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POL 終末のロボット警察官  作者: 如月いさみ


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大社広域交番 8

 飲料水と農作物を育てる水の復活が最優先の事項となった。幸いそれを想定してのろ過装置の素材は地下二階に残されていた。


 尊は人々を集めて水の除染の為の装置を作成し、シンチレーション式放射線量測定器で一カ月間測定し問題が無ければ農業の開始を宣言した。ただし飲料水はシェルター内にある限りそれを利用すると告げたのである。


 山田竜一や中村裕次郎や太田幸村などの呼びかけで多くの人々がろ過装置の設置に力を貸した。誰もが農業の復活を楽しみにしていたのがそれだけでわかった。


 尊は巨大な貯水槽を川の近くに設置しそこから水を誘引してろ過装置へと流しいれることにした。

 最初の畑は川の側に二か所に分けて作成され、管理はその区域の人々全体で行うことにした。


 一人の所有というわけにはいかなかったのだ。

 そして、種の幾分かを渡して農業を復興させたのである。


 もちろん、出来上がった野菜に含まれる放射性物質の量の測定は必ず行ってから利用するということになった。


 尊はその段になって大社広域交番に人々を集め

「農業の再開も出来た」

 と言い、見つめる人々に笑みを浮かべると

「そろそろ村長を決めて村として一丸になって復興を行っていく時期に差し掛かったと思っている」

 と告げた。

「我々、警察はこれまで通りに巡回と配給は行いここにいる全員の生活を守っていく。だが人々の生活の基盤を支えていく政治的なことは警察機構と分離した方が良いと思う」


 ……互いが手を取り合いながら、だが独立して互いを監視し合う形で存在した方が良いと思う……


「よって、一週間後に村長を決める選挙をこの大社広域交番にて行う」


 全員が驚いて顔を見合わせた。

 富健吾も多田安男や他の面々も尊を見て目を見開いていたのである。


 尊は解散すると鑑識班や車両係も含め警察官の面々全員を会議室に集めて

「俺と速水隆二は署長と副署長を辞めて鳥取を目指そうと思う」

 と告げた。


 宮前青子は息を吐き出すと

「やっぱり、だから村長選挙を行うといったのね」

 と告げた。


 門野相馬は驚きながら

「え?? え? 鳥取を目指すって??」

 と聞いた。


 全員が尊を見た。

 尊は彼らを見ると

「一番安全で準備さえ整えればたどり着けると思われるのが海岸沿いを走って到着する鳥取警察署だ」

 と言い

「他は内陸を通らないといけないので標識がなく迷う可能性が大きいし道の寸断もあるかもしれない、だから先ず鳥取に生存者がいるかを確認し、もしいれば連携を取って互いにあるモノや足りないものを交換補充していけば互いの地域の生活も良くなるし……この日本の本当の状態も分かるようになる」

 と告げた。


 小宮繭美が

「署長は……他の区域にも人が生きていると?」

 と聞いた。


 尊は頷いた。

「恐らく、ふく……速水のようなロボット警察官が配置されて彼らが人々を誘導していると考えている」

 

 ……必ずいる……


 富健吾は敬礼すると

「では、署長と副署長の帰還をお待ちします!」

 と言いニヤリと笑うと

「新しい署長や副署長を立てるのはまだ早すぎる。でも、署長と副署長が出張に行っている間くらいは我々で大社広域交番を守っていけますよ」

 と告げた。


 松村加代子も笑って

「そうね」

 と言い

「安心して行ってきなさい」

 と告げた。


 尊は笑みを深めると

「ありがとうございます」

 と頭を下げた。


 そこへ山川奈緒が姿を見せると

「あの……兄が農耕作業の計画表を作ったので届けに来たんですけど」

 と言い、笑みを浮かべると

「仙花ちゃんのことは私が一緒に住んで暮らしますから、帰ってくるのをお待ちしています」

 と告げた。

「私も待っていますから」


 尊は笑むと

「ありがとうございます」

 と告げた。


 それに宮前青子はにやりと笑うと門野相馬に

「あれは近い内に苗字が変わるわね」

 と呟いた。


 門野相馬は「えぇ!?」と彼女を見た。


 一週間後村長選挙が行われ選挙運動をした妹尾牧夫や太田幸村ではなく山田竜一が選ばれた。

 その補佐を妹尾牧夫と太田幸村がすることになったのである。が、二人は相変わらず睨みあいをするが、以前のように我こそが言う感じではなく山田竜一を支えて行こうとする意志はあった。


 それを見届け、尊は飲料水や食料を一週間分と発電機を乗せると鳥取に向かって隆二と共に車を走らせた。


 3分の1ほどまでは行ったが、その向こうは未知の領域である。まして、鳥取で本当に人が生きているのかもわからない。


 その日の空は青く晴れ渡り、日本海も穏やかな波を讃えていた。

 川坂仙花は山川奈緒と共に

「署長さん、私、もう家族を失いたくないの……絶対に戻ってきて」

 と尊に抱き着いた。


 尊は抱きしめ返して

「絶対に戻ってくるからな、仙花」

 と告げた。


 彼女は初めて

「署長さんは……私のもう一人のお父さんだから」

 と告げた。


 尊は泣きながら笑むと車に乗り込み手を振って東に向かって海沿いを走り出した。


 その先には想像を絶する光景が待っていたのである。


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