第2章 第2話:練習試合開始
練習試合が行われる体育館へとやってきたアイリスと、応援の4人。
体育館には多くの生徒たちが試合を見ようと集まっていた。
アイリスは部員から借りたユニホームに着替え、「パンッ」と顔を叩いて気合を入れていた。
今はコートを半分に分けて、それぞれのチームがウォーミングアップの練習をしていた。
アイリスもその中に入り、ドリブルやシュート練習を行っていた。
それを見ていた漣。
「アイリスは今日も調子よさそうだな」
その漣のつぶやきに、隣にいた陽菜が答える。
「よすぎて、やりすぎないといいんですけどね……」
更に朧が続ける。
「これだけギャラリーがいると誤魔化すのも大変よね」
ここで螢が口をはさむ。
「やりすぎないようにアイリスさんの手首と足首に、一つ重さ20KGのリストバンド付けさせたから多分平気」
それを聞いた漣が苦笑いをする。
「それであの動きができるのは凄いな。さすがアイリスと言ったところか……」
漣はふと相手方のコートを見た。背はさほど高くないのにずば抜けた身体能力を持った選手が目に留まる。
(あの動き……。なんとなく俺たちの動きに似ているような気がする……。まさかな……)
その時練習を中断したアイリスが漣に手を振りながら、大声で呼びかけた。
「漣!ちゃんと私の活躍見ててね!それでちゃんと活躍したらご褒美頂戴ね!」
そう言って満面の笑顔を向けるアイリスであった。
そんなアイリスに意識を持っていかれた漣が、再び相手チームの練習風景を見ることはなかった。
ーーー
30分ほどの練習時間が終わり、コートの整備が始まった。いよいよ試合開始の時間が近づいてきていた。
バスケ部のキャプテンが作戦方針を伝える。
「いい、みんな!相手は全国常連校だけど気持ちで負けないようにね。それで作戦としてはいたってシンプルよ。みんなで守って、ボールを奪ったらアイリスちゃんを中心に攻めていくわよ!アイリスちゃん頼んだわね」
「任せてください。今の私は『大和魂』が燃えています!」
「その意味はよくわからないけど、アイリスちゃんのやる気だけは伝わってきたよ」
そう言うとキャプテンは円陣を組み気合を入れるのであった。
ーーー
コートの中に両チームの選手が5人ずつ入って行く。
(向こうのチームはさっきの選手は出てこないんだな……)
両チームの選手が定位置につき、コート中央のサークルにはアイリスと相手チームの長身選手が向かい合って立つ。
(こんな背の低い奴が相手なら余裕だな)
相手選手が余裕の笑みを浮かべて、アイリスを見下ろしていた。
審判が「ピーッ!」という甲高い音で笛を吹きながら、ボールを高く投げた。
相手選手が長身を生かしてボールに手を伸ばそうとした瞬間、「大和魂!」と叫びながらアイリスが力強く飛び上がり、相手選手より先にボールを味方の選手へと弾き飛ばした。
ドスンという音を立てて着地したアイリス。
彼女は、ジャンプボールで競り負けて呆然とする相手選手を置き去りにすると、そのままの勢いで前線へ走り込み、味方からのパスを受け取った。
ボールを受け取ったアイリスは華麗なドリブルで、ディフェンスに来た選手をフェイントを交えてするりとかわし、ゴール下まで行くと簡単にレイアップシュートを決めたのであった。
「よっしゃー!」
アイリスはボールがリングに入るのを見て雄たけびを上げ、すぐさまディフェンスに戻るのであった。
ーーー
試合が進み、第2クウォーター終了のホイッスルが鳴る。ここまでアイリスの活躍もあり、42VS24と大差をつけて勝っていた。
ここでキャプテンがアイリスに声をかける。
「アイリスちゃんはずっと出ずっぱりだし、第3クウォーターは休んでいて。他の部員の子も試合に出して、経験積ませないとだしね」
「OK!それなら次はお休みして、第4からまた大暴れさせてもらいますね」
そう言うと、アイリスはベンチへと下がっていった。
ここで相手チームが動きを見せた。
コーチが、試合前に漣が気にしていたあの選手を呼び寄せたのだ。
「里崎、行けるな?」
コーチからの問いかけに対し、里崎は静かに頷き、交代する選手と入れ替わってコートへと入っていった。
審判により、第3クウォーターの開始のホイッスルが吹かれた。
最初のスローインは志能便学園ボールで始まる。
志能便学園の生徒がボールをコート中央の味方に投げ入れた。
しかしそのボールが味方へと渡ることはなかった。
里崎がボールを受け取ろうとした生徒の前でカットしたのであった。
目の前でボールをカットされた選手は何が起きたのか理解できず「えっ」と言って固まっていた。
里崎はろくに守備陣形の取れていない志能便学園の選手たちの間をすり抜け、アイリスが最初にやったようにレイアップシュートを決めたのであった。
シュートを決めた里崎は、ベンチに座るアイリスを一瞥すると「さっさと出てこい」とでも言いたげな表情をアイリスに向けた。
その光景を2階席から見ていた漣。
(やはりあの選手ただものではないな。うまく周囲にばれないように力を抑えてはいるが、動きが洗練されすぎている)
里崎の動きをじっと見つめる漣であった。
そんな漣の腕をぎゅっとつねる陽菜。
「漣君、アイリスを応援するならまだしも、敵方の選手にそんな熱い視線を送るなんてダメですよ!」
「いや、そういうことじゃなくて……。あの選手もしかしたら俺たちと同じかもしれないぞ?」
漣がそう言うと、陽菜は先ほどまでとは打って変わり、真剣な表情をする。
「やっぱり漣君もそう思いますか。いったい何者なのでしょうか?」
「それはわからないが、一応注意だけはしておこう」
そう言って他の二人にも注意を促すのであった。
試合は里崎の出現で一気に相手チームの流れとなっていった。
その光景をベンチから悔しそうに見つめるアイリスは静かに闘志を燃やすのであった。
第2章第2話をお読みいただきありがとうございます。
今回はアイリスのバスケ無双かと思いきや、後半に入って出てきた里崎に流れを持っていかれるといった話でした。
次回は第4クウォーターでの、「アイリスVS里崎」となります。いったいどちらに軍配が上がるのか……。
是非次回の投稿もお読みください。
お願い:ブックマークや評価☆、応援コメントでアイリスを応援してあげてください。そうすれば彼女の「大和魂」がさらに燃え上がるはずです!




