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POL 終末のロボット警察官  作者: 如月いさみ


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ゼロ丁目駐在所のお巡りさん 6 ENDING

 核戦争後3年を経て榊翔也を含め鳥取県で生き残った人々はシェルターで住みながら死の灰の積もった家々を住める場所へと整え始めた。

 

 食べ物は水と大地の汚染があったので獅子河豊治の勧めで後3年はシェルター内の食べ物を利用することにしたのである。


 東京や他の地域がどうなっているのかは全く分からない。

 獅子河豊治の話では中心のネットワークは生きているが他のロボット警察官の状態は把握できないという話であった。

 

 榊翔也は外壁だけは残っていた砂丘駐在所を洗浄して警察機構を復活させた。

 と言っても犯罪をする人は居らず巡回をして人々の生活状態のフォローが主な仕事であった。

 榊翔也は屋根のない外壁だけの駐在所の中で獅子河豊治を見ると

「よし、今日は巡回ルートA出回るぞ」

 と呼びかけた。


 シェルターに保管していたパトカーの一台に乗り込み、回り始めた。そう県警本部の警察官は二人だけであった。

 その為人々はシェルター内の呼び名をそのまま引き継ぎ砂丘駐在所ではなく『ゼロ丁目駐在所』と呼ぶようになっていた。


 かつて観光客でにぎわっていた砂丘には風が吹き抜けるだけで人類の姿はない。海の音と太陽の光と流れるだけの静寂の空間であった。


 それが延々と続いている。


 その中を二人は車で走り続け端まで行ってクルリと回ると広がる廃墟の中でポツンポツンとある小さな住宅を訪れた。Aルートには松園宅があり、90歳を迎える百合子さんをフィリシアと彼女の息子松園勝夫が介護をしていた。


 豊治は松園宅の前に来るとインターフォンを押してできたフィリシアに

「今日は変わりありませんか?」

 と聞いた。


 フィリシアは頭を下げると

「百合子さま、寝テオラレマス。勝夫さまはシェルターで作業をしております」

 と頭を下げた。

「イツモオツカレサマデゴザイマス」


 彼女はそう言うと戸を閉めて松園百合子が横たわっているベッドの部屋へ戻ると彼女の手を撫でて

「百合子さま、ご気分はいかがですか? 今日ハ何ノ話ヲイタシマショウカ?」

 そう呼びかけた。


 ……桃太郎ニシマショウカ? ……


 この町に生きている人で若者は協力して町の復興のためにシェルターで農業復活のための作業をしている。


 豊治は松園宅を後にすると住宅街を進み小さなボロボロの食堂の入口で客待ちをする猫型のロボットに声を掛け、他の家の前も通り、いつもと変わりのないことを確認すると見えてきた駐在所に笑みを浮かべた。


 巡回が終わるとシェルターへ行き、人々の作業を手伝う。

 それが今の二人の生活ルーチンとなっている。


『ロボットだけになったら警察ロボットである自分は用なしになる』

 かつて豊治が出した答えに

『事件が起きないことは良いことだろ? それにな警察の仕事は事件の解決だけじゃなく巡回して見回り、いつもと変わりのない事件の予兆がないことを確認するのもあるんだ……無くなることはないさ』

 その通りであった。


 豊治は翔也と戻ると笑みを浮かべて

「本日も異常なし」

 と呟き、机から報告書を出すと鉛筆を手に今日の巡回の内容を書き始めた。

 ロボット警察官である彼の内ポケットには翔也から貰った警察の心得を書いた本がある。


 人々を慈しみ守る。

 そして、真実を探求する。


 それは永遠の豊治の指標である。


 しかし、豊治はその本に手を乗せて

「けれど、まだ私には人間の心が分からないです」

 と呟いた。


 ……それでも警察官としてこの地を守っていく……

「それが私の役目」


 それこそが追い求める人の心であるとロボットの豊治には分からなかった。

 ロボットであるがゆえに『人が答えを探す如何に生きるべきか?』という答えを得ながらも『人とは何であるか?』という答えを探し続けていく矛盾の中で永遠を生きていくことになるのである。


 外ではただ風が流れ少しずつだが古びて崩れ落ちた家々の場所から緑が無造作に姿を見せ始めていた。


 豊治が心に己の使命を秘めた時に、翔也の声が響いた。

「豊治! あれ!」


 そう告げた視線の先にキラリと光りを弾き向かってくる一台のパトカーが姿を見せた。

 クラクションが鳴り響く。


 翔也は外へ飛び出ると帽子を手に大きく振った。

 この地以外からの来訪者である。


 それは……希望の姿であった。

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