第13話 多数決と、拳銃
全員が廊下に出たところで独り言のようにかなめがつぶやいた。
「あのなあ、アメリア」
「何、サイボーグ大尉」
アメリアの毒舌を聞きながらかなめは頭を掻きつつ振り返った。
「一応、アタシ等でジャンルを特定しないと収拾つかなくなるぞ。菰田あたりが『ヒンヌー教団』の連中を動員してカウラのイメージビデオを延々二時間撮ったり、『釣り部』の連中が蝦夷道で幻の魚イトウを釣るドキュメントを撮りたいとかよく分からないジャンルを指定してきたらどうするつもりだよ?それに票が割れて全員が自分の提案した作品に投票した結果、意見の無かった奴が入れた三票とかの得票数のあまりにコアなジャンルでアメリアが扱えないようなもの選ばれたら撮影に苦労するのはオメエだぞ?オメエは多趣味が自慢だとか言ってるけど、例えばアタシの葉巻うんちくとか聞きてえか?アタシのラム酒うんちくとか聞きてえか?カウラのパチンコ攻略法を2時間映画に仕上げるなんてことができるか?だからある程度方向性は決めといた方が無難だろ?」
そう言うとかなめは投票用紙をアメリアから取り上げた。誠はいい加減なかなめがこういうところではまじめに応対するのがおかしくなって笑いそうになって手で口を押さえた。
「あれこれ文句言ったくせにやる気があるじゃないの?まあ、どんなジャンルに決まってもかなめちゃんには監督権限でそれはそれは重要な圧倒的に存在感のある役回りを振るつもりだからその点は期待しててね♪」
そんなアメリアの言葉に耳を貸す気はないとでも言うようにかなめは投票用紙を持って一番広い会議室を目指す。かなめが扉のセキュリティーを解除すると、一行は部屋に入った。
……こうして、ろくでもない作戦会議が正式に始まった。
「ここが一番静かに会議ができるだろ?とりあえず意見を出す人間をこれだけ絞れば票が割れすぎて収拾がつかねえようなことはねえはずだ」
そう言うとかなめは椅子を引いて、入ってきた面々を座らせる。誠、アメリア、かなめ、カウラ、サラ、島田、かえで、リン、アンの主だったメンツがその紙を手に取った。誠はこのメンバーが一番ろくでもない提案をする人間ばかりなのではないかと疑問に思いながらこのメンツを選んだかなめの方を生暖かい目で見つめていた。
『このメンツを『揉めないための精鋭』と言い張れる神経が、さすが西園寺さんだ。確かにここにいるメンツは自分に気に入らないジャンルに決まったら文句を言ってくるのは間違いない。その点は西園寺さんを見直してもいいかな……』
誠は会議室に呼ばれた中でもこのメンバーを選抜したかなめは『特殊な部隊』を良く分かっていると感心していた。
「そこでここにいる連中に5つくらい例を挙げてもらってそれで投票で決めるってのが一番手っ取り早いような気がするわけだ。ここにいない人間の意見が通って文句を言いそうな人間はここに全員そろってる。この中の人間の出すアイディアで決める分には後で揉めることもねえだろ?投票用紙を叔父貴が用意したということは多数決で決めろってことだ。同票なら監督のアメリアが好きな方……というかたぶん二つくらいになった時はそのどっちかはアメリアの案だからそちらで行く。これがアタシのこの会議を始めるにあたっての意見だ。これで終わり。もし反論があるならいつでも銃で勝負をつける。文句はあるか?」
と言い切って、かなめは椅子にどかっと座り直した。そう言うとかなめは脇に吊り下げられた愛銃スプリングフィールドXDM40を叩いた。この場の誰もこんなつまらないことで銃撃戦などしたくないので静かにうなずく。笑えない冗談として、全員が受け取った。
そんな中、一同を見回すかなめは早速何か言いたげなサラの顔に目を付けた。
