表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
POL 終末のロボット警察官  作者: 如月いさみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/37

ゼロ丁目駐在所のお巡りさん 5

 POL031こと獅子河豊治は顔を上に向けると数秒立ち尽くし不思議そうに見ている榊翔也を見た。


 ……トキガキマシタ……


 彼は榊翔也を抱き上げるとパトカーの助手席に突っ込み

「イドウシマス」

 と機会の音声で言うと緊急事態サイレンを鳴らしながらアクセルを踏みしめた。


 翔也は驚きながらシートベルトをすると

「おい! どうした!? 何があったんだ!?」

 と問いかけた。


『緊急事態が発生しました。摩尼山トンネルへ避難してください』


 豊治は山陰道を海士の交差点の方へ向かい途中の山陰近畿自動車道の福部ICの近くで右折すると摩尼山の方へと疾走した。そのスピードは常の交通安全のモノではなく一般道でありながら120Kを超えるモノであった。


 翔也は蒼褪めながら

「獅子河!! 止めろぉ!!」

 と叫んだ。

「死ぬ!!」


 だが、豊治は表情を一つ眉すら動かすことなく

「モンダイナイ、スピードデス」

 と答えサイレンを鳴らしながらその住宅街も突っ切った。


 後ろから数台の車が付いてきており近くの人びとも慌てて駆け寄ってきていたのである。


 豊治は車をトンネルの手前の空き地に止めさせると意味が分からないと戸惑う人々を中へ入るように指示を出した。

 翔也は豊治に駆け寄ると

「おい!」

 と叫んだ。


 豊治は彼を見ると

「あと20分ほどで核弾頭が着弾します」

 と抑揚のない声で告げた。


 翔也は蒼褪め

「ま、さか」

 と呟いた。


 そこへ松園百合子を勝夫に抱かせて案内してきたフィリシアが

「Jアラートがずっと響いています」

 と告げた。


 翔也は豊治に

「ロボット以外に分かっている人間はいるのか!?」

 と聞いた。


 豊治は翔也を見て

「我々はこの時のために配置されました。今は助けられる人々を助ける」

 と告げた。


 翔也は笑むと

「獅子河巡査、時間になれば手順通りに進めるように俺は出来る限り呼びに回る」

 と敬礼するとパトカーに向かった。


 豊治は足を踏み出すと

「榊巡査!!」

 と駆け寄り、運転席のドアを開けるとフィリシアを見て

「中への誘導をお願いする」

 と敬礼して翔也と共に町へと緊急警報を鳴らしながら向かった。


 フィリシアは歩いてくる人々を中へと誘いながら青く広がる空を見つめた。

 翔也と豊治が山陰道に出かけた時に一台のパトカーがサイレンを鳴らしながら中へと誘導していた。

 翔也は車から降りると誘導していた秋葉大吉を見て

「秋葉警部補!」

 と駆け寄った。


 秋葉大吉は驚いて翔也を睨むと

「戻れ!! いま織田達彦県警本部長の指示の下で全員が避難を呼び掛けている。お前にはそいつをこれからの警察官として正しく導く役目がある」

 と指をさした。


「行け!!」


 翔也は目を見開くと敬礼をして

「はい!」

 と答え、パトカーに戻ると

「獅子河、戻ってくれ……」

 と顔を伏せながら告げた。


 豊治は秋葉大吉を見て敬礼をすると摩尼山トンネルへと向かった。そして人々を誘導し、ギリギリの時間になるとその山の下に建設されていた巨大シェルターを閉じたのである。


 外で何が起きているのか誰にも分らなかった。ただシェルターの中では時間に合わせて明るくなり、そして、時間になると暗くなるという人工時間が進み始めたのである。


 翔也は人々をそれぞれの区画のテントの中へと案内し且つて駐在所でしていたようにシェルターの中で生きる人々の生活を守るために巡回と声掛けを豊治と共に行い始めた。


 シェルターの中には盗まれたはずの美術館の絵画や工芸品が残されており少なくとも5年は生活できる状態が整えられていたのである。


 世界各地で戦争や戦略の火が広がり、核の脅威が叫ばれる中で警察庁長官が下した決断は『核は張りぼての兵器ではなく実践に使うことができる悪魔の兵器であることは間違いない』であり、日本が崩壊するような事態が起きた時でも最後の1人が生きている間は人々の生活を守り、法を守り施行していく警察機構を残そうと警察と国が極秘に進めていたプロジェクトだったのである。


 翔也と豊治はシェルターの中では住所もないということで『ゼロ丁目駐在所』としてシェルターの警察署として機能を確立させた。


 人々を慈しみ守るための警察機構を残す。

 それを託されたのだ。続けようと決めていたのである。


 3年後にシェルター外部の空気から熱量と放射線量が基準値以下になると外へ出られるようになり誰もが摩尼山トンネルから外へと出た。

 外での町の再建などを考えるとそれが頃合いだったのである。


 外へ出た人々の目の前にはまだ背は低いが焼けた大地から生まれた小さな緑が姿を見せていた。ただ且つてあった建物や人々の姿は殆どなく瓦礫がその名残を教えているだけであった。


 摩尼山トンネルのシェルターで生き残った人間は男が22名。女が30名、そして数体のロボットであった。


 その人々で新しい世界を作ることになったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