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遼州戦記 司法局実働部隊の戦い 別名『特殊な部隊』と魔法少女  作者: 橋本 直
第十二章 『特殊な部隊』と誘惑

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第44話 修羅場の幕開け

 身を乗り出してきたかなめが自らベルトを外しダメージジーンズを脱ぎ始めた。


 誠の目はかなめのダメージジーンズを脱いだところに現れた黒いきわどいパンティーに惹きつけられた。


 それを見るとベルトを外そうとした誠の手が思わず止まった。


 そんな誠を見て再び笑みを浮かべたかなめは乱暴にダメージジーンズを投げ捨てると誠のベルトを外そうとして止まった指にそっと手を添えた。


 ゆっくりと笑顔でベルトのバックルを外す誠はもう止まれないことを深く理解した。


 誠も思わず流れに任せるようにベルトを引き抜こうとするかなめと目を合わせた瞬間、廊下でどたばたと足音が響いた。

挿絵(By みてみん)

「誠ちゃん!無事!かなめちゃん!離れなさいよ!何色気づいてるのよ!私のおごりで二人っきりになったという機会を逃さないなんてさすがにプレイガールのかえでちゃんのお姉さんね!ただ、そんな勝手を私が見逃すとでも思ってるのかしら!甘いわね!」 


 かなめの唇が誠の唇に触れようとした直前、アメリアがドアを蹴破って乱入してきた。蹴破られたドアの隙間から、冷えた廊下の空気が一気に流れ込んだ。


 そこには顔を真っ赤にして怒りに震えるアメリアの姿があった。いかにも急いできたことが分かるというようにまだ制服姿のままでアメリアは誠の頭の上に仁王立ちした。誠の目の前にそれとなくスカートの中を見える位置にわざわざ立ってアメリアが時々誠に見せつけて来るアメリア曰く『勝負下着』を見せつけるところの計算高さがいかにもアメリアらしいとまだそれほど酔っていない誠は思った。


「無粋だねえ……何してるって……見て分かんねえのか?人の部屋のドアぶち破りやがって。なんだ?アタシがこいつとくっつくと困ることでもあるのか?ねえだろ?これがアタシに文句を言ってくるのがかえでならわかる。アイツは一応、こいつの『許婚』だからな。それでもそのことをこいつは認めてねえ。だったらアタシがこいつに抱かれてだれが困るんだ?教えてくれよ?アタシは自由人で別に『許婚』が居ようが気に入ったら寝る。それだけの話。そのうえでこいつがアタシと離れたくないと言い出したら甲武四大公家筆頭の亭主としてそれなりの官位をアタシの助言で左大臣の響子や右大臣の麗子に伝えてくれてやる。そうすればコイツは名実ともに立派な甲武貴族の一員だ。そうなればいずれ関白になるアタシの旦那としてふさわしい地位に就ける……当然所領もアタシが嫌いな武家貴族から取り上げてコイツにやればいい。所詮、何の権威も持たねえアメリアには出来ねえ芸当だな……でもアタシにはそれが出来る。オメエとアタシの格の違いを認識してからアタシと張り合って見せろ」 


 烈火のごとく怒り狂うアメリアとあくまで冷たく色気を振りまくかなめが睨みあった。誠は120kgの機械の体のかなめに乗られて動きが取れないでいた。

挿絵(By みてみん)

「普段は『貴族に生まれて良いことなんて何もない』とか言ってる割りにはそういう風に貴族の権威を使って私を脅迫して楽しむのね?随分と便利な庶民派だこと。それより大丈夫?今この変態サイボーグから救ってあげるわ!まったくかえでちゃんと言い、あなたと言い、西園寺家の人間は油断も隙も無いのね!この身分制のない東和の生まれの誠ちゃんに甲武の権威を振りかざしてそんなに楽しいのかしら?」 


 そう言って手を伸ばすアメリアの手をかなめが払いのけた。誠は頭の上で繰り広げられる修羅場にただ呆然と横たわっていた。

挿絵(By みてみん)

