第21話 誠包囲網
「まあ、今となってみればそうだとは思うんですが……でもこのままじゃ……」
うなだれる誠の肩に大野は手をやった。
「まあ安心しろ。俺もオメエのキモイ魔法少女コスは絶対見たくねえからな。こっちの選挙対策委員長は班長だぜ。それにうちの情報将校も班長に脅されて味方に付いているんだ。アイツらの情報操作能力はサイボーグで本来それが得意なはずの西園寺さんの上を行くんだ。アメリアさんがあっちこっちの軍や警察に投票を呼び掛けるのは連中も既に分かっていて別の大勢力にこっちに味方するようにいろいろ手を打っている。そんな有利な条件なんだから絶対に勝ってみせる!それに東和の軍と警察だけが投票権を持ってるって誰が決めた?そっちがルールを変えるんならこっちもそれに合わせてルールを変える……まあ見てろ。勝利はいつも栄光の整備班に輝くものなんだよ!」
大野はそう力強く言った。誠は明らかに問題の根本がすり替えられつつある現状に気づいて頭を抱えた。もはや市のこじんまりとした自主映画上映会が国家を跨ぐ軍や警察の威信のぶつかり合いの舞台になっている。その理由がアメリアの面白がることと島田の自分の面子を立てたいという、それだけの理由だということに誠は頭を抱えた。
「無駄話をしちまったな。どうせオメエはアメリアさんの陣営につくんだろ?じゃあ俺とオメエは敵だ。とっとと着替えないとクバルカ中佐がキレるぞ!」
そう言うと大野は更衣室から出て行った。誠は急いでワイシャツのボタンを留め、ズボンに手を伸ばした。
「あのー……」
突然誠の隣で声がした。驚いた誠が見下ろすと小柄な浅黒い肌の少年がおずおずと誠を見上げていた。
そこにはアン・ナン・パク軍曹の姿があった。意外な人物の登場に誠は思わず飛び退いた。
「いつからいたんだ!」
「はじめからいたんですけど……僕ってそんなに存在感無いですか?」
そう言って流し目を送ってくるアンに正直誠は引いていた。毎晩夜間中学に通っているアンは、その帰りに彼氏とホテルに寄るのが半ば日課になっていた。
その爛れた私生活を、運航部の一部女子が面白半分に想像して盛り上がっている、という噂まで誠の耳には入っていた。
そして、その女子にとってその彼氏からアンを奪還しようと誠が企んでいると言ういわれも無いデマが流されていた。
そのデマの発信源がおそらくアメリアであることは誠には十分予想がついていた。
誠はその言葉の意味がわかるだけに目を潤ませて誠に視線を送るアンをゆっくりと後ずさりながら眺めていた。確かに上半身裸でシャツを着ようとするアンはとても華奢でかわいらしく見えた。そしてそれなりに目鼻立ちのはっきりしたところなどは『あっさり系美少年』と言われる西、そして『男装の麗人』かえでと運航部の女性士官達の人気をわけていることも納得できた。
「魔法少女。がんばってくださいね。同じ『男の娘』として応援してます!」
アンはそう声をかけてにっこりと笑った。誠は半歩後ずさって彼の言葉を聞いていた。
「アン、言っとくけど俺は『男の娘』じゃないから。そんなものに決まったわけじゃないから。同じ『男の娘』って……僕は毎日ラブホテルに通ったりはして無いんだけど。それにたぶんアメリアさんに強制される恥ずかしいこと極まりない魔法少女コスチュームをさせられるくらいならサラさんの合体ロボならそれはそれで良いんじゃないかと今では思ってるんだよ。魔法少女は男は見るものであってなるものじゃない。そもそも男は少女じゃない。まあ、アンなら見た目は少女で通用するかもしれないけど」
誠はここはフォローするべきかアンの乱れた性生活を指導すべきか悩みながらそう口にした。そんなところにいつものようにノックもせずに入り込んでくるのは当然かなめだった。
