第二十二話
だが、まだ確信はない。ひとまず置いておこう。
「ありがとう、サン社員。調査結果はこれで一通り話してもらえたのかな?」
「はい、私からの報告は以上です」
「とても分かりやすかったよ。ありがとう。それじゃあ、次は視聴者の調査結果について教えてもらえるか? まずは……ギルドの調査結果から教えてくれるか?」
『はいは~い。じゃあ、私がまとめて話すね。ギルドでは、冒険者同士の喧嘩が結構起きてるみたいなんだよね』
『それで、喧嘩をしてる人には共通点があって、黒い装備をしてる人が多いらしいんよ』
『そういえば、その中には大剣を使ってる人もいたって』
『あと、ちょっと気になる証言もあったんよ。新人冒険者に「NPCを信用するな」みたいなことを吹き込んでる男がいたらしい』
『しかも、その男も黒い装備だったって』
『それと、大量のモンスター素材を持ってる黒装備の冒険者を見たって話もあった』
また黒い装備の男が出てきた。
コメントの中にも、『また?』『黒い装備?』といった反応が流れている。
でも、なんで新人冒険者に「NPCを信用するな」なんて吹き込んでたんだ?
そこだけは理解できなかった。
まあ、考えても仕方がない。次の話を聞かなくては。
「聞いてきてくれてありがとう。素材もそうだし、喧嘩をして住民には迷惑をかけてそうだな。それじゃあ、次は武器屋・市場組。何か情報は聞けた?」
『聞いてきたこと書いてくね』
『OK、書いてくわ』
どうやら、こっちはバラバラに聞いてきたようだった。
「ごちゃごちゃになるのは避けたいから、ある程度まとめた形で書いてくれるとありがたい」
そう言うと、先ほど書き込んでくれた人は了承してくれた。
『武器屋で物を壊して逃げてったやつがいるらしい。それを見ていた奴がいて、住民が怒ってるのを見たって』
『こっちは市場で、モンスターの素材を高く買い取れって恫喝してたって証言が得られたよ』
『姿は聞いてないから、ちょっとわからない』
『あっ、それ見たことあるかも。俺が見た時は黒装備だった』
『俺、その仲間?らしき奴に、「あそこのNPCは冒険者が嫌いだから、他に行った方がいい」って言われたよ』
これで三度目だ。
住民と冒険者。両方の聞き込みで、黒い装備の冒険者が出てきた。偶然にしては出来過ぎだ。
「聞き込みに行ってくれてありがとうございます。ここでも、黒い装備の冒険者ですか。ちょっと気になりますね。でも、一旦置いておきましょう。切り替えて、噴水組はどうでした?」
『ごめん、こっちはあんまり……』
『あの女の子が言ってたように、備品の破壊くらいだったよ』
『でも、そいつは狼男だったらしいから、黒い装備の奴らとは関係ないかも』
『装備も白だったって言ってた』
「おお、貴重な情報だよ。ありがとう。黒い装備のやつ以外にも、迷惑をかけている奴がいるってことか。それじゃあ、街道組はどうだった?」
『街道組だけど、結構ヤバい話が聞けたよ』
『街道の近くに、モンスターが大量に湧く場所があるらしいんだけど、そこを一部の冒険者がほぼ独占してるって話』
『しかも、その冒険者たちも黒い装備だったって』
『烏の紋章がついていた気がするって言ってたやつもいたよ』
『他の冒険者が近づくと、「ここは俺たちの狩場だ」って追い返されたって』
もう、これは偶然ではないよな。
「みんな、調べてきてくれてありがとう」
まずは、協力してくれたみんなに感謝の言葉を述べた。
「みんなも、もうわかっていると思うけど、黒い装備の冒険者が、かなりの事件に関わっている」
明らかに、悪意を持った集団がいる。
「一度、この黒装備の冒険者たちについて調べてみよう」
そう宣言した。
「今日は長い時間、ありがとうございました。明日からは、この黒い装備の集団について調べていきたいと思っています。また協力していただけるなら、何卒よろしくお願いします」
そう言って、今日の配信を終了した。
今日は濃い一日だった。
だが、その分収穫も多かった。俺は満足感を覚えながら、ログアウトした。