「まったくあんなエロゲーの原作を書いてるのに……エロゲーじゃ高貴なお姫様が身分の低い勇者と結ばれるのが王道じゃねえか。アタシは甲武四大公家筆頭で高貴な貴族様だ。コイツは『近藤事件』を始めとする数々の危機を救ってきた勇者だ。コイツがアタシで初めてを体験するのはエロゲーの定番の展開だろ?だったら黙ってアタシと神前の愛し合う光景を黙ってそこに突っ立って見てろ……こういうことにはほとほと気の回らない奴だなオメエは。オメエのゲームではだいたいこういう場面になったら行くところまで行っちゃうのがゲームのお約束だろ?神前もそんなゲームの濡れ場を散々描かされてきたんだ。実際にその主人公みたいな思いをしてみたいと思ってるよな?」


 かなめはいつもとは違う色気のある声色で挑発するようにアメリアに向けてそう言い放った。 


「何言ってるの!相手の気持ちも確かめずに勝手に欲情してるかなめちゃんが悪いんじゃないの!それにゲームはゲーム。リアルはリアル!現実の『モテない宇宙人』である遼州人はあんな展開フィクションでしか無いって分かってるんだから!実際に絶対に有り得ないことだからゲームとして売れるんじゃないの!かなめちゃんもその辺をちゃんと理解しなさいよ!」 


 誠はもう笑うしかなかった。そして一つの疑問にたどり着いた。


 アメリアがなんでここにいるのか。彼女はサラとパーラと助っ人である『釣り部』の新藤と今回の映画の打ち合わせをしているはずである。深夜であろうが早朝であろうが関係なくそんなこだわるべきところには妥協を許さないところのあるアメリアである。彼女が自分の『作品』を放り出して偶然この部屋にやってくるなどと言うことは有り得ない。


 そう思って考えていた誠が戸口を見ると、廊下の明かりを背にして、カウラが無表情に立っていた。アメリアとかなめの罵り合いを見下ろしている先ほどまで寝顔を見ていたカウラがぱっちりと目を開けてかなめの部屋の中をのぞきこんできている。


 カウラの車の後部座席で寝ていたカウラは熟睡しているものとばかり誠は思っていた。いや、そう思い込んでいた。そして助手席のかなめもそう思っていた。


 だから誠とかなめはこの状況になった。その状態で誠とかなめにカウラが嫉妬で誠にバレない様に携帯端末でアメリアにメールを送っていたことなど想像の他の出来事だった。


 そんなカウラの姿を見つけてかなめのモードが『エロス』モードから『戦闘』モードへと切り替わった。完全に自分をその嫉妬から陥れたカウラに対してかなめはプライドを傷つけられたと怒りで真っ赤に顔を染めていた。


「カウラ!オメエ()めやがったな!眠ってたのも芝居か!毎回毎回人を陥れるのがそんなに楽しいか?良い役者になれるぞ!アタシの役オメエに譲ってやるよ!」 


 かなめも同様に戸口のカウラに気づいて叫んだ。


「勝手に悲劇のヒロイン気取ってる貴様に腹が立ったんでな。別にやきもちとかじゃ無い。クバルカ中佐のいつも言っているように神前が『漢』になるまで恋愛禁止と言う掟に従ったまでだ。神前はまだ『漢』ではない。だから私も我慢をしている。こらえ性の無い貴様には理解できない話かもしれないがな。これは別にやきもちとかじゃ無い。組織の上下関係を客観的に述べただけだ」 


 まだ顔は赤いもののカウラは冷静にそう言ってかなめを見上げた。


「そうなの?私に車の中からひそひそ声で連絡が来た時は相当怒ってるみたいだったけどなあ……カウラちゃんのあの時の口調。嫉妬以外の何物でもないと思うんだけど、私は」 


 アメリアの言葉で再びカウラの頬が赤く染まる。そこで一つ良い考えが思いついたと言うようにかなめが手を打った。


「まったく……こっこれはだな。いわゆる……冗談だ!そんなことも分からねえのか?こいつにはかえでって言う『許婚』が居るんだぜ。泥棒猫になるのは御免だな!いくらこいつのアレがでかくてもそんなの関係ねえ!これはアタシがコイツをからかっただけ!そんなことも分からねえなんて……所詮オメエ等もコイツ目的で(さか)ってるだけじゃねえか!気取るのもいい加減にしろ!」


