↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
路傍の石  作者: マグガネ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/50

第四十話

次の日、俺はログインして配信を始めた。


「昨日はごめんな。ちょっとこれまでのことをまとめたくて、休ませてもらった」


『大丈夫だよ』


『気分転換も必要だよな』


『それで、結局まとめるとどんな感じなん?』


「そうだよな。初見の人も何人かいるみたいだし、説明していくな」


そう言って、昨日まとめた内容を話していく。


『確かにそんな感じだったわ』


『最近のはずだけど、もう懐かしいな』


『それで、これから侯爵への報告だっけか?』


「そうだな。それじゃあ、サン社員いるか?」


俺は配信で声をかける。


「はい、お待ちしていましたよ」


そう言って、俺の目の前に現れた。


「サン社員、今回も侯爵の所に行ってくれるか?」


「もちろん、その大役、担わせていただきます」


「ほんと、ありがとな。それと炎児は……いるな」


いつものPvPエリアを見ると、こっちに手を振っているのが見える。


「炎児はどうする? 侯爵の所に行くか?」


炎児は俺たちの下まで走ってきて、返事をする。


「はい。俺もちょうど今の上限まで来ましたし、進化について知りたいですから、ついて行きます」


炎児も今のレベル上限まで行ったのか。


この世界で、一度も進化していないのは俺だけなんじゃないかと思えてくる。


「そうか。じゃあ、よろしく頼むな」


そう言って二人を見送る。


そして、俺はサン社員の配信を見始めた。


そして二人は、いつもの部屋で侯爵と面会する。


そこで俺たちは、黒装備の連中がリーン伯爵領で住民と良好な関係を築いていて、武器も用意されていたこと、進化の条件を知っていること、そして、その条件を話そうとした瞬間に消えたことを説明した。


「……そうか、そこまで分かったのか。だが……消えた?」


侯爵はそう呟いた。


「まあ、いい。今聞いた話を勘案すると、奴らの目的は進化で間違いないだろう」


侯爵はあっさりと言い切った。


『やっぱりそうか』


『想像はできてたよな』


「奴らは進化の条件を聞き、それを満たすために行動をしているのだ」


「なぜ彼らが進化にこだわっているのか、ご教示願えませんか?」


「……そうだな。説明しておくべきか。ここにいる二人は、進化を一度経験しているだろう。その時に、一段階上の力を手に入れた」


「はい、その通りです」


「そして、次の進化でも同様に力が得られる。そう思っていないか?」


「……? はい、そのように思っていますが……」


「それは違う。次の進化は、今お前たちが想像している以上の力が手に入る。それこそ、上手くいけば、クランというものを組めば、奴らだけで小さな町程度なら陥落させるほどの力だ」


そこまでの力が手に入る。


その事実に、俺は息をのんだ。


「だからこそ、進化には条件がある」


ついに進化条件の話が出てきた。


現地にいる二人も、空気が変わったように感じる。


「……条件ですか?」


サン社員が慎重に聞き返す。


「そうだ。条件は二つある。一つ目は、一定の成長段階に到達していることだ」


これは、俺の観察で見ていた通りだし、皆予想はできていた。


「そして、もう一つは、一定以上の身分を持つ者からの推薦を受けることだ」


何故、そんな条件が?


「サン社員、なんでそんな条件になってるか聞いてくれ」


サン社員が黙っているので、ハッとなり、質問をする。


「なぜ、そのような条件が設けられているのでしょうか?」


「当然の疑問だろう。だが、先ほどの話を思い出してくれ。進化した冒険者は非常に強い。


そんな者を、誰の判断もなく生み出してよいと思うか?」


「……確かに、危険ですね」


「だから、一定以上の身分を持つ者が、その者を進化させても問題ないと判断する」


話に筋が通っている。


「……だから、あいつらはリーン伯爵と繋がっていたのか」


俺はそう呟く。


「そのようなお考えでしたか。それでは、黒装備の冒険者を調査していたのも?」


「リーン伯爵が奴らを推薦するつもりなのか、それとも既に推薦したのか。それまでは分からぬ。そのため、調べてもらった」


「そうでしたか。それでは、侯爵も推薦することがあるのでしょうか?」


サン社員が切り込んでいく。


「当然だ。この町に尽くした者、住民を守った者、力を持っても悪用しなかった者。これらを基準として判断する」


「それでは、俺も次の進化ができるんですか?」


それまで黙っていた炎児が、侯爵に質問する。


「条件を満たしているのであればな」


そして、炎児に鋭い目線を送る。


だが、炎児は引かない。


「……俺は条件を満たしています」


「ふむ。確かに貴様は力を持っているが、悪用はしていないようだ。だが、他の基準には達していない。だが、いずれは推薦することもやぶさかではないだろう」


今の言葉から言うと、力を持っても悪用しなかっただけで、他の二つの項目は満たしていないということだろうか。


聞いた感じだと、町に尽くすというのは、ギルドで受けられる討伐依頼、住民を守ったというのは、護衛か何かだろうか。そして、悪用しなかったというのは、まあ、その言葉の通りだろう。


「それでは、私はいかがでしょうか?」


サン社員が聞く。


侯爵は悩んだ末、口を開く。


「貴様は、そうだな。住民の助けになってくれることで、いつか推薦できそうだ」


そう言って、侯爵の口角が少し上がったように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。