「合体ロボが良いわよ!かっこいいの!私は好きなんだ……正人と付き合うようになって、機械っていいなあって思うようになって!それで誠ちゃんのちっちゃい頃に見ていたレーザーディスクのコレクションや整備班の今でもそう言う作品が大好きでそう言うロボットが沢山作品を超えて集まって戦うゲームとかやってるんだけどやっぱりロボは最高!……その集大成としての合体ロボが一番よ!うちの05式は合体も変形もしないじゃない?正人にそのことを言うと合体なんてパイロットなんて一人で十分なのに戦闘中に残りのパイロットは何しているんだとか、変形なんて可動部分が増えて故障の原因になるしどうしても装甲が薄くなるから敵に壊してくださいって言ってるようなものだとか酷いことばかり言うのよ!大体、5人くらいのパイロットが愛と友情で力を合わせて正義を示す合体ロボ!ロマンがあるでしょ?」
目を輝かせてサラが叫んだ。恋は人を変える。いや、サラの場合方向が根本的に間違っている。最初の一案は、すでに熱量だけで勝負していた。誠は島田のメカ好きを変な形で影響を受けているサラの脳内の構造に疑問を感じるとともに、誠が子供のころ好きだったロボットもののSFアニメを見なくなって、最近はひたすら魔法少女やファンタジーロマン系のアニメしか見ない理由も島田と同じそのロボットのギミックがどう考えても嘘っぽく感じられるようになった中学校二年生ぐらいの時だったことを思い出した。
その熱いサラの口調に面倒くさそうな顔でかなめはサラを見つめる。だが、サラはかなめを無視してアメリアに期待一杯の視線を投げかけた。
こういう場所では一番最初に自分の無理のあるテーマを主張し始めてそのIQ250の頭脳で他の意見をことごとく論破するのがお約束のアメリアが黙っていることがこの場にいる全員には不気味に感じられた。
そんな警戒感溢れる全員の視線に気づいたアメリアは余裕の笑みを浮かべると糸目をさらに細めて静かに目の前の湯飲みに手を伸ばした。
「私は最後でいいわよ。もう心の中では決まってるから。ここにいる全員のアイディアを聞いた上でそれに私のアイディアが一致すればそれに乗る。もしなければそのアイディアがいかに画期的かを披露して見せる。トリは最後に出て来るからトリなのよ」
そう言うとやけに余裕を感じさせる雰囲気のアメリアは隣のカウラを見つめた。
カウラに先に意見を言わせるアメリアの余裕の態度を見て誠は、あの人が黙る時ほど怖いものはないと経験で知っていた。
アメリアに見つめられてしばらく考えた後、カウラはようやく口を開いた。
「こう言っては何だが私に意見を求められても正直困るんだ。あえて言えば最近中世のヨーロッパ的世界を舞台にしたファンタジー物の小説を読んでるからそれで頼む。最近はまってるパチンコ台がそれを題材にしたものらしい。エルフとかドワーフとか異人種というものの存在というのも私自身が『ラスト・バタリオン』という人類とは少し違う存在であることを考えれば、彼等の活躍は実に興味深かった」
言い終えた瞬間、カウラはわざとらしく湯飲みに口をつけた。カウラは一言意見を言ってやり遂げたと言う表情を浮かべていた。その瞳が正面に座っているかなめに向かった。
そこに挑発的な意図を見つけたのか、突然立ち上がったかなめは手で拳銃を撃つような格好をして見せた。
「やっぱこれだろ?ドラマと言えばアクションだ!アクションと言えば銃撃戦!定番はなんと言っても刑事もの!しかもうちは武装警察なんだ。銃器の扱いの指導なんてする必要もねえしその性能については全役者が頭に入ってるからテレビ局や映画会社が作るアクションものよりよっぽどリアルな銃器設定は作れるし、アクションシーンだってお手のもんだろ?その技術を生かさねえ手はねえわけだ。合体ロボ?ファンタジー?うちの05式は合体なんかしねえし、ファンタジーはただのオタクの妄想。そんなもんに付き合うつもりはアタシにはねえな。あくまでアタシ等の特技を生かしてなんぼの市からの映画の作成依頼だろ?だったらそれに応えるのが筋だろうが」