 誠に向ってあざけるような顔をしてかなめはいつもより早口にそうまくしたてた。 


「冗談?本当に冗談なのかしら?それに私はかえでちゃんを誠ちゃんの『許婚』だなんて認めてない。泥棒猫?上等じゃないの。なってやろうじゃないの!でも泥棒猫になるのは私!かなめちゃんみたいな怪力だけが取り柄のサイボーグに先を越されてなるものですか!」 


 アメリアに顔を突き出されてかなめはあきらめたようにため息をついた。あわてて戸口を見る誠の前には真剣にそのことを考えているカウラがいた。


「貴様等は神前一人を取り合ってそんなに楽しいのか?遼帝国の後宮じゃあるまいし……私は神前が『漢』となった時、隊で一番良識のある人間を選ぶことを望んでいる。少なくとも貴様等にはその資格が無いことだけは分かる。私も最近はパチンコを控えてそのような人間になろうと努めている。丁度、神前がクバルカ中佐の言う『漢』になるべく日々中佐のしごきに耐えているようにな。貴様等のように好き勝手に生きている人間には理解できない話かもしれないが」 


 カウラはまだ酔っているようでおぼつかない足下で立ち上がるとそう言って二人に笑いかけた。


「おい、カウラが冗談言ってるぜ……パチンコを控える?何のことはねえ、店に行かずに西棟の端に作ったオメエのコレクションルームで無意味な景品の出ないパチンコで遊んでるだけじゃないか。あれで何連荘しても意味ねえぞ?」 


「ええ、珍しいわね。パチンコを控える?毎週土曜に9時に寮を出て午前中いっぱいパチンコに行くのは控えていると言うのかしら?」 


 真剣に考えた解決策をあっさりとかなめとアメリアに潰されてカウラは力が抜けたと言うようにうなだれた。


「盛り上がっているところ大変申し訳ないんですが……」 


 そう言って現れたのは島田正人准尉だった。技術部整備班長であり、この寮の寮長である彼の介入はある意味予想できたはずだが、誠はその威圧するような瞳にただたじろぐだけだった。


「おう、島田。アメリアの馬鹿がアタシの部屋のドアぶち破ったから何とか言ってやれ!」


 そう言ってかなめは勤務服姿のアメリアを指差した。 


「島田君、誠ちゃんを襲おうとしたかなめちゃんから守ってあげただけよ!」 


 突っかかる二人を抑えながら島田はそのまま誠に近づいてきた。

挿絵(By みてみん)

「神前。もう少し配慮してくれよ。俺にも立場ってものがあるんだから。元々このお三方が寮に入る前は俺以外は女を連れ込むのは禁止するって言う寮則もあったんだ。それが今じゃ……それもこれも全部オメエが悪いんだ。と言うかこの三人は俺でも制御不能だ。あと、オメエの『許婚』の日野少佐と渡辺大尉も俺の手に負える相手じゃねえ。そんなのに目を付けられるような日頃の生活をしているオメエの生活態度が悪いんだ。俺のようにサラ一筋で生きる清い交際を目指せ!こんな状況を生み出したのは全部オメエのせいだ!反省しろ!」 


 誠の耳元でそう囁くと島田は倒れたままの誠を起こした。


「それと皆さんに言っときますけど別に俺も隊長とおんなじで野暮なことは言いたくないんですがね。そんなに男女の関係に拘るならここを出て行ってもらいますよ。いっそのこと本気で喧嘩して生き残った最後の一人が神前を連れてここを出て行って同棲でもなんでもすればいいじゃないですか?寮長として他の隊員への示しがつきません!だから今回は不問に付しますが、ドアの修理費は皆さんで何とかしてくださいね!」 


