津雪はその顔を見て目を見開いた。
「私は、事件が起きるかどうかわからないのに見て回るというのはとても非合理的だと回答を出していました。今回は偶然が重なり成果があっただけだと思いますし……それに浜田かなも己の欲で詐欺にあったとも判断できます。愚かです。救う必要があったのかとも考えます」
けれど狭間警部はいま幸せそうに見えます。
「何故?」
「それに浜田りかが犯罪を行おうとしていることが分かったのかもわかりません」
何故、狭間警部にはわかったんですか?
周次は彼女を見ると
「和久津、俺たち警察官は人々に尽くすために……人々が罪を犯さないように、また、犯罪に巻き込まれないようにすることが本当の最重要事項なんだ」
と告げた。
「事件が起きてしまったら人は元には戻れない」
「確かに浜田かなは愚かだと思う。だからと言って騙されて自殺をしようとする、その妹を思って罪を犯そうとしている人間を見捨てることは更なる不幸を作る切欠になるし救わなければ警察官である意味がないと思っている」
人は死んだら生き返らない。助かったとしても心に残った傷はずっと癒えない。
「事件が起きてしまったら取り返しがつかない。だから事前に止めることが最優先事項なんだ。事件解決は警察官にとってある意味失敗の部類に入る。起こさない事こそ成功なんだ」
あの二人が笑って帰っていけたのは
『事件を起こさずに済んだからだ』
周次はそう言って笑みを浮かべた。
「犯人を逮捕することは大切だ。それは罪を起こした人間はその罪の重さを知らなければならない。そうしなければ同じことを繰り返し続けて不幸の輪を広げ、その火種が巨大な悲劇を産み落として誰も幸せになれないからだ」
……人は不幸になるために生まれたわけじゃない。もちろん、何のためにかは複雑すぎて俺にはわからん……
「だが、不幸よりは幸せに生きる方が数千倍いいと俺は思っている。だから警察は善良な人々がその日幸せに生きていくための手伝いをしているんだと思う。その為に法があり俺たちはそれを守るための正義の盾になる必要がある。法を守り人に尽くす」
……それが警察だと俺は思っている……
周次は彼女を見つめ
「これから色々なことにであって『何故』を考えていけ」
と告げた。
和久津雪は敬礼し
「はい」
と答えたものの
「しかし、愚か者を助けても愚か者は結局愚かなことをするかもしれない。是といえるのかしら」
と思考回路の中で呟いた。
その後、浜田姉妹はルーイに民事裁判を起こして金をとり返したのである。また、ルーイ……本名・田口克雄は他の女性にも同じようなことを言って数千万の金を手に入れていたことが分かり数件の詐欺罪で追及されることになった。
『エルドラド』のホストの多くが違法ギリギリの方法で金を巻き上げていたことも分かり、行政指導が入ったのである。
周次はその後も彼女を連れて巡回をし続けることにしたのである。和久津雪は歩きながらすれ違う人々の姿を見つめ、顔を見つめるようになったのである。
それから数日後、捜査一係に思わぬ事件が舞い込んできたのである。
爆破予告が届いたのである。