かなめは自己中心的なので自分の意見に誰もが賛成すると決め付けてそう言った。
「銃ねえ……かなめちゃんは刑事じゃなくて強盗役ね。でもかなめちゃんはお金には困って無いでしょ?そんなに平穏無事で犯罪発生率が低い東和が不満なの?だったら時々人質を取っての大立ち回りが見られるゲルパルトや外惑星連邦とか紛争地帯の東モスレムやベルルカン大陸にでも行ったら?東和じゃそもそもうち以外の警察の発砲の数なんてわざわざ威嚇のために犯人の足元に一発銃を撃ったことがニュースになる国なのよ、この東和は。ただ、司法局の発砲数を加えると司法執行機関の発砲件数はそのゲルパルトと並ぶ。その発砲数の7割がかなめちゃん。というか今でも抗争が続いている暴力団の年間の銃撃事件の50倍も発砲しておいて映画でまで発砲したいなんてどこまで銃が好きなのよ……」
突っ込むアメリアをかなめはにらみつけた。明らかに殺気を込めたかなめの視線にはさすがのアメリアも怯んでいるように見えた。
「冗談よ、かなめちゃんも本当にすぐに真に受けて。刑事もののアクションね。うちなら法術特捜の茜ちゃんとかからネタを分けてもらえるかもしれないかもね。あっちはいろいろ捕物の経験もあるだろうし。まあ、茜ちゃんの場合は瞬間転移で犯人の背後に跳んでそのまま『光の剣』を見せつけて犯人が抵抗を止めて終了なんて言う見ていてそれほど面白く無いものばかりだとは思うけど……かなめちゃん好みの展開にした方が確かに観客に受けるのは事実だからそうするしかないのは分かってるんだけどね」
アメリアはそう言うとメモ帳にかなめの意見を書き付けた。
「そうですね……あちらはうちよりもより警察官に近いお仕事をしていますから。僕達がランニングとかしている間も、時々茜さんはラーナさんを引き連れて飛び出していくことがありますから。まあ、法術なんて言う銃よりよっぽど厄介なものを使って暴れる犯人を相手にするんですけど。それに決着はさっきアメリアさんが言ったような形になるから映画として見られるものになるかというとどうも……」
誠は愛想笑いでそれに相槌を入れた。
「はい、刑事ものと」
そう言うとかなめの後ろのモニターに『西園寺 刑事もの』と言う表示が浮かんでいた。
「えーと。ロボ、ファンタジー、刑事ものと。おい、神前。お前は何がしたい?オメエはオタクだ。だからと言ってアタシに恥ずかしい格好をさせるようなテーマは即却下する。ああ、その役をこのデカい三十路女に振るんならそれを即採用で行こう」
そう言ってかなめが振り向いた。誠は周りからの鋭い視線にさらされた。まずタレ目のかなめだが、彼女に同意すれば絶対に無理するなとどやされるのは間違いなかった。誠の嗜好は完全にバレていた。いまさらごまかすわけには行かない。
カウラの意見だが、ファンタジーの分野は誠にとってはあまり得意な分野では無かった。彼女が時々アニメや漫画とかを誠やアメリアの影響で見るようになってきたのは知っているが、その分野はきれいに誠の抑えている分野とは違うものだった。
サラ。彼女については何も言う気は無かった。サラが実はロボットモノ好きはかなり前から知っていたが、正直あの暑苦しい熱血展開が誠の趣味とは一致しなかった。
「会場には家族連れも来るんだろ?それなら少女が見て感動できる作品が良い。それは永遠の名作『ベルサイユのばら』だと思うのだがどうだろうか?」