 そう言って場を収めようとする島田だが、かなめは不服そうに彼をにらみつけた。


「まあ、オメエとサラの関係からしておかしいじゃねえか……まあ、それが寮長特権とやらならオメエを射殺してアタシが寮長に……ってオメエは射殺しても死なねえんだな」 


「かなめちゃん!正人を射殺なんて物騒なことを言うのは止めてよね!不死人でも痛いものは痛いんだから!」 


 騒動を聞きつけてこの『禁断の三階』に上がって来た男子の野次馬の後ろにサラのピンクの髪が揺れている。


「ああ、すいません。ベルガー大尉!そこに集まってる馬鹿共蹴散らしてくださいよ!」 


 この場にいる中でかなめの次に手が出る可能性の高い島田の怖さを知っているので、島田のその声にカウラが手を出すまでも無く野次馬達は去っていった。そこに残されたのは心配そうに誠を見つめるサラの赤い瞳と汚いものを見るようなパーラの青い瞳だった。


「問題になってるのはこいつでしょ?ちょっと説教しますから借りていきますよ。まあこのドアの修繕費についてはお三方で話し合ってくださいね」 


 そういうと島田は誠の襟首をつかみ上げて引きずっていった。かなめとアメリアは呆然として去っていく誠を見送っていた。


「ああ、ベルガー大尉も同罪ですから。きっちり修理代の何割か支払ってくださいよ!」 


 ドアに寄りかかっていたカウラも唖然として誠を連れ出す島田、サラ、パーラを目で追っていく。そのまま誠は階段まで連行され、かなめの部屋から見えない階段の裏でようやく開放された。


「ちょっと俺の部屋に来い。ここは同じ遼州人の『男』として話がある」 


 島田はそのまま誠についていくように促して階段を下りた。日のあたらない冬も近いのに湿気がたまっているような西向きの管理人室が島田の部屋だった。元が管理人室というだけあって質素なドアを開けると、中にはバイクや車の雑誌が積まれている机と安物のベッドが置いてあった。


 油と煙草と機械油の匂いが、狭い部屋の空気に染みついていた。


 そのまま誠は付いてきたサラとパーラに押し込まれるようにして島田の部屋に入った。


「まあ、そこに座れ。同じ遼州人だ。遠慮はいらねえよ」 


 島田は和やかな面持ちで誠にそう告げた。サラとパーラの痛い視線を受けて誠は島田に促されるままに座布団に腰掛けた。


「まあ、なんだ。お前さんが悪いと言うことは確定しているから置いといてだ……」 


 そういうと島田は急に下卑た表情に変わった。

挿絵(By みてみん)

「それで誰が一番なんだ?俺もお前も純血の遼州人だ。俺は遼州人ぽくない遼州人だとダチからも言われてたから学生時代はナンパとかもして色々ヤンチャもやった。それでも愛と言うものは良く分からねえ。だから知りてえんだ。教えてくれ、誰が一番だ?」 


 部屋に入ったとたんに島田、サラの顔は誠に説教をする雰囲気から自分の好奇心を満たしたいという野次馬根性に塗り替えられていた。その様子をどうやらアメリアとサラを乗せて寮まで車を運転してきたらしいこういう時は面倒ごとを押し付けられる星のもとに生まれたパーラが可哀そうな生き物を見る目で誠を見つめていた。


「は?」


 誠はしばらく島田が何を言いたいのか分からなかった。


「神前君、教えてよ。ね?誰が一番好きなの?気になるじゃないの、これだけ多くの女子から迫られてる男の子を見ると」 


 興味津々と言った表情でサラはピンクの髪をなびかせて顔を近づけてきた。


「あんた達本当に似たもの夫婦って……ああ、夫婦じゃないわね……ただ、誠ちゃん。あの三人の誰を選んでも地獄への道一直線よ。それと日野少佐や渡辺大尉に至っては場合によっては犯罪者としてテレビでさらし者になるかも知れない……誠ちゃんも災難よね」 