元『女王様』であるかなめは誠とアンの裸を見ても全く動じるところが無い。誠はこういう時には必ずかなめが乱入して来るのがすでに普通のことになっているので慣れていた。一方のアンはかなめのいつもの乱入に慌てたように胸を隠すのがいかにも『男の娘』らしいと言えた。
「アンが毎日ラブホに通ってるとアメリアがあっちこっちで言って歩いてるって話だろ?アイツの話、半分は盛られてんだろ?男がそんなに毎日出来る訳ねえじゃん。非正規部隊で娼婦の隠れ蓑をしていた時もなじみの客は最低一週間は空けて来たもんだぞ。そんな毎日出来るなんて言うのは1週間休まずに絶え間なく女を抱き続けることができたと自慢している不死人の叔父貴くらいのもんだ。アンの彼氏も不死人じゃねえんだからアンが神前の気を引こうとわざと言ってるんだよ」
そんなアンと誠の見つめあう姿に明らかにしらけ切ったかなめはそう言い放った。
「駄目です!僕の問題じゃなくって神前先輩の為にもぜひ神前先輩には魔法少女になってもらって僕の生活を理解してもらいたいんです!」
突然アンは大きな声で叫んだ。誠はアンの突然の叫びに結ぼうとしたスパイクの紐を滑って握り直さなければならなかった。
「ああ、変ですね……変ですよね……僕……」
誠は『変だという自覚はあるんだな』と思いながらもじもじしたままいつまでも手にしたワイシャツを着ようとしないアンから逃れるべくスパイクの紐を拾うと、誠は急いでそれを結ぼうとした。
「気がつきませんでした!僕が結んで差し上げます」
そう言って手を伸ばしてくるアンに誠は思い切り飛びずさるようにしてその手をかわした。アンは一瞬悲しそうな顔をするとようやくワイシャツに袖を通した。
「でも一度でいいから見たいですよね……先輩の……」
誠が考えていることは一つ。更衣室から一刻も早く抜け出すこと。誠はその思いでスパイクの紐を結び終えるとすばやくハンガーにかけられたジャージの上着を手にして、ぞんざいにロッカーからベルトを取り出した。
「そんなに……僕のこと嫌いですか?」
更衣室の扉にすがり付いてアンはつぶやいた。誠はそれを横目に見ながら勢いでネクタイを結んだ。
「いや……その……」
誠の背筋が凍った。仕方なく振り返るとそこには明らかに甘えるような視線を誠に向けるアンがいる。誠は戻って震える手でロッカーを閉めようとするが、アンはすばやくその手をさえぎった。そして左の手に長いものを持ってそれを誠の方に向けた。
「ごめんなさい!わ!わ!わ!」
誠は思わずアンに頭を下げていた。だが、アンが手にしていたのは誠が常に地球圏の法術師に関心を持つ組織から身を守るために嵯峨に託された刀、『賊将の剣』だった。黒い鞘に収められた太刀が、誠の腰に吊られるのを待っていた。そんな状況を見て誠は安堵より先に、自分が情けなくなった。
「これ、忘れてますよ」
アンはそれだけ言うとにっこりと笑う。誠はあわててそれを握ると逃げるように更衣室を飛び出した。
「廊下は走るんじゃないよー」
いつものように下駄をからから鳴らしながらトイレに向かう嵯峨の横をすり抜けると、誠はそのまま実働部隊の控え室へと駆け込んだ。
肩で息をしながら誠は実働部隊の執務室で周りを見渡した。ようやく落ち着きを取り戻した詰め所の端末に座る隊員達が見えた。明らかに呆れたような視線が誠に注がれた。
「どうしたんだ?すげえ汗だぞ。何かヤバい事でもあったのか?」
椅子の背もたれに乗りかかりのけぞるようにして入り口の誠を見つめてかなめが聞いてきた。誠はただ愛想笑いを浮かべながら彼女の隣の自分の机に到着した。
「そのー。ちょっと男遊びに慣れた人に迫られまして……」
誠はそう言って大きくため息をついた。
「失礼な!僕はここに居た!それに僕は今や『許婚』である神前曹長以外の男には生存権を認めていない!神前曹長は僕の物と決まってるんだ!今更迫る必要はない!」
誠からすると良く分からない方向でかえでが怒りながらそう言った。その根本的にずれたかえでの認識に誠はどう反応すれば良いのか固まっていたが、そのままではらちが明かないのでとりあえず口を開いた。
「いいえ、違います。毎日ラブホに通ってる中学生の方です……つまりアンです」
かえでにそう言われると誠はあまり言いたくない方の事を口にせざるを得なかった。こちらも誠の4時間マラソンを見物する気満々の着替えを済ませて帰り支度が済んでいるかなめがいやらしそうな顔で見つめてくる。
「ああ、アンに迫られたのか?アイツもそんなにケツを使ってたら痔になるぞ。しかも神前のだろ?本当に入るのか?入ったとしても裂けるんじゃねえのか?まったくアイツの男癖にも困ったもんだ」
かなめはあっけらかんとそう言って一笑いした。
「いくら苦手な人物に迫られたと言っても慌て過ぎだぞ。ちゃんとジッパーとベルトを締め直せ。たるんでるぞ。だから隙が出来てアンのような乱れた生活をしている人間から迫られるんだ。もっと規律正しく生きるように心がけろ。そうすれば乱れた私生活を送っている人間は自然と避けていくものだ。第二小隊の小隊長のように乱れた生活をしている人間も規則正しく清く正しい生活を送っていれば『許婚』などに貴様を選ぶわけが無い。それもこれも貴様の油断のなす業だ。その辺は反省した方がいい」
カウラは目の前の目新しい端末を操作しながら声をかけてきた。明らかにカウラに自分を意識したと思われるカウラの言葉だが、かえではそれをどこ吹く風で悠然と着替えを済ませた仕立ての良いスーツのネクタイを締め直しながら笑っていた。
誠は周りを見渡しながらスパイクの紐を締め直した。一度は誠に向って怒って見せたかえでとリンがなにやら相談しているのが見える。そして当然のことながらアンの席は空いていた。
「すいません、遅れました」
おどおどと入ってくるアンが向ける視線から避けるように誠は机にへばりついた第二小隊設立以降、第二小隊設立以降、毎朝このような光景が繰り広げられていた。
「退屈だねえ。アメリアの魔法少女で決まりか……グロイ神前の女装姿を見せられるのか……なんだかうんざりだな。かえでの男装とアンの女装は自然で似合ってるから良いけど神前の女装はもはやバラエティー番組のお笑いコーナーネタだろ。そんなもんを2時間も見せられるのか?拷問だなこれは。公害だぞそんなの。市の映画でそんな恐怖映画みたいな魔法少女モノを作っていいと思ってるのか?アメリアは。結局今回のイベントで面白がるのはアメリア一人じゃねえのか。台本、脚本、そしてどうせ端役でちょいと出るだけのアメリアは良い。他のメインキャラとしたたぶん嫌がらせに近い形で出させられるアタシやここにいる機動部隊のメンバー、そして撮影協力の整備班や運航部の面々、そして見させられる観客。どれも被害者だな。アイツは要するに自分が面白いというためにこれだけの人間を不幸にしようとしているんだ。本当にろくでもない女だ」
そう言って肩をくるくるとまわすかなめにランの視線が注いがれていた。
「随分とまーアメリアの考えそうなことを言い当てて見せるじゃねーか?その推理大したもんだとアタシも思うわ。なら着替えを済ませて帰る気満々の所悪いが先週の山崎での道路の陥没事故の報告書あげてくれよ。転落したトレーラーを引き上げるどころか神前はしくじって一緒に落ちやがって。オメーの05式狙撃型で引っ張り上げたことに関しては司法局も東和警察も千要県庁も興味津々なんだそーだ。急いで提出しろ。第一、常に立たせているだけの05式を実際にこうした現場で活動できるように稼働状態に持ってくのに時間いくらかかると思ってんだ?あの事件はそん時ナビしてたオメーの責任でもあんだぞ。確かにあの落ちて動けなくなった神前の機体を器用に引っ張り上げたのはオメーくらいにしかそんな芸当は出来ねーのは間違いねえけど、そもそも神前が落っこちなければ損な大ごとにはならなかったんだ。少しは反省しろ!」
ランの小言に振り向いたかなめが愛想笑いを浮かべていた。
「おい、神前。豊川東警察署から届いた調査書はお前のフォルダーに入れてあったんだよな。それを加工して報告書でっちあげるから場所を教えてくれ」
そう言いながらかなめは端末をいじった。明らかにやる気が無いのはいつものことだった。誠は仕方なく自分の端末を操作してフォルダーのセキュリティーを解除した。
「サンキュー」
言葉とは裏腹にかなめの表情は冴えないものだった。カウラのかなめに向ける視線が厳しくなっているのを見て、誠はまたいつもの低レベルな口喧嘩が始まるのかと思ってうつむいた。
「諸君!おはよう!」
妙に上機嫌にサラが夕方にもかかわらず珍妙な挨拶をしながら扉を開いた。その後ろに続く技術部の情報将校は明らかにサラに何かの作業を頼まれたと言うような感じで口笛を吹きながら自分の席についた。
「何かいいことでもあったのか?さっきは端末のぞいたと思えば飛び出して行きやがって」
かなめは始めたばかりの仕事をサラの闖入で中断させられて明らかに不機嫌そうにそう言った。
「アメリアに続いてオメエ等まで馬鹿なこと始めたんじゃねえだろうな?運航部はアタシ等に神前にいじめをする為に組織された部署なのか?本来は運用艦『ふさ』の実質的な運航を担当する部署だろ?アタシ等に嫌がらせをする事で給料が出るのならアタシも転職してえぐらいだ」
五分も経たずに書類作成に飽きたかなめがカウラに目を向けた。そんなかなめを見つめるカウラの視線がさらに厳しいものになるのを見て誠はどうやれば二人の喧嘩に巻き込まれずに済むかということを考え始めた。
そんな中、乱暴に部屋の扉が開かれた。
駆け込んできたのはアメリアだった。自慢の紺色の長い髪が乱れているが、そんなことは気にせずつかつかとサラのところまで進んできて思い切りその机を叩いた。
「どういうこと!サラ!勝てばいいって考えるのもいい加減にしなさいよ!そんな勝利至上主義のどこが楽しいの?」
アメリアのサラに向けるすさまじい剣幕に口げんかの準備をしていたかなめが目を向けた。その様子を見たサラはにんまりと笑みを浮かべた。
「何で在遼州圏アメリカ軍からサラ支持の大量の投票があったかって聞いてるの!なんで地球圏の軍隊まで投票に巻き込んでるのよ!非常識にもほどがあるでしょ!こっちが手加減して同盟機構と東和国内の軍と警察だけに対象を絞って手加減してあげたのに、そんなに宇宙を舞台にして戦いを繰り広げたいわけ?」
アメリアの言葉に部屋は沈黙に包まれた。かなめはサラと島田のあまりの暴挙に呆れ果てた。在遼州圏アメリカ軍は遼州同盟にとっては仮想敵国である。島田の手段を選ばない選挙方針に誠は呆れ果てた。カウラは馬鹿馬鹿しいと言うように自分の仕事に集中した。ランは頭を抱え、サラはにんまりと笑みを浮かべていた。
「別に……あっそうだ。遼州同盟はいつでもアメリカさんの仮想敵だからな。きっと東和の新兵器開発については関心があるんじゃないかしら?きっとそうよ!だからついでに合体ロボを東和が開発しているかもしれないと言うことで投票してくれたのよ!うん、そう!だから別に宇宙を巻き込んだ大戦争にまで発展する危険性は無いから安心して!」