突然口を開いたのはかえでだった。いかにも格調高い口調でそう言うとその場は一気にフランス革命直前のベルサイユ宮殿のような雰囲気になった。考えてみればかなめ、かえで、リンは甲武国の上流貴族であり、中でもかなめは甲武四大公家筆頭の当主である。貴族の恋物語がテーマとして選ばれても決して不思議なことではないと誠はかえでの意見に感心しながら話を聞いていた。
「ベルばら?甲武でも少女歌劇の定番だからな。でも少女歌劇って女子しかいねえじゃねえか。島田とか整備部の連中はどうすんだよ。うちは人数的には野郎の方が倍いるんだぞ。それを役名無しの群衆役でこき使う訳か?本当にかえでは男には厳しいな……神前以外には。『神前曹長以外の男に生存権は無い!』とこの前、久しぶりに二人で飲んだ時に言ってたな。そんなにアレの大きさが男の価値なのか?やっぱオメエは救いようのねえ変態だわ」
そして、かえでがいかにも貴族らしい『格調』を持ち込んできた。かなめはかえでの思い付きに呆れたようにそう言ってため息をついた。歴史知識ゼロの誠は誰が誰で、誰がどっちなのか。誠の脳は早々に諦めていた。
「ああ、ハンガーに巣くっている野蛮人共はいないことにしてくれないか?うちの部隊には戦争の悲劇が生み出した美しい女性達、『ラスト・バタリオン』で構成された運航部が有る。全員が少女歌劇の練習生に選ばれてもおかしくない美女ぞろいだ。そのメンバーだけで二時間の映画を回すぐらいの事はたやすいことだと思うがどうだろうか?僕にとって必要な男性は『許婚』である神前曹長だけだ。後の男がどうなろうが知ったことではないよ」
かなめの反論にかえではあっさりとそう切って捨てた。かえでにとっては誠以外の男は全て消耗品なのである。その事実を改めて知って誠は苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ、その野蛮人から言わせてもらいますけどね、神前の野郎は何の役で出るんです?やっぱりこいつも野郎だから裏方ですか?さっき隊長の前で言われた通りポルノは厳禁ですよ。コイツの下半身を露出させたらそれこそ大問題だ」
嫌味のつもりで島田はかえでに向けてそう言った。
「配役は決まっているさ!僕がアンドレ、リンがオスカル!二人の愛の物語が展開する素晴らしいだろ?」
かえではすっかり自分の意見に全員が賛同してくれるものと信じてそう言い放った。そのあまりに予想通りの配役にリン以外の全員はあっけに取られて自分の意見に酔っているかえでに冷ややかな視線を送った。
「おいおいおい、じゃあ本当に女しか出ねえ映画になるじゃねえか。それと何度も言うようだけどベッドシーンは無しな。これは子供も見る映画だし、甲武の少女歌劇にもベッドシーンはねえからな。甲武の劇場には警官や憲兵が常に詰めていて風紀を乱すとなると即公演中止だ。東和では上演は可能だが、後で内容が公然猥褻ならオメエの屋敷に県警のお巡りさんがやってくることになるぞ」
自己陶酔に浸る妹にかなめは思わずツッコミを入れた。
「大丈夫だよ。僕も甲武の少女歌劇のような作品をつくってみたいと思ってるんだ。そして僕の『許婚』である神前曹長とお姉さまには重要な役を演じて欲しい。これが物語の肝だ。ベルばらはフランス革命が舞台の物語。その歴史の経糸の中心人物をお二人にはお願いしたい」
かえでは今にも歌いだしそうな調子でそう言った。
「へー、アタシと神前は何の役なんだ?気になるじゃねえか。一応聞いてやろう……なんだか嫌な予感がするが……言ってみろ……で?」
かなめはこめかみを怒りに震わせながら声を絞り出すようにしてそう言った。しかし、自己陶酔に浸っているかえでには自分の考えた配役についての酔いしか見て取ることが出来なかった。