 呆れたようにパーラは状況を観察している。誠はただ島田とサラに言い寄られて苦笑いを浮かべていた。


「あ、えーと。あの」 


 誠はまだ事情を理解できずに何を言ったらいいのか分からず口ごもっていた。


「大丈夫!私達、口重いから!」 


 そう言って島田を押しのけて迫ってくるサラの赤い目に思わず誠は引きつった笑みを浮かべて答えた。それをパーラは呆れた瞳で見つめた。


「やめといた方が良いわよ。どうせ話したりしたら30分後には部隊中に広まった上にまたあの三人が殴りこんでくるわよ。さらに明日には隊のゲートのところで日野少佐と渡辺大尉が仁王立ちしてるのが絵に描いたように想像できるわ。止めておきなさい。死にたいの?」 


 パーラは呆れたようにそういうとそのまま立ち上がった。


「何よ!パーラちゃんだって気になるんでしょ?過去に失敗経験もあるし……」 


 そこまで言ってサラはパーラの顔色が曇るのを見て口をつぐんだ。


「ごめん、パーラ」 


 思わずサラはうなだれた。島田がそっと彼女の肩に手を乗せた。


「悪気があるわけじゃないんだから……」 


「良いのよ、気にしないで」 


 そう言ってパーラは顔を上げて誠を見つめた。明らかにその瞳には殺気が篭っていた。パーラの話でうまいこと逃げられると踏んだ誠の思惑とは違う方向に話が転がりそうで思わず背筋に冷たいものが走った。


「無理よね。愛を知らない遼州人だからとかそういう問題じゃなくって、神前君は優しすぎるから言い出せないんでしょ?」 


 パーラはとつとつと語った。島田とサラの視線が容赦なく誠に突き刺さった。


「あの、別に好きとかそういうことじゃなくて、みんな悪い人では無いとは思うんですけど僕の優柔不断が悪いんですよね……」 


 誠は慣れない女性に好意を持たれると言う感覚を初めて意識して混乱していた。


「なんだよ……いつもその誰かと一緒にいるとき良い顔してるように見えるんだけどなあ」 


 友達路線を主張しようとした矢先に島田に釘を刺されてまた誠は黙り込んだ。


「そうだ!誰が一番神前君のことが好きかで選べば良いんじゃないの?」 


 サラがいかにも良いことを思いついたと言うように叫んだ。だが、島田もパーラもまるでその意見に乗ってくる様子は無かった。


「西園寺大尉が選ばれなければ血を見るだろうな」 


「意外とアメリアも切れるとすごいのよ。それに溜め込んでいるだけカウラもすごいことに……それ以上に日野少佐……どうなるか想像つかないわね、どうなるかなんて……凄いことになりそう……警察の出動が必要なくらい」 


 島田とパーラが今度は同情するような視線で誠を見つめた。


「そんな怖いこと言わないでください……これも僕のせいですか?僕は何かしました?」 


 怯えた誠が首をすくめた瞬間、階段を駆け下りてくる足音が響いた。


「パーラ!部隊に帰るわよ!車出して!良いアイディアが浮かんだのよ!この機を逃したくないわ!早速台本の修正と衣装の細かい修正とかしたいのよ!」 


 またドアをいきなり開いて入ってきたのはアメリアだった。アメリアはずかずかと島田の部屋に入り込みパーラの肩を叩いた。


「話し合いついたんですか?」 


「当然よ。今回の件はすべて誠ちゃんの責任と言うことで、誠ちゃんに払ってもらうことになったから!」 


 そう晴れ晴れとした表情で言うアメリアに誠は泣きそうな目を向けた。


「アメリアさん……僕、何か悪いことしましたか?なんで僕の責任なんです?壊したのはアメリアさんじゃないですか……」 


 涙目で泣きつこうとする誠だが、アメリアはまるで誠を相手にしていないと言うようにパーラの肩を叩きながら出発を促した。


「まあがんばれ……『モテない宇宙人』の遼州人の誰もが羨む『女難』の星の下に生まれたんだ。その幸せを噛みしめて金を払え」


 島田はそういうと立ち上がった。サラとパーラは同情する瞳を投げながら再び隊に戻るべく立ち去ろうとする。


 誠は一人島田に付き添われてそのまま廊下に出た。島田が部屋に鍵をかける。


 それを見ながら涙が止まらない自分に呆れる誠だった。



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