表情も変えずにそう言うサラに隣に立っていた技術部付きの情報将校である大尉が大きくうなずいた。その余裕の姿に腹を立てたのか、再びアメリアが机を叩いた。部屋の奥のかえでとリンが何をしているのかと心配するように視線をアメリアに向けた。
「そんなに怒ることじゃねえだろうが。ったく……たかだか自主映画の作品テーマがどう決まるかって言うだけの話だろ?米帝も冗談半分で投票したに決まってるんだ」
そこまで言ったかなめだが珍しく真剣な表情のアメリアが顔を近づけてくると、あわてたように机に伏せた。
「まあ、放射能に汚染されていない地球圏に愛想をつかした東和に関して好意的なアメリカ軍人の投票は『参考意見』として集計します。公式結果はあくまで支部内ということで。それよりも大事なのは……よくって?この豊川に基地を置く以上は皆さんに愛される司法局になる必要があるのよ!だからこうして真剣に市からの要請にこたえているんじゃないの!当然愛される……」
アメリアはなんとか心の平静を保つと同時に対抗策を考えるべく演説を始めようとした。
「こいつを女装させると市役所から褒められるのか?そんな気持ちの悪い嫌がらせ以外の何物でもない話は聞いたことが無いぞ。少なくとも私は神前の女装は見たくない」
カウラが誠を指さしながらつぶやいた。何気ない一言だが、こういうことに口を出すことの少ないカウラの言葉だけにアメリアは一歩引いてカウラの顔を見つめながら乱れていた紺色の長い髪を整えた。
「そうだ!マニアックなのは駄目なんだ!かえでの変態を否定しておいて神前を女装させるなんて矛盾してる!」
かなめは誠の女装は見たくない派なので思わずそう言っていた。
「かなめちゃんに言われたくないわよ!姉妹で調教ごっこなんて近親相姦を同性で繰り広げてる変態に!私のしていることの方が世間的にはノーマルに近い!近親相姦の同性愛よりもただ単にごつい男子が女装をする方がよっぽど世間的にはOKだわ!」
アメリアの後ろでふんぞり返っているサラに誠はなんで矛先が向かないのか不思議に思いながらこの光景を眺めていた。
「オメー等!いい加減にしろ!ここは職場だ!幼稚園じゃねえ!餓鬼じゃねーんだからそんくれーのことは分かれ!それとも身体で教えねーと分からねーのか!オメー等の暴言にどれだけハラスメントに当たるような用語がちりばめられているのかという自覚はねーのか?西園寺と日野の関係が異常なのは私的な関係だから許されるんであって、これだけ公になったら変態以外の何物でもねー!神前の女装も男子高校の体育会の余興なら許されるが、それを一般市民に公開するなんざ正気の沙汰じゃねーんだ!そのくらいは理解しろ!」
かなめと同じくらい短気なランが机を叩く。その音を聞いてようやくアメリアとサラは静かになった。ただ誠は、毎日二十キロ、気分次第では六十キロのランニングを脅して強制してくるラン自身も、十分パワハラの発生源であることを自覚した方がいいと思っていた。
「クバルカ中佐……こういう事態になったらアメリアさんが何をするか分からないんで……僕の4時間走は無しってことになりませんかね?」
誠はとりあえず今、この場にいる女子達をハラスメントの源泉と呼んでいるランの言葉の隙を突いてそう言ってみた。無駄だと分かっていてもランが心変わりするかもしれないというのが誠の希望だった。
「あー、そーしろ。アメリアの奴……本当に何をするか分かんねーや。神前、4時間マラソンは中止だ。アメリアを監視しろ!アイツの無茶でアタシがどんな後始末をさせられるか考えたら頭が痛くなる!」
誠はその場で崩れ落ちそうになるのを、どうにかこらえた。
今日ばかりはランの怒鳴り声が天の声に思えた。