「お姉さまと神前曹長には『歴史の中心』となる人物を演じてもらいたいんだ。この二人が居なければそもそも『フランス革命』という大きな時代のうねりは起きなかった!そしてそれがもたらす数々の愛と悲しみの物語りも生まれなかった!その感動を生み出した『大きなうねりの中心となる決して欠かすことのできない重要な役』がある!この役はベルばらを語るうえで決して欠かすことができない重要な役だ!たぶん二人とも喜んでくれると思うよ!」
自信たっぷりに語るかえでの言葉を聞くたびにかなめの表情は明らかに嫌な予感に包まれているという感じを讃えているのが誠にもよくわかった。誠は歴史知識ゼロなので『ベルサイユのばら』は少女漫画が原作でヨーロッパが舞台ということしか知らなかったので、かえでの情熱的な演説の意味もそれを見ているかえでの不機嫌そうな顔の意味をまるで理解していなかった。
「重要人物ねえ……しかも、男のキャラと女のキャラ。しかも『フランス革命の原因になった人物』。となると……嫌な予感がするが……言ってみろ」
かなめは明らかにその配役が分かっているとでもいうように満面の笑みを浮かべるかえでに恐る恐る尋ねた。
「マリー・アントワネットとルイ十六世」
かえではやけにあっさりとそう言い切った。
「馬鹿かオメエは!そんな役なんでアタシがやらなきゃなんねえんだ!確かにその二人が居なければ『フランス革命』は起きなかったな!そうしたら『ベルサイユのばら』も存在しなかったな!ただ、『無能の代表』としてしっかり歴史に名を刻んだ馬鹿な王妃と王様じゃねえか!つまりオメエはアタシと神前は『馬鹿で無能』だと言いてえんだな?そして最期はどっちもギロチンで首ちょんぱじゃねえか!なんでそんな役やらなきゃならねえんだよ!アタシは降りる!そんな役なら絶対出ねえからな!確かにマリー・アントワネットは重要な役だけど最期が頂けねえ!ギロチンなんてうんざりだ!オメエはこれまでのアタシの調教を密かに恨んでいていつかギロチンにかけてやるとか機会を狙ってたんだな!とんでもねえ妹だ!」
かなめは怒りに任せて机を壊しかねない勢いで叩きつけた。ただ、物を壊し過ぎることで何度も始末書を書かされているかなめも学習してきてなんとか机は無事で済んだ。
「いや、ベルばらではマリー・アントワネットは美の象徴として……」
相変わらず自己陶酔状態で演説を続けようとするかえでをかなめは目で威嚇して黙らせた。
「つまんねえ理屈をこねるな!そりゃあそうでもしねーと少女漫画として売れねえからだろうが!『パンが無ければお菓子を食べればいいのに』なんていう馬鹿女の役をなんでアタシがやらなきゃいけねえんだ!却下だ却下!アタシは朝食は基本白米!酒飲みだからお菓子は食べねえ!まるでキャラがあってねえだろうが!」
怒りに震えるかなめを見てもかえでは自分の案に陶酔して優雅にほほ笑みながら姉の要を見つめている。一同はそのかえでの毛の生えた心臓ぶりに感心させられていた。
「まあ、かえでちゃんのはあくまでベルばらであってリアルな『フランス革命』史劇を作ろうってわけじゃないんだから。で?誠ちゃんは何が作りたいの?私はその後に意見が言いたいの。言ってみて?」
そこで誠はこれまで沈黙を守って来たアメリアを見た。
明らかに誠の出方をうかがっていた。美少女系でちょっと色気があるものを好むところなど趣味はほとんど被っていた。あえて違うところがあるとすれば神前は原作重視なのに対し、アメリアはコメディータッチで笑えるものに傾倒しているということだった。
「それじゃあ、僕は……」
部屋中の注目が誠に向いてきた。気の弱い誠は額に汗がにじむのを感じていた。
『ここで変なことを言ったら、来年までネタにされる。いや、死ぬ。今すぐ西園寺さんに射殺される……』
誠は下手な小細工でこれまで出たアイディアとは違っていてそれでいて絶対これまでの案に埋もれるようなアイディアを必死になって考えていた。